浮鑛油有効成分であるターピネオー、ルシネオール、樟腦、イソプレゴール、ゲラニオール、メントグライニール等の浮選に於ける性能を生野鑛山産銅亞鉛鑛について檢討した結果を報告する。
起泡力と化學構造の關係に就ては多くの研究がなされてゐるが、浮鑛油の選鑛能力は單に起泡力のみでは律し得ない幾多の因子が含まれてゐる。原鑛を異にする各鑛山に於て浮鑛油の添加量、浮選の時間、温度其他各種の條件をその性能に應じて最適に活用するには多大の經驗實驗を要するもので、選鑛場と浮鑛油が融合一致する迄には一年かかるとさへ云はれてゐる次第である。今や國家の存亡にかけて責任生産されつつある時、浮鑛油を最も短時間に、最も有効に使用し得る樣あらゆる角度よりその性能を示す數字を提出することは浮鑛油製造研究者喫緊の責務である。特に今回新しく登場したシトロネラ浮鑛油に就てその感を深くするのであるが、此の意味より浮鑛油各成分の濃度、浮選時間が選鑛結果に及す影響に就て實驗結果を茲に報告するものである。
現在本邦の起泡劑は21種で品種としては浮鑛油、樟腦油及樟腦であつて、これを成分別に左記の如く分類することが出來る。
1.ターピネオール系
2號、5號、9號、10號、27號、35號; 109號;
205號、220號、230號、赤油、藍色油
2.シネオール系
40號、41號; 110號、111號; 選鑛白油、コーカリ油
3.シトロネラ系
硫酸處理、酸化處理
4.樟腦
浮鑛油の銘柄は從來通り番號で示すが此の中100番以下は高砂化學製品100番壹は日本有機化工製品200番は鹽野化工製品と冠頭番號によりて製造元を區別することに申合せた。
尚これ等の他に起泡劑としてはパイン油、クレゾール酸、キシレノールがあるが、これ等は捕集性も伴ふから茲には記載しないことにした。
シトロネラ浮鑛油中硫酸處理品の成分はゲラニオール35%, イソプレゴール30%, メントグリコール30%であり、酸化處理品はゲラニオール35%の他に各種の酸化成績體が含まれてゐるが、以上21種の起泡有効主要成分とは次の6種見ることが出來る。
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