日本歯科保存学雑誌
Online ISSN : 2188-0808
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51 巻 , 6 号
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総説
ミニレビュー
原著
  • 天野 一晴, 中島 美砂子, 鄭 力, 庵原 耕一郎, 松井 寛敬, 山崎 雅弘, 松下 健二, 中村 洋
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 6 号 p. 602-613
    発行日: 2008/12/31
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    エンドペプチダーゼであるMatrix Metalloproteinase (MMPs)は,幹細胞や血管内皮前駆細胞の遊走,サイトカインやそのレセプターの活性制御,結合組織リモデリングや創傷治癒,血管新生促進など多岐にわたる機能を有するといわれている.歯髄創傷治癒においては血管の侵入は修復象牙質形成に必須である.しかしながら,歯髄創傷治癒における血管新生のメカニズムはいまだ明らかではない.したがって,本研究では,MMPsのメンバー,MMP-3の歯髄創傷治癒過程における機能を明らかにすることを目的として,歯髄創傷モデルとしてラット切歯に生活歯髄切断を行い,MMP-3の発現を経時的に検討し,in vitroにおいて血管内皮細胞に対するMMP-3の効果を検索した.さらに,ラット切歯生活歯髄切断面上にMMP-3を応用して,その象牙質・歯髄再生に対する効果を検討した.その結果,歯髄創傷治癒過程においてMMP-3 mRNA発現は生活歯髄切断後24時間で最大の上昇を示した.蛍光免疫染色では切断後24時間および72時間の歯髄切断面下の血管内皮細胞あるいは血管内皮前駆細胞にMMP-3の発現がみられた.また,in vitroではMMP-3は血管内皮細胞の増殖,遊走を促進し,アポトーシスを抑制した.さらにリコンビナントMMP-3を生活歯髄切断面上に応用すると24時間後に血管新生が促進され,72時間後に大量の骨様象牙質が形成され,歯髄創傷治癒が促進された.以上のことから,歯髄創傷時において,血管内皮細胞あるいは血管内皮前駆細胞から放出されるMMP-3により血管内皮細胞への増殖,遊走促進およびアポトーシス抑制効果がもたらされ,血管新生が促進され,修復象牙質形成が促進される可能性が示唆された.
  • 韓 臨麟, 砂田 賢, 岡本 明, 福島 正義, 興地 隆史
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 6 号 p. 614-621
    発行日: 2008/12/31
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    エナメル質亀裂(以下:亀裂)は外傷による歯の破折の最も軽度な変化であるとともに,明確な外傷既往のない歯においてもしばしば観察される一方,エナメル質内に限局した歯冠長軸にほぼ平行に走行する複数の微細な亀裂がよく観察される.この種の亀裂は,二次う蝕・歯の審美障害・歯の破折・歯髄疾患などのさまざまな病態の誘因になりうると考えられるものの,その成因や発生頻度の詳細についていまだ不明の点が多い.本研究では,この種の亀裂の発生頻度や随伴する臨床症状について調査を行った.残存歯20本以上の外来患者80名(10代後半から80代までの各年齢層について各10名,ただし,80代の被験者の残存歯は,平均16.5本であった)を調査対象とし,診療用ライトによる照明下で歯鏡,歯科診療用ルーペ,コンポジットレジン重合用光照射器などの器具を用いて,亀裂の程度,修復物の有無と種類,および冷刺激に対する誘発痛の有無を診査した.亀裂の程度については,肉眼で容易に確認できる場合をレベルC,ルーペによる拡大視で確認できた亀裂をレベルB,光照射器で光を当てた状態で拡大視下で確認できた場合をレベルAとした.また,誘発痛に関しては,スリーウェイシリンジを用いて亀裂歯に冷気を当てて診査した.その結果,亀裂の検出率は年齢とともに上昇傾向を示し,50代以後では100%の被験歯に亀裂が確認できた.また,10代〜30代の被験者では,コンポジットレジンあるいはメタルインレー修復歯が非修復歯と比較して高い亀裂検出率を示す傾向がみられた.さらに,若年者では亀裂は主としてレベルAに分類されたが,加齢に伴ってレベルB,次いでレベルCの亀裂の割合が増加した.一方,冷刺激による誘発痛は,20代〜60代の被験者では亀裂歯の13.0〜16.7%に認められたが,その検出率に年齢による明瞭な相違はみられなかった.以上より,エナメル質亀裂が年齢とともに進展を示すことが明確に確認されるとともに,その発生ないし進行要因として修復処置が関連する可能性が示唆された.また,エナメル質亀裂が象牙質知覚過敏症様の症状発現に関連する可能性も推察されたが,この種の症状と亀裂の程度との明瞭な関連はみられなかった.
