空気調和・衛生工学会 論文集
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46 巻, 297 号
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学術論文
  • 第1報−モデル住宅を対象とした冬期における性能評価
    三田村 輝章, 大浦 豊, 藤園 武史, 岡村 大輔, 郷原 未菜
    2021 年 46 巻 297 号 p. 1-9
    発行日: 2021/12/05
    公開日: 2022/12/05
    ジャーナル フリー

    ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及が促進される中,高性能な建物外皮の実現には,熱損失の大部分を占める窓の断熱性能の向上が不可欠である。そのため,超高断熱を可能にするダイナミックインシュレーション技術を窓部に適用した窓システムが開発され,これまで主に寒冷地の住宅において実証が行われてきた。本研究では,温暖地の住宅における実証を目的として,群馬県内のモデル住宅を対象とした実測調査を実施した。本報では,冬期における実測結果からダイナミックインシュレーションを用いた窓部の温度分布等の挙動について明らかにし,動的な熱貫流率Udyn値を算出して,ブラインドの開閉や内障子・外障子による影響を分析した。

  • 第1報−直接埋設2管式既断熱温水配管における線長あたりの配管径経済的最適化
    橘 雅哉, 佐土原 聡, 吉田 聡
    2021 年 46 巻 297 号 p. 11-20
    発行日: 2021/12/05
    公開日: 2022/12/05
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は, これまで加味されていなかった配管網経済設計に重要な要因も組み込んで、それらの要因の影響を定量的に明らかにし、さらに、それらの要因も組み込んだプログラム構築を行うことにある。今回の報告においては, 算定手法の理論と, その基礎となる地域熱供給配管網の建設費の構成, 土木工事費および配管材料費ならびに配管接続費と配管径の関係について述べると共に, 直接埋設2管式既断熱温水配管において, 直線部の単位工事線長あたりで経済的最適配管径と設計与条件の関係についての解析結果を表す。今回の検討により, 経済的最適化口径は, 熱負荷,補助金率, 配管設置場所等の条件により影響を受けることが明らかとなった。

  • 石橋 良太郎, 野中 康司, 鬼頭 一誠, 鵜飼 真貴子, 田中 英紀
    2021 年 46 巻 297 号 p. 21-30
    発行日: 2021/12/05
    公開日: 2022/12/05
    ジャーナル フリー

    本論は低温再生が可能な高分子収着材等を用いたデシカント外調機に対して、再生熱源機器を持たず、居室内還気と吹抜空間上部還気の混合空気の温熱を再生熱に利用する空調システムの特性モデル化と期間エネルギー性能予測法を提案するものである。再生空気温度と還気風量比率に応じた除湿特性式ならびに全熱交換器を搭載した空調機に対する冷温水コイル処理負荷モデルを作成し、この結果をもとにシステムの期間エネルギー消費を簡易推計する手法を提案している。また、実物件による実測評価から、本特性モデルおよびエネルギー算定法の精度確認を行うとともに、対象システムの実性能評価についてもあわせて行った。

  • 第4報−定置型蓄熱システムの実証試験
    川上 理亮, 鎌田 美志, 宮原 英隆, 平井 恭正, 名和 博之, 松田 聡, 鈴木 正哉, 山内 一正, 佐藤 敦史, 谷野 正幸
    2021 年 46 巻 297 号 p. 31-38
    発行日: 2021/12/05
    公開日: 2022/12/05
    ジャーナル フリー

    筆者らは吸着材ハスクレイを用いて,低温廃熱を利用することができる開放系の吸着材蓄熱システムを開発してきた。ハスクレイの耐久性などの材料特性の最適化や基本システム開発を行った後,定置型蓄熱システムとオフライン熱輸送型システムの実証試験を実施した。定置型蓄熱システムでは吸着材充填槽を商業プラントの乾燥工程からの排気で蓄熱し,蓄熱槽からの熱風を同工程に供給した。本システムの蓄放熱特性を評価した結果から,ヒートポンプのような昇温機能を追加することが可能であり,バッチ運転制御によって連続的・安定的な熱供給が得られることや,吸着材の特性と導入対象の工程に合わせた最適な運転条件での設計が必要であることがわかった。

  • 割石 浩幸, 辻見 真一郎, 田中 毅弘
    2021 年 46 巻 297 号 p. 39-46
    発行日: 2021/12/05
    公開日: 2022/12/05
    ジャーナル フリー

    本調査の目的は、建築設備専門会社 A 社(以下、A 社という)の主要都市における建築設備施工現場の作業者の合計 286 人に対して、ファン付き作業服の使用実態に関するアンケート調査を行い、空調服の使用実態、使用効果、空調服使用後の自覚症状の違いを調査し、どの程度、空調服は熱中症予防対策に活用されているかについてまとめた。建築設備施工現場の作業者を対象とした大がかりな空調服の使用実態に関する実践的な調査研究は皆無であり、得られた結果は、今後、どのように空調服を活用、展開に行くかを検討する上で有意義であるものと確信している。

  • 第1報−外調機と個別分散型空調機による連携熱負荷処理モデルとシステム性能評価
    高椋 敦士, 鵜飼 真貴子, 田中 英紀
    2021 年 46 巻 297 号 p. 47-56
    発行日: 2021/12/05
    公開日: 2022/12/05
    ジャーナル フリー

    本研究は,外気処理を含む複合式空調システムについて,実現される室内環境とエネルギー性能評価をもとに,システムの設計・運転制御手法を提案することを目的としている。本報では,外調機とビル用マルチパッケージ型空調を用いた複合式空調システムの連携熱負荷処理モデルを作成し,大学講義室における実測値との比較により開発モデルの再現性を確認した。さらに,事務所ビルに対するシミュレーション結果から,室内の温湿度環境と温熱快適性を確保し,期間エネルギー消費を低減できる外調機給気温度の季節別設定値を明らかにした。また,取入外気に対して CO2濃度制御の適用ならびに外気量の増加による室内環境とエネルギー消費の感度分析を行った。

  • 第1報−アニオン交換処理した水道水による炭素鋼の腐食抑制作用
    中村 勇二, 山田 育弘, 松川 安樹, 岡崎 慎司, 朝倉 祝治
    2021 年 46 巻 297 号 p. 57-65
    発行日: 2021/12/05
    公開日: 2022/12/05
    ジャーナル フリー

    腐食抑制剤を使用せずに,配管系金属材料の腐食を抑制する方法を検討した。 NaHCO3 で初期処理したアニオン交換樹脂により,水道水中に含まれる腐食促進イオンを腐食抑制イオンに置換し,その溶液の炭素鋼に対する腐食抑制作用を調べた。日本国内 3 地域の水道水を採取し,アニオン交換処理を行った。水道水とアニオン交換処理水について水質分析と炭素鋼の腐食試験を行い,結果を比較した。いずれの処理水も腐食促進イオンは減少し,腐食抑制イオンが増加した。腐食試験では,処理水中で炭素鋼の腐食電位が高くなり,平均腐食速度・最大局部腐食速度ともに大きく減少した。処理水の炭素鋼に対する腐食抑制機構は,不動態化によるものと考えられた。

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