史学雑誌
Online ISSN : 2424-2616
Print ISSN : 0018-2478
ISSN-L : 0018-2478
127 巻 , 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 2018 年 127 巻 2 号 p. Cover1-
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー
  • 2018 年 127 巻 2 号 p. Cover2-
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー
  • 村井 章介
    2018 年 127 巻 2 号 p. 1-41
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー
    室町幕府の首長が明皇帝によって日本国王に封じられるという、日中関係史における画期について、1402(建文4)年でなく1404(永楽2)年が正しいとする学説が有力になっている。しかしそれらは厳密な史料の読みに裏づけられた学説とはいいがたい。
    根拠とする史料が原態からどれくらい隔たっているかを正確に測定しながら、一歩一歩史実を確定していくという、古文書学的な手法を用いて検証してみると、1404年説を採った場合に受封者と認定しうるのは、足利義満・豊臣秀吉の二人しか残らない。室町幕府の首長が東アジアの国際社会で日本国王として承認されるという、「封」の実質を重視する観点からは、1402年のほうがはるかに重要な画期である。皇帝が「封」の実質を実現するために発給する文書には、誥命・詔書・勅諭など、対象者のランクに応じて多様な様式が使い分けられていた。
    琉球の中山・山南・山北の三王に目を転じると、三山相互、あるいは明との関係の推移にともなって、皇帝が王を「封」ずる文書のほか、暦・印・冠服などがさまざまなタイミングと順番と目的に従って与えられていく状況が観察できる。「封」をめぐる多様な皇帝文書の使い分けは琉球の場合にも認められ、しかも比較的短い間に移り変わっていた。
    さらに対象を「東南夷」(東アジア~インド沿海部の諸国)に拡げて見ていくと、洪武・建文年間には「封」が最高ランクの文書「誥命」でおこなわれたのは高麗・朝鮮のみだったが、永楽年間には一変して、印とのセットで遠距離の諸国に気前よく与えられるようになる。その背景には、鄭和の大遠征に象徴されるような、天下に威と徳を及ぼそうとする永楽帝の対外姿勢があった。
    最後に、琉球をふくむ日本列島地域に伝えられた史料、すなわち何通かの外交文書の原本や『歴代宝案』『善隣国宝記』という外交文書集には、明代の国際秩序の解明にとって他に換えがたい価値があることを指摘した。
  • 伊藤 雅之
    2018 年 127 巻 2 号 p. 42-70
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー
    本稿は、紀元前三世紀から同二世紀にかけてのローマにおける外国使節への贈与を取り上げ、こうした行為が同国の地中海世界全域における覇権の獲得に及ぼした影響と、またそこからうかがえる前三世紀末頃からのローマ人たちの外交手法の変容を論じる。第一節ではまず、前一七〇年頃、ローマを訪れた数か国の使節たち個々人に対して行われた、元老院による公式交渉の中での金銭贈与を一つのモデル・ケースとして取り上げる。そしてこの検討から、ローマ側が巧みにそれぞれの国のエリートたる使節たちに贈物を受領させ、地中海世界各地で広く見られる互酬の通念を活かし、彼らをローマに対し恩義があり、それ故、以後、親ローマ的に振舞わざるを得ず、またそう振舞うであろうと周囲からも認識されるという状況を作り出したということを示す。第二節では、多数の類似の事例を取り上げ、こうした外国使節個人への贈与が、史料の示す限り、ローマにおいては前二〇五年に始まり、かつ少なくとも同国のギリシア世界への急速な進出の時期に継続的・意識的に行われたことを明らかにする。そして第三節では、今度は、前三世紀前半に確認されている、外部勢力の側がローマ人たちに金銭贈与を試みた事例に注目する。この中で、同世紀末からの相手側に贈物を受け取らせる中で見せるようになっていく巧妙さとは対照的に、ローマの人々がそれ以前にはこうした行為への対応に不慣れであったことを示し、そこから、ローマが前二〇〇年代より以前には外交の文脈での贈物のメカニズムを理解しておらず、また当然これを対外関係の中で利用もしていなかったということを論じる。そしてこれらの結果から本稿は、ローマは前三世紀末にこうした正規のものとは異なるチャンネルからの外部へのアプローチの有用性を認識・活用し始め、それがこの時期から始まる同国の急速な対外進出を実現させた重要な要素の一つになっていったという結論を導く。
feedback
Top