日本歯科保存学雑誌
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50 巻 , 4 号
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原著
  • 田川 剛士
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 4 号 p. 415-424
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    コンポジットレジンの歯質接着性の向上に伴って,これまでの修復処置の概念が見直されるようになり,窩洞形態に拘泥することなく治療ができるようになった.これらのことは,窩洞形成法にも影響を与え,エアタービンや電気エンジン以外の歯質削除方法を選択できることとなり,歯質削除時の不快感の少ないレーザーの臨床応用や粉末噴射による方法が試みられるようになった.粉末噴射法では粉末を変えることにより,エナメル質や象牙質,さらには脱灰象牙質を効率的に削除できる可能性を有しており,種々の粉末が試みられている.アルミナ粉末は歯質削除能に優れているために短時間で象牙質だけでなくエナメル質も削除できるが,脱灰歯質よりも健全歯質の削除に優れ,罹患歯質の選択的な削除が困難である.また,アルミナ粉末は硬く化学的に安定な材料であるがゆえに,飛散粉末が患者・術者・介補者の健康あるいは周辺機器に与える影響も懸念される.当教室では粉末噴射法の臨床応用に関して,削除時の痛みが非常に少ないことに注目し,生体に安全と考えられる粉末として桃種やキトサンを用いた方法を報告した.しかし,それらは急性齲蝕に認められるような軟らかい象牙質に対しては効果的と考えられたが,陳旧性の硬い象牙質では,短時間で効率的に削除するのは困難であることが判明した.そこで,本研究では脱灰歯質の削除効率と飛散粉末の生体安全性を考慮して,食品添加物の一種である亜硫酸ナトリウムの粉末(S-01)について実験を試みた.実験にはウシの歯を使用し,健全あるいは脱灰した歯質についてアルミナ粉末とS-01粉末による削除深さを比較検討した.その結果,健全エナメル質の削除は不向きと考えられたが,象牙質では,特に脱灰象牙質の選択的な除去が可能となるものと考えられ,臨床的有用性が示唆された.
  • 藤井 直, 勝木 崇, 萩谷(川村) 洋子, 金子 実弘, 吉岡 隆知, 須田 英明
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 4 号 p. 425-431
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,根尖周囲外科手術における歯肉溝切開あるいはLuebke-Ochsenbein(L-O)切開での,術後の歯頸部歯肉退縮および瘢痕形成を比較することである.根尖周囲外科手術が行われた51歯について1,3,6カ月後の歯肉の状態を口腔内カメラで記録した.術前写真と比較した術後写真で,患歯の歯頸部歯肉退縮および瘢痕を評価した.歯肉溝切開では,L-O切開より有意に大きな歯頭部歯肉退縮を示した(p<0.05).またL-O切開では,歯肉溝切開よりも有意に強く横切開の瘢痕が認められた(p<0.05)が,縦切開では有意差は認められなかった(p>0.05).根尖周囲外科手術では,L-O切開は横切開の瘢痕を,歯肉溝切開は歯頸部歯肉退縮を生じやすかった.
