デンタルプレスケールシステムで表示される咬合力の信頼性を検証する目的で, デンタルプレスケールに異なる5種類の荷重圧を加え, デンタルプレスケールの発色状態とデンタルプレスケールシステムで表示される咬合力について分析した.
実験は, 1辺が1mmの正方形で1mm
2の面をもつ直方体の加圧子 (加圧子A) と面積が1mm
2の円柱状の加圧子 (加圧子B) を較正用圧力装置に装着後, デンタルプレスケール (50H・R type) に20, 40, 60, 80, 100Nの5種類の荷重をそれぞれ加えた.分析は, はじめに各荷重時のデンタルプレスケールの発色状態を観察後, 加圧子Aと加圧子Bの発色面積を算出し, 各荷重間で比較した.次いで, オクルーザー (FPD703, 富士写真フイルム) を用いて, デンタルプレスケール上に記録された咬合力を測定後, 加圧子Aと加圧子Bについて, 荷重圧と咬合力との間で相関の有無を調べた.また, 加圧子Aと加圧子Bにおける各荷重圧の咬合力について, 加圧子間で比較した.
20~100Nの各荷重時のデンタルプレスケールの発色状態は, 加圧子の形状を示し, その面積は, いずれも1mm
2に近似し, 荷重間に差が認められなかった (F=1.306, p>0.05) .デンタルプレスケールシステムで表示される咬合力は, 加圧子Aと加圧子Bともに, 荷重圧が増すに従って増大し, 荷重圧と咬合力との間にそれぞれ有意な正の相関が認められた (加圧子A; r=0.991, p<0.01, 加圧子B; r=0.990, p<0.01) .加圧子Aと加圧子Bにおけるデンタルプレスケールシステムで表示される咬合力は, いずれの荷重時でも, 加圧子Aと加圧子Bの値が近似し, 両者間に有意差が認められなかった.また, デンタルプレスケールシステムで表示される咬合力は, 加圧子A, 加圧子Bともに, 20~80N荷重では, ほぼ理論値に近似したが, 100N荷重では, 理論値よりも小さかった.
これらの結果から, デンタルプレスケールシステムは, 20~80N荷重では, 強さに応じた咬合力を正確に測定できるが, 100N荷重では, 正確に測定できないことが確認された.
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