日本歯科保存学雑誌
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52 巻 , 3 号
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原著
  • 砂田 識敦, 黒川 弘康, 田村 ゆきえ, 田久保 周子, 古賀 賢策, 藤井 雄介, 宮崎 真至, 近藤 貢
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 3 号 p. 229-236
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    スリーウェイシリンジからの圧搾空気中には,微量な水分等の汚染物質が含まれており,そのエアーを用いて歯面を乾燥させると,汚染物質が被着面に残留する可能性が考えられる.そこで,アドヒーシブに対するエアブローがワンステップ接着システムの歯質接着性に及ぼす影響を知ることを目的として,エアブローを診療用ユニット付属のスリーウェイシリンジあるいはCO2スプレーで行うという条件について比較,検討した.供試したワンステップ接着システムは,Bond Force(トクヤマデンタル),G-Bond(ジーシー)およびClearfil tri-S Bond(クラレメディカル)の3製品であり,光重合型レジンとしてはClearfil AP-X(クラレメディカル)を使用した.接着試験にはウシ下顎前歯を使用し,その歯冠部エナメル質あるいは象牙質をSiCペーパー#600まで順次研削し,平坦面を露出させた.この面に,それぞれの製造者指示に従ってアドヒーシブを塗布し,スリーウェイシリンジを用いて(以後,シリンジ群),あるいはCO2スプレーを用いて(以後,CO2群)エアブローを行い,光照射した.次いで,円筒形テフロン型を置き,これにレジンペーストを填塞,ポリストリップスを介して照射を行って接着試片とした.これらの試片は37℃の精製水中に24時間保管した後,万能試験機を用いて剪断接着強さを測定した.また,接着試験後の各接着システムの破断面について,通法に従ってSEM観察を行った.その結果,以下の結論を得た. 1.エナメル質接着強さは,G-Bondにおいてシリンジ群に比較してCO2群で有意に高い値を示した.一方,Bond ForceおよびClearfil tri-S Bondでは,エアブロー条件の影響は認められなかった. 2.象牙質接着強さは,Bond ForceおよびG-Bondにおいてシリンジ群に比較してCO2群で有意に高い値を示した.一方,Clearfil tri-S Bondでは,エアブロー条件の影響は認められなかった. 3.接着試験後の破断面のSEM観察からは,被着体の違いにかかわらず,いずれの製品においてもシリンジ群と比較してCO2群で歯質とアドヒーシブの混合破壊像が多く観察された.
  • 井殿 泰造, 作 誠太郎, 山本 宏治
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 3 号 p. 237-247
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,S-PRGフィラーを含有する歯面コート材を試作し,物性,抗プラーク性および生体親和性などについて検討することである,本実験には,酸反応性フッ素含有ガラスフィラーであるS-PRGフィラーを含有する歯面コート材(BW)および比較市販製品として,ホワイトコート(WC)を用いた.なお,BWに関しては,表層に生じた未重合層を除去する目的で業者指定の表面処理材であるグロスエフェクトを塗布後,再照射,水洗した群(以下,BW-GEと略す)および表面研磨材であるグロスポリッシャーにて表層を研磨した群(以下,BW-GPと略す)について検討した.物性試験として,曲げ強さおよび曲げ弾性率,ヌープ硬さ,X線造影性試験,表面粗さ試験,歯ブラシ摩耗試験を行った.次に供試材料の走査電子顕微鏡(SEM)および透過電子顕微鏡(TEM)による観察を行った.抗プラーク性試験は,口腔内に供試材料を装着し観察した.細菌付着性試験および抗菌性試験には,Streptoccus oralisを用い検討した.また,供試材料を滅菌蒸留水および細胞培養液に24時間浸漬し,溶出した構成元素の定量を行った.細胞毒性試験としてはHeLa細胞を用い,毒性を検討した.BWはWCに比較し,曲げ強さおよび曲げ弾性ともに高く,ヌープ硬さにおいては,BWはWCの約3倍程度の強度を有していた.X線造影性はBWに認められるものの,WCには認められず,表面粗さ試験では材料間に有意差は認められなかった.歯ブラシ摩耗試験において,BWはWCに比較して摩耗性を認めた.各供試材料をSEMにて観察した結果,BWでは約1〜15μmの粒径のフィラーが観察された.TEM観察の結果,BWには約1μmのフィラーとナノサイズのフィラーを確認し,WCにおいては,100nm以下のナノフィラーが観察された.8時間口腔内に装着したBW-GEの表面および割断面のSEM像から,その表面に局所的な細菌の付着が確認されたものの,BW-GPにおいては,細菌付着が認められなかった.一方,WC表面には細菌の付着が認められ,BW-GP表面に比較すると細菌の付着性に明らかな差が認められた.付着性試験では,BW-GEおよびBW-GPへの細菌付着性は少ない傾向にあった.また,唾液で処理した材料表面への付着性ではBW-GEおよびWCへの細菌付着は確認されたものの,BW-GPへの付着はほとんど認められなかった.BW-GE,BW-GPおよびWCにおける24時間後の抗菌性試験においては,材料間に有意差は認められなかった.滅菌蒸留水中に溶出した元素を材料間で比較すると,BWはB,Srが高く検出され,またWCではNa,Fが高く検出された.培養液に溶出した元素に関しては,蒸留水に溶出した元素と同様の検出結果が得られた.細胞毒性試験において,BWでは98.4%,WCでは61.8%の相対細胞増殖度が確認された.これらのことから,BWは歯質を切削することなく審美修復することのできる材料であり,S-PRGフィラー配合による抗プラーク性を有し,また,物性試験や細胞毒性試験等から得られた成績も良好であったことから,臨床応用への可能性が示唆された.