  • 三枝 英敏, 渡辺 聡, 安生 智郎, 海老原 新, 須田 英明
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 4 号 p. 432-439
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,レーザー用防護眼鏡および歯科用顕微鏡を介するレーザー光の透過エネルギーを検討することにより,レーザー使用時の眼球への安全性について考察することである.実験には,Nd:YAGレーザー,Er:YAGレーザー,半導体レーザーの3種類の歯科用レーザーを使用した.実験1では,各レーザーの導光用ファイバーまたはチップ(直径=400μm)先端とレーザー用サーモパイル吸収ヘッドとの距離を5cmとし,吸収ヘッドに各種防護眼鏡を固定,パワーメーターで200mJ,10pps,10sの条件にて透過エネルギーを測定した(n=3).防護眼鏡は,Nd:YAGレーザー用,Er:YAGレーザー用,半導体レーザー用および防塵眼鏡の4種類を使用し,レーザー光の直接照射をコントロールとした.実験2では,レーザーのファイバー先端と歯科刑顕微鏡の対物レンズとの距離を5cmとし,パワーメーターを接眼レンズに固定後,各レーザー専用の防護眼鏡を対物レンズまたは接眼レンズに固定,200mJ,10pps,10sの条件にて透過エネルギーを測定した.なお,レーザー光を顕微鏡鏡筒に直接照射したものをコントロールとした(n=3).各照射条件におけるレーザー光の透過エネルギーについて,各レーザーにおける眼球に対する最大許容露光量(MPE,JIS C 6802)を基準として比較検討した.実験1では,専用の防護眼鏡の使用により,すべてのレーザーにおいて透過エネルギーは0になった.しかし,Nd:YAGレーザー照射時は専用防護眼鏡以外で,また半導体レーザー照射時は専用眼鏡およびNd:YAGレーザー用防護眼鏡以外で,透過エネルギーはMPEを超える値となった.実験2では,専用防護眼鏡の使用により,すべてのレーザーにおいて防護眼鏡の位置にかかわらず透過エネルギーは0になった.しかし,専用防護眼鏡を使用しない場合,Nd:YAGレーザーおよび半導体レーザーでは透過エネルギーが検出された.以上より,他の防護眼鏡の使用や裸眼では,MPEを超える透過エネルギーが眼球に到達し,障害が生じる恐れがある.また本実験条件下では,顕微鏡下でのレーザー使用の際,専用防護眼鏡の着用時は透過エネルギーが0となり,安全に使用できると思われた.
  • 穂坂 康朗, 深谷 千絵, 永井 美和, 両角 祐子, 佐藤 聡, 中川 種昭
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 4 号 p. 440-446
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    今回の研究の目的は,異なる大きさのブラシヘッドを用いた場合の音波歯ブラシ(sonicare® elite)のプラーク除去効果を評価することである.被験者は,齲蝕や修復された歯を認めず,臨床的に健康な歯肉を有する医局員20名とした.被験者は実験開始48時間前よりすべての口腔清掃を中止した.同一被験者において,手用歯ブラシ使用群(MT群),音波歯ブラシのスタンダードブラシ使用群(SB群),音波歯ブラシのミニブラシ使用群(MB群)の3群を設定し,どの群においても刷掃時間をsonicare® eliteの時間規定に基づき2分間として計3回実験を行った.歯肉緑上プラークは,O'Learyのプラークコントロールレコード(PCR)を用いて評価した.プラーク除去率は,PCRスコアの減少率として評価した.その結果,統計学的有意差は認められなかったが,音波歯ブラシのスタンダードブラシとミニブラシの両方が手用歯ブラシよりもプラーク除去率が高かった.またスタンダードブラシとミニブラシでは,統計学的有意差はないもののスタンダードブラシのほうがプラーク除去率が高かった.スタンダードブラシは特に上顎,下顎前歯部および隣接面部においてプラーク除去率が高かった.スタンダードブラシとミニブラシは,上顎大臼歯部において手用歯ブラシよりもプラーク除去率が高かった.これらの結果より,スタンダードブラシとミニブラシの間にはプラーク除去率に有意差は認められなかったが,手用歯ブラシに比較して音波歯ブラシはそのヘッドの大きさにかかわらず高いプラーク除去効果が認められた.
