日本歯科保存学雑誌
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50 巻 , 6 号
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総説
ミニレビュー
原著
  • 山田 博仁, 内山 真紀子, 細矢 明宏, 中村 浩彰, 山本 昭夫, 笠原 悦男
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 6 号 p. 657-663
    発行日: 2007/12/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    オゾンは酸化作用による殺菌作用に加えて,オゾンに付帯するとされる組織賦活作用などから,歯科医療においても,殺菌,消炎,止血への効果が着目され,オゾン水を用いた義歯の洗浄・消毒や歯周ポケット,根管治療時の洗浄液としての可能性などが検討されている.近年,空気中の酸素からオゾンを発生するオゾン発生器,Ozony Tron®が開発された.この装置は,オゾンを発生させるための酸素ボンベなどを必要とせず,小型軽量の簡便性に加えて,発生したオゾンガスも空気中で酸素に分解されるため安全であることから,訪問診療の携行にも有用と思われる.今回,感染根管を対象として,臨床応用を行ったところ,若干の知見が得られたので報告する.根管拡大に先がけての根管培養で陽性培養が得られた失活歯155歯,250根管のうち,著者らが日常の臨床で行っている根管の拡大基準(安田の基準)に従って,拡大・形成後の根管培養でも陽性が確認された130根管を本実験の被験歯とした.被験歯を無作為選択で88根管にオゾンガスを応用し,残りの42根管には,ネオクリーナーと3%オキシドールによる交互洗浄を行って実験対照とした.それぞれ応用直後に根管培養試験を行い,さらに次回来院時にも,処置に先がけて二度目の培養試験を行って成績を判定した.また,術前のエックス線写真から根尖病巣の有無による陰性培養獲得率との関係についても調査を行い,以下の結果が得られた.1.250根管中,根管拡大のみで陰性培養が得られたのは120根管(48.0%)であった.2.オゾンガス応用例は88根管中42根管,47.7%に無菌を示し,そのうち10根管,症例中の11.4%が次回培養まで陰性が持続した.3.交互洗浄例は,42根管中36根管,85.7%が無菌を示し,そのうち21根管,全例中の50.0%が次回培養まで陰性が持続した.4.根尖部エックス縁透過像と陰性培養獲得率の関係は,オゾンガス応用例は根尖病巣の有無にかかわらず,いずれも約50%の陰性培養率であった.交互洗浄例は,根尖病巣(-)が100%,(±)が91.0%,そして(+)が64.0%の陰性培養率であった.
  • 小西 秀和, 砂川 光宏, 荒木 孝二, 高瀬 浩造, 加藤 熈
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 6 号 p. 664-674
    発行日: 2007/12/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    日常的な歯科臨床における歯科医師の院内感染予防対策意識の現状と課題について記述した第1報の結論を前提として,本報では,歯科医師会に属する歯科医師が歯科診療室の管理と運営を実践するうえでの,院内感染予防対策に対する意識と具体策の現状を把握することを目的とした.山口県内の歯科医師(歯科医師会会員)744名に対して,感染予防対策に関するアンケート調査を実施した.設問内容は,対象とした歯科医師の年齢層,歯科診療室の管理における感染予防対策などの13項目とした.回収したアンケートを集計しSpearman ρ相関分析にて統計学的分析を行って,各設問回答間の相関程度など歯科医師の感染予防対策意識の現状を解析した結果,次のことが明らかとなった.1.感染予防対策のアンケート回収率は24.2%であった.代表的な設問での最高の回答率の選択肢を列挙すると,使用している消毒薬の種類は「アルコール系」(33%),患者使用後のハンドピースの滅菌・消毒方法は「エタノール清拭のみ」(34%)など,本調査時点では,多くの歯科医師が適正な感染予防対策を実践していない可能性が考えられた.2.一方,患者使用後の器具の滅菌・消毒方法は「オートクレーブ」(93%),B型肝炎ワクチンの接種は「以前(過去に)受けている」(61%),診療スタッフへの院内感染予防対策の教育は,「直接自分で指導している」(60%)など,比較的多くの歯科医師が感染予防対策の重要性を認識していることが示された.3.相関分析の結果,歯科医師の年齢が若いほど,診療エリアで生じる可燃性廃棄物は生体湿性物質の付着したもののみ感染性廃棄物として処理している傾向がみられたが,患者使用後のハンドピースの滅菌・消毒,B型肝炎ワクチンの接種を積極的に行っている可能性が高いこと,またユニバーサル(スタンダード)プリコーションの認知度が高いほど,効果の高い消毒薬の使用,患者使用後のハンドピースの滅菌・消毒,印象採得したトレー・石膏模型・ワックスバイトの消毒,B型肝炎ワクチンの接種,院内感染予防対策のマニュアルの常備化,院内感染予防対策の研修受講を積極的に行っている可能性が高いことが,有意に示された.以上の結果から,第5次改正医療法の施行に伴う歯科診療における医療安全体制の確立に向けて,歯科医師は院内感染予防対策の啓蒙や研修受講の機会を増やし,厚生労働省からの通達文書などに示された具体的な院内感染予防対策の普及促進を実現させて,各自の歯科診療室を衛生的で快適な診療環境に整備する必要があると考えられる.
