史学雑誌
Online ISSN : 2424-2616
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131 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 2022 年131 巻2 号 p. Cover1-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/25
    ジャーナル フリー
  • 2022 年131 巻2 号 p. Cover2-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/25
    ジャーナル フリー
  • 清朝在外公館における外国人館員の私的活動とその意義をめぐって
    バレット トーマス
    2022 年131 巻2 号 p. 1-38
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/20
    ジャーナル フリー
    本稿は、一八七七年から一八八〇年にかけて、清朝駐日公使館に勤務した米国人館員のマッカーティ(Divie B. McCartee)に焦点を当て、琉球問題をめぐる彼の私的活動を考察したものである。
     マッカーティは、公使館の中で主に事務と翻訳作業を担当していた。しかしながら、明治政府が一八七九年に「琉球処分」を断行すると、彼は清と琉球との旧来の「宗属関係」を復活させるべく、個人的な活動の中でいくつかの対抗策を模索し、用意することとなった。
     本稿が明らかにしたのは、以下の二点である。第一に、マッカーティは琉球を二つ、また三つに分割する案の考案・具体化に深く関わり、両案をこの問題の調停に当たった元米国大統領グラント(Ulysses S. Grant)に提示したという点である。日本側は、二分割案はグラントの支持を得たものであると考え、一八八〇年の日清交渉において、実際の解決策として清朝側に提案した。第二に、マッカーティは、明治政府の「琉球処分」を正当化しようとする作意を徹底的に批判した論説を英字紙『ジャパン・ガゼット』(Japan Gazette)に匿名で発表したという点である。この論説は、明治政府の歴史認識の不備を指弾して話題を呼んだばかりでなく、一八八〇年に日本側が二分割案を妥協策として清朝側に提示することとなった要因の一つと考えられる。
     清朝駐日公使館の下級館員だったマッカーティは、従来ほとんど注目されることはなかったが、私的活動を通じて清琉間の旧来の「宗属関係」の復活のために尽力し、琉球問題をめぐる外交に「透明」な足跡を残した。本稿の考察によって、「外交」のプロセスを、代表者というアクター、公文書という媒体、そして交渉現場という「公」的場に押し込めるのではなく、より広い意味で捉える視野の有効性がはっきりと示されるだろう。
  • 「大衆インフレ」論と「広義国防」論の交錯を中心に
    渡部 亮
    2022 年131 巻2 号 p. 39-63
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/20
    ジャーナル フリー
    一九三四年一〇月に陸軍省新聞班が発行した『国防の本義と其強化の提唱』をめぐる一連の騒動(陸軍パンフレット問題)は、従来、陸軍による政治介入と評価されてきた。また、これに熱烈な賛辞を送った社会大衆党幹部の麻生久の動向については、そのような評価と連動して、親軍化路線ありきのパフォーマンス的な礼賛と見なされがちであった。
    これに対して本稿では、社会大衆党独自の経済政策論である「大衆インフレ」論の形成・展開過程に注目し、陸軍の「広義国防」論がその文脈にどのように定位されたのかを問うことで、麻生の言動がいかなる構造的背景に裏打ちされていたのかを分析した。その結果、①「大衆インフレ」論は党幹部が立案したものだったが、地域主導型の恐慌克服(「自力更生」)を望む地方党員にとっても魅力的なものであり、一九三三年末の第二回党大会を経て統一的な党是になっていたこと、②陸軍将・佐官クラスが労働者・農民の動員に一九三四年初頭段階で関心を持っていたことを前提に、党幹部は水面下で陸軍統制派と接触し、「広義国防」論の形成にも関与したこと、③陸軍パンフレットの発行は上記①②の動きをエンカウントさせるものであり、これに対する麻生の激賞は党幹部の専行ではなく「大衆インフレ」論に根ざした挙党的な態度であったこと、などが明らかになった。これらの新事実は、社会大衆党が、麻生らのリーダーシップを前提にしつつも、統一無産政党として一定の凝集性を有していたことを示唆する。
    このような社会大衆党の凝集性は、より巨視的に見れば、昭和恐慌後における地域社会の大衆化状況に支えられていた。社会大衆党の陸軍パンフレット支持は、労働者・農民の経済的要求を名望家秩序→議会→内閣というチャネルによらずに代弁するための一つの選択肢でもあったといえよう。
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