図に示すように再生器,熱交換器,蓄乾槽,および除湿器からなる液体吸収剤として塩化リチウム(LiCl)水溶液を用いた太陽熱利用開放形除湿乾燥システムのうち,再生器について屋外で行った実験の結果を報告する.実験用の幅1035mm,長さ2190mmの屋外用開放型再生器を製作し,1987年と1988年にわたって実験を行った.再生器において物質移動が活発に行われるためには流下面での気液接触面積を増やすことが望まれる.しかし,塩化リチウム水溶液の強い粘性のため,表面でチャンネリング現象(偏流)が起こりやすくなり,その結果,気液接触面積が小さくなる.そこで,このチャンネリング現象を防ぎ,水溶液と空気との気液接触面積を増やすため,4種類の流下材を選び,1987年8月に実験を行った結果,その中で寒冷紗が最適であることがわかった.しかし,開放型再生器はごみの混入などの心配があり,この欠点を補完した密閉型の再生器を製作した.流下材として寒冷紗を用いた開放型と密閉型の再生器に関する実験を1987年8月に行い,その結果,密閉型の再生能力が開放型より劣ることがわかった.また,この寒冷紗をもつ開放型の実験を1988年5月に行い,春季にも塩化リチウム水溶液が十分に再生され得ることが明らかになった.流下面において空気と塩化リチウム水溶液の間の基礎的な物質移動の特性が実験データより得られた.1988年の5月の実験では,温度が30〜60℃,濃度が27〜37%(重量濃度)の範囲内で計算された無次元数間の関係においては強制対流下での層流・乱流の物質移動の一般式より若干違う傾向が見られた.
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