建材由来のVOC,ホルムアルデヒドによる室内空気汚染の低減化対策として,ベイクアウトが注目されている.欧米には,その効果についての定量的報告が存在するが,我国ではほとんど見当たらない.加えて,我国の建築物は固有の施工方法で建築されており,欧米のデータを外挿してベイクアウト効果を推測することはできない.そこで,本研究では,竣工後3〜4ヶ月を経過した集合住宅を対象とし,加熱温度が30℃近傍で,加熱期間が1〜3日間のベイクアウトを実施した.結果として,在来の仕上げ仕様のRC造,S造では,ホルムアルデヒド濃度を23〜33%低減化したが,VOC濃度に大きな変化は認められなかった.また,化学物質汚染低減化を意図した集合住宅においては,室内ホルムアルデヒド濃度を27〜52%低減化し,VOCについては,19〜63%低減化した.
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