韓国の中生代花崗岩類は貫入時期,産出状態,岩石化学的特徴などにより,大宝花崗岩(ジュラ紀初期~白亜紀初期)と仏国寺花崗岩(白亜紀末期~第三紀初期)に分けられる.大宝花崗岩類と仏国寺花崗岩類の全岩の酸素同位体比は,それぞれ,+5.0~+10.0%o(平均8.2%o)と+2.4~+9.1%o(平均7.0%o)である,幅の広いδ
18O値は,後マグマ変質過程において
18Oに乏しい天水が関与したためと思われる.しかし,大宝花崗岩類と仏国寺花崗岩類では,石英のδ
18O値(大宝花崗岩+9.5~+11.1℃仏国寺花崗岩類+3.7~+9.8%o)と全岩のSiO
2,TiO
2,Sr含有量には明確
な差が認められた.
石英―黒雲母ペアーの酸素同位体温度は大宝花崗岩類では500-600℃,仏国寺花崗岩類では550-660℃であり,花崗岩類の固化温度と一致する.大宝花崗岩類マグマの起源は下部地殻の
18Oと
87Srに富む変成岩の部分融解,または大宝造山運動中に上部マントルマグマに地殻物質が混合したものと解釈できる.一方,仏国寺花崗岩類と火山岩類は,低いδ
18O値,
87Sr/
86Srr初生値,REEと微量元素の特徴から上部マントルマグマの分化産物であり,貫入時の堆積岩の同化作用は認められない.
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