  • 大前 正範, 星加 知宏, 末松 亮, 西村 綾乃, 美甘 真, 穴吹 優佳, 神谷 絵里子, 岸本 麻実, 林 真千子, 神農 泰生, 吉 ...
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 6 号 p. 675-680
    発行日: 2007/12/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    歯に対するホワイトニングの効果は永久的なものではなく,経時的に色が元に戻ってくることが報告されている.そのため,ホワイトニングの効果が長く続くようにホワイトニング直後の着色飲食物の摂取を控えることが推奨されている.また,ホワイトニングを行うと歯面表層が粗糙になることが報告されていることから,ホワイトニング後の歯面は着色飲食物による色調変化が大きくなる可能性がある.そこで,ホワイトニング前後における着色飲食物による色調変化について検討を行った.抜去したヒト上顎切歯をコーヒーにて着色後,ホワイトニング処置を行った.ホワイトニング処置はオフィスホワイトニング処置を1週間ごとに約30分間,ホームホワイトニング処置は毎日3時間,それぞれ3週間行った.色調の測定はホワイトニング前,着色後,ホワイトニング処置時および再着色後に行った.結果として,ホワイトニング前および着色後の色差に比べ,ホワイトニング後および再着色後の色差は有意に低い値を示した.すなわち,ホワイトニングを行った歯はホワイトニングを行う前よりも着色されにくいことが示された.
  • 黒川 弘康, 大城 麻紀, 池田 昌彦, 砂田 識敦, 遠藤 優子, 加藤 亜樹, 坪田 圭司, 宮崎 真至, 金丸 壽良, 若松 英輝
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 6 号 p. 681-687
    発行日: 2007/12/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    近年,臨床要求の拡大から,高齢者に対するホワイトニング症例も増加している.しかし,高齢者の対象となる歯牙は,咬耗や摩耗などの種々の機械的刺激を受け,歯根露出も認められることから,ホワイトニング剤が直接象牙質に接触することになる.そこで,ホワイトニング剤が,ウシ象牙質の機械的性質に及ぼす影響について検討した.供試したホワイトニング剤は,ホームホワイトニング用のハイライトシェードアップ(松風)とした.象牙質試片は,ウシ下顎前歯歯冠部象牙質をブロックとして切り出し,4×4×1mmの大きさになるよう調整した,この象牙質試片に,ホワイトニング剤を塗布し,37℃,相対湿度80%の湿箱中に1時間静置する操作を,1日1回,56日間連続して行った.これらの試片について,超音波透過法による弾性率の測定,微小硬さ測定器を用いたヌープ硬さの測定,ホワイトニング剤のpH測定および代表的な試片の走査電子顕微鏡観察を行った結果,以下の結論を得た.1.ホワイトニングを行ったウシ象牙質試片の弾性率は,実験期間を通じて変化は認められなかった.2.ホワイトニングを行ったウシ象牙質試片のヌープ硬さは,実験期間を通じて変化は認められなかった.3.ホワイトニング剤とウシ象牙質粉末混合溶液のpHは経時的に上昇し,1時間経過した時点で7.02を示した.4.ホワイトニングを行ったウシ象牙質の表面は,スミヤー層が除去され,象牙細管が開口し,形態的変化が認められたものの,管間および管周象牙質に明らかな形態的変化は認められなかった.
