環境科学会誌
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5 巻, 2 号
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  • A Comparative Study on Some Ecological Methodsof Evaluation of Water Pollution
    加藤 和弘
    1992 年 5 巻 2 号 p. 91-98
    発行日: 1992/04/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     水質汚濁の評価を目的とした生物群集の解析手法のうち,多変量解析の一手法である対応分析と,生物指数のうちのベックの生物指数,パントル・バックの汚濁指数,シャノン及びシンプソンの多様性指数について,指標生物として珪藻と底生無脊椎動物を用い,指標生物間の違いも含めて各手法の性質を検討した。多様性指数はこれまで多くの研究で環境の指標として用いられてきたが,本研究においては,他の手法に比べて水質汚濁を指標する能力は劣っていた。また,生物群集の解析により得られる指数,スコアの変動は,単一の水質項目の測定値だけでは十分に説明できず,CODと電気伝導度を併せて考慮することにより,より良好な説明が可能となった。底生無脊椎動物は,珪藻と異なり河床の堆積物の影響を受けており,そのことが水質の評価結果にも影響を及ぼしていた。
  • 佐伯 和利, 松本 聰
    1992 年 5 巻 2 号 p. 99-107
    発行日: 1992/04/30
    公開日: 2011/10/21
    ジャーナル フリー

    セレンの主要形態である亜セレン酸イオン,セレン酸イオンの土壌に対する吸着性をpHの影響の観点から4種の土壌を用いて調べた。亜セレン酸イオン,セレン酸イオン共にpH低下につれて吸着量は増加した。セレン酸イオンの吸着量は亜セレン酸イオンに比べ,全pHではるかに少なかった。使用土壌のセレン吸着能は次のような順になった,黒ボク土>赤黄色土>> 灰色低地土>褐色森林土。この吸着能は,土壌の比表面積,リン酸吸着係数,しゅう酸可溶性アルミニウム量の増加と関係があった。亜セレン酸イオンの黒ボク土に対する吸着で,黒ボク土からのケイ素の放出が認められた。
    連続抽出法を用いて,亜セレン酸イオン,セレン酸イオンの土壌からの脱着を調べた。吸着した亜セレン酸イオンの大部分(>60%)は,硝酸イオン,硫酸イオンでは脱着しなかった。反対に,吸着したセレン酸イオンの70%以上が硝酸イオン,硫酸イオンで脱着し,亜セレン酸イオンとセレン酸イオンの吸着機構の違いが示唆された。土壌中では,pHが低いほどセレンは動きにくく,セレン酸塩は亜セレン酸塩に比べ,かなり移動性に富むことがわかった。
  • Chemical Species in the Depositionat Some Peaks of the Himalayas
    土器屋 由紀子, 丸田 恵美子, 吉川 友章, 石森 啓之, 鶴見 実
    1992 年 5 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 1992/04/30
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
     山岳地帯は試料採取が困難であるため観測データは少ない。本研究では,1991年4月13日-15日,東ネパール,ヒマラヤ山地の4300m-5483mの地点で得られた雪,河川水および湖水の化学成分をイオンクロマトグラフィー,原子吸光分析,ICP発光分析などを用いて測定し,1990年8月より富士山頂で採取した降下物や降雪の試料と比較した。硝酸イオンと非海塩硫酸イオンの比は積雪試料について富士山のものよりも高かった。臭化物イオンと塩化物イオンの比は海塩に近い値であった。
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