  • 神農 泰生, 岸本 麻実, 穴吹 優佳, 神谷 絵里子, 大前 正範, 西谷 佳浩, 吉山 昌宏
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 6 号 p. 622-629
    発行日: 2008/12/31
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    複雑な窩洞に緊密な充填を行うことができるフロアブルレジンは,MIの概念の普及とともに重要な材料として注目されており,さらに,臼歯適応フロアブルレジンが製品化されることで,その重要性は増してきている.しかし,臼歯適応フロアブルレジンは比較的新しく,その基本的物性や,口腔内環境での物性変化に関する報告は少ない.そこで,臼歯用フロアブルレジンと従来型のペーストタイプのコンポジットレジンの物性を比較するとともに,口腔内pHサイクルの一端のモデルとして,脱灰・再石灰化溶液への浸漬による物性の変化を,曲げ強さならびに圧縮強さで検討した.フロアブルタイプとして,クリアフィルマジェスティLV(ML),ユニフィルローフロープラス(LP),エステライトフロークイック(FQ)を,ペーストタイプとして,クリアフィルAP-X(AP),Majesty Posterior(MP),ソラーレP(SP),グラディアダイレクト(GD),ビューティフィルII(BF),エステライトPクイック(PQ)を用いた.圧縮強さおよび曲げ強さ試験は,それぞれ円柱試料,棒状試料を作製し,負荷条件として脱イオン水,クエン酸水溶液および再石灰化溶液に1週間浸漬した後,オートグラフを用いて測定した.摩耗量試験は円柱試料を脱イオン水に1週間浸漬し,摩耗量を測定した.圧縮強さの試験の結果,フロアブルタイプのFQ,MLは,脱イオン水群でペーストタイプのPQ,MPに次ぐ高い値を示した.クエン酸水溶液群ではFQは最も高い値を示し,MLもFQ,AP,MP,PQにわずかに劣るものの高い値を示した.再石灰化溶液群ではMLが最も高い値を示し,FQはML,MP,PQ,APに次ぐ高い値を示した.MP,ML,BF,FQ,PQは,負荷条件下で圧縮強さに有意な差が認められた.曲げ強さの試験の結果,MLは脱イオン水群でMP,PQ,APに次ぐ値を示し,BF,FQと続いた.クエン酸水溶液群では,ML,FQともにMP,PQに次ぐ高い値を示し,再石灰化溶液群でもクエン酸水溶液群と同様の傾向がみられた.また,MP,ML,FQ,PQは,負荷条件下で曲げ強さに有意な差が認められた.摩耗量試験の結果,SP,LPはほかのものに比べ,摩耗量が有意に大きかった.以上より,臼歯適用フロアブルレジンの圧縮強さ,曲げ強さはペーストタイプとほぼ同等であり,また負荷条件下での圧縮強さ,曲げ強さに大きな変化は認められなかった.