  • 小山 征哉, 小倉 陽子, 勝海 一郎
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 6 号 p. 688-697
    発行日: 2007/12/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は,エンジン用の根管拡大形成器具で根管形成を行ったことを想定したテーパーが6/100の樹脂性湾曲根管模型に,材質,サイズが異なる8種のスプレダーを用い側方加圧充填法による根管充填を行い,湾曲根管におけるスプレダーの種類によるガッタパーチャポイントの圧接の違いを評価することにある.すなわちDentalEZの2種のステンレススチール製スプレダー(Star Dental D11T〔S-D11Tと略〕,Star Dental D11〔S-D11と略〕,と,Roekoの4種のニッケルチタン製スプレダー(NiTi #15〔R-15と略〕,NiTi #25〔R-25と略〕,NiTi #35〔R-35と略〕,NiTi D11T〔R-D11Tと略〕),Brasselerの2種のニッケルチタン製スプレダー(Navi-flex NT D11T〔B-D11Tと略〕,Naviflex NT 4SP〔B-4SPと略〕)を用い,側方加圧充填法による根管充填を行った.圧接状態の評価は,マイクロフォーカスX線CT装置により撮影された根尖から1,2,3,4,5,6,7mmの各位置の根管断面に占めるガッタパーチャポイントの割合(ガッタパーチャ充塞率)を求めることにより,各スプレダーの圧接状態の分析を行い,以下の結論を得た.1〜7mmの全断層像におけるガッタパーチャ充塞率の平均は,S-D11Tスプレダーが93.9%と最も高く,次いでB-D11Tが93.7%,S-D11が86.1%,R-25が85.3%,R-D11Tが85.2%,R-15が82.9%,R-35が76.8%,B-4SPが76.2%の順に低下し,根管の封鎖は不十分となった.なおスプレダーの種類が,ガッタパーチャ充塞率に及ぼす影響については高度に有意であることが認められた.1〜7mmの各断層位置における断層像のガッタパーチャ充塞率は,S-D11Tが各断層位置で90.8%以上の,またB-D11Tが90.5%以上の高い値を示した.これに対しR-35は断層位置6mmで65.9%,B-4SPは4mmで69.4%の低い値を示し,充塞率が船底型に大きく落ち込む現象が認められた.なお,R-25,R-15,R-D11T,S-D11でも,充塞率が局所的に低下する落ち込み現象がみられた.以上の結果より,湾曲根管におけるスプレダーの選択に際しては,材質によるしなやかさよりもスプレダーの径やテーパーによる根管への挿入性や圧接性を優先し,選択すべきであることがわかった.
  • 大島 克郎, 石井 隆資, 勝海 一郎
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 6 号 p. 698-704
    発行日: 2007/12/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    根管処置により惹起される持続性疼痛のなかには,根尖歯周組織の神経損傷に伴う神経系の機能異常の結果として,神経因性疼痛が生じている可能性が考えられる.今回われわれは,根管処置が誘因となり通常の治癒過程をたどらず持続性疼痛へ移行し,神経因性疼痛の病態が疑われた2症例を経験した.本症例の特徴としては,自発痛が長期にわたり持続しているものの,症状に見合う客観的異常所見が認められず,通常,遭遇する難治性の根尖歯周組織疾患とは異なる様相を呈していた.治療としては,実体顕微鏡などを使用し,根管内の感染や歯根破折など,根尖歯周組織に対して炎症を引き起こす要因を確実に排除し,可及的に根管内を無菌化したうえで,神経因性疼痛の診断基準により評価を行い,薬物療法などの治療法を選択することが望ましいと考えられた.本症例のような難治性疼痛は,歯内療法を専門とする外来には高い頻度で受診者があるものと考えられ,病態概念や診断基準の一般への周知が必要である.
