日本歯科保存学雑誌
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52 巻 , 2 号
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原著
  • 石村 瞳, 吉岡 隆知, 須田 英明
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 2 号 p. 131-137
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    目的;本研究の目的は,新たに開発されたレジン系シーラーMetaSEAL™(Parkell,USA)と各種根管充填材料との根管封鎖性を比較検討することである.材料および方法;被験歯として,抜去後水中保管したヒト下顎小臼歯32本を用いた.歯冠を切除し,歯根長を12mmに調整した.根管形成後,被験歯のうち28本を7本ずつA〜Dの4群に分類し根管充填を行った.残りの4本はコントロールとした.コントロール群のうち2本は根管形成を行わず,歯冠切断面をパラフィンワックスで覆いネガティブコントロールとし,ほかの2本はポジティブコントロールとした.A群Resilon™(Pentron,USA)+Epiphany™シーラー(Pentron):側方加圧充填法B群ガッタパーチャポイント(GP,ジーシー)+シーラペックス(SybronEndo,USA):側方加圧充填法C群GP+スーパーボンド根充シーラー(サンメディカル):シングルポイント充填法D群GP+MetaSEAL™:シングルポイント充填法根管充填終了後,0.06%メチレンブルー溶液を注入したポリプロピレンチューブを歯根上部に取り付け,根尖部2mmがガラス容器内の精製水に浸漬するようにした.浸漬後1,4,8,15日および30日後に,歯根を通って精製水中へ溶出した色素の吸光度をマイクロプレートリーダーにて測定し,ANOVAおよびTukey-Kramer法を用い有意水準5%にて統計解析を行った.結果;色素漏洩について,根管充填材の種類および日数の経過に関して統計学的有意差が認められた(p<0.05).また,30日後の漏洩量はD群がほかの3群よりも有意に少なかった(p<0.05).結論;本研究の結果,MetaSEAL™を用いた根管充填では,ほかのシーラーを用いた根管充填と比較し,良好な根管封鎖性を示した.
  • 菊池 百美, 齋藤 淳, 松本 信哉, 早川 裕記, 上島 文江, 益田 仁美, 佐藤 陽子, 古澤 成博, 槙石 武美
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 2 号 p. 138-144
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    現在,医療において生活の質(Quality of Life:QOL)に焦点をあてた臨床・研究の重要性が高まりつつある.歯周治療では従来,患者の生物医学的データは重要視されてきたが,QOLを客観的に評価する試みは少なかった.患者中心の包括的な歯周治療を行うためには,QOLを含めた心理・社会・行動面に対する認識が必須であると思われる.そこで本研究では口腔関連QOLの歯科衛生モデル(OHRQL)を使用し,歯周炎患者のQOL評価を試み,その意義について検討した.歯周炎患者31名(平均年齢54.1歳,男性10名,女性21名)を対象とし,初診時にOHRQL質問紙の日本語版を使用し,口腔関連QOLのアセスメントを行った.また,担当歯科医師および歯科衛生士を対象に,OHRQL導入に関する意識調査を実施した.その結果,歯周炎患者群のOHRQLスコアは,健常者群のスコアに比べて有意に高い値を示しており,QOLに問題があると思われた.OHRQL領域ごとのスコアの比較では特に「痛み」「食事・咀嚼」「心理的機能」に問題を抱えている傾向が認められた.OHRQLスコアとプロービングデプス4mm以上の部位率との間には有意な関連が認められた.「健康認識」領域の回答では,約6割が自身の口腔の健康状態は悪いと認識していた.担当歯科医師および歯科衛生士に対する意識調査の結果,すべての担当者はアセスメント後,口腔関連QOLは臨床的・教育的に意義があるとの認識を示していた.以上のことから,OHRQLのアセスメントを臨床に導入し,歯周炎患者の口腔関連QOLの客観的な評価を行えることが示唆された.OHRQLの各領域に対応した介入を計画,実施することにより,歯周炎患者個別のQOLに配慮した歯周治療の展開が可能になると思われた.