  • 岡 正信, 堀田 正人, 小竹 宏朋, 作 誠太郎, 山本 宏治
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 4 号 p. 447-454
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    歯の審美的需要は年々高まり,特に歯の表面を容易に白くする方法は,漂白以外にも歯面コート材として臨床応用され始めている.そこで本研究では,すでに臨床応用されている市販歯面コート材WhiteCoat™(クラレメディカル)と,歯面コート材SIR20209(松風)を用いて,その光学的性質を比較検討した.供試材料としてφ5×1mm,φ10×1mmの試料を作製した.また各試料において,光線透過率,透過光強度分布,コントラスト比およびTP値を測定した.試料表面の観察には,各供試材料について走査電子顕微鏡を用いて観察を行った.光線透過率,TP値,コントラスト比の結果より,SIR20209のYellowishが最も透明性が高い値を示し,WhiteCoat™のオペークが最も低い値を示した.WhiteCoat™はSIR20209より透明性が低いことが判明した.透過光強度分布では,SIR20209のWhitish,Reddish,Yellowish,Natural-0,BW0,BW1がピークをもった紡錘状の分布を示し,WhiteCoat™のエナメルが同種の分布を示した.そのほかは短いピークをもった楕円形の分布を示した.WhiteCoat™とSIR20209のSEM像からは,フィラーが観察された.
  • 小西 秀和, 荒木 孝二, 砂川 光宏, 高瀬 浩造, 加藤 熈
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 4 号 p. 455-465
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    近年,多くの医療機関において「院内感染」という病院内の安全管理に支障をきたす事態が多数発生しており,一般開業歯科診療所や病院歯科においても例外ではない.そこで本研究では,日常的な歯科臨床を実践するうえで,歯科医師会に属する歯科医師の院内感染予防対策意識の現状を明らかにすることを目的とした.山口県内の歯科医師(歯科医師会会員)744名に対して,感染予防対策に関するアンケート調査を実施したが,その設問内容は,対象とした歯科医師の年齢層,日常的な歯科臨床での感染予防対策などの12項目とした.回収したアンケートを集計し,Spearman ρ相関分析にて統計学的分析を行って,各設問回答間の相関程度など歯科医師の感染予防対策意識の現状を検索した結果,次のことが明らかとなった.1. 感染予防対策のアンケート回収率は24.2%であった.代表的な設問での最高の回答率の選択肢を列挙すると,ユニバーサル(スタンダード)プリコーションの認知度は「全く知らない」(43%),帽子やプラスチックエプロンなどの着用は「ほとんど着用しない」(62%)など,本調査時点で多くの歯科医師が万全な感染予防対策を実践していない可能性が考えられた.2. しかし,手洗いの方法は「日常手洗いと衛生的手洗い」(61%),ウイルス性肝炎患者の歯科診療は「診療を行っている」(95%)など,感染予防対策の重要性を認識している歯科医師は比較的多いと思われた.3. 相関分析の結果,歯科医師の年齢が若いほど,帽子やブラスチックエプロンなどの着用には消極的であるが,グローブの着用交換,ウイルス性肝炎患者の歯科診療を積極的に行っている可能性が高いこと,またユニバーサル(スタンダード)プリコーションの認知度が高いほど,グローブの着用交換,帽子やプラスチックエプロンなどの着用,エイズ・結核患者来院時の対応,診療時の飛沫粉塵対策を積極的に行っている可能性が高いことが,有意に示された.以上の結果から,改正感染症法の施行に伴い,今後歯科医師へ院内感染予防対策の啓蒙や研修の機会を増やし,国際歯科連盟(FDI)の声明や米国疾病管理予防センター(CDC)ガイドラインなどに示された具体的な感染予防対策の普及促進が実現すれば,各自の歯科診療室を衛生的で快適な診療環境に整備できると考えられる.