  • 安田 善之, 川守田 暢, 泉川 昌宣, 斎藤 隆史
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 6 号 p. 705-712
    発行日: 2007/12/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    アディポネクチンは脂肪細胞に特異的に発現しているホルモンで,アディポネクチン受容体1(AR1)および2(AR2)を介して,血糖値の調節に重要な役割を果たすことで知られている.近年,アディポネクチンが初代培養骨芽細胞にも発現し,その増殖や分化を促進することが報告された.そこで本研究では,アディポネクチンの歯髄保存療法剤としての有用性を調べるうえで,象牙芽細胞前駆細胞(MDPC-23)におけるアディポネクチンの機能を検討した.アディポネクチン,AR1とAR2のいずれの発現もMDPC-23において認められた.培地中へのアディポネクチン(10μg/ml)添加によりMDPC-23の細胞増殖およびアルカリホスファターゼ(ALP)活性はコントロールに比べて有意に促進され,また骨形成関連遺伝子であるオステオカルシン(OCN)やオステオポンチン(OPN)の発現の増加が認められた.さらに,アディポネクチン(10μg/ml)添加により8日後の石灰化結節の形成も有意に促進された.アディポネクチンによるALP活性促進作用は,mitogen-activated protein(MAP)キナーゼ阻害剤であるSB20358やSP600125の前処理により抑制されたことから,p38とJNKのシグナル伝達系が関与することが明らかとなった.以上の知見より,アディポネクチンはMAPキナーゼカスケードを介してMDPC-23の象牙芽細胞への分化を亢進する働きがあり,歯髄保存療法剤として応用できる可能性が示唆された.
  • 韓 臨麟, 竹中 彰治, 興地 隆史
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 6 号 p. 713-720
    発行日: 2007/12/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    多機能性表面処理ガラスフィラー(Surface reaction type pre-reacted glass ionomer filler:以下,S-PRGフィラー)は,コンポジットレジンなどに配合することによりフッ素(F),ストロンチウム(Sr),ホウ素(B)などのさまざまな元素の徐放能を付与することが可能とされる.本研究では,新たに開発されたS-PRGフィラー含有試作根管充填用シーラー(以下,S-PRGシーラー,松風)の諸性質を検討した.1.歯冠側における根管封鎖性の評価 ヒト抜去単根歯20本の歯根部を試料とし,#40/.06テーパーに拡大形成後,EDTA含有根管洗浄液(スメアクリーン®,日本歯科薬品)を根管壁に作用させた.次いで無作為に4群(各n=5)に分け,S-PRGシーラー,もしくは酸化亜鉛ユージノール系シーラー(PulpDent® Root Canal Sealer:以下,PulpDentシーラー)による糊剤根管充填,もしくはガッタパーチャポイントを併用した側方加圧根管充填を行った.試料を蒸留水中に60日保管後,0.2%フクシン溶液に24時間浸漬した後,歯根横断切片の実体顕微鏡観察を行い,根管口から根尖側1,3,5mmの位置での色素浸透を5段階のスコアで評価した.2.根管壁象牙質への各種イオンの取り込み観察 色素浸透試験と同様の方法で作製した試片を,蒸留水中に7あるいは60日間保管後,根管横断面の薄切片を作製し,根管壁におけるF,Sr,Bの分布を波長分散型エックス線マイクロアナライザーにより分析した.3.抗菌性の評価 Enterococcus faecalis,Propionihacterium acnesあるいはActinomyces israeliiが培養された血液寒天平板上に,S-PRGシーラーおよびPulpDentシーラー(いずれも練和直後および練和12時間後)を静置し,37℃,24時間嫌気培養後の阻止円の形成を観察した.これらの実験より,以下の結果が得られた. 1. いずれの観察位置とも,色素浸透に4群間の有意差はみられなかった(Kruskal-Wallis検定,p>0.05). 2. S-PRGシーラーと接する根管壁象牙質に,FおよびSrの取り込みが確認された.PulpDentシーラーでは取り込みは観察されなかった. 3. 2種のシーラーは練和直後,練和12時間後ともP. acnesおよびA. israeliiに対し抗菌性を示した.E. faecalisに対する抗菌性は認められなかった.以上より,S-PRGシーラーがフッ素,ストロンチウム徐放能を備えること,および酸化亜鉛ユージノール系シーラーと同程度の根管封鎖性と抗菌性を示すことが示唆された.
