帯水層を利用した蓄熱空調システムは,建物で発生する冷温排熱を帯水層に蓄熱して利用することで省エネルギー効果が期待できる。本研究では,汎用のシミュレーションツール(Dymola)を用いてモデルを作成し,シミュレーションにより本システムの導入効果と運用方法(冬期の蓄熱温度や夏期の蓄熱分の利用方法)が省エネルギー効果に及ぼす影響について検討した。従来システムのケースと,帯水層蓄熱の運用方法を変化させた3 ケースについて検討した結果,冬期に13℃で蓄熱して夏期に熱源水利用をするケースが年間を通じて最も省エネルギーであり,従来システムに対して熱源機の消費電力を30.9%削減できることを示した。
BEMSの普及により,熱源・空調システムの運転の実態データが詳細に把握可能となり,運用時の無駄と,さらなる省エネルギー化の余地が明らかになってきた。本研究では,外気条件や負荷条件に合わせて適切な運転を行う最適制御技術の確立を目的とする。 本報では,エネルギーシミュレーションツールを用いて,冷却水温度などの設定値を変化させたときのエネルギー消費量の傾向を把握し,冷却水温度の最適な設定値と外気湿球温度の関係式を導出した。また,導出した関係式を用いた制御を実システムに導入し,実証実験によって,従来の制御方法に対する有効性を確認した。