  • 山本 幸司, 清水 寿男, 吉江 弘正
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 4 号 p. 466-470
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    【目的】歯周疾患の基本治療の中心となる除石処置は,エアースケーラー,超音波スケーラーなどの使用により手用スケーラー単独よりもはるかに効率的に行われるようになっているが,処置に伴う患者の不快感,恐怖心は依然としてあるのが実情である.本研究は,試作した歯石除去補助材を臨床に応用しその効果を評価することである.【材料および方法】3カ月以上縁上歯石除去を行っていないメインテナンス患者を対象に研究の趣旨,内容を説明し,理解,同意の得られた21名(平均年齢52.1歳,男性8名,女性13名)を選び,下顎6前歯舌側を対象歯とし,ベースライン時にPlaque Index(PlI), Probing Depth(PD), Clinical Attachment Level(CAL),Volpe-Man-holdのCalculus Index(CI)を測定後(CI1),ライオン製Dent. Maxima toothbrushを用いてブラッシング指導を行いスプリットマウスデザイン,二重盲検法により左右のいずれかに歯石軟化補助材またはプラセボを塗布し7分後十分に洗口の後帰宅させた.1週間後再来院時にCIを測定(CI2),その後,スプラソン製のP-MAX™のペリオモードにて#1チップを装着し一定時間歯石除去を行った後,再びCIを測定した(CI3).また,さらにすべての歯石を完全除去できるまでの時間を測定した.これら歯石除去は臨床経験を十分に積んだ歯科医師,歯科衛生士が行った.得られた測定値を基に統計学的解析を行い危険率0.05未満を有意水準とした.【結果】試薬群の歯石指数の平均±標準誤差はベースライン時0.95±0.06,1週間後の処置時0.80±0.13であった.歯石を完全に除去できるまでの時間は試薬群で32.4±3.69秒,プラセボ群で45.2±4.50秒であった.Wilcoxonの検定で試薬群の歯石指数はベースライン時に比べ処置時で統計学的に有意に減少していることが認められた.歯石を完全に除去できるまでの時間に関して,試薬群とプラセボ群ではMann-WhitneyのU検定を用いて統計学的に有意に差があることがわかった(P=0.049).【結論】3カ月メインテナンス時の下顎前歯部繰上歯石を対象に歯石除去補助材の臨床効果について検討したところ,補助材を併用すると効率よく歯石除去を行うことができることが示された.
  • 池見 宅司, 福嶋 千春, 大場 志保, 飯泉 淳, 藤田 光, 森 俊幸, 鈴木 英明, 平山 聡司
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 4 号 p. 471-478
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    生活歯漂白効果の判定に関して,実際の臨床では術前・術後の主観的な判定法,あるいは測色器を用いた検討がなされ,その臨床的効果について多く報告されている.しかし,漂白剤の基礎的研究において,臨床的な結果を単に漂白効果の判定の指標として応用することは,個体差や着色程度の違いがあるために困難と考えられる.in vitroの漂白実験では,エナメル質の構造的な特性から,短期間に個体差のない均一な着色エナメル質を得ることが難しく,漂白効果判定のスタンダードとなる代替試料が求められている.著者らは生活歯漂白の評価試料の一つとして,褐色鶏卵卵殻を使用することとした.本研究では,褐色鶏卵卵殻が漂白効果の指標として応用可能であるか否かについて,卵殻の構造,エタノールやアセトンによる色の変化,鶏卵一個体の色の違い,卵殻の状態あるいは経時的な色の変化について調べた.さらに,実際にオフィスブリーチング剤を使用し,作用前と後の色の変化について測色器を用いて検討した.その結果,鶏卵種にかかわらず,卵殻は光の透過性の良い部分と悪い部分が存在し,個体差のあることが確認された.エタノールやアセトンで色は変化せず,透過光で調べて選択された鶏卵一個体の色の違いは両端部を除き,比較的一様であることが示された.また,卵殻が湿潤状態と乾燥状態では測色値が異なり,経時的にも卵殻表層の色が変化し,煮沸後1日恒温槽に保管することで安定する結果が得られた.実際のオフィスブリーチング剤の実験では,肉眼的にも処理回数の違いによる明瞭な色の変化が観察され,L*a*b*値はそれぞれ特徴的な変動を示した.以上のことから,褐色鶏卵卵殻を生活歯漂白剤の漂白スタンダードとして使用できることが示唆された.