  • 堀川 元, 山本 恒之, 川浪 雅光, 田口 哲志
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 6 号 p. 721-730
    発行日: 2007/12/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    組織同士を高い強度で接着する接着剤は医療分野で有用であり,これまで多くの接着剤が医療分野に応用されてきたが,歯質と歯肉を接着する医療用接着剤はいまだみられないのが現状である.そこで今回われわれは,tartaric acid derivative(TAD)とhuman serum albumin(HSA)を成分として新しい組織接着剤(TAD-Albumin glue)を開発した.TAD-Albumin glue は,HSAとTADがアミド結合して硬化する接着剤である.これは,歯根表面に露出したコラーゲン線維と歯肉のコラーゲンなどのタンパク質とがアミド結合により接着すると考えられる.本研究の目的は,このTAD-Albumin glue による象牙質と軟組織との接着,および生体内における親和性について検索することである.歯面処理によって接着力に影響が生じるかを検索するため,ヒト象牙質片に飽和クエン酸,あるいは10%EDTAにて1,3あるいは5分間歯面処理したもの,もしくは未処理のものにTAD-Albumin glueを用いてコラーゲンシートを固定した円柱状樹脂と接着し,引張り試験を行った.また,TAD-Albumin glueの生体内での親和性を評価するため,ウィスター系ラット(オス10週齢)40匹を用いて,ヒト象牙質片を飽和クエン酸にて3分間歯面処理した後,TAD-Albumin glue を塗布して背部皮下に埋植した.埋植直後,3,7,21あるいは42日後に屠殺し,標本はH-E染色した後に光学顕微鏡で象牙質片と周囲の皮下結合組織を観察した.接着強度は,飽和クエン酸で3分間歯面処理した群が歯面処理を行わなかった群より有意に強かった(p<0.01).象牙質片と皮下結合組織では,TAD-Albumin glue 群は7日後まで接着が観察され,象牙質片周囲の炎症性細胞浸潤は少なかった.また,21日後には大部分が消失した.象牙質片をクエン酸で処理することにより,TAD-Albumin glue による象牙質と軟組織の接着強さが高まり,生体内における接着は少なくとも7日間維持され,生体親和睦があることが示唆された.
  • 河野 隆幸, 山路 公造, 吉山 昌宏, 新井 英雄, 高柴 正悟, 鳥井 康弘
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 6 号 p. 731-739
    発行日: 2007/12/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    岡山大学医学部・歯学部附属病院卒後臨床研修センター歯科研修部門(研修センター)では,平成18年から,定員65名の研修歯科医を受け入れ,電子ポートフォリオシステムを用いた卒後研修を行っている.今回,研修歯科医の歯科保存分野研修状況を把握し,岡山大学医学部・歯学部附属病院での研修教育システムを充実することを目的として,平成18年度に研修センターにおいて1年間研修を行った研修歯科医42名を対象に,担当した患者数や歯科保存分野の診療研修の状況を,本院で使用している電子ポートフォリオシステムを用いて集計・分析を行った.研修歯科医が1年間の研修期間において担当する患者数の平均は,17.0±4.9人であった.また,電子ポートフォリオから抽出した処置項目の合計数は,23,911項目であった.これらの項目を,歯科保存,補綴,口腔外科・歯科麻酔,小児歯科,矯正歯科,およびその他の診療分野の6分野に分類したところ,歯科保存分野が11,316項目(47.3%)と最も多かった.さらに,歯科保存分野を保存修復,歯内療法,および歯周治療の3分野に分類したところ,全体に占める割合は,保存修復分野が2,239項目(9.4%),歯内療法分野が2,335項目(9.8%),および歯周治療分野が6,742項目(28.2%)で,歯周治療分野が最も多かった.そのなかで,根管充填とSRP(Scalingand Root Planing)の研修歯科医1人当たりの平均経験数は10回を超えており,レジン充填,根管拡大・貼薬,歯周組織検査,ブラッシング指導,超音波スケーリング,そして,SPT(Supportive Periodontal Therapy)の研修歯科医1人当たりの平均経験数は20回を超えていた.以上から,岡山大学医学部・歯学部附属病院における臨床研修は,歯科保存分野の研修が約半数を占めており,基本的な歯科保存分野の治療に関しては,10回以上経験している項目が多いことがわかった.
