日本歯科保存学雑誌
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51 巻 , 2 号
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原著
  • 冨永 貴俊, 向井 義晴, 杉崎 新一郎, 岩谷 いずみ, 鈴木 勝, 寺中 敏夫
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 2 号 p. 123-129
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    エナメル質の脱灰過程における硬さの減少率はミネラルの減少率を上回り,ミネラル密度と断面硬さの平方根との間に関係式が成立することが報告されている.しかしながら,再石灰化過程におけるミネラルプロファイルと硬さプロファイルとの関連を調べた報告は少ない.本研究の目的は,再石灰化過程におけるエナメル質のミネラル密度の回復と断面硬さの回復とを比較検討することである.ウシ歯冠部エナメル質をエポキシ樹脂に包埋後,試験面を耐水研磨紙により研磨した.表層下脱灰病巣は,乳酸ゲルを用い37℃の恒温槽にて10日間静置して作製した.その後,再石灰化溶液に37℃で2週間浸漬した.脱灰および再石灰化期間終了後,試片を薄切し,顕微エックス線装置にてTransversal Microradiography(TMR)撮影を行い,分析用ソフトを使用してミネラルプロファイルを作成した.同様に,超微小押し込み硬さ試験機を用い,断面硬さ測定を行い,硬さプロファイルを作成した.TMR画像では典型的な表層下脱灰病巣が確認され,再石灰化溶液浸漬2週間後では病巣のエックス線不透過性が上昇し,ミネラル喪失量の減少も確認された.ミネラルおよび硬さプロファイルの比較では,2週間の再石灰化後では表層および病巣体部のミネラルプロファイルが68〜87%の回復率を示したのに対し,硬さプロファイルでは30〜50%であった.また,病巣深度30μmにおける硬さ測定値からの回復率は30.5%であったのに対し,ミネラル密度を換算式に代入して得た硬さ回復率は39.1%であった.以上の結果は,再石灰化処理2週間という比較的短期間の場合においても,脱灰試験で用いられた硬さからミネラル密度への換算式は当てはまらない可能性があること,および硬さ回復はミネラル回復を下回ることが示された.今後,再石灰化期間をさらに延長した場合のミネラル密度と断面硬さの回復について検討していくことが重要であると考えられた.
  • 川本 諒, 土屋 博昭, 岩佐 美香, 坪田 圭司, 松村 正鴻, 穴田 直仁, 陸田 明智, 宮崎 真至
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 2 号 p. 130-137
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    シングルステップシステムとしてBond Force(BF),Clearfil tri-S Bond(CT)およびG-Bond(GB)を用いて,術者の違いが象牙質接着強さに及ぼす影響について剪断接着試験,破断面の観察および接合界面におけるSEM観察を行うことによって検討した.術者は6名とし,臨床経験5年以上が3名および2年である術者を3名とした.象牙質接着強さは,BFにおいて6.7〜18.4MPa,CTで11.0〜18.6MPaおよびGBで6.9〜14.5MPaであり,すべての接着システムにおいて術者間の接着強さに有意差が認められた.また,接着強さのバラツキは,CTおよびGBでBFに比較して小さくなる傾向が認められた.変動係数においては,臨床経験5年以上の術者では,これが2年である術者と比較して小さい傾向を示した.象牙質接合界面におけるSEM観察では,接着強さの低かった試片では,気泡などの欠陥が観察された.本実験の結果から,供試したシングルステップシステムにおいて,術者の違いによって接着強さに差が生じ,その傾向は接着システムの種類によっても影響を受けることが判明した.