  • 高見澤 俊樹, 辻本 暁正, 角野 奈津, 大山 幸治, 島村 穣, 山口 佳奈子, 井上 直樹, 宮崎 真至, 穴田 直仁
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 2 号 p. 145-153
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    近年,操作ステップ数を減少させた2あるいは1ステップセルフエッチ接着システムが開発され,臨床使用頻度も増加している.これらの接着システムの性能評価法の一つとして,歯質接着性試験が広く行われている.この試験によって得られる接着強さには多くの影響因子があり,試験法あるいは使用される歯などの関与について報告されている.歯質接着性試験の国際的な規格として,ISO/TS 11405:2003(E)が提案されている.この規格の項目の一つに,接着試験時に用いるコンポジットレジンの填塞法については記載があるものの,使用されるコンポジットレジンの種類についての記載はなく,その選択に関しては各研究によって異なっているのが現状である.そこで著者らは,接着界面を構成するコンポジットレジンの種類が,測定された接着強さに及ぼす影響について検討した.すなわち,セルフエッチシステムを用いて,異なるコンポジットレジンを接着させた際の剪断接着強さの測定を行うとともに,破断面および接着界面について走査電子顕微鏡(以後,SEM)を用いて観察した.また,コンポジットレジンの曲げ強さ試験を行い,この結果を接着試験の考察資料とした.その結果,以下の結論を得た.1.コンポジットレジンの種類の違いは,接着強さに影響を及ぼした.2.破壊形式は,エナメル質においてはいずれの条件においても界面破壊が大勢を占めたものの,象牙質では接着システムと使用したコンポジットレジンの組合せによってその破壊形式は異なる傾向を示した.3.コンポジットレジンの曲げ強さおよび弾性率は,接着強さの高かったコンポジットレジンで有意に高い値を示した.4.破断面のSEM観察の結果,接着システムによってその破断様式は異なる傾向を示した.
  • 金子 友厚, 興地 隆史, 砂川 光宏, 金子 実弘, Uraiwan CHOKECHANACHAISAKUL, 河村 隼, 須田 英明
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 2 号 p. 154-160
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    著者らは前報において,ラット臼歯正常歯根膜を検索対象として,抗原提示細胞に関連する各種免疫機能分子,およびtoll-like receptor 4(TLR4)のmRNA発現量をリアルタイムPCR法にて定量し,いずれも根分岐部における発現量が最も高いことを報告した.本研究においては,歯髄の感染に継発する根分岐部病変の発症段階において,免疫応答の実態を検索することを目的としてラット臼歯を1日間露髄開放し,正常時と露髄開放後の分岐部歯根膜におけるmajor histocompatibility complex(MHC)クラスII分子,CD86,CD83,TLR4,TLR2およびinterferon(IFN)-γ mRNA発現を,リアルタイムPCR法を用いて定量,比較した.その結果,以下の結論を得た.1.MHCクラスII分子,CD86,CD83,TLR4およびTLR2のmRNA発現は,露髄開放1日経過後で有意に増加した.特にTLR2 mRNAの発現増加が顕著に認められた.一方,IFN-γのmRNAには,有意な変化は認められなかった.2.ラット臼歯の根分岐部歯根膜に存在する抗原提示細胞が,歯髄の感染に起因する細菌刺激侵襲に応じて,すみやかに成熟度や活性化度を増加させることが示唆された.
  • 大橋 桂, 二瓶 智太郎, 森 梨江, 倉田 茂昭, 楳本 貢三, 寺中 敏夫
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 2 号 p. 161-167
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    マトリックスレジン/シリカフィラー界面の接着強さを調べる目的で,3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(3-MPS)を用いて酢酸,リン酸およびアンモニア水を触媒として加えた後の処理効果を検討した.3-MPSを50mmol/lエタノール溶液に調製し,種々の濃度に調製した各触媒を添加後,ガラス表面を処理し,コンポジットレジンを接着した際の引張接着強さおよび処理面に対する混合レジンモノマー(50%Bis-GMA,50%TEGDMA)の接触角を測定した.その結果,5.0vol%リン酸および5.0vol%アンモニア水をそれぞれ10.0vol%添加したときに,コントロール群(触媒未添加群)と比較して水中保管では有意に高い接着強さを示し(p<0.05),かつサーマルストレス後も有意な低下は示さなかった.また,触媒添加後の接触角はすべての添加群でコントロール群と比較して有意に低い値であった(p<0.05).以上より,5.0vol%リン酸を触媒に用いると効果的にシランカップリング剤の処理効果を高めることができると示唆された.