  • 吉田 隆, 田野 ルミ
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 6 号 p. 740-751
    発行日: 2007/12/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    近年の歯科保健医療に対する利用者のニーズは増大・多様化してきており,質の高い歯科保健医療を確保することが重要な課題となっている.さらに最近の歯科保健医療は,福祉領域とも融合することが多く,介護・福祉施設における口腔保健についても重要視されている.しかしながら介護・福祉施設における歯科保健医療の現状に関する情報は少なく,また施設側の歯科保健医療に対する要望についての情報も乏しい.そこで現在の介護・福祉施設の口腔保健にかかわる現状と,施設の歯科保健医療に対する要望を知る目的で,各種施設に対してアンケート調査を実施した.埼玉県内の介護・福祉施設と,埼玉県内の盲・ろう・養護学校の合計1,309施設にアンケート調査を行った.アンケートの調査項目は,1)回答者および回答者が勤務する施設の現状,2)施設における口腔保健に関する現状,3)施設に必要な口腔保健の情報,歯科医療機関との協力項目ならびに連携形態についてである.アンケートの回答は,331名(施設)から得られた(回収率25.3%).回答者の勤務する施設は,居宅介護支援施設,通所介護支援施設や老人福祉施設などさまざまな施設であった.施設に協力,連携などの依頼ができる歯科医療機関があると回答した者は,331名中206名(62.2%)であった.依頼する歯科医療機関がないと回答した理由では,「義務ではない」とするものが最も多かった.しかし8割以上の者が連携協力する歯科医療機関の必要性を認めている.また,施設に必要な口腔保健の情報や協力項目については施設の種類によって若千の違いが認められたが,全般的には「口腔ケアと誤嚥性肺炎との関連」や「全身と口腔疾患の関連」が多かった.これは全身の健康を管理するうえで,口腔保健の重要性が求められているためと考える.さらに施設が希望する歯科医療機関との連携形態は,施設の種類によってさまざまであった.今回のアンケート結果から,介護・福祉施設において口腔保健,歯科医療の重要性が増していることが再確認された.
  • 石橋 崇俊, 下田 信治
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 6 号 p. 752-767
    発行日: 2007/12/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究は,歯髄の石灰化物に関して年齢ごとの頻度を明らかにし,残存する変性細胞,細菌感染の観点から組織学的に観察し,歯周疾患との関連について考察を行った.観察材料は,年齢および性別の明らかな重度の歯周疾患による抜去歯を中心とした122歯である.歯髄の石灰化物はマイクロCTを用いて検出し,形態と頻度について検討した.次いで,得られた形態を根拠に,i)球形または楕円球,ii)穎粒状,iii)不整形の3種類に分類して,主にEPMAおよび透過型電子顕微鏡を用いて組織学的に観察を行った.その結果,全試料の約40%に石灰化物が観察され,組織学的に偽性象牙粒が観察された歯髄組織には,細菌の侵入によると考えられる炎症像や細菌の石灰化像,そして細胞組織の断片と考えられる像が観察された.また,扁平な1〜2μm細菌様構造が積み重なった像や,それが次第に大きな石灰化物へと進行する過程,さらに30〜40nmの微細な顆粒状石灰化物が集積して偽性象牙粒を形成している像が観察された.これらの結果から,石灰化物と重度の歯周疾患に罹患した場合の歯髄への細菌の侵入が示唆され,歯内歯周疾患合併症の処置と予後に関する有力な情報が得られたと考えられる.