  • 押川 亮宏, 花岡 孝治, 海老原 敬, 松沢 征, 倉田 茂昭, 楳本 貢三, 寺中 敏夫
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 2 号 p. 138-146
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    われわれは,接着層の耐久性向上を目的として,フッ素化合物を添加した4-META(ME),およびMDPを含むHEMA-エタノールベースプライマーおよびBis-GMA/TEGDMA(Bis/3G)からなるボンディング材を試作して接着性を評価した結果,プライマーへの2,2,2-trifluoroethyl methacrylate(FM)の添加が象牙質接着の耐久性向上に有効であることを報告した.しかし,FMを添加したプライマーとボンディング材の親和性については不明な点がある.本研究では,FMを添加したプライマーにより処理された象牙質に対するボンディング材の浸透,拡散性の改善を目的として,粘性の異なるBis/3G,UDMA(UD)およびUD/3Gのボンディング材を用い,接着層の耐久性を評価した.ウシ歯冠部象牙質をFM未添加のMDPプライマー,およびMEプライマーにFMを0,0.5,1.0および5.0wt%添加した計5種でそれぞれを処理後,Bis/3G,UD,およびUD/3Gの3種試作ボンディング材を塗布,光照射後,Clearfil AP-Xを接着し,試験片とした.各試験片は,接着1日,6カ月水中保管および4℃/60℃のサーマル試験後,クロスヘッドスピード1mm/minにて剪断接着強さを測定した.全試験条件で,MEプライマーはMDPプライマーより有意に高い象牙質接着を示した.MEプライマーへのFMの添加では,ボンディング材の違いにかかわらず6カ月保管,サーマル試験後も有意な低下を示さず,ほぼ安定した接着強さを維持していた.さらに,5.0wt%FMとUD/3Gの併用では,最も高い接着力の維持が認められた.一方MDPプライマーでは,ボンディング材の違いによる明確な違いは認められなかった.以上のことから,FMを添加したMEプライマーとUD/3Gボンディング材の組み合わせが,象牙質に対し最も耐久性のある接着層を形成した.
  • 石村 瞳, 福元 康恵, 菊地 和泉, 吉岡 隆知, 高橋 英和, 須田 英明
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 2 号 p. 147-155
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    目的:本研究の目的は,ガンマ線照射した歯について,根管洗浄の効果および根管充填の封鎖性を評価することである.材料および方法:<実験1>技去ウシ前歯20本を非照射群,60Gy照射群,3kGy照射群,および30kGy照射群の4群に分類した.被験歯をすべて縦断し,6% NaClO(洗浄群)あるいは精製水(精製水群)で根管洗浄を行った.洗浄終了後,被験歯象牙質のSEM像を評価し,スコア化した.スコア値についてロジスティック回帰分析を用いて有意水準5%で統計学的に解析した.<実験2>抜去ヒト下顎小臼歯94本のうち4本をコントロール群とし,残り90本を非照射群,ガンマ線照射後根管充填群,および根管充填後ガンマ線照射群に分類した.それぞれの群をさらに10本ずつ3群に分類し,ガッタパーチャポイント(GP)+シーラペックス(A群),Resilon™+Epiphany™シーラー(B群),あるいはGP+MetaSEAL™(C群)を用いて根管充填を行った.根管充填終了後,0.06%メチレンブルー溶液を注入したポリプロピレンチューブを歯根上部に取り付け,根尖部2mmがガラス容器内の精製水に浸漬するように実験系を設定した.浸漬後1,4,8,15および30日目に,歯根を通じて精製水中へ溶出した色素の吸光度を分光光度計にて測定し,ANOVAおよびTukey-Kramer法を用い,有意水準5%にて統計解析を行った.結果:<実験1>洗浄群と精製水群ではそれぞれ,非照射群と3kGyおよび30kGy群間のスコア値に有意差が認められた.また,照射の有無,線量にかかわらず,洗浄群と精製水群間には有意差が認められた.<実験2>実験開始後30日目におけるメチレンブルー漏洩量は,いずれの照射群でも,A群とC群間で有意差を認めた.いずれの根管充填群でも,非照射群,ガンマ線照射後根管充填群および根管充填後ガンマ線照射群間でメチレンブルー漏洩量に有意差は認められなかった.結論:本研究の結果,治療用ガンマ線照射によって根管洗浄効果および根管充填の封鎖性は影響を受けないことが明らかとなった.また,歯根に高線量のガンマ線を照射した場合,根管洗浄効果に変化が生じることが示唆された.
