環境科学会誌
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9 巻, 4 号
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  • 青柳 みどり
    1996 年 9 巻 4 号 p. 437-444
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
     店頭における質問紙調査を行うことによって,「環境にやさしい」商品に対する消費者の購買行動の分析を試みた。自社の製品を「環境にやさしい」商品とアピールする製造・小売り企業とその店舗への来店者を調査対象とし,その店のメッセージの効果,来店者の属性と購買行動に焦点を当てた事例調査・分析を行った。調査対象企業のアピール内容は,空容器のリサイクルだけではなく南北問題,人権問題なども含む広範囲なものである。 「環境にやさしい」ことをアピールするある製造・小売り企業について,調査対象企業の商品の購入経験の有無についてロジット回帰で分析した結果を示した。 調査対象企業の商品の購入経験の有無については,店のアピールについての設問の正答数,反復来店者かどうか,年間の化粧品の支出額,海外での生活経験が有意な変数として取り上げられたが,環境問題に関する知識,環境保護団体のメンバーか否かについては,有意な結果は得られなかった。 以上の結果から,本事例研究は調査対象企業の支店に来店した若い女性の回答者を対象にした限られたサンプルではあるが,店のアピールについて関心の高い消費者は,その店の製品の購入を行う傾向にあるが,環境問題への関与が「環境にやさしい」商品の直接的な購買決定要因とはなっていないことが確認できた。
  • 中森 義輝, 領家 美奈
    1996 年 9 巻 4 号 p. 445-460
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
     構造変化を考慮した大局的な予測モデルの構築法を提案する。まず,データの分類と回帰の同時分析を行うファジィクラスタリング法を用いて,部分的に線形な変数間関係を発見するためのアルゴリズムを提案する。次に,いくつかの線形モデルをルールの予測部として持つような,いわゆるファジィモデル構築法を解説する。その際,ルールの適合度を求めるためのメンバシップ関数の新しい同定法を提案する。数値例により,提案する手法の有効性を検証するとともに,世界の人口関連モデルの構築プロセスを紹介する。さらに,同様な手法による時系列モデルの構築法,非線形な部分構造の発見法,適切な説明変数の選択法,および不確実な将来の予測法について考察する。
  • 高橋 真哉, 中嶋 信美, 清水 英幸, 鎌田 博, 裴 公英, 石塚 皓造, 二階堂 修, 近藤 矩朗
    1996 年 9 巻 4 号 p. 461-466
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/10/21
    ジャーナル フリー
     UV-Bの植物に対する生物学的な影響を定量的に調べる目的で,UV-Bを照射したキュウリ緑葉のDNA中のシクロブタン型ピリミジン2量体(CPD)の蓄積量と可視傷害の関係について検討した。CPDの検出はCPDに対するモノクローナル抗体を用いたELISA法で行った。λファージのDNAを用いてCPDの標準試料を作るため,大型スペクトログラフ装置でλファージDNAに260nmの単色光を照射し,CPD生成量と紫外線照射量の関係を検討した。その結果,照射量0~6Jm-2,DNA濃度は0.5~5μgml-1の範囲でCPDの生成量と紫外線照射量の間に直線関係が認められた。 次にUV-Bを照射したキュウリ第一葉の成長:量,可視傷害及びCPDの蓄積:量の関係について検討した。その結果,UV-Bを照射したキュウリの第一葉ではすべての照射条件で成長阻害がみられた。また,可視傷害を引き起こす照射条件ではCPDの蓄積が認められた。以上の結果から,キュウリ第一葉のUV-B照射による可視傷害の出現とCPDの蓄積には何らかの関係があると思われる。また,CPDの蓄積量をELISA法で測定することによって,UV-Bの植物への生物学的な影響を,ある程度定量的にかつ迅速に評価できるものと思われる。
  • 須戸 幹, 國松 孝男
    1996 年 9 巻 4 号 p. 467-477
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     降雨時にゴルフ場から流出する農薬の流出量をシミュレートするモデルを検討した。モデルは,流出水と農薬の動態を解析する2部で構成した。流出水量の解析は2段直列タンクモデルを用いて,流域末端における表面流出水と中間流出水の流出高について行った。農薬の動態の解析は,ゴルフ場への農薬の散布:量,農薬の土壌中の残留率と土壌からの流出率より,農薬の流出量について行った。農薬は,国内で広く用いられている除草剤のひとつであるシマジンを対象とした。解析は,Dゴルフ場(118 .3ha)の一部(52.9ha)と隣接する上流の森林(26.6ha)から構成される流域について行った。1991年5月22~24日の降水量が36.5mmの降雨時について,モデルでシミュレートした1時間ごとのシマジン流出量は実測値とよく一致した。モデルに用いたパラメータのうち散布量,降雨強度,調整池の容量はシマジン流出量に大きく影響した。
  • ―人工酸性雨による重金属の溶脱・収着反応―
    中川 吉弘, 小林 禧樹, 正賀 充
    1996 年 9 巻 4 号 p. 479-487
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     降水の酸性化が,植物体からの重金属(Fe,Mn,Zn,Cd,Cu)の溶脱・収着現象にもたらす影響を知るため,着生地衣植物(ウメノキゴケParmotrema tinctorum)を用い,人工酸性雨水溶:液に浸漬する実験手法による基礎的検討を行った。 その結果,Cuを除く全ての重金属は溶脱・収着現象の分岐点となるpHを有することを見いだした。すなわち,MnはpH3.4~3.6を境にして低pH側で地衣体から溶脱を,逆に高pH側で地衣体に収着される現象を見いだした。Mnの溶脱量は0.78±0.24μeq・g-1(pH2.1),収着量は0.38±0.21μeq・g-1(pH3.9)であり,その量はともに溶液中のMnの濃度レベルに比例して増大した。同様の溶脱・収着反応がFe,Zn,Cdでも見られ,この溶脱,収着現象の分岐点となるpHはFeでpH2.7~3.1,ZnでpH3.1~3.3,CdでpH2.4であった。