  • 米田 雅裕, 泉 利雄, 鈴木 奈央, 内藤 徹, 山田 和彦, 岡田 一三, 岩元 知之, 桝尾 陽介, 小島 寛, 阿南 壽, 廣藤 卓 ...
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 2 号 p. 168-175
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    歯科医療では観血処置の頻度が高く,注射針や鋭利な器具の使用により針刺し・切創の危険もある.血液媒介感染の危険のある針刺し・切創等を効果的に防止するためには,施設における現状把握とその対策の評価を行う必要がある.今回,福岡歯科大学医科歯科総合病院の感染制御チーム(ICT)が中心となって,本院の針刺し・切創等の事故状況を分析し,さらに改善策を検討してその効果を確認した.平成14年から平成19年に本院で提出された感染事故報告書を基に集計を行った.6年間で計80件の針刺し・切創が報告され,月別では11月,曜日別では火曜日,時間帯では午前11時台に多く発生していることが明らかになった.事故に関連した器材では注射針が最も多く,縫合針,スケーラーチップ・バー類がこれに続いた.受傷者の職種別割合では医師・歯科医師が最も多く,臨床実習に参加している短期大学学生,歯学部学生がこれに続いた.事故時の作業内容では片づけ中が最も多かったが,これは実習生が片づけに参加していることも原因の一つだと考えられる.これらの現状を踏まえ,本学では医療安全に関するマニュアルの整備を行い,針刺し・切創防止のための講義や講演会を実施している.さらに平成17年からは注射針の取り扱いを職員に限定し,実習生の注射針の取り扱いを禁止した.その結果,平成18年から平成19年にかけて針刺し・切創が減少し,特に短期大学学生による事故が減少した.一方,事故が発生しても未報告のケースもあると考えられるので,今後は,事故が発生したときには迅速な報告を促す必要があると思われる.また,ヒューマンエラーはゼロにできないことから安全装置の開発や導入も必要であると考えられる.
  • 山本 俊郎, 山本 健太, 赤松 佑紀, 中西 哲, 大迫 文重, 喜多 正和, 金村 成智
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 2 号 p. 176-183
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    これまでにわれわれは,ヒト歯根膜由来細胞(hPDL細胞)がヒト咬合圧に近似したメカニカルストレス(力学的負荷)や歯周病原菌Porphyromonas gingivalisに対しサイトカイン産生能を有し,歯周組織の局所炎症や外傷性咬合に影響を与えることを報告した.そこで今回は,hPDL細胞でのサイトカイン産生について生体に対して過剰なメカニカルストレスの影響および歯周病原因子である歯周病原菌P.gingivalisとメカニカルストレスに関して検討を加えた.hPDL細胞は,患者に対して同意を得たうえで歯根膜の組織片を採取,10% FBSDMEMで初代培養を行い,継代培養後に1×105CFU/mlで播種,コンフルエントに達した後,静水圧(1,6,10,50MPa)を負荷した(メカニカルストレス単独刺激群とし,以下,単独刺激群).さらに,P.gingivalis(1×107CFU/ml)を用いて24時間の細菌刺激を行った(メカニカルストレスとP.gingivalis複合刺激群とし,以下,複合刺激群).その後,炎症性サイトカインIL-1β,6,8,TNF-αに関してRT-PCR法およびELISA法,負荷前後の細胞形態を鏡検にて確認した.なお,hPDL細胞の使用に関しては,当大学における人間を対象とする医学研究審査委員会より承認ずみである.単独刺激群ではIL-6,IL-8,TNF-α mRNAが発現,複合刺激群ではすべての炎症性サイトカインmRNAを発現誘導した.そして単独刺激群のIL-6,IL-8産生量は,メカニカルストレスが強くなると増加した.また複合刺激群は,単独刺激群に比べてIL-6,IL-8産生量の増加を認めた.またhPDL細胞は,6MPaおよび10MPa負荷後において形態学的な変化をほとんど認めなかったが,50MPa負荷後ではほぼ紡錘状の形態を有するものの,一部細胞が培養皿から剥離していた.以上から,hPDL細胞の炎症性サイトカイン産生は,メカニカルストレスの強さの影響を受けるとともに,メカニカルストレスよりも歯周病原菌P.gingivalisの影響を強く受けることが判明した.このことから,歯根膜の局所炎症には歯周病原菌の影響が強く,メカニカルストレスはこれを助長する因子である可能性が高いと考えられた.