  • 二瓶 智太郎, 倉田 茂昭, 大橋 桂, 森 梨江, 松沢 征, 澤 悦夫, 近藤 行成, 好野 則夫, 寺中 敏夫
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 6 号 p. 630-638
    発行日: 2008/12/31
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    シリカ-レジン界面のポリシロキサン層の接着性を向上させるために,疎水性のフルオロアルキル基と重合性基をもつ新規クロル系シランカップリング剤(MAnF2S2C,n=4,6,8),たとえば3-メタクリロイルオキシプロピル-2-(ペルフルオロブチル)エチルジクロロシラン(MA4F2S2C)と3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(3-MPS)の混合シランの処理効果を調べた.各シラン処理溶液は,MAnF2S2Cを3-MPSに対し,20,40,60,80mol%の割合で混合し,混合したシラン処理溶液の2mass%エタノール溶液として調製した.それら混合シランで処理したガラス面に対するレジンの引張接着強さやガラス面に対する混合レジンモノマー(50%Bis-GMA,50%TEGDMA)の接触角を測定した.その結果,MA4F2S2Cは,3-MPSに20〜40mol%混合のとき,有意に高い接着強さと有意に低い接触角をもつカップリング層の形成に有効であった.
  • 京泉 秀明, 伊藤 光哉, 山田 純嗣, 鈴木 敏光, 久光 久
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 6 号 p. 639-647
    発行日: 2008/12/31
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    レジンセメントで合着したコンポジットレジンインレーの物理的性質や審美性を改善するため,フロアブルレジンの合着材としての可能性について検討している.本研究の目的は,フロアブルレジンの被膜厚さおよびインレーを通過した照射光によるフロアブルレジンの重合状態について検討することにある.試験材料として11種類のフロアブルレジン,1種類のラミネートベニア合着用レジンおよび比較材料として1種類のレジンセメントを使用した.各材料を2枚のガラス板の間に挟み,3種類の温度環境下(4,23,37℃)においてそれぞれ150Nで10分間加圧した.光照射後,材料の被膜厚さを測定した.また,接着材料の厚みも弱圧(0.05MPa)および強圧(0.10MPa)によるエアーブロー後,光照射し,それぞれ測定した.フロアブルレジンの重合状態は,0から5mmまでの厚みのコンポジットレジンインレーブロックを通して40秒間光照射した試験材料の表面硬さを測定することにより評価した.その結果,次の結論を得た.1.環境温度が上がると試験材料の被膜厚さは低下する傾向が認められた.2.試験材料の被膜厚さと強圧でエアーブローした接着材料の厚みの合計は,37℃において1種類のフロアブルレジンを除くすべての材料で合着用セメントの規格である25μm以下を満たしていた.3.コンポジットレジンインレーの厚みが2mmを超えると,試験材料の表面硬さが次第に減少する傾向が認められた.
  • 大谷 香織, 菅谷 勉, 川浪 雅光
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 6 号 p. 648-658
    発行日: 2008/12/31
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    本実験は実験的に根尖性歯周炎を惹起し,根管が汚染されたままの状態で根尖切除術を行い,スーパーボンドC&B®によるroot-end sealing,Super-EBA™とProroot®MTAによる逆根管充填を行って,長期的な根尖歯周組織の治癒状態を病理組織学的に評価した.実験動物にはビーグル犬4頭を使用し,被験歯を抜髄後,根管内をプラークで汚染させて根尖性歯周炎を惹起させ,1ヵ月後デンタルエックス線写真で根尖部に透過像が拡大していることを確認して根尖切除術を行った.根尖部の封鎖法は以下の4群に分けた.SB群(n=15)は根尖切除面をわずかに陥凹させて形成し,形成面全体にスーパーボンドC&B®を塗布した.EBA群(n=14)とMTA群(n=14)は逆根管充填窩洞を形成し,Super-EBA™またはProroot®MTAを充填した.非封鎖群(n=10)は根尖を切除したのみで逆根管充填窩洞の形成および封鎖は行わなかった.観察期間は48週とし,エックス線写真による骨透過像面積の計測と,病理組織学的観察および計測を行った.その結果,48週後のエックス線透過像面積および組織学的骨吸収面積は,SB群,EBA群,MTA群は非封鎖群に比べて有意に小さく,SB群,EBA群,MTA群の間には有意差がなかった.切除面象牙質上へのセメント質形成率は,EBA群,MTA群はSB群,非封鎖群に比べて有意に大きく,EBA群とMTA群の間には有意差はなかった.スーパーボンドC&B®にもセメント質にも被覆されていない根尖切除面の象牙質露出率は,SB群がほかの3群に比較して有意に小さく,EBA群とMTA群は非封鎖群より有意に小さかった.露出象牙質面の根吸収率はSB群,EBA群,MTA群は非封鎖群に比べて有意に小さく,SB群,EBA群,MTA群では,象牙質露出率と象牙質吸収率との間に有意な正の相関が認められた.したがって根管が汚染された状態で根尖切除術を行う場合には,切除して露出した象牙質面を被覆することが長期的予後には大切であり,新生セメント質による完全な被覆は難しいことから,スーパーボンドC&B®でroot-end sealingを行うことがよいと考えられた.