  • 浅井 哲也, 風間 龍之輔, 福島 正義, 興地 隆史
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 6 号 p. 768-775
    発行日: 2007/12/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    CERECシステムは,オールセラミック修復物をチェアーサイドで製作するCAD/CAMシステムであり,一連の治療術式を1回の来院で完了する即日修復を行うことが可能である.本研究では,CEREC3システムにより製作されたセラミックラミネートベニア修復物の適合精度,および辺縁封鎖性に対する窩洞形態(切縁被覆の有無および歯頸側辺縁の位置)の影響を検討した.ヒト抜去上顎中切歯に,以下の4条件でラミネートベニア修復窩洞を形成した.すなわち,歯頸側辺縁の位置が歯冠部エナメル質内もしくは歯根部象牙質内,また切縁被覆型もしくは非被覆型の組み合わせにより4条件を設定した(各群n=10).窩洞形成後,CEREC 3のCCDカメラにより光学印象採得を行い,通法に従いセラミックブロック(Vitablocs Mark II,Vita Zahnfabrik)より修復物を作製後,レジンセメント(Panavia F2.0,クラレメディカル)にて形成歯に接着し,24時間室温にて水中保管した.次いで0.2%フクシン浸漬下で1.3kg,98回/分,24時間の条件下で切縁方向から約14万回の繰り返し荷重を加えた.得られた試料は,歯冠中央で唇舌的に半切後,測定顕微鏡により各群のセメント層の厚さを切縁部,唇面中央部および歯頸部で計測した.また切縁および歯頸辺縁におけるセラミック/レジンセメント界面と,レジンセメント/歯質界面での色素浸入の有無を判定した.セメント層の厚さは,各群ともすべての計測点において平均150μm以下であり,切縁被覆型の2群が切縁部で他の2群より有意に大きい値を示した(一元配置分散分析およびBonferroni/Dunn検定,p<0.05).また,切縁側辺縁の色素浸入に各群間の有意差を認めなかったが,歯頸側辺縁のレジンセメント/歯質界面では,切縁部の窩洞形態にかかわらず,歯頸部辺縁がエナメル質の群が象牙質の群と比較して色素浸入を示す試料が有意に少数であった(Kruskal Wallis検定およびMann Whitney-U検定,p<0.05).以上より,CEREC 3システムにより製作されたラミネートベニア修復物では,切縁被覆型の窩洞形態を設定した場合,切縁非被覆型と比較して切縁部のセメント層の厚さが増加することが示唆された.また,歯頸部辺縁をエナメル質内に設定することにより,象牙質内の場合と比較して同部で良好な辺縁封鎖性を得られることが確認された.さらに,辺縁封鎖性への切縁形態の影響は少ないことが示唆された.
  • 横瀬 敏志, 大河内 瑠夏, 和田 隆史, 高橋 一人, 金子 友紀, 松浦 芳久, 安達 仁, 天野 義和
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 6 号 p. 776-784
    発行日: 2007/12/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    歯科保存治療において,vital pulp therapyの発展は重要な課題である.そのためには,基礎的な研究として象牙芽細胞の分化を再現させる実験系が必要である.これまでにわれわれは,ラットの切歯から分離した歯髄細胞を用いて,象牙芽細胞様細胞へ分化させ,象牙質様石灰化基質を形成する系を確立した.しかしながら,象牙芽細胞の分化過程の解析は多く行われているが,石灰化結節の詳細な分析はまだなされていない.そこで本研究の目的は,培養歯髄細胞が象牙芽細胞様細胞へ分化して,形成した石灰化結節の基質の性状を検討し,dentinogenesisを反映しているかを調べることである.20日間の培養期間中に石灰化結節は10日目から形成され,成熟していった.カルシウムの含有量も結節の形成と一致して上昇した.アルカリホスファターゼ活性は培養15日目まで緩やかに増加し,20日目に減少した.Real time PCRを用いたbone gla protein(BGP)と,dentin sialophosphoprotein(DSPP)のmRNAの発現を経時的に調べた結果,BGPは石灰化が始まる15日目から発現がみられ,20日目に向けて増加した.これに対してDSPPは培養5日目から発現がみられ,15日目まで増加し,石灰化が盛んに行われる20日目には減少した.形成された石灰化結節の基質の形態学的解析のためにvon Kossa染色,ならびにinsulin-like growth factor-1(IGF-1),bone morphogenetic protein-4(BMP-4),DSPP,BGPおよびosteopontin(OPN)に対する抗体を用いた免疫組織化学的染色を行った.その結果,培養細胞層にはvon Kossa陽性の石灰化基質が確認された.この基質はIGF-1,BMP-4,DSPP,BGPおよびOPN抗体の局在が確認された.これらの結果は,本培養系に形成された石灰化結節が,象牙質形成を反映していることを示しており,本培養系がdentinogenesisの基礎研究を行うための有用なツールになることが示された.
