日仏経営学会誌
Online ISSN : 2434-5601
Print ISSN : 0915-1206
最新号
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  • 日仏の比較研究
    高津 竜之介, 森安 亮介, 中嶋 紀世生
    2024 年 41 巻 p. 1-23
    発行日: 2024/07/31
    公開日: 2024/09/10
    ジャーナル フリー
    地域コミュニティに活力を生み出す雇用とはどのようなものか。本稿ではフランスを中心に大きな理論的・実践的発展がみられる「社会連帯経済」を参照しながら検討している。具体的には、まず戦後の地域雇用政策や日本的雇用システム生成を概観することで我が国の地域雇用の特徴を明示し、その上でフランスの社会連帯経済における理論や3つの事例を用い、比較・考察している。その結果明らかになったのは、「地域と仕事の接続」・「市民の主体的参加」・「市場・再分配・互酬の3つのメカニズムを調和した経済社会システム」の重要性である。  仕事や雇用を地域社会と不可分のものとして捉え、ボランティアも含む市民活動や住民の主体的参加を起点として新たな経済活動を創出するフランスの実践は、地域コミュニティの弱体化が指摘される我が国のこれからの地域雇用や地域経済を考える上で有意義なものである。
  • ニューカレドニアの事例
    乗川 聡
    2024 年 41 巻 p. 24-54
    発行日: 2024/07/31
    公開日: 2024/09/10
    ジャーナル フリー
    本稿は、ニューカレドニアにおける流通業の現状と、それをより深く研究するための「視点」を提供することを目的とするものである。ニューカレドニアはフランス領において「特別共同体」と位置付けられ、豊かな自然が残され、先住民カナックの生活習慣が尊重される一方、都市部においては流通業が発達し、フランス本土並みの消費生活を住民に提供している。  本稿では、このようなニューカレドニアの流通業をより深く分析するため、①島嶼性概念、②観光業の影響、③EUおよびフランスによる援助、④植民地経営の影響、という4つの視点から、関連する情報を示した。いずれの情報も断片的であるため、ここから何らかの確証を持つ分析結果は示されていないが、行論から、①植民地化直後のニューカレドニアにおけるマルシェとサン=シモン主義の関係、②同地の経済発展におけるバランド商会(Etablissement Ballande)の重要性、そして③戦前期における日本人移民の活躍、の3点を、ニューカレドニア流通業における興味深い研究課題として示した。
  • 後藤 宏行
    2024 年 41 巻 p. 55-75
    発行日: 2024/07/31
    公開日: 2024/09/10
    ジャーナル フリー
    限界分析では、追加製造単位の製造または販売が追加的にどれだけの費用を要したり(限界費用)、追加的に何を創出したりするのか(限界収益)を知ることが可能となる。また、増産で採算が取れるか、追加注文の受諾で採算が取れるか、企業の操業度縮小で採算が取れるか、下請契約で採算が取れるか、許容できるサービス価格はいくらか、などの疑問に答えることが可能となる。予定原価は、ある種の分析処理を容易にするため、あるいは「差異分析」による経営管理を可能ならしめるため、推測的に見積られる原価である。予定原価は原価を発生させる事実よりも前に計算され、企業の選択により,単なる予測、達成すべき目標、あるいは重視すべき基準となる。原価差異の計算と分析は、確認済原価を標準原価と比較して重要な差異を明らかにすること、差異の原因を究明すること、機能障害を是正して企業の内部業績を改善するために必要な措置を講じること、から成っている。差異とは基準データ(予定原価等)と確認済データ(実際原価等)の差額であり、それぞれの差異は貨幣価値で評価される。
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