日本歯科保存学雑誌
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51 巻 , 1 号
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原著
  • 富沢 尚夫, 斎藤 正寛, 高坂 一貴, 相野 誠, 野口 俊英, 寺中 敏夫
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    歯小嚢細胞は,発生期歯胚外周に存在する間葉系細胞である.歯根形成過程において,歯周組織を構成するセメント質,歯根膜および歯槽骨は歯小嚢中の前駆体細胞より生じる.著者らは以前より,不死化マウス歯小嚢細胞(mouse dental follicle cells : MDFE6-EGFP)中に歯根膜前駆体細胞が存在することを報告してきた.本研究では,MDFE6-EGFPより歯根膜前駆体様細胞株を樹立したことを報告する.MDFE6-EGFPから単細胞クローンを得て,腱/靭帯細胞マーカーの発現を指標に歯根膜前駆体細胞をスクリーニングした.その結果, scleraxis, growth and differentiation factor (gdf)5, ephA4, six-1およびtype I collagen α1を高発現するが,骨マーカー遺伝子であるbone sialoprotein, osteocalcinおよびosterixはほとんど発現しないMDF-G5の樹立に成功した.MDF-G5の分化能力を解析する目的で,重症複合性免疫不全症(SCID)マウスへの移植実験を行ったところ,MDF-G5移植片内では歯根膜様構造物の形成が観察され,オキシタラン様構造物の形成も観察された.これらの結果より,MDF-G5は歯根膜細胞前駆体の特性を有する細胞株であり,歯根膜形成機構の解析のみならず,歯周組織再生医療の開発にも有効な培養システムであることが示唆された.
  • 菅島 正栄, 岡田 英俊, 松渕 志帆, 佐々木 重夫, 中島 大誠, 川島 功, 浜田 節男
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    近年,接着技術の進歩により歯冠修復にレジンを応用する症例は多くなってきた.これまでの研究により歯面処理時において唾液や血液によって汚染されると,それらが接着阻害因子となり,接着強さは低下することが報告されている.実際の臨床において,止血剤は出血した部位に作用させた後,水洗,乾燥して除去する.しかし,止血剤自体が処理後の被着面に残存することによって,ボンディング材の歯質に対する接着強さに影響を及ぼすことが危惧された.そこで今回,さらにボスミン®(第一三共製薬)の歯面処理効果について確認するため,リン酸処理,希塩酸処理を行った象牙質表面を対照とし,原子間力顕微鏡(以下,AFMと略す)による象牙質の表層における構造変化の観察,そしてボスミン®の作用時間による接着強さの違いについて比較検討を行った.AFM観察した結果,実験群を無処理のものをコントロールとし,リン酸処理,希塩酸処理,およびボスミン®処理をそれぞれ比較すると,リン酸処理,希塩酸処理を行ったものは象牙質表層の凹面は少なくなり,より平坦な像が観察された.しかし,ボスミン®処理においては,15秒間処理では無処理のものと比較し,ほぼ均一な凹凸が測定面一面に観察された.1分間処理においては15秒間処理のものと比較すると微細な凹凸形が少ない像を示したが,無処理のものよりは凹凸を示す像が観察された.接着強さ試験において,対照であるリン酸処理群,希塩酸処理群は無処理群と比較し有意に低い値を示したが,一方,実験群であるボスミン®15秒間作用群,1分間作用群は無処理群と比較し有意に高い値を示した.以上のことから,ボスミン®には歯面処理効果があり,その結果接着を強めることが明らかとなった.