  • 吉嶺 嘉人, 松本 妃可, 西垣 奏一郎, 小野 真紀子, 後藤 千里, 磯辺 量子, 赤峰 昭文
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 2 号 p. 156-162
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は,円錐型チップ(内径300μm)を装着したEr:YAGレーザーを,抜去したヒトの歯およびウシの象牙質片に照射した際の影響を調べることである.Kファイルを用いて機械的に拡大したヒトの歯に,エアーおよび注水なしで,30mJまたは40mJの表示エネルギー値で照射した.その後,試料を長軸方向に切断し,走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した.SEMの観察結果は,スミヤ一層の除去と象牙細管の開口を伴うクレーターの形成を示したが,溶解,亀裂,炭化などの所見はみられなかった.レーザーによって開口した象牙細管の大きさは,EDTAを用いた化学的洗浄時に比べて小さかった.さらに,チップと象牙質片の間に隙間ゲージ(50,100,150μm)を介在させて象牙質表面にEr:YAGレーザーを照射した.レーザー顕微鏡による解析で,チップと根管壁との間の距離がEr:YAGレーザーの蒸散効果に大きく影響することが明らかとなった.以上の結果は,円錐型チップとEr:YAGレーザーの併用は,根管内のスミヤ一層を除去するのに適した器材であることを示している.さらに,根管の根尖側1/3では,根管壁を効率的に清掃するために,拡大された根管のサイズに適合したチップを用いることが必要であることが示唆された.
  • 武内 ひとみ, 松井 智, 辻本 恭久, 松島 潔
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 2 号 p. 163-168
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    近年,根管貼薬剤は,刺激の強いホルマリントリクレゾールから,生体親和性,抗菌性,硬組織形成促進作用を有する水酸化カルシウム[Ca(OH)2]が広く用いられるようになってきた.一方,根管洗浄剤には,細菌をはじめとする根尖性歯周炎の再発の原因となる根管内の有機質を効果的に除去できる次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)が広く用いられている.NaClOの有機質溶解作用は活性酸素種の一つである次亜塩素酸(HClO)によるもので,その効果は,洗浄中に発生するフリーラジカルの量に依存すると考えられている.また,NaClO溶液中のHClO濃度は水素イオン濃度(pH)に依存すると考えられており,pH2.7〜6.5の間でHClO濃度が最も高くなり,pH8.0以上では,ClO-濃度が増加し,有機質溶解作用は減弱する.そこで本研究では,有機質としてゼラチンを用いて,NaClOの有機質溶解作用に与える影響について検討を行った.5% NaClO[0mg-Ca(OH)2群],5% NaClOに1mg/mlのCa(OH)2を添加した群[1mg-Ca(OH)2群],5% NaClOに0.1mg/mlのCa(OH)2を添加した群[0.1mg-Ca(OH)2群],5% NaClOに0.01mg/mlのCa(OH)2を添加した群[0.01mg-Ca(OH)2群]をゼラチンに作用させた.ゼラチン溶解において,1mg-Ca(OH)2群と比較し,0mg-Ca(OH)2群において溶解量に有意差が認められた(p<0.01).また, Ca(OH)2の濃度に依存し,pHの上昇が認められた.発生したフリーラジカル量は,電子スピン共鳴法を用いて測定を行った.Ca(OH)2の濃度に依存し,DMPO-Xの発生増加が認められ,経時的にDMPO-Xの減少が認められた.これらの結果から,Ca(OH)2の添加により,NaClOのゼラチン溶解量は抑制されることが示唆できた.
  • 早川 達也, 富田 文仁, 興地 隆史
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 2 号 p. 169-176
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    近年各種の歯質接着性レジン系根管充填材が開発されているが,再根管治療時にはこれらの除去が大きな問題となりうる.一方,ニッケルチタン(NiTi)ロータリーファイルはガッタパーチャ除去に有用と考えられているものの,これらのレジン系根管充填材除去能については限られた報告がみられるのみである.そこで本研究では,NiTiロータリーファイルの有用性を,除去所要時間,根管充填材残存量および偶発事故の頻度から評価した.固形根管充填材として,Resilon(RE)および06もしくは04テーパーのガッタパーチャポイント(それぞれGP,04GP)を,またシーラーとしてEpiphany(EP),SuperBondシーラー(SB)およびCanals N(CA)を実験に供した.透明レジン製規格根管模型(湾曲30度)96個を#25/06テーパーまで形成後,RE+EP,RE+SB,GP+SB,04GP+SB,GP+CA,04GP+CAの6群(各n=16)に分け,おのおの単ポイント根管充填を行った.これらをさらに各2群(n=8)に分け,それぞれProTaper Retreatment File(以下,ProTaper)もしくはK3を用いたクラウンダウン法により根管充填材の除去を行った.除去所要時間を計測するとともに,除去後の根管壁をデジタル画像化し,根尖より垂直方向に0〜2,2〜4,4〜6mmにおける根管充填材の残存量を5段階のスコアで評価した.また,ファイル破折およびレッジ形成の頻度を記録した.除去所要時間はすべての群でProTaperがK3より有意に短時間であった.また,PTを用いた場合は04GP+CA群,RE+SB群が,またK3ではGP+SB群がRE+EP群と比較して有意に短時間で除去された(分散分析およびFisher's PLSD test,p<0.05).根管充填材残存量については,根尖から2〜4mmもしくは4〜6mmの位置で,GP+CA群が一部の他群と比較して有意に多量であった(Steel Dwass検定,p<0.05).ファイル破折,レッジ形成は各3例に生じた.以上より,ProTaper Retreatment FileおよびK3は,レジン系根管充填材除去に適用可能であることが示唆されたが,その安全性についてはさらなる検討が必要と考えられる.