  • 韓 臨麟, 福島 正義, 興地 隆史
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 2 号 p. 184-189
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    本研究では,酸性もしくはアルコール性ドリンク浸漬後の表層部粗糙化を指標として,フッ化物非含有かつフィラー含有率を向上させた新規フロアブルレジンの表面安定性を,既存の製品と比較しながら評価した.供試材料として,新規フロアブルレジンUniFil MI Flow(MIF,ジーシー),既存のフロアブルレジンとしてUniFil LoFlo Plus(ULP,ジーシー),Clearfil Majesty LV(MJLV,クラレメディカル),Estelite Flow Quick(EFQ,トクヤマデンタル),さらに対照として従来型コンポジットレジンClearfil Majesty(MJP,クラレメディカル)を用いた.また,浸漬用ドリンクには,ウイスキー(pH6.2,アルコール40%),白ワイン(pH3.6,アルコール12%)およびオレンジジュース(果汁100%,pH3.2,アルコール非含有)を使用した.#1200まで表面を研磨した円盤状硬化試片(直径10mm,厚さ1mm)を標準面試片とし,これらを浸漬用ドリンク100ml中にスターラーで攪拌しながら,室温(23〜25℃)で14日間浸漬した.その後,走査電子顕微鏡による表面観察,および走査型共焦点レーザー顕微鏡を用いた表面粗さ(Ra)の測定を行った.その結果,MIFの表面性状は,オレンジジュース,ワイン浸漬後は標準面とおおむね同様であり,ウイスキー浸漬後も軽微なフィラーの脱落が観察されるのみであった.一方,ULPではフィラーの脱落やマトリックスレジンの破壊と思われる表面凹凸像が認められた.また,EFQ,MJLVではフィラーの脱落など軽微な粗糙化が観察された.MIFのRa値はULPより有意に低値であったが(P<0.05),EFQ,MJPとは同程度で有意差は示されなかった.以上より,MIFの表面安定性はULPよりも向上しており,EFQあるいはMJPと同程度であることが示唆された.
  • 釜田 朗, 千葉 有, 森川 公博, 齋藤 高弘
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 2 号 p. 190-198
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    大きな欠損を有するClassIII・IV窩洞などの症例では,歯の色調に適合した1種類のコンポジットレジンを選択して充填を行っても,背景色が透過してしまい暗調にみえてしまうことを経験する.背景色を遮断する目的で,レイヤリングテクニックが有効であるが基礎的報告はあまりみられない.以前われわれは,Vitapan Classical shade guideに規格窩洞を形成し,直接レジン充填を行う臨床に近似した基礎的実験系を考案し,レイヤリングテクニックの有用性を報告した.今回は,光重合型コンポジットレジンの色調をVitapan Classical shade guideに近づけた色調改良型コンポジットレジンのFiltek™ supreme DL universal restorative(3M ESPE)を使用し,レイヤリングテクニックの基礎的評価を行った.方法は,Vitapan Classical shade guideを実験歯として窩洞形成を行い,オペークシェードとボディシェードのコンポジットレジンによるレイヤリングの後,測色計でCIE1976L*a*b*値とXYZ値を計測し,ΔE*ab,TP値,コントラスト比を算出した.その結果,以下の結論を得た.1.ΔE*abの結果から,歯の色調がA2の場合,OA3+A2のレイヤリングテクニックが有効であった.歯の色調がA3の場合,OA3+A3またはOA4+A3のレイヤリングテクニックが有効であった.歯の色調がA4の場合,OA4+A4のレイヤリングテクニックとA4のみの単層充填では差はみられなかった.2.TP値とコントラスト比の結果から,ボディシェードのみの単層充填では透明性が増加し,背景色の影響を受けやすくなることが考えられた.3.色調改良型ナノフィラーコンポジットレジンは,前回の実験で用いたナノフィラーコンポジットレジンと比較して色調適合性が向上していた.このことから,レイヤリングテクニックを用いたコンポジットレジン修復を行う際には,歯の色調と比較して同等または少し明度の低いオペークシェードを選択し,その上層に修復する歯の色調に近似したボディシェードを積層することで審美修復が可能となった.また歯の明度が低い場合,それより明度の高いオペークシェードを選択すると色調が不調和になる可能性が示唆された.