  • 寺田 昌一郎, 田口 洋一郎, 上田 雅俊
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 1 号 p. 16-23
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    ヒトβ-defensin-2(hBD-2)は,システインに富む陽イオンの抗菌ペプチドの一つであり,微生物およびTNF-αやIL-1βなどの炎症性サイトカインによる刺激で上皮細胞から放出され,歯周病原菌をはじめとするグラム陰性菌に対して,より強い抗菌作用を示し,粘膜表面での初期防御に関与する.正常歯肉と歯周病罹患歯肉におけるhBD-2の発現の相違や,Actinobacillus actinomycetemcomitansに対するヒト歯肉上皮細胞(HGEC)の応答性についての報告はなされている.一方われわれは,慢性歯周炎でよく検出されるPorphyromonas gingivalisで刺激したHGECから,hBD-2が刺激時間に応じて発現することを明らかにした.しかし,歯周疾患が慢性疾患であり増悪期と緩解期を繰り返すことから考えると,歯周疾患の病態変化においてのhBD-2の役割はまだ不明である.そこで今回,IL-1βの濃度によってhBD-2の発現と白血球走化性因子であるIL-8の発現との関連性について比較検討した.HGECは,歯周外科治療時に採取された歯肉より分離し継代培養し,3代目を実験に供し,炎症性サイトカインのIL-1βを用いて刺激した.各刺激群と無刺激群の細胞と培養上清を回収し検索した.細胞からはRT-PCR法にてhBD-2mRNAの発現について検索し,培養上清についてはELISA法にてIL-8の濃度を測定した.その結果,IL-1βはHGECにおいて経時的にIL-8およびhBD-2の発現を有意に上昇させ,それらは経時的に関連性が認められたが,刺激濃度に依存する発現の差異は認められなかった.したがって,IL-1β刺激時のHGECにおけるIL-8およびhBD-2の発現は,炎症の強さにかかわらず炎症性因子が存在すれば生じ,感染初期における自然免疫機構の一端を司ることが示唆される.
  • 福井 優樹, 白石 充, 山本 一世
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 1 号 p. 24-39
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    審美性歯面コート材(以下,コート材)は,歯の漂白が困難な症例に対して,歯冠部に塗布することにより審美的改善を図ることができる.テトラサイクリン歯の色は,紫外線の影響を受け,加齢に伴い暗褐色に変化することが報告されている.したがって,テトラサイクリン歯にコート材を塗布することにより,歯質に照射される自然光からの紫外線量を抑えることができれば,加齢に伴う暗褐色変化を抑制することが期待できる.そこで今回,2種のコート材(ホワイトコート™シェードOB0(以下,WOB),オペーク(以下,WOP),ビューティコート シェードBW3(以下,BBW),シェードWO(以下,BOP)),コンポジットレジン(ユニフィル®ローフロープラス シェードAO3(以下,UAO)),グラスアイオノマーセメント(フジアイオノマー®タイプII シェードYB(以下,FYB))およびエナメル質を使用し,厚さ0.1,0.3,0.5,1.0mmのディスク試料を作製し,試料の光の透過率を測定した.また,対照としてヒト歯エナメル質の0.3,0.5,1.0mmのディスク試料を作製し,試料の光の透過率を測定した.また,アパタイト系歯科用セメントにテトラサイクリン溶液を混入させてテトラサイクリン変色モデル(以下,変色モデル)を作製し,厚さ0.3mmの各試料を介して変色モデルに紫外線を7日間照射した場合の照射前後の色差(ΔE*ab)を測定した.結果は一元配置分散分析とTukeyの検定(p<0.05)によって統計処理を行った.さらに,もしテトラサイクリン歯の加齢による変色の進行を抑制する目的でコート材を使用するのであれば,長期的な使用が必要となる.コート材は本来,暫間的な審美性材料として開発されている材料のため,辺縁封鎖性が問題になる.そこで,コート材(WOB,BBW)とエナメル質の界面の状態を24時間(24h)後,5℃と55℃,各30秒間ずつのサーマルサイクル500回(以下,TC500)後,1,000回(以下,TC1000)後の色素漏洩試験により辺緑封鎖性を評価した.結果は,Mann-WhitneyのU検定(p<0.05)によって統計処理を行った.また,暫間的な材料のコート材を歯面からいったん除去し,再び新たに塗布することを繰り返し行った場合のエナメル質表面への影響を検討するため,コート材塗布24h後に除去した試料(24h除去),塗布TC500後に除去した試料(TC500除去),塗布TC500後に除去を3回繰り返した試料(TC500×3除去)をSEM観察した.その結果,以下の結論を得た.1.厚さ0.3mmの試料で,WOB,WOP,BOPは400nm以上の波長域まで,光の透過率は0.5%未満を示し,紫外線の吸収効果が示唆された.2.厚さ1.0mmの試料で,BBW,UAO,FYBも400nm以上の波長域まで,光の透過率は0.5%未満を示し,紫外線の吸収効果が示唆された.ただし,臨床で使用する厚さとしては問題があると考えられた.3.変色モデルの色差は,WOB,WOP,BOPでは,エナメル質と比較して有意に小さく,テトラサイクリン歯の変色の進行を抑制することが示唆された.4.コート材とエナメル質界面の色素漏洩試験結果では,24h後では辺緑封鎖性は良好であったが,TC500,TC1000後では色素漏洩が認められ,コート材を塗布したままで長期間経過すると,辺縁封鎖性が低下すると考えられた.5.コート材除去後エナメル質表面のSEM観察では,塗布24h除去,TC500除去,TC500×3除去とも大部分がコート材とエナメル質界面で剥がれており,コート材の塗布-除去を繰り返し行った場合のエナメル質表面への影響は少ないものと考えられた.