  • 福元 康恵, 古畑 和人, 吉岡 隆知, 須田 英明
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 4 号 p. 479-485
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    著者らは,根管内吸引を用いた新しい根管洗浄法(Intracanal Aspiration Technique, IAT)を開発した.これは,根尖付近まで挿入した吸引針先端から洗浄液を吸引する方法である.以前の報告では24Gニードルを吸引針として用いたため,太く形成された根管でないとIATを用いることはできなかった.本研究では,細い根管においてIATを可能にする新たな形態の吸引針の開発を目的とした.実験1では,新たに開発した2種類の先端太さ27Gのニードルを用いた.Type1および2の基部太さはそれぞれ21Gおよび23Gである.抜去歯21本の根管をMAF #35に形成し,3群に分けた(第1〜3群,n=7).それ以外に,7本(第4群)の抜去歯根管はMAF #50に形成した.歯根をプラスチックケースに植立し,う蝕検知液で着色した寒天生理食塩液をプラスチックケース内の歯根周囲に流し込んだ.第1,2および4群は,それぞれType1,2および24Gニードルを吸引針として用い,IATにて根管洗浄した.吸引針にはルートZX™®ファイルホルダーを装着して,その先端の位置は根尖から2mmとした.第3群は従来法で根管洗浄を行った.各根管は14% EDTA溶液9mlで3分間,次いで,6% NaClO 6mlで2分間洗浄した.根管洗浄中のルートZX™®メーター値を測定し,洗浄後に根尖周囲の寒天変色面積を測定した.実験2では,さまざまな試作ニードル,24Gニードルおよび27Gブラント針の単位時間当たりの精製水吸引量を測定した.実験1の結果,第1,2および4群ではルートZM™®メーター値は根尖指示値付近を示し,第3群に対して有意差を示した(p<0.05).また,第1,2および4群の寒天変色面積は,第3群に対して有意に小さい値を示した(p<0.05).実験2の結果,23Gの基部32.5mm,27Gの先端部5mmで構成された試作ニードルが最も効率が良いことが明らかとなった.結論として,今回試作した吸引針を用いると,根尖孔径が0.35 mmの根管においても根管内吸引洗浄法が効果的であることが示された.
  • 黒川 弘康, 天野 紫乃, 児島 智美, 宇山 聡, 安田 源沢, 吉田 武史, 前田 徹, 福本 敬一, 宮崎 真至
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 4 号 p. 486-492
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    光重合型レジンは,審美性あるいは操作性が良好なところから臨床使用頻度が増加している.一方,接着材であるボンディング材層が厚くなるシステムでは,窩洞辺縁でレジンが薄くなる部において,その審美性に影響を及ぼす可能性がある.しかし,ボンディング材自体の色調を含めて,その詳細については不明な点が多い.そこで,ボンディング材の水中浸漬に伴う経時的色調変化を測定することによって,ボンディング材の色調の影響に関する基礎的検討を行った.供試したボンディング材は2ステップシステムのClearfil Mega Bond(クラレメディカル),Mac Bond II(トクヤマデンタル),UniFil Bond(ジーシー)およびImperva Fluoro Bond(松風),1ステップシステムのFluoro BondShake-One(松風),Adper Prompt L-Pop(3M ESPE, USA),One-up Bond F(トクヤマデンタル)およびOne-up Bond F Plus(トクヤマデンタル)の,合計8製品である.内径6mm,高さ2mmのテフロン型に各ボンディング材を滴下した.次いで,その上面からストリップスを介して20秒間照射することによって硬化させ,37℃の水中に所定の期間保管した.保管30日経過した試片については,さらに5℃と55℃でのサーマルサイクルを3,000回行った.試片の色調は,高速分光光度計(Spectro photo meter CMS-35FS/C, 村上色彩)を使用して,それぞれのL*,a*およびb*値について測定した.また色調の測定時期としては,照射の前後,照射から1,7および30日後に行うとともに,サーマルサイクルを負荷した試片についても同様に行った.なお,試片の数は各ボンディング材について5個とし,その平均をもって試片の色調とした.照射の前後ではb*値の変化がL*およびa*値の変化に比較して大きかった.一方,硬化試片の水中保管の影響では,L*,a*およびb*値においては製品によって変化が認められた.