  • 得永 佳介, 菅谷 勉, 宮治 裕史, 川浪 雅光
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 6 号 p. 659-669
    発行日: 2008/12/31
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,コラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体を作製後,ラット頭蓋骨窩洞に埋植し,スキャフォールドとしての有効性と,BMPを併用した場合の効果を組織学的に検討することである.コラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体は,4%の線維化アテロコラーゲン-熱変性アテロコラーゲン複合体(FC-HAC)スポンジ(6×6×3mm)に,アスコルビン酸-銅で架橋した1.5%コラーゲンハイドロゲルを十分に浸透させて作製した.次にラットに全身麻酔下で頭蓋骨窩洞(4×4×0.5mm)を形成し,その後移植材料によって5群に分けた.BGS群ではBMP-2を含有させたコラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体を骨窩洞に移植した(n=18).GS群ではコラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体を(n=19),BS群ではBMP-2を含有させたFC-HACスポンジを(n=17),S群ではFC-HACスポンジをそれぞれ移植した(n=17).C群では何も移植しなかった(n=16).組織標本は術後5,10,15日目に作製し,組織学的観察および計測を行った.その結果,BGS群,GS群では残存するコラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体内に線維芽細胞様細胞や骨芽細胞様細胞の侵入増殖が認められ,コラーゲン複合体周辺にはわずかな炎症性細胞浸潤がみられた.15日後においてBGS群で顕著な新生骨形成が観察され,新生骨面積,および新生骨高さはほかの4群と比べて有意に大きい値であった(p<0.01).またGS群でもC群に比較して有意に多く新生骨が認められた(p<0.01).BGS群の残存スポンジ面積(p<0.01)および高さ(p<0.05)はS群に比較して有意に減少していた.以上のことから,FC-HACスポンジにコラーゲンハイドロゲルを含浸させることによって,細胞侵入性と組織への置換性,再生スペースの確保に有効で,さらにBMPを併用することで新生骨量を増加できるスキャフォールドになることが示唆された.
