給排水設備の省電力性能には給水ポンプの消費電力が重要となるが、その評価指標は未だ確立されていない。本研究では、集合住宅の給水方式変更工事前後の異なる給水方式における給水量と消費電力の計測データを分析し、給水ポンプの省電力評価指標として単位給水電力量を提案した。そして、単位給水電力量を用いて給水方式の省電力性能を評価した。
ZEB(Net-Zero Energy Building)を実現するためには空調負荷の削減が必須であり,外気負荷の削減がその重要な手段の一つである。外気負荷を削減するには,クールチューブなどを用いる方法がある。これまで,クールチューブによる外気負荷の削減に関する研究成果が多く報告されている。しかし,夏期にはクールチューブ内で結露が発生することがあるため,それに起因する微生物汚染による室内空気質への影響が懸念されている。本報では,クールチューブ内の温湿度特性と細菌・真菌汚染の実態を明らかにしたうえで,クールチューブ内の堆積細菌・真菌と,クールチューブ出口中の浮遊細菌・真菌濃度の低減策について検討を行った。
アクアマリンふくしま(以降 AMF)は第 3 報で報告したとおり、東日本大震災(以降大震災)において海からの津波と地盤沈下により多大な被害を受けた。津波及び地盤沈下の被害は各棟で被害の内容や程度が異なるものであったが、これら建築本体ではない建物周囲の被害は直接的、間接的に各設備の機能に直結しているために施設運営に影響を与え、速やかな復旧を妨げた。とりわけ電力や上下水といったインフラ関連の被害は水族館機能そのものを停止させるものであり、復旧のためにはまず、インフラの速やかな復旧が必要であり、各インフラの復旧が AMF の機能回復の第一歩となる状況であった。本報ではライフラインと位置付けられるインフラ関連の被害状況を調査した結果を取り纏め、復旧における対応方法や各インフラの機能を回復していく行程を示して完全復旧までの経過を明らかにし、大震災被害及びそこからの復旧プロセスをアーカイブにすると共に今後の防災計画立案の手がかりとなることを目指す。
本報では北九州市立大学内にあるオフィス空間を模擬した空調試験室を対象として、空調システムモデルを詳細に再現した CFD と汎用制御シミュレータの連成解析により、従来の PID 制御に内部負荷や隣接ゾーンからの吹出等の外乱の影響を抑制するFF 制御を組み込んだハイブリッド制御手法に関する検討を行う。詳細には各種外乱に対する抑制効果の事前検証に加え、全ての外乱を考慮に入れた実運用を想定した場合のケーススタディを行い、空調機の挙動や室温の追従性等の確認を通じて、同手法の有効性を検証する。以下に得られた知見を示す。1) 事前検証の結果より、想定した 5つの外乱の内、人体・OA 機器・日射の 3 つの外乱に対して一定の抑制効果を確認した。2) 実運用を想定した場合、提案手法において特に負荷変動の大きい時間帯におけるオーバーシュートの抑制が確認された。