環境科学会誌
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6 巻, 4 号
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  • ―寧夏回族自治区固原県における調査事例―
    長沢 徹明, 高橋 英紀, 陳 国良, 穆 興民
    1993 年 6 巻 4 号 p. 277-285
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
     中国黄土高原における土壌侵食問題の特質を検討するため,おもに降雨による侵食性と土壌の受食性について検討を加えた。1988~90年において現地で観測した降雨により,USLEの降雨係数Rを算定した結果,平均で41.85(m2・tf/ha・h)を得た。また,傾斜試験枠での流亡土量から得た土壌係数Kは,0.43(t・h/m2・tf)と推定された。 一方,土質試験の結果からも,黄土は安定性が低く,水を含むと容易に流動化する性質を有することが確認された。これらの結果は,黄土高原のはげしい水食現象が,降雨条件より土壌の性質などの他の因子によるものであることを示唆している。 調査流域河川(黄家河,流域面積684km2,本流延長40km,河川密度0.439km/km2,平均河川勾配4%)の流量,ならびに浮流土砂濃度を調査した。観測期間中の河川流量はおおむね0.5m3/s以下であり,流域の規模からすれば非常に小さい。渇水期比流量は0.01~0.02m3/s・100km2程度と推定され,利水面での難しさが想定される。黄家河における流量Q(m3/s)と浮流土砂濃度C(mg/l)の間には,logC=2.757+4.208Q,(r=0.815**)の関係が成立し,渇水ないし平水時においても浮流土砂濃度は非常に高い。河川への土砂流亡現象については,斜面が土砂生産源というより,斜面で発生する表面流出水が集中流下することによるガリ谷頭や側壁,流出経路の洗掘,崩壊が大きいように思われる。したがって,流域全体の保全を考えるには,植生により降雨を遮断し表面流出を抑制するとともに,流出水を合理的に排除する流域排水システムの構築が必要であろう。
  • 前田 恭伸, 池田 三郎
    1993 年 6 巻 4 号 p. 287-296
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     著者らは,環境リスク問題に関して,リスクアセスメントとリスクコミュニケーションを支援する知識べースシステムRARCOMを開発している。このシステムは東京都のトリハロメタン問題についてリスク発生と伝播のモデルを知識べース上に持っており,そのモデル上での知識べースシミュレーションによって有害性化学物質の曝露評価を支援するとともにリスク特性の判定を行ない,また評価結果や関連する情報を分かりやすい形でユーザに提供する。 特にRARCOMでは環境リスク問願の学際性を考慮し,複数領域の専門知識を複合した知識べースの記述に関して,複合対象モデルというモデル化の枠組を開発した。この枠組は,問題に関わる異なる分野の様々な領域知識を知識べースに共存させ,かつ領域相互の概念の相違の間に立って,概念間の橋わたしを行なう機構を持っている。これによって環境問題のような学際分野での知識べースシステム構築が容易になるものと思われる。
  • ―目黒区びん・アルミ缶分別収集を事例として―
    松本 安生, 原科 幸彦
    1993 年 6 巻 4 号 p. 297-310
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     行政による資源ごみの分別収集はごみの減量化だけでなく資源化・有効利用に大きな効果を持つ。しかし,住民の理解・協力が得られにくいことが政策実施上の大きな阻害要因となって実施している自治体は1989年度現在全国で約2割にしかすぎない。このため,今後分別収集を進めていくためには住民の協力をいかに得ていくかが重要になる。 そこで本研究では資源ごみ分別収集における住民の意識と行動の構造を明らかにし,行政による普及啓発活動が住民の意識や行動にどのような影響を及ぼしているかを把握することを目的とする。このためこれまでの環境保全行動のモデルの試みをもとに資源ごみ分別収集における住民の分別行動モデルを構築した。このモデルを検証するため目黒区における資源ごみ(びん・アルミ缶)の分別収集を事例として,アンケート調査を実施した。 この結果,以下の5点が明らかになった。(1)住民が分別を常に行うかどうかは廃棄物問題の認知と関連がある。(2)住民が分別を常に行うかどうかは「分けないと近所から何か言われるから行う」という行動の動機づけとも関連がある。(3)分別行動に関する知識の情報源としてマスコミとともに区の広報,町会の説明会に対する評価が高い。(4)廃棄物問題への関心に対してはマスコミが,廃棄物問題の認知・分別行動の評価に対しては広報が重要な情報源となっている。(5)「分けないと近所から何か言われるから行う」という行動の動議づけと広報・マスコミに対する評価とは関連がある。以上から住民の分別行動は現在のところマスコミを通じた廃棄物問題への関心と広報を通じたより細かな廃棄物問題の認知が重要である。今後分別行動を維持し,活性化していくためには広報を通じた普及啓発活動の特徴を見直し,問題の周知のための情報提供等を行っていくことが必要である。
  • 丸田 恵美子, 土器屋 由紀子, 坪井 一寛
    1993 年 6 巻 4 号 p. 311-320
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     濃度は非常に低く,多くの事例で検出限界以下であった。しかし太郎坊では濃度は低いもののほとんど常にnssSOSO42-は6μeq1-1以上,NO3-は5μeq1-1以上を含み,汚染物質濃度の低い気団による降水でも,標高1300mでは近距離輸送による汚染の影響があることが示唆された。太郎坊では,北高型の際の北東気流による降水のNO3-イオンの濃度が高く,首都圏の汚染の影響を受けていると思われる。梅雨時には山頂,太郎坊ともにnssSO42-NO3- 濃度は顕著に高かった
  • 那須 正夫, 山口 進康, 宮本 和久, 近藤 雅臣
    1993 年 6 巻 4 号 p. 321-328
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     環境中の細菌は通常の方法では培養が難しく,培養に頼らない新たな解析法の開発が急がれている。そのひとつとして,細菌を粒子として解析する方法があげられる。そこで,フローサイトメーターを用いて,培養の困難な細菌も含めて細菌の大きさおよび核酸含量を解析する系を作成した。同法を用いることにより,大きさおよび核酸含量をもとにE.coliとBacillus megateriumを区別することができた。そこで,河川水中の細菌の解析に応用した結果,E.coliよりも小さな細菌を検出できることがわかった。また,環境の異なる6地点から採取した試料水中の細菌を解析したところ,清浄な地点では汚染の進んだ地点に対し,細菌の大きさに多様性が認められた。今回確立した解析系は研究室で多用されている培養細菌のみならず,培養の困難な細菌も解析できることが確かめられ,河川水中の細菌群集構造解析による河川環境評価に応用できる可能性が示された。
  • 溝渕 膺彦, 松本 光弘, 斎藤 和夫
    1993 年 6 巻 4 号 p. 329-333
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    The survery was carried out during September 1991 and February 1992 to esimate the effects of acid rain precipitates on the Yamato River water quality in Nara Prefecture, which runs in the Nara Basin and through southern part of Osaka Prefecture. The main ionic species were sulfate in the rain fall and bicarbonate in the river water, and their percentage were 40.6% and 42.3%, respectively. The each contribution of ions in the rain fall to the river water was calculated. Although the contributions of ammonium, nitrate and sulfate were 19.3%, 13.9% and 11.4%, respectively, other ionic species were only a few percentage.
  • 井村 秀文, 二渡 了, 大平 晃司