  • 森川 公博, 釜田 朗, 千葉 有, 齋藤 高弘
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 1 号 p. 40-47
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    最近,コンポジットレジン修復では,患者の審美的意識が向上したことから,歯と調和した自然な色調となる術式が求められている.しかし,Class III・IV窩洞のような歯質の欠損が大きい症例では,歯の色に合致する色のコンポジットレジンを選択して充填しても,背景色が透過してしまい口腔内では暗調に見えてしまうことをたびたび経験している.背景色を遮断するためには,レイヤリングテクニックが有効であるが,歯を用いたコンポジットレジン修復処置の基礎的実験の評価は見あたらない.われわれはVitaクラシカルシェードガイドを実験歯として選択し,これに直接ナノフィラーコンポジットレジンを充填するという,臨床に近似した実験系を考案した.そして,この実験歯に規格窩洞を形成してレイヤリングテクニックを行い,測色計でCIE Lab値とXYZ値を計測した.その後,ΔE*,コントラスト比,およびTP値を算出し,以下の結論を得た.1. Vitaクラシカルシェードガイドは,均一に製作されており実験歯として有用であった.2. ΔE*は,A2評価群とA3.5評価群内では白色および黒色背景の両方の計測結果において有意差は認められなかった.A3評価群のA2D+A3Bの積層充填は,A4D+A3Bの積層充填およびA3Bの単層充填と比較して有意にΔE*が減少したことから,レイヤリングテクニックが有効であった.3. コントラスト比とTP値から,各群では単層充填の値に有意差が認められたので,ボディシェードだけの充填では背景色を透過した.A3評価群およびA3.5評価群の積層群では背景色を遮断した.以上から,大きな欠損を有するClass III・IV窩洞のような症例では,明度および彩度が高い場合を除き,内層には歯と同等または彩度が低いデンチンシェードを選択することで背景色を効果的に遮断できた.さらに,デンチンシェードの上層に歯の色調と同様なボディシェードを積層することで審美的な修復が可能となり,レイヤリングテクニックは有用であった.
