水素を吸蔵すると発熱し,放出すると吸熱する水素吸蔵合金の特徴を利用して,フロンを使用しない新しい蓄熱システムを考案し,ビルディングの冷房に適用する研究を行った。実験装置は蓄熱槽として水素吸蔵合金を充てんし,フィンを備えたシェルアンドチューブ型の2つの熱交換器と,水素を移動させるためのコンプレッサによって主に構成される。実験装置の設計条件として,約10m^2の冷房面積に居住人数を2名とし,熱負荷を3.49MJ/hとした。蓄熱運転の方法として,いわゆるピークシフト運転に沿って装置を運転し,評価を行った。この結果,夜間に約9時間で蓄熱ができ,昼間に約10時間の冷房が行えた。成績係数は氷蓄熱と同程度の2.8となった。
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