日本顎口腔機能学会雑誌
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21 巻, 1 号
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特別講演
  • 呉 景龍, 楊 家家
    2014 年 21 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/01
    ジャーナル フリー
    高齢化社会が進むにつれて,認知症患者の増加が問題となっている.そこで,近年ポジトロン断層法(PET),磁気共鳴画像(MRI)などの脳画像検査による認知症の診断方法が注目されている.しかしながら,PETまたはMRI脳画像で異常を発見できるのは認知症の中後期になり,認知症の早期発見は重要な研究課題になっている.最近の研究報告により,認知症患者と診断される前の数年前の時点でも加齢に伴う知能低下と違った低下傾向を確認でき,認知脳機能の計測解析によって認知症の早期診断は可能であると示唆されている.本総説は,認知脳機能の計測解析の基礎研究を紹介しながら,実際の認知症患者を用いた臨床研究をレビューする.
総説論文
  • 皆木 省吾, 田中 祐貴, 橋本 有希, 杉本 恭子
    2014 年 21 巻 1 号 p. 8-20
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/01
    ジャーナル フリー
    咀嚼に関する研究の中心となってきた歯科医学に多くの知識が存在するにもかかわらず,現在の高齢者の食に関する決定に対する歯科医師の関与はわずか3.1%にすぎず非常に少ないことが報告されている.摂食には多くの要因が関与するため例えば義歯装着等によって食形態を変更できるかどうかの総合的かつ客観的判断も現時点では困難とされており歯学領域でこれまで蓄積されてきた知識は活用されているとは言い難い.この観点から考えると,日常的に摂取している自然食品の咀嚼評価を,食レベル決定のための臨床判断基準として用いることには重要なニーズがあると考えられる.多種多様な日常食品を咀嚼・嚥下する実際の高齢者の食生活を考慮すれば,咀嚼能率の評価は単純化・普遍化から離れて,個々の患者の嗜好なども含めたオーダーメイド化された評価を目指すことが望まれる.本稿ではこれまでに報告された種々の食品の粒度解析関連の研究を紹介するとともに食レベル決定への関与の可能性という観点からまとめたものである.
原著論文
  • 志賀 博, 丸山 智章, 小見野 真梨恵, 中島 邦久, 植松 俊樹, 渡邊 篤士
    2014 年 21 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,2つの実験により,新たに開発した小型・軽量な下顎運動記録装置の有用性を検討することである.実験 I:咬合器の上弓と下弓に3つのLED(Light-emitting diode)で構成するトライアングルをそれぞれ前頭面と平行に装着する.次いで,上弓を矢状面内で顆頭間軸周りに回転させた時の各LEDの位置座標を新たに開発した下顎運動記録装置(装置A)で記録後,トライアングルの重心点の運動を観察した.実験 II:20歳代の健常者10名に主咀嚼側でチューインガムを咀嚼させた時の下顎運動を装置Aと東京歯材社製TRIMET®(装置B)で同時記録した.分析は,咀嚼開始後の第5サイクルからの10サイクルについて,各サイクルとその重ね合わせ表示,ならびに平均経路の表示を行い,定性的に観察した.次いで,平均経路から開口量と咀嚼幅を算出し,両装置間で比較した.咬合器の上弓に装着したトライアングルの重心点は,顆頭間軸を中心に正確な円弧を描くことが確認できた.また,咀嚼運動経路は,いずれの被験者でも,装置Aと装置Bとが近似していることが確認できた.さらに,開口量と咀嚼幅は,装置Aと装置Bとが近似し,両装置間に有意差が認められなかった.これらの結果から,新しく開発した3次元下顎運動記録装置は,高精度の下顎運動記録装置であるTRIMET®と同程度に咀嚼運動を記録・分析できることが確認でき,臨床応用できることが示唆された.
  • 佐藤 雅介, 大塚 英稔, 飯塚 知明, 渡邉 明, 岩瀬 直樹, 猪野 照夫, 窪田 佳寛, 寺田 信幸, 斉藤 小夏, 菅原 絹枝, 藤 ...
    2014 年 21 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/01
    ジャーナル フリー
    我々は,これまでに携帯型筋電計バイオフィードバック装置の開発,その有用性を報告してきた.しかしながら,携帯型筋電計は日中の測定を対象としており,小型化を優先して開発されたことから,サンプリングレートが4Hz~64Hzとなっている.そのため,持続時間の短い筋電図波形の測定に対しては信頼性を検証する必要がある.本研究では,携帯型筋電計で測定した筋電図の検出能を検証することを目的とし,夜間にポリソムノグラム(PSG)との同時測定を行い,サンプリングレートの違いがブラキシズムイベントの検出に及ぼす影響について検討した.夜間の歯ぎしりを指摘されたことのある成人男性3名(平均年齢22.7±0.6歳)を被験者とし,夜間睡眠時の筋電図波形から得られたブラキシズムイベントを,Phasic型,Tonic型,Mixed型に分類し,それぞれのイベント数を算出した.その後,PSGから得られたイベント数を基準として携帯型筋電計から得られたイベント数の検出率を求めた.Tonic型のイベント数は携帯型筋電計とポリソムノグラムの両者ともほぼ同様の値を示しており,検出率は94.1%であった.一方,Phasic型と Mixed型のイベント数における検出率は80.0%と83.3%であった.以上の結果から,サンプリングレートの違いはTonic型イベントの検出には大きく影響しないことが示された.
第52回学術大会抄録
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