快適な居住環境造りの一環として,近年,高機能な空調機器が普及している.特に,持病等によりベッドを中心とした日常生活活動を行う者にとっては,寒中期に室内と夜具内を共に快適な環境に保つ,軽便で安価な暖房装置が極めて有用である.本報告では,たたみ1畳程度の床面積を対象とする電気温水器式の暖床装置を提案する.本装置は温水器内で発生する自然対流現象を用いて,温水を暖床部へ循環させる機構である.装置の設計指針を確立するために,温水器の熱発生機構と循環水流の生成機構を明確にする.その後,総合的な暖房特性と夜具内の環境を調整する加温特性を評価する.その結果,ユニット式の小型・軽量な温水器と暖床器による床暖房と夜具の加温に兼用できる暖房器の実用化が図れ,高齢者等の生活支援の一助とした.
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