    1993 年 6 巻 4 号 p. 335-342
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Fundamental changes in the public's awareness and attitudes toward the environment are required for solving environmental problems which have become more and more globalized. People's awareness and attitudes are influenced by various factors such as interaction among members of the group ("internal interaction") and forces exerted from the outside to the group ("external forces"), etc. In this study, a mathematical model to describe such processes of changing public opinion and attitudes is presented based on a cell dynamical systems model. Here, the characteristics of the society under consideration are described by three parameters, i. e., self-assurance parameter a, mutual interaction parameterβ, and the responsiveness parameter y. Simulation analysis is conducted by changing the parameter values. In the case where members have a strong tendency of self-assurance, the distribution of individual opinions will be in a widely disposed multi-modal situation. On the other hand, when such tendency is weak, it is sharply peaked at a pro-environmental point. The interaction parameter governs the correlation among individual opinions in the group. If individual members are responsive to external forces, then the distribution of individual opinions tends to be biassed.
  • 溝渕 膺彦, 斎藤 和夫
    1993 年 6 巻 4 号 p. 343-347
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Water qualities of 221 domestic wells were analyzed during February 1990 and December 1991. Ten items of sodium, potassium, calcium, magnesium, chloride, nitrate, sulfate, bicarbonate, pH, and conductivity were measured. Predominant cation and anion species were calcium and bicarbonate and their concentration ranged between 75.0mg/1-0.7mg/l and 6.1-0.lmeq/l, respectively. Groundwater quality was evaluated on the basis of the idea of SCORE and was worse in almost central area of the Nara Basin compared to the neighboring area of the Basin.
  • 呉 錫畢, 黒柳 俊雄
    1993 年 6 巻 4 号 p. 349-359
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    The aim of this study is to clarify the pollution-economy relationships by means of a new pollution model. We established a new pollution model from some environmental economic factors ; output, energy, pollutants, and costs of pollution abatement. This model explains how Japan could sustain a high economic growth under the strict pollution regulation. The results of this study showed a negative relation ships between the cost of pollution abatements and the amount of pollutant in Japan. This pollution model reveals that the experience of Japan, which has developed and anti-pollution technology and has created very economical use of energy, would be very useful to the environmental pollicies of the developing countries having serious environmental problems, and this wise Japan's role could be seen as becoming increasingly important in tackling the global environmental problems.
  • ―ギャラップ国際環境世論調査の結果―
    満田 久義, ダンラップ R.
    1993 年 6 巻 4 号 p. 361-366
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/10/21
    ジャーナル フリー
    環境意識の国際比較調査は,これまでにもいくつか試みられているが,その対象が北米や欧州や日本といった先進工業国に限定されるという大きな問題を持っていた。事実,途上国の人々の環境意識に関する情報は,ほとんど知られていないし,ましてや,地球規模での環境意識の国際比較研究は極めて少ない。そこで本稿では,ギャラップ調査の境意識に関する国際比較データを分析することで,日本を含めた世界中の人々が,環境問題やその解決についてどのように考えているのかを探ることにする。
  • リスクアセスメント― その歴史と概説
    小林 定喜, 神田 玲子
    1993 年 6 巻 4 号 p. 367-377
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 環境中化学物質のリスクアセスメント
    松下 秀鶴
    1993 年 6 巻 4 号 p. 379-392
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
  • ディーゼル排ガスによる発癌リスクの推定
    岩井 和郎
    1993 年 6 巻 4 号 p. 393-402
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • ディーゼル排気ガスのリスクマネージメント
    Doosub James JAHNG
    1993 年 6 巻 4 号 p. 403-411
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 地球温暖化にともなう健康リスク
    安藤 満
    1993 年 6 巻 4 号 p. 413-419
    発行日: 1993/10/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
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