  • 山口 博康, 向後 生郎, 岩瀬 弘和, 藤林 久仁子, 湯浅 茂平, 中島 崇太郎, 高水 正明, 新井 高
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 3 号 p. 248-254
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    鶴見大学歯学部附属病院総合歯科2における感染根管治療(n=56)に対するレジン隔壁の必要性について調査した.隔壁の作製部位による分類:歯肉縁上に隔壁作製を行った症例が23.8%(n=5),歯肉縁下までの症例が61.9%(n=13),歯肉縁上・縁下にまで及ぶ症例は14.3%(n=3)であった.隔壁作製の歯種による分類:隔壁作製は上顎前歯14.3%(n=3),上顎小臼歯14.3%(n=3),下顎大臼歯52.4%(n=11),下顎小臼歯9.5%(n=2),上顎大臼歯9.5%(n=2)であった.隔壁数による分類:1壁隔壁充填が33.3%(n=7),2壁充填23.8%(n=5),3壁充填4.7%(n=1),4壁充填23.8%(n-5),その他14.3%(n=3)であった.また作製に要した時間は平均して17.8±8分であった.本調査結果より,感染根管治療時には37.5%で隔壁作製が必要であった.低粘性レジンを使用した隔壁術式は臨床応用が可能である.
  • 平尾 千波, 後藤 美樹子, 池島 巌, 大島 朋子, 湯浅 茂平, 向後 生郎, 亀井 優徳, 五味 一博, 前田 伸子, 新井 高, 桃 ...
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 3 号 p. 255-263
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    本研究では,古くから飲料・食品として親しまれてきたココアを含有した試験研磨材を試作し,その有用性について,ウシ歯を用いたin vitro試験と臨床試験によって検討した.In vitro試験では,試験研磨材として,純ココア(森永製菓)を蒸留水に縣濁させ,0.2g/mlココア溶液(ココア研磨材)を作製した.比較対照として,0.2g/mlリン酸水素カルシウム水溶液(リン酸水素カルシウム研磨材)と,蒸留水を用意した.ウシ抜去歯を紅茶液に浸漬し,歯面を着色させた.ココア研磨材,リン酸水素カルシウム研磨材,蒸留水の3グループにウシ歯を分類し,各試験研磨材を用いて研磨を行った.研磨は,ウシ歯唇面の被験部位に対し,ポリッシングブラシにて,同一条件下で行った.着色前,着色後,3分間研磨後,6分間研磨後において,被験部位を分光式色彩計にて測色し,CIEL*a*b*で表示した.着色後と3分間研磨後の色調,着色後と6分間研磨後の色調それぞれについて色差(ΔE*ab)を算出し,各試験研磨材の違いについてTukeyの多重比較を行った(α=0.05).さらに,ココア溶液による歯面の着色が生じるか否か検討するため,ココア溶液(4g/100ml)を作製し,別に準備したウシ歯を浸漬した.ココア溶液浸漬前後の色調変化を,紅茶液に浸漬前後の色調変化と比較した.臨床試験では,ココアパウダー含有の試作歯磨剤を使用する被験歯磨剤群と,ココアパウダー不含有の試作歯磨剤を使用するプラセボ群に被験者を分け,1ヵ月間使用した前後の前歯の色調の測定と,プラーク指数(PLI,Silness&Loe法)の判定を同一評価者により行い,二重盲検法により比較検討した.結果は,Mann-Whitney U testで解析した(α=0.05).In vitro試験の結果,ココア研磨材による研磨前後の色差は,蒸留水による研磨前後の色差に対し有意に大きい値を示した.ココア研磨材による研磨前後の色差と,リン酸水素カルシウム研磨材による研磨前後の色差に有意差はなかった.各試験研磨材の研磨前後の色差は,3分間研磨前後,6分間研磨前後の間で大きな変化はみられなかった.また,ココア溶液にウシ歯を浸漬した場合,紅茶とは異なり,ほとんど着色は生じなかった.臨床試験の結果,試験期間前後における歯の明るさの差とプラーク除去効果は,被験歯磨剤群とプラセボ群の間に有意差は認められなかった.以上の結果より,ココアパウダーを含有した試験研磨材は,歯面着色除去効果を有することが示されたが,歯磨剤への臨床応用試験において,今回の試験条件下では有意差を認めるまでにはいたらなかった.
  • 柴谷 貴子, 畠中 能子, 花谷 早希子, 中山 真理, 大岡 知子, 濱元 一美, 細見 環
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 3 号 p. 264-271
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    アマルガム修復は,19世紀末以来比較的信頼できる修復法として主として臼歯咬合面に適用されてきた.しかし,水銀による環境汚染への懸念と生体への影響の懸念から,アマルガムの使用は減少していった.アマルガムの代替材料として,審美性・歯質への接着等の長所を有する臼歯用コンポジットレジンが開発され