  • 善入 寛仁, 吉川 一志, 山本 一世
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 1 号 p. 48-62
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は,知覚過敏症罹患モデル象牙質への2種類のレーザー照射が透過性に与える影響について調べることである.この実験のレーザーには,Er:YAGレーザーとしてErwin AdvErl®(以下,Er),CO2レーザーとしてPanalas®C05Σ(以下,Co)を用いた.象牙質ディスクは抜去したウシ前歯から作製した.その試料はPashleyにより報告された装置を模して作製した装置に用いられ,試料を装置に接続して内圧が25mmHgになるように規定した.その表面に各レーザーを0mmもしくは1mmの照射距離で照射し,象牙質の透過性を測定した.統計処理は一元配置分散分析とScheffeの多重比較検討を行った.照射距離0mmにおける象牙質透過性抑制率はEr,Coそれぞれ27.7±10.0%から59.5±12.8%で,Co(1A)(括弧内はチップの種類を示す)が最も高い値を示した.Er(ブラシ)に対してEr(C400F),Co(1A),Co(2A)は有意に抑制された(p<0.05).照射距離1mmにおける象牙質透過性抑制率は,Er,Coそれぞれ28.9±7.2%から44.8±11.5%で,Co(1A)が最も高い値を示した.MSコート(MS)とレーザー照射を併用した場合の象牙質透過性抑制率は21.5±9.8%から72.5±10.1%で,照射距離1mmにおいてMS(照射後)群の透過性抑制率はCo(1A)のみ照射した群より有意に高かった(p<0.05).グルーマ®ディセンシタイザー(GL)とレーザー照射を併用した場合の象牙質透過性抑制率は32.5±5.7%から64.1±9.8%で,照射距離1mmにおいてGL(照射後)群の透過性抑制率はCo(1A)のみ照射した群より有意に高かった(p<0.05).今回の実験において,Er:YAGとCO2レーザー照射を行った場合,象牙質透過性抑制率が向上した.照射距離0mmおよび1mmにおいて,Er:YAGとCO2レーザーの照射は対象物から照射距離を離すと象牙質透過性抑制率が減少する傾向であった.さらにEr(ブラシ),Co(1A)においてMSコートとグルーマ®ディセンシタイザーを併用した場合,象牙質透過性抑制率が向上した.以上のことから,Er:YAGレーザーとCO2レーザーを低出力で照射し,照射前もしくは照射後に象牙質知覚過敏症抑制材を併用した場合,象牙質知覚過敏症の症状を緩和する可能性が示唆された.
  • 中西 正, 尾崎 和美, 松尾 敬志
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 1 号 p. 63-71
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    う蝕の進行に伴い歯髄炎が惹起された歯髄において,う蝕病巣の最前線部に存在する細菌の実態を知ることは,歯髄炎の病態を理解するだけでなく治療を行ううえでも重要である.今回,歯髄炎を伴う深在う蝕を有するヒト抜去歯の連続切片を用いて,象牙質-歯髄境界部に存在するう蝕関連細菌を同定し,その局在を明らかにすることを目的とした.歯髄に近接あるいは到達する深在う蝕ならびに不可逆性歯髄炎の臨床症状を有し,臨床的に抜歯適応と診断された抜去智歯のうち,Brown-Brenn染色にて修復象牙質あるいは歯髄組織内へ細菌の侵入が認められた14試料を被験対象とした.侵入細菌の同定は,6種のう蝕関連細菌に対する抗血清を用いた酵素抗体法にて行った.今回検索したすべての試料中の修復象牙質内に,Lactobacillus plantarumが認められた.Streptococcus mutans, Micromonas micros, Lactobacillus caseiについても,修復象牙質内での細菌検出率は約90%であった.これら4種の細菌種は,細菌侵入が歯髄腔に到達している試料の歯髄組織においても検出された.一方,Actinomyces viscosusは約40%,Streptococcus sanguinisは約20%程度の検出率であった.以上の結果より,臨床的に不可逆性歯髄炎の症状を呈する深在う蝕歯の,露髄部付近における細菌侵入の実態の一端が明らかとなった.
