本論文の目的は、BEST専門版を用いたシミュレーション解析により自然換気口面積が自然換気性能に与える影響を定量的に評価し、必要自然換気口面積の決定要因の整理と1次予測法の提案を行うことである。まず、熱平衡式を利用して、中間期の負荷特性と許容室温域から必要自然換気口面積を予測する1次予測法を考案した。次に、BEST専門版を用いたシミュレーション解析により一次予測法が実用上十分な精度があることを確認し、開口率制御やハイブリッド空調を併用した場合の効果を示した。都市別に必要自然換気口面積を選定した結果、自然換気による負荷削減効果は35〜85MJ/m2年となった。
本論文は,プラスチック製ラジエータを利用した放射冷暖房システムに関する一連の研究の第4報であり,冷暖房兼用ヒートポンプ,縦型の放射ラジエータ,空気熱交換器を付与した換気システムで構成される換気-放射ラジエータ複合型の放射冷暖房システムの基本概念の提案と評価を行ったものである.開発した空気熱交換器は,冷房時に十分な除湿能力があること,暖房時に快適性を保つ吹き出し空気温度が確保できることを確認し,住宅用として利用できることがわかった.次に,ラジエータ上方から垂直に換気空気を吹き下ろす手法を試みた結果,この手法が暖房時の温熱環境の改善に寄与することがわかった.