  • 南場(足達) 美弥, 北野 芳枝, 江面 晃, 川崎 孝一
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 6 号 p. 785-791
    発行日: 2007/12/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    臨床では,器具操作を上手に行うには,歯の解剖を十分理解把握したうえで生来もった優れた技巧を必要とする.円形でほぼ直線的な上顎中切歯の歯根では,根管は歯の象牙質体の真ん中に存在するが,その根管壁の厚径は唇舌的,近遠心的にもほぼ同じである.しかし,2〜3根性の大臼歯の湾曲根管の根管壁の厚径は,不規則で変異に富んでいる.大臼歯根分岐部側歯根歯質の菲薄なdanger zoneの存在は,歯の解剖形態,歯内治療学の成書でもあまり記述されていなかった.本研究の目的は,下顎第一大臼歯近心根の根管口部の拡大形成時に役立つ,歯根形態の厚径を得ることであった.われわれは109歯のヒト抜去下顎第一大臼歯を用いて,2根性に分岐した歯根の基本形態(長さ,近・遠心根面観,根面溝の発達状況)をまず肉眼的に観察し,次に歯根の超硬質せっこうレプリカ模型の近・遠心根の歯軸に対して,根分岐部直下と歯根長1/2部を横断し幅径を求めた.レプリカ試料の外形を2倍に拡大トレースし,近遠心幅径,頬舌幅径を計測し調査した.その結果,以下の結論を得た.1.歯根の隣接面観からみた歯根形態では,近心根と遠心根において不完全2根性分岐のI型は22.9,4.6%,単根性のII型は22.0,12.8%,III型は39.4,41.3%およびIV型は15.6,41.3%にみられた.2.肉眼的には,特に近心根遠心面には根面溝の発達程度の強いものが84.4%,次に遠心根近心面では41.3%であった.3.レプリカ模型では,両根とも根分岐部側では,根分岐部直下から歯根長1/2に向かって根面真の発達傾向が認められた.根面溝部の近遠心幅径では,遠心根に比し近心根は有意に小さく,根分岐部直下2.68mm,歯根長1/2で2.01mm,その最小値はそれぞれ1.98,1.06mmを示し最も菲薄であった.
  • 土屋 奈央子, 小田島 朝臣, 山路 公造, 川浪 雅光
    原稿種別: 原著
    2007 年 50 巻 6 号 p. 792-798
    発行日: 2007/12/31
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    BMP-2の骨再生における高い有効性は広く知られているが,骨粗鬆症マウスでの報告はない.本研究の目的は,骨粗鬆症がBMP-2の骨形成反応に及ぼす影響を,病理組織学的観察および組織学的計測によって検討することである.実験には,5週齢(メス)のOCIF/Jcl(homo)KOマウス(骨粗鬆症群)とC57BL/6NJclマウス(正常群)を用い,BMP-2をおのおの0,1,5,10,15μg/mlに調整したアテロコラーゲンゲルを頭蓋骨膜下へ注入した.病理組織学的観察をし,新生骨量および骨密度の計測を行った.統計学的有意差検定にはMann-WhitneyのU検定を用いた.両群とも,濃度依存的に新生骨量が増加する傾向がみられた.群間で比較すると,BMP-2濃度が0および1μg/mlのときは,両群ともにほとんど新生骨を認めず,5および15μg/mlのときは,骨粗鬆症群のほうが有意に多かった.10μg/mlのときは,骨粗鬆症群のほうが多い傾向を示したが有意差はなかった.新生骨の骨密度は5,10,15μg/mlのとき,骨粗鬆症群のほうが有意に低かった.以上の結果より,骨粗鬆症群では,BMP-2による新生骨量は増加するものの,骨密度が低い骨が形成されることが示唆された.
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