  • 吉田 隆, 有泉 祐吾, 田野 ルミ, 細川 壮平, 小貫 瑞穂, 大迫 美穂, 古澤 成博, 槇石 武美
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 1 号 p. 72-81
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    歯科衛生士の業務の一つに,歯科診療の補助がある.われわれはこれまでに,仮封ならびに根管処置時における診療補助を採り上げ,歯科衛生士教育機関における歯科保存処置に対する診療補助実習カリキュラムの検討を行ってきた.その結果,仮封や根管処置時の診療補助に関する実習カリキュラムを学内基礎実習で行うことは大変有意義であることを報告した.ところで,卒業前の総仕上げ実習として臨床実習を行っているが,多くの歯科衛生士教育機関は附属の医療施設をもたない.そのため臨床実習を行うには,学外の医療施設に依頼して実施することが多い.しかしながら学生全員を同一医療施設で同時に実習を行うことは困難で,複数の医療施設に学生を数人ずつ配置し実習を行っているのが現状である.そのため,医療施設によって実習内容に相違が生じる可能性がある.そこで本研究では,学内で行う診療補助カリキュラム内容が学外で行う臨床実習と有機的に関連づけられているか否かを調査する目的で,臨床実習後の学生にアンケート調査を行い検討した.歯科衛生士学生として,平成15年度と平成16年度の,埼玉県立大学短期大学部と静岡県立大学短期大学部の歯科衛生学科第2学年の学生合計139名を対象とし,臨床実習終了後に各学生に対しアンケート調査を行った.アンケートの調査内容は,学生が配属された医療施設での1日の診療における保存系治療の比率と,保存系治療のなかからコンポジットレジン修復と根管治療を採り上げ,各医療施設での両処置に関する現状を調査した.アンケート調査の回答は137名(回答率98.6%)から得られた.アンケートの結果から,以下の結果が得られた.1.ほとんどの医療施設で,1日の診療における保存治療の比率は40%以上であった.2.コンポジットレジン修復に用いるレジンの種類はほとんどが光重合型であったが,光照射器の操作者は医療機関によって異なっていた.3.根管治療に用いられる仮封材(剤)や仮封方法,根管充填法についても医療機関に相違がみられた.以上から,学内の診療補助カリキュラムと学外での臨床実習内容とでは,有機的に連携をもつ部分ともたない部分とがあることが判明した.卒業前の臨床実習という観点から考えれば,学内での教育と学外での臨床実習内容の相違や,学外の医療施設間における臨床実習内容の相違は避け,なるべく実習内容の画一化が図られることが望ましいものと思われた.
  • 中澤 妙衣子, 加藤 純二, 末森 豪, 明石 豪, 五十嵐 章浩, 平井 義人, 熊谷 ユキ, 倉田 浩志
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 1 号 p. 82-87
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    無髄歯の漂白法として主流となっているwalking bleach法は,過ホウ酸ナトリウムと30%という高濃度の過酸化水素水を用いる.そのため,扱いには十分な注意を要し,かつ漂白回数を重ねると,歯根に外部吸収を起こす可能性があるといった問題点も指摘されている.最近注目されている二酸化チタン含有低濃度過酸化水素水は,office bleaching剤として開発され,安全かつ高い漂白効果を表せることがわかってきた.しかし無髄歯の漂白剤としての試みは,現在のところなされていない.今回われわれは,より安全で効果的な無髄歯漂白法を施行するため,生活歯漂白で最近注目されている二酸化チタン含有低濃度過酸化水素水を無髄歯に応用,一定時間ごとに歯冠部の色を測定し,効果について検証した.試料には,抜去後ただちに生理食塩水に保存したヒト抜去歯を用いた.漂白剤は,二酸化チタン低濃度過酸化水素水漂白剤ピレーネ®(三菱ガス化学)を用いた.光源にはハイパーライテル(クラレメディカル)を用いた.ピレーネを綿球に浸し,それを髄腔内に置き,光を髄腔内に向けて1分間照射した.これを計10回繰り返した(光照射計10分間).測色には分光式色差計SE2000(日本電色工業)を用い,歯冠部頬中央部を測定した.CIE1976L*a*b*表色系を用いてL*,a*,b*を求めた.測色は処理前,処理5分後,10分後に行った(処理前の値をL*0,a*0,b*0,処理5分後の値をL*5,a*5,b*5,処理10分後の値をL*10,a*10,b*10とする).各値から処理前後の差を求め,ΔE*abを算出し,色の変化および漂白効果を判定した.L*値において,L*5とL*10はL*0と比較し有意に増加した.b*値において,b*5,b*10がb*0と比較し有意に減少した.色差値は,ΔE*ab5が3.84(SD±1.58),ΔE*ab10が6.15(SD±2.29)と非常に高い漂白効果を示した.以上の結果より,本研究の条件下において,ピレーネ®は髄腔内からの無髄歯漂白に有効であり,より安全に漂白を行うことができることが示唆された.