  • 大城 麻紀, 安藤 進, 色川 敦士, 天野 紫乃, 吉田 武史, 宮崎 真至, 岩崎 圭祐, 青島 裕
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 4 号 p. 493-499
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    ホワイトニングを行う際,ホワイトニング剤は目的とする歯質以外にも,修復材,歯周組織にも接触することになる.しかし,修復材への影響についての詳細な情報は少なく,またそれらの結論は異なることが多い.本研究の目的は,30%過酸化水素が3種の光重合型コンポジットレジンに及ぼす影響を検討することである.ウシ歯を色素染色し,そこに窩洞形成し,光重合型レジンを充填し,充填試片とした.また,レジン硬化試片を作製した.それらを30%過酸化水素に浸漬し,高速分光光度計Spectro-Photo Meter CMS-35FS/c(D65光源,村上色彩技術研究所)を用いて経時的に測色した.その結果,変色歯および充填試片はL*値が上昇する傾向が認められた.しかし,この充填された光重合型レジンの色調変化は,背景である歯の色調変化の影響を受けていることが判明した.
  • 大塚 秀春, 谷田部 一大, 秦泉寺 傑, 申 基喆
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 4 号 p. 500-513
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    歯周炎により臼歯を喪失した状態で適切な補綴処置が行われず,バーティカルストップを喪失した期間が長期にわたると,外傷性咬合を招き,残存歯周組織量が減少し,低位咬合により歯の移動が起こりやすくなる.フレアアウトが多数歯に及ぶような咬合崩壊をきたした状態に進行すると,審美性の低下はもとより,欠損補綴が困難な症例となる.このような症例に対して,骨接合型インプラントを用いることは,咬合機能の回復のみならず,残存歯への過重負担の軽減にも有効となる場合が多い.患者は43歳の女性,専業主婦であった.1999年6月9日に局部床義歯の不適合を主訴に明海大学歯学部歯周病科を来院した.来院時の残存歯は12歯で,プラークコントロールは不良で,10年間にわたって治療機会がなかったために,義歯は人工歯が磨耗し著しく高径が低下した状態であった.本症例を咬合の崩壊を伴う慢性歯周炎と診断した.インプラント補綴によって咬合機能の回復を図り,併せて歯周形成外科を加えた包括的な歯周治療により,審美的にも良好な状態に改善した.
  • 富田 文仁, 子田 晃一, 興地 隆史
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 4 号 p. 514-520
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    ProTaperで湾曲根管を形成した場合は外湾側根管壁が多量に切削されることが知られており,この種の根管形態変化が根管充填の質に影響を及ぼす可能性が想定される.そこで本研究では,ProTaperで形成された湾曲根管模型に4種の充填法を用いて根管充填を施し,根尖部における緊密度の比較を行った.すなわち,40本のエポキシレジン製透明湾曲根管模型を2群(各n=20)に分け,F2(先端サイズ#25,先端テーパー8%)もしくはF3(#30,9%)まで根管形成を行った.次いで両群をそれぞれ4群(各n=5)に分け,Thermafilを用いた加熱ガッタパーチャ法(以下,TF群),ProTaper規格もしくはテーパー6%のガッタパーチャポイントを用いた単一ポイント根管充填法(以下,PT群および06群),あるいはテーパー2%の規格ガッタパーチャポイントをメインポイントとする側方加圧根管充填法(以下,LC群)により根管充填を行った.次いで試料を作業長から0,1,2,3,5mmの位置で根管長軸に垂直な方向に切断した後,画像解析ソフトウェアにより各断面でのガッタパーチャ充塞率(%)を求め,分散分析法およびBonferroni Dunn検定にて統計処理を行った.その結果,TF群は,F2形成群では5mm,F3形成群では1〜5mmの切断位置で他の全群と比較して有意に高い充塞率を示すことが明らかになった.また,LC群の充塞率はほとんどの切断位置でPT群,06群より有意に低値であった.さらに,PT群と06群との有意差はF2群における切断位置0mmでのみ認められた.以上より,今回の実験条件ではガッタパーチャ充塞率はTF群が最も高く,次いでPT群と06群が高値を示し,LC群が最も低くなることが示された.