  • 半田 良平, 齋藤 彰, 齋藤 恵美子, 本間 義幸, 川浪 雅光
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 6 号 p. 670-680
    発行日: 2008/12/31
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,ビーグル犬に実験的に作製した歯肉退縮に対して半月状歯肉弁歯冠側移動術を行い,術後の治癒過程における,根面と歯肉弁の付着の様相を組織学的に観察することである.実験動物にはビーグル犬8頭を用い,合計40本の前歯を実験歯とした.実験に先立ち,上下顎前歯部に歯肉退縮モデルを作製した.前歯部唇側歯肉を部分層弁で剥離し,実験歯の唇側根面がCEJから4mmまでの深さで,幅は近心隅角から遠心隅角まで露出するように歯槽骨を除去した.剥離した歯肉弁の辺縁を一部切除,整形し,歯肉弁を根尖側に置いて縫合した.4週後にTarnowの方法に準じて半月状歯肉弁歯冠側移動術を行った.メスで実験歯の唇側歯肉に半月状の切開と歯肉溝切開を入れ,可動性のある半月状の部分層弁を作製した.弁を歯冠側へ移動し,辺縁をCEJの位置に置き,生理食塩水で湿らせた滅菌ガーゼを用いて圧迫した.観察期間は0,1,2,4週後とし,臨床的観察,組織学的観察および計測を行った.臨床的観察では,0,1,2,4週群ともに良好な根面被覆が得られた.組織学的観察および計測では,0週は弁と根面間は血餠で満たされていた.0〜1週にかけて上皮のダウングロースが進行し,1週群では長い上皮性付着が観察されたが,それ以降有意な増加はなく,4週ではルートプレーニング根面の73.3±29.1%が上皮と付着もしくは隣接していた.結合組織が接する長さは0〜4週で有意な変化はなく,19.8±25.2%であった.歯根吸収は術後1〜2週でわずかにみられ,その後減少した.新生セメント質の形成は,術後4週からルートプレーニング面の根尖側に6.9±11.1%認められた.以上の結果より,半月状歯肉弁歯冠側移動術後の根面と歯肉弁との付着は,上皮性付着が主体であり,術後1週以内に成立し,その根尖部にわずかにセメント質形成が2〜4週で生じる可能性が示唆された.
  • 遠藤 春江, 小倉 陽子, 勝海 一郎
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 6 号 p. 681-692
    発行日: 2008/12/31
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    根尖がラッパ状に広がった歯根未完成歯にアペキシフィケーションを行い,根尖開放部が閉鎖したことを想定した規格化根管模型を作製した.この模型に8種の充填法(側方加圧充填法,オブチュラII,ウルトラフィル,サーマフィル,システムB,システムBとオブチュラIIの併用充填,セクショナル法,ZOEシーラーのみによる充填(キャナルス充填)により,根管充填を行った.根管壁表面からの観察像と,マイクロフォーカスX線CT装置により撮影した断層像の三次元構築像,さらに根管内に占める充填材の比率(充塞率)を求めることにより,以下の結論を得た.各根管充填法における根管全体の充填材の充塞率は,オブチュラIIが98.1%と最も高く,次いでウルトラフィルが98.0%,セクショナル法が97.8%,側方加圧充填法が97.7%,システムBとオブチュラII併用充填が97.1%,システムBが95.8%,キャナルス充填が93.3%,サーマフィルが最も低く87.1%であった.先端1mm断層面の充填材の充塞率は,ウルトラフィルが93.4%と最も高く,次いでシステムBが90.2%,セクショナル法が90.0%,オブチュラIIが88.8%,キャナルス充填が87.9%,システムB・オブチュラII併用充填が86.5%,側方加圧充填法が72.1%,サーマフィルが最も低く17.8%であった.一元配置分散分析の結果,根管充填法の種類が充塞率に及ぼす影響については,危険率1%で有意であることが認められた.オブチュラII,ウルトラフィル,システムB,システムBとオブチュラII併用充填は,ラッパ状に広がった根管先端部をガッタパーチャで満たすことができたが,セクショナル法はやや充填不足が,側方加圧充填法とサーマフィルでは顕著な充填不足が起きた.キャナルス充填では,硬化物中に,大小さまざまな大きさの気泡が広範に散在していた.加熱や溶媒により軟化したガッタパーチャを根管に満たす充填法は,根管壁からのガッタパーチャの剥離が起こりやすいため,シーラーの併用が必要であった.シーラー中の気泡は,死腔の形成要因になるため,練和や根管壁への塗布時には気泡を混入させない注意が必要であった.以上の結果から,アペキシフィケーションにより根尖が閉鎖したラッパ状の根管においては,シーラーを併用しオブチュラII,ウルトラフィル,システムB,システムBとオブチュラII併用充填によるいずれかの方法により,根管充填法を行うのが望ましいことがわかった.