  • 飯島 正, 川崎 孝一
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 1 号 p. 88-98
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    生活歯髄切断法(生活断髄法)とは,切断された歯髄に薬剤か歯科材品を貼布して残存歯髄を保護することを意味している.多くの材品や薬剤が覆髄剤(材)としていままで使用されてきた.水酸化カルシウムは,最も普通で最良の覆髄剤(材)として一般に認知されている.この水酸化カルシウムの一つの大きな欠点は,新生デンティンブリッジにおいて変性,壊死組織を伴う小孔や裂隙の存在する発生学的構造がみられることである.本研究の目的は,切断された歯髄に象牙質削片と水酸化カルシウムとを同時に用いることによって起こる反応を,組織学的に調べることであった.カニクイザルの健全幼若永久歯42本の歯髄に水酸化カルシウムや,象牙質削片,前者の2つの材品を併用して覆髄し,術後3,7,14,28日,4,5カ月後において評価した.組織学的な検索は6〜8μm厚さの脱灰連続パラフィン切片のヘマトキシリン・エオジン染色,Bielschowsky-Per-drau鍍銀染色とグラム染色を行った.その結果,以下の知見を得た.1.水酸化カルシウム貼付では,術後7日以降において初期のデンティンブリッジは歯髄の壊死層下に著明に形成され,細胞の封入,血管,細い空隙構造を伴う骨様象牙質が発現した.2.象牙質削片を断髄組織に直接応用した場合は,隣接歯髄組織の壊死や接触組織の炎症反応はほとんど起こらなかった.早期には,象牙質粒子はマクロファージ様細胞によって貪食されているように思われた.断髄14日後には,新生血管を伴う線維性肉芽組織の増生と,象牙質削片の周囲に石灰化がみられた.3.術後4,5カ月では,象牙質削片が断髄部に直接応用されて,さらに水酸化カルシウム材品が積層された実験群では,完全なデンティンブリッジが形成されるとともに歯根歯髄は健全状態を維持していた.これらの被験歯では,歯冠部と歯髄側をつなぐ小孔や裂隙はより少なく,歯冠部デンティンブリッジを継続的に形成するのに明らかに有効であった.これらの結果は,感染のないきれいな象牙質削片と水酸化カルシウム材品とを露出歯髄に直接貼付することでは生体組織親和性を有し,新しいデンティンブリッジをうまく形成しうることを示唆した.
  • 八重柏 隆, 藤本 淳, 矢菅 隆利, 藤原 英明, 國松 和司
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 1 号 p. 99-104
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    われわれは,培養歯髄細胞が細胞密度の高い結節を形成してから石灰化すること,同石灰化部位およびその周辺部にアポトーシスに関連するTNF-α receptor, Fas, Fas-ligandなどが発現し,アポトーシス検出キットでも陽性所見を示すことを,これまでの報告で明らかにした.しかし,培養歯髄細胞における結節形成とアポトーシスの関連性については不明であったため,今回は結節形成とアポトーシス発現との関連性を検討した.歯周炎患者の歯周治療のために抜髄した歯髄組織からoutgrowthした線維芽細胞様細胞を検索対象とした.培地としてD-MEM培地を用い,5〜9代まで継代した細胞を8週まで培養した.対照群はD-MEMのみで培養し,実験群はアポトーシスにいたる経路の最終段階で活性化するCaspase3阻害剤を添加した同培地で培養した.培養開始時より位相差顕微鏡による結節の形成過程を記録した.4週の段階でCaspase3活性をFITCで染色し,レーザー顕微鏡で観察した.結節数の変化については,平均値の差の検定を用いて統計処理した.その結果,対照群,実験群ともに経時的に結節を形成し,有意に結節数は増加した.培養開始後3週以降の時点で,実験群の結節形成数はコントロール群よりも有意に少なかった.Caspase3活性は両群とも,培養開始4週の結節形成部で検出された.これまで培養歯髄細胞のアポトーシスは,石灰化に伴って生じると考えられていた.しかし今回の結果から,結節形成の過程においてアポトーシスが発現していることが示唆された.
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