  • 貞方 和明, 北村 知昭, 矢野 淳也, 寺下 正道
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 4 号 p. 521-529
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    歯内治療の予後を確実にする条件の一つに,適切で緊密な根管充填がある.複雑な形態を有する根管を緊密に充填するには垂直加圧根管充填が有効といわれているが,加圧による根管充填材の根尖孔外溢出が懸念されている.今回,低温軟化型ガッタパーチャを用いた根管充填時にみられる根管充填材の根尖孔外溢出と根管充填法および根尖部歯周組織状態との関連を検討した.根管充填には,コンパクターを用いた回転圧により低温軟化型ガッタパーチャを填入する根管充填(単独法)およびマスターポイントを側方加圧後,アクセサリーポイントの代わりに低温軟化型ガッタパーチャを回転圧により填入する根管充填(併用法)を用いた.578歯,608根管を対象とし,根管充填後のエックス線写真から根管充填材の根尖孔外溢出を判定した.また,根尖歯周組織の状態をエックス線写真上で透過像サイズのみによる分類,およびサイズに性状(エックス線透過性・明瞭性)の違いを加えた分類の2種の分類法にて分類し,低温軟化型ガッタパーチャの回転圧による根尖孔外溢出との関連について分析した.2つの根管充填法における充填材の根尖孔外溢出率を比較したところ,単独法より併用法の溢出率が有意に少なかった.また,透過像サイズと充填材の根尖孔外溢出との間には関連は認められなかったが,根尖病変サイズに性状を加味した分類と溢出との間には明らかな関連が認められた.以上の結果は,低温軟化型ガッタパーチャを用いた回転圧による根管充填を行う際,エックス線写真上における根尖部透過像サイズに性状を加味した分類法を用いて各症例に対する根管充填法を選択することにより,根管充填材の根尖孔外溢出を減少させ,より効率的で適切な根管充填が可能になることを示唆している.
  • 田中 幹久, 新井 恭子, 北島 佳代子, 五十嵐 勝, 川崎 孝一
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 4 号 p. 530-538
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    いわゆる樋状根は,本邦では1941年中山によって初めて記述された.その発現頻度は下顎第二大臼歯では28.9%,下顎第三大臼歯では10%である.樋状根歯の歯根形態は頬側面観において近心根と遠心根は癒合し,舌側の根面には深い分岐溝(縦溝)によって特徴づけられる.これらの歯はしばしば根管系が複雑な形態を有する.そのなかでもC型根管は最もよくみられるが,適正に根管を拡大清掃し充填することが困難なこともあろう.Lowmanら(1973)によれば,歯根面の歯冠1/3と中央1/3における副根管の発生頻度は上顎大臼歯で55%,下顎入臼歯では63%であった.それらの根管側枝や副根管内にある炎症性病変は歯髄-歯周疾患の進行や処置法をしばしば複雑にすることもある.文献上では,樋状根の根分岐部における副根管の存在はいまだよく研究されていない.本研究では,その近心根と遠心根の間の連結部における髄管の存在と解剖形態についてマイクロフォーカスX線CT(SMX-100CT,島津製作所)を用いて観察を試みることであった.ヒト抜去永久歯の下顎第二大臼歯9歯,下顎第三大臼歯1歯からなる樋状根を有する総計10歯が検索された.歯は10%ホルマリン水溶液中に浸漬保存されていたが,患者の年齢,性別,歯の抜去の理由は記録されていなかった.マイクロCT画像では髄室床から根間部に達する髄管は根分岐部には走行していないことがわかった.本研究結果から,3-D画像においても根間部には著明な根間稜は全くみられなかったことと,いわゆる根管側枝が,歯根中央や根尖側から始まり主根管に向かってしばしば走行する可能性を明らかとした.
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