  • 竹内 摂, 吉川 一志, 山本 一世
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 6 号 p. 693-699
    発行日: 2008/12/31
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    う蝕の進行による炎症の波及により不可逆性の歯髄炎に進行した歯髄は,抜髄処置により患部歯髄を除去し,根管充填が施されている.しかしながら,可逆性の歯髄炎の場合は炎症の原因となるう蝕を除去することにより歯髄の保存が可能である.そこでわれわれは,歯髄組織の炎症機序を解明するために,ヒト歯髄由来線維芽細胞における炎症性サイトカインtumor necrosis factor-alpha(TNF-α)刺激によるmatrix metalloproteinases-3(MMP-3)の産生とextracellular-regulated kinase 1/2(ERK1/2)について検討した.ヒト歯髄由来線維芽細胞において,MMP-3の産生はTNF-α濃度依存性に上昇した.ERK1/2のリン酸化は,TNF-α濃度依存性に増強した.さらに,MEK1/2阻害剤U0126添加によりTNF-α刺激で増強したERK1/2のリン酸化およびMMP-3の産生が阻害された.以上の結果より,ヒト歯髄由来線維芽細胞におけるTNF-α刺激によるMMP-3産生はERK1/2経路が関与していることが示唆された.
  • 久保田 祐, 山本 雄嗣
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 6 号 p. 700-715
    発行日: 2008/12/31
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    コンポジットレジンは,重合収縮時に応力を発生し,その応力はコンポジットレジンおよび歯冠の変形,接着界面の剥離や周囲歯質の微小破折を引き起こしうるものである.収縮応力は,コンポジットレジン修復の術後不快症状を引き起こす一因となる.この研究の目的は,圧子圧入法を用いて,接着修復直後のウシエナメル質に生じた収縮応力を評価することである.本実験には6種類の接着修復材料を用いた.3種のコンポジットレジン(Z100™,Herculite XRVおよびHeliomolar),従来型グラスアイオノマーセメント(フジIX GP),レジン添加型グラスアイオノマーセメント(フジII LC)およびコンポジットレジンセメント(パナビア®F2.0)を使用した.修復材料の重合収縮率の測定には,体積測定機(AcuVol™,Bisco)を使用した.従来型グラスアイオノマーセメントおよびコンポジットレジンセメントは測定不可能なため除外し,残り4種材料の重合収縮率を測定した.測定は光照射開始から60分後まで行った.また,各材料の弾性率を超微小押し込み硬さ試験機(ENT-1100a,エリオニクス)を用いて測定した.次に,接着修復により窩洞周囲の歯質に生じる収縮応力を算出した.ウシエナメル質研磨平坦面にC-factorが2となる円柱状窩洞を形成し,窩縁から500μm離れた箇所にビッカース圧痕を導入し,圧痕から生じる亀裂長さの変化量から収縮応力を求めた.圧痕から生じる亀裂長さを修復前後で測定し,ウシエナメル質の破壊靱性値と亀裂長さ変化量から収縮応力を算出した.修復後の亀裂長さの測定後,接着界面の間隙と窩洞周囲エナメル質の微小破折を観察した.窩洞全周長さに対する間隙長さを算出し,間隙率とした.また窩洞周囲エナメル質に微小破折が生じた試料数を求めた.すべての修復方法で亀裂長さの伸展が認められた.算出された収縮応力は,報告されている収縮応力値より低く,また重合収縮率と弾性率が修復材料によって大きく異なるにもかかわらず,収縮応力間に有意差は認められなかった.間隙率は,コンポジットレジンインレー修復を除いて,90%以上と高い割合を示した.コンポジットレジン修復においてエナメル質の微小破折の発生率がほかの修復方法より高かった.重合収縮によって発生した収縮応力は,圧痕から生じた亀裂の伸展,エナメル質の微小破折,接着界面の間隙形成を引き起こした.エナメル質の微小破折と接着界面の間隙が生じたことで収縮応力が解放され,本実験で得られた収縮応力値が低かったと思われる.
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