  • 小泉 智也, 村井 宏隆
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 2 号 p. 177-190
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    近年,患者の審美的要求の高まりやMinimal Intervention(MI)の概念から,最小限の切削で修復するコンポジットレジン修復が注目されるようになってきた.このため,審美修復においてもコンポジットレジンを用いた修復が多用されるようになってきている.患者が満足する天然歯に類似したより高度な審美修復を行うため,周囲の色がコンポジットレジンに与える影響を考慮した色調選択が重要である.コンポジットレジンは半透明性材料であるため,背景色の影響を受けることが知られている.よって,種々の条件の異なった窩洞に充填したコンポジットレジンの色調を検討することは,天然歯と調和したコンポジットレジン充填を行うために重要である.本研究は,コンポジットレジン修復物の色に円柱窩洞の色と大きさが与える影響について実験を行った.実験では,3種のコンポジットレジンを使用して,白色,黒色の直径と深さの異なる円柱窩洞を規格窩洞として,コンポジットレジンの色を測定することで,コンポジットレジンの修復物の色に円柱窩洞の大きさと窩壁の色が与える影響について検討した.結論として,1.円柱窩洞のコンポジットレジン修復物の色は窩壁色や窩洞形態の影響を受けることが示唆された.2.窩洞の大きさ,深さが異なることで,コンポジットレジン修復物の色への窩底,窩壁の色の影響が変化することが示唆された.3.窩壁や窩洞形態の影響を考慮したコンポジットレジン修復物の色の選択を行う必要性が認められた.
  • 相原 英信, 貴美島 哲, 奈良 陽一郎, 勝海 一郎
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 2 号 p. 191-202
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    従来より齲蝕罹患象牙質の除去状態を鑑別する指標には,齲蝕検知液による染色度が用いられてきた.一方,近年レーザー光を用いて罹患歯質の有無を判別し,数値によってこれを表示するDIAGNOdent™が登場し,客観的な齲蝕診断装置だけではなく,齲蝕象牙質削除の指標としての活用とその有用性が期待されている.そこで本研究は,3種レジン接着システムの齲蝕象牙質に対する接着強さを,表層から深層にわたり複数回断続的に測定しながら,各時点におけるDIAGNOdent™値および齲蝕検知液染色度を求めることによって,それら三者間の関係ならびにDIAGNOdent™の齲蝕象牙質削除時における識別指標としての有用性について検討した.レジン接着システムには,クラレメディカルのクリアフィル・メガボンド(CMB),クリアフィル・トライエスボンド(TRS),ABF(ABF)を用いた.また,0.1%チモール水溶液中に1年未満保管したヒト抜去犬歯および小臼歯のなかから,中等度の歯頸部象牙質齲蝕を有する歯を選択し用いた.なお,齲蝕検知液による染色度の客観的指標化の一法として,クラレメディカルの齲蝕検知液Caries Detector®の1/2n(n=1〜15)希釈液15種を作製し,これを内径1mmのガラス細管に封入し染色度の色見本として用いた.実験は歯頸部齲蝕部のDIAGNOdent™値(D1値)の測定,齲蝕検知液による染色度の測定(C値),D値の再測定(D2値),Portable Adhesion Testerを用いたレジン接着システムの引張り接着強さの測定(BST値),齲蝕象牙質染色部の臨床的切削,これらを1セットとし,各被験象牙質がC値n=10以上になるまでこの操作を複数回繰り返した.1. D2値とC値の関係:D2値とC値との両者間には,有意(p<0.01)な負の相関が認められたものの,それらの相関係数(r)は-0.238にとどまった.D2値はC値に比べ明確な規則性は弱く,DIAGNOdent™を齲蝕象牙質削除時の鑑別指標として単独で応用することは,現時点において適切とはいえないことが示唆された.2. C値とBST値の関係:C値とBST値との両者間には,システムにかかわらず有意(p<0.01)な正の相関が認められ,齲蝕象牙質第二層への近接に伴うC値の増大に従ってBST値は増加することが判明した.また,C値=10におけるBST値は,CMB/25.3MPa>ABF/25.1MPa>TRS/20.5MPaの順に大きな値を示したものの,3種レジンアドヒーシブシステム間には統計学的有意差は認められなかった.3. D2値とBST値との関係:D2値とBST値との両者間には,CMBにおいて有意(p<0.01)な負の相関が認められたが,TRSおよびABFにおいては有意な相関が認められなかった.