CuはpHに影響されず全pH領域で地衣体に収着された。 また,人工酸性雨水中における重金属の共存は,陰・陽両イオン(K+,Ca2+,Mg2+,NH4+,NO3-,SO42-)の溶脱・収着量をそれぞれ増加させ,とくに,NH4+,NO3-の収着量を著しく増加させた。 反応速度論的解析により,これら溶脱・収着現象がいずれも一次反応として示しうること,また,溶脱現象の見られるpH領域(pH2.1)での半減期(τ)はMn(4.5min.),Zn(16.3min.),Fe(34.3min.)であり,収着現象の見られるpH領域(pH3.9)でのそれはMn(4.1min.),Zn(7.3min.),Cu(8.4min.),Fe(13.Omin.)であることがわかった。これらの結果は,Mnの溶脱(Mnの欠乏障害)・収着(Mnの過剰障害)が比較的容易に起こり得ることを示すとともに,クチクラ層の有無という組織構造上の差異はあっても,同反応が高等植物にも起こりうることを示唆している。
  • 悲 公英, 石塚 晧造, 近藤 矩朗
    1996 年 9 巻 4 号 p. 489-495
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
     オゾン暴露したトマト緑葉からのエチレン生成はACC合成酵素やACC酸化酵素活性の促進によって増加することが知られている。本研究では,オゾンによるエチレン合成のメカニズムを解明するため,オゾン暴露したトマト緑葉からACC合成酵素とACC酸化酵素のcDNAそれぞれ2種(LEOSY1とLEOSY2,LEOOX1とLEOOX2)を単離した。これらのcDNAがコードしているACC合成酵素とACC酸化酵素のうちLEOSY1とLEOOX1のアミノ酸配列はいままでに単離されたトマトのACC合成酵素とACC酸化酵素とは異なることが示された。 これらの酵素の遺伝子の発現がオゾンによって誘導されるかどうかについて検討するため,単離したcDNAをプロープとしてノーザンハイブリダイゼーションを行った。LEOSY1とLEOSY2のcDNAをプロープとした結果,LEOSY1はオゾン暴露したトマト緑葉でmRNAの増加が見られたが,LEOSY2のmRNAはオゾンによる変化は見られなかった。ACC酸化酵素の場合,LEOOX1のmRNAはコントロールと比べてオゾン暴露により増加したが,LEOOX2はほとんどコントロールと変わらなかった。これらの結果から,LEOSY1とLEOOX1はオゾンによって発現されるが,LEOSY2とLEOOX2は緑葉で構成的に発現しておりオゾンによるエチレン生成とは関係ないものと思われる。
  • 松本 光弘, 溝口 次夫
    1996 年 9 巻 4 号 p. 497-505
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    An application of high sensitive non-suppressor ion chromatography (IC) was examined for analysis of anions in absorption solutions and rinse solutions of SO2 auto-monitor (electrical conductivity type) collected by fractional collector for every one hour (209 samples) in May and Oct., 1993 and Apr., 1994. In consequence, determination of Cl-, NO2-, NO3- and SO42- concentrations in absorption solutions and rinse solutions were made possible by means of 1000μl injection of sample solution to IC. By comparing the SO2 concentration between SO2 auto-monitor and IC method, the former SO2 concentrations were higher than the latter by 1.0-1.8ppb on the average and 8ppb at the maximum. Such a descrepancy was considered to be caused by evaporation of absorption solutions and effects of interference gases. It was found that apparent increase of the SO2 concentrations caused by the evaporation were estimated to be 1.5ppb higher and effects of interference gases such as HCI, HNO2, HNO3 and NO2 were large.
  • 及川 武久
    1996 年 9 巻 4 号 p. 507-508
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 青木 周司
    1996 年 9 巻 4 号 p. 509-517
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
  • ―物理的・化学的過程からのアプローチ―
    鈴木 款
    1996 年 9 巻 4 号 p. 519-530
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
  • ―生物学的側面から―
    高橋 正征
    1996 年 9 巻 4 号 p. 531-538
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
  • 小島 覚
    1996 年 9 巻 4 号 p. 539-545
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
  • 田村 憲司
    1996 年 9 巻 4 号 p. 547-554
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
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