  • 大塚 秀春, 市村 光, 石井 麻紀子, 松田 敦至, 三上 晃一郎, 谷田部 一大, 大橋 敏雄, 林 丈一朗, 辰巳 順一, 申 基詰
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 2 号 p. 199-207
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    音波エネルギーを応用した歯ブラシは,現在では広く一般に用いられるようになっている.超音波歯ブラシの臨床的な効果についての報告はこれまでにもあるが,歯周ポケット内の歯周病原細菌に対する影響を調べた研究はほとんどない.超音波歯ブラシDENT.EX systema ultrasonic®は,1.6MHzの超音波発振と高度テーパード毛を特徴としている.バス法で用いることにより,歯周ポケット内のプラークを除去できるようにデザインされている.本研究の目的は,超音波歯ブラシの歯肉縁下の細菌に対する影響を検討することである.被験者は,明海大学歯学部付属明海大学病院に来院した慢性歯周炎患者14名(男性5名,女性9名,35〜69歳,平均年齢48.6±12.4歳)とした.Probing Pocket Depth(PPD)が4mm以上の部位が1ヵ所以上ある小臼歯および大臼歯の56歯を被験歯として,実験側に超音波歯ブラシを,対照側に手用歯ブラシを用いた.ブラッシングは,バス法により1日2〜3回行うよう指示した.診査項目は,(1)Plaque Index(P1I),(2)Bleeding on Probing(BOP),(3)Gingival Index(GI),(4)PPDおよび(5)Gingival Crevicular Fluid量(GCF)および細菌検査としてPCR法による(1)総細菌コピー数および(2)歯周病原細菌(Actinobacillus actinomycetemcomitans,Porphyromonas gingivalis,Prevotella intermedia,Tannerella forsythia)コピー数を診査した.BOP,GIおよびPPDは,両群ともに経時的な改善が認められたが,両群間に有意差はなかった.P1Iの近遠心面に限った比較によると,実験群の4wが有意に改善を示した(p<0.05).実験群の歯周病原細菌コピー数は,経時的な減少傾向がより顕著に観察された.GCFは,4wの実験群において有意に減少した(p<0.05).1.6MHzの超音波歯ブラシが,慢性歯周炎患者の歯周ポケット内の細菌に影響を与えることが示唆された.