  • 福嶋 千春, 大場 志保, 飯泉 淳, 藤田 光, 水野 恭子, 鈴木 英明, 平山 聡司, 池見 宅司, 野浪 亨
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 2 号 p. 203-209
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    生活歯漂白剤の研究に関して,臨床的な結果を単に漂白効果の判定の指標として応用することは,個体差,着色物質,着色程度の違いがあるために困難と考えられる.そして,in vitroの漂白実験においても,エナメル質の構造的な特性から,短期間に個体差のない均一な着色エナメル質を得ることが難しく,漂白効果判定のスタンダードとなる代替試料が求められている.著者らは,褐色鶏卵卵殻が生活歯漂白の評価試料の一つとして有効な手段と考え,卵殻の構造,着色の安定性,測色器を使用した漂白効果について報告し,その可能性が示唆された.そこで今回,コンポジットレジン重合用のハロゲンランプ光照射器を用いて,本邦で市販されている2種類のオフィスブリーチング剤に関する,光照射時間と漂白効果の関係を褐色鶏卵卵殻で調べることを目的として実験を行った.漂白効果に関しては,測色器を用いて,各照射時間のL*,a*,b*値を求め,漂白前と後のΔL*,Δa*,Δb*値および色差で評価し,褐色鶏卵卵殻で得られる漂白効果の判定法について検討した.その結果,以下の結論を得た.1. 今回使用した光重合照射器で,松風ハイライトは4分程度の光照射が漂白に適しているものと考えられた.2. 今回使用した光重合照射器で,ピレーネは照射時間を長くするほど効果的に漂白できるものと考えられた.本実験条件では,最大9分で最も効果が認められた.3. 褐色鶏卵卵殻の漂白では,漂白前と後のΔL*値で漂白効果判定ができるものと考えられた.
  • 高見澤 俊樹, 渡邉 孝行, 森 健太郎, 辻本 暁正, 色川 敦士, 前田 徹, 長谷川 賢, 宮崎 真至
    原稿種別: 原著
    2008 年 51 巻 2 号 p. 210-217
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー
    暫間修復物の装着には仮着用セメントが用いられるが,これが歯面に残留すると,装着に用いられる合着用セメントの歯質接着性を阻害する因子となることが知られている.さらに,最近では歯面処理を行うことなくその接着性を向上させる,いわゆるセルフアドヒーシブ機能を特徴とした合着用セメントも市販されている.これらの合着用セメントにおいても,仮着用セメントの歯面からの除去法の違いによって,接着性に影響を及ぼす可能性はあるものの,その詳細については不明な点が多い.そこで著者らは,試作の仮着用セメントを象牙質に適応後,セルフアドヒーシブ機能を有する合着用セメントを含んだ市販の4製品を用いて,仮着用セメントの除去法の違いが象牙質接着性に及ぼす影響について,剪断接着強さを測定するとともに考察資料としてSEM観察を行った.その結果,以下の結論を得た.1. 仮着用セメントを適用しない合着用セメントの剪断接着強さは,6.0〜10.5MPaの範囲を示したものの,仮着用セメントを使用した場合では2.8〜9.0MPaであった.2. 仮着用セメントの除去法および合着用セメントの違いによって,象牙質接着強さに有意差が認められた.3. 仮着用セメントの除去法の違いによる接着強さは,超音波スケーラーを用いた群で有意に高い値を示した.また,接着試験後の破壊形式は界面破壊が大勢を占めた.4. 象牙質歯面のSEM観察から,除去法の違いによって形態的な違いが観察され,超音波スケーラーを用いた群で最も安定した被着面性状を呈した.
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