節水器具の普及や省資源意識の浸透,ライフスタイルの変化などにより建物運用段階での水使用量の減少傾向が顕在化している。本論文では,節水器具の効果を把握するため,節水器具への改修が行われた全国に立地する複数の事務所建物の実測値から単位給水量を推算し,近年の単位給水量の現状を把握した。さらに,衛生器具の使用回数などの特性把握のため,事業系一般廃棄物排出量を水使用に関わる人の行為に関係する指標の一つとして仮定し,節水器具改修前後の水使用量の調査を行った教育施設の実測値から単位給水量との関係を調査した。節水器具への改修を行った事務所建物の単位給水量が平均49.1ℓ/(人・日)であったことを踏まえ,教育施設において調査を行ったところ,水使用割合は,上水が約40%,再生水(便器洗浄水利用)が約60%であり改修前後での変化は見られなかった。また,調査対象の教育施設は,一般的な事務所建物に比べて建物活動量が少ないが,一般廃棄物の排出特性から単位給水量を予想したところ37.4ℓ/(人・日)となり,既往の調査結果の範囲に相当した。