  • 帆足 亮太郎, 東光 照夫, 久光 久
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 2 号 p. 208-218
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    2006年末に発売された二酸化チタン(TiO2)を光触媒とする3.5%過酸化水素漂白材は,安全で漂白効果の高い第二世代のOffice Bleach材とされる.二酸化チタンに可視光線を照射して過酸化水素を活性化する方法は,従来のOffice Bleach材とは過酸化水素の活性化方法が異なるが,漂白を効果的に行うために必要な光線の波長や強度に関する報告は少ない.本研究では,二酸化チタン光触媒漂白材と従来からのOffice Bleach材とのヒト抜去歯に対する漂白効果,エナメル表面硬さの変化,走査電子顕微鏡(SEM)による表面性状の変化,漂白材のpH値を比較した.臨床では二酸化チタンは400nm付近の波長光で励起されることから,各種照射器の波長測定を行い,さらに照射時の温度上昇を測定した.また,臨床で二酸化チタン光触媒漂白材の効果を,色調の後戻りを含めて検討した.使用した漂白材は,二酸化チタン光触媒漂白材ピレーネ®(三菱ガス化学)と,従来のOffice Bleach材松風ハイライト™(松風)である.測定対象はヒト抜去歯69本で,これらを色調,硬さ,表面性状の測定・観察用の試片とした.照射光源の特性を把握するために,照射器11種の波長を測定した.照射時の温度上昇は,漂白材を模したペーストに照射して測定した.臨床での漂白は,被験者15名の上顎前歯に対し,ピレーネ®,照射器ZOOM!(Discus Dental,USA)を使用し,測色により色調変化を検討した.漂白終了から2週後,3ヵ月後,1年後にも測色と写真撮影を行った.その結果,抜去歯を用いた色調測定では,ピレーネ®に約400nmの可視光光源を近距離で照射する条件で色差13.1,松風ハイライト™の特性に合わせた照射条件で9.1となった.漂白前後のマイクロビッカース硬さ,SEMによるエナメル面の観察では,両者に差は認められなかった.ピレーネ®のpHは6.13,松風ハイライト™では3.91であった.二酸化チタンの光触媒効果が高いとされる約400nmの波長を発生する照射器は,ハイパーライテル(モリタ)とZOOM!であった.照射時に温度が40℃を超す照射器はなかった.ピレーネ®を臨床応用した際の色調測定後の色差ΔE*abは,3来院分の漂白終了時で4.9,漂白後1年経過で4.0となった.これらからピレーネ®は,エナメル質への侵襲は認められず,波長400nm付近の光照射で松風ハイライト™より高い漂白効果を示した.臨床でも,ピレーネ®は,安全性の高い取り扱い容易なOffice Bleach材として期待できると考えられた.同時にピレーネ®を臨床応用する際は,二酸化チタン光触媒に適した波長の光を発生する照射器の選択が重要であることも明らかになった.
  • 両角 祐子, 山下 穣, 阿部 祐三, 安川 俊之, 竹田 まゆ, 宇野 清博, 佐藤 聡
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 2 号 p. 219-225
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    本研究は,脈動ジェット水流式口腔洗浄器具を用いた歯肉縁上の洗浄が歯肉縁下に及ぼす影響を,歯周組織および歯肉縁下細菌叢の変化で検討した.全身疾患を有さない男性4名,女性4名を対象とし,手用歯ブラシとジェットチップ®を装着した口腔洗浄器具(ウォーターピック®ウルトラJET:WP-10-J,Water Pik,USA)を併用した場合と,手用歯ブラシのみの場合を比較検討した.口腔洗浄器具の使用は,1日1回就寝前,600mlの水道水にて行った.検査項目は,Plaque Index(以下,P1I),Plaque Control Record(以下,PCR),Gingival Index(以下,GI),Bleeding on Probing(以下,BOP),Probing Depth(以下,PD)とし,実験開始時と1,2週間後に測定を行った.細菌学的検索としては,Polymerase Chain Reaction法を用い,Porphyromonas gingivalisの検出を行った.結果,口腔洗浄器具を併用した場合,手用歯ブラシのみの場合と比較し,PCR,P1Iで2週間後に有意な減少を認めた.GI,BOPにおいても口腔洗浄器具を用いた場合のほうが改善がみられた.細菌学的検索では,口腔洗浄器具の併用において,P.gingivalisの検出部位が少なかった.以上の結果から,脈動ジェット水流式口腔洗浄器具を併用した場合,臨床的にプラークの抑制効果があることが示された.また,歯肉溝内の歯周病原細菌の抑制効果があることも示された.これらのことから,脈動ジェット水流式口腔洗浄器具を用いた歯肉縁上の洗浄の歯肉縁下に対する有効性が示された.
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