インプラントの埋入深さとインプラントの動揺度との関係について皮質骨支持のある条件とない条件問で比較検討した.
真鍮製の直径4mmの擬似インプラントを用いて, 海綿骨のみによる支持を想定した一購造インプラント植立模型および, 皮質骨と海綿骨による支持を想定した二層構造インプラント植立模型を製作した.インプラントの表面は, 平均粒子径75μmのガラスビーズを用いてサンドブラスト処理を行った.皮質骨部の厚さは2mmに設定し, エポキシ棚旨を用いて製作した.海網部は, ポリエステル棚旨を用いて製作した.埋入深さは, 7, 9, 11, 13, 15および17mmの6水準とした.
Implant movement score (IM値) の測定は, Implant movement checker (IMチェッカ) を用いて水平方向から行った.埋入深さおよび植立ブロックの構造が異なる12種類のインプラント植立模型のIM値について二元配置分散分析を行い, 平均値間の検定を行った.分散分析の結果, 有意差が認められた場合は, Tukey-Kramerの多重比較検定を行った.統計学的有意水準は1%に設定した.
インプラントの埋入深さの増加にともないIM値は減少傾向を示した.一層構造模型では, 埋入深さ7mmと13mm問においてIM値に有意差力.一認められた (P<0.01) .しかし, 埋入深さ13, 15および17mmにおけるIM値は, ほぼ同じで有意差は認められなかった.二騰造模型では, 埋入深さ7mmと11mmにおいてIM値に有意差が認められた (p<0.01) .しかし, 埋入深さ11, 13, 15および17mmにおけるIM値は, ほぼ同じで有意差は認められなかった.また, それぞれの埋入深さにおいて, 二層構造模型のIM値は一層構造模型より有意に小さい値を示した (P<0.01) .
IMチェッカは, 埋入深さの異なるインプラントの動揺を客観的に評価することが可能であり, 皮質骨はインプラントの動揺度減少に寄与していること, またインプラントの埋入深さを増加させた場合, それ以上深くしてもインプラントの動揺度に差のない埋入深さが存在することがわかった.
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