前報では,実大スケールの模型実験により冷風吹出しによる強制対流冷房,冷却パネルによる放射冷房と,強制対流・放射併用冷房の三つの空調方式における室内環境を報告した.本報では,強制対流・放射併用冷房方式に関し,吹出し吸込み条件や冷却パネル設置位置・容量などの空調条件を変化させた場合の室内温熱・空気環境を計測し,これらが室内の環境形成に与える影響を考察する.これにより,以下の点が明らかになった.(1)冷却パネル設置位置は,床よりも天井に設置した方が,鉛直方向の空気温および放射環境を均一にするのに効果的である.(2)冷却パネル表面温度を低下させて吹出し温度差を小さくすると,居住域への冷風の落込みが抑制され,在室者へのコールドドラフトの発生リスクが軽減される.(3)排気口を窓部の冷房熱負荷の直上に設けることにより,熱負荷からの熱上昇流は効果的に排出され,そうでない場合に比べ,居住域(床上1mの基準面)温度は効果的に制御される.これによりパネル表面温度,吹出し温度の冷房条件を多少緩和してこれを高めに設定することが可能となる.なお,第3報では本報と同一空間において室内に家具などの障害物を設置した場合と冷風吹出し口の位置を天井に変更して設置した場合の室内の流れ場・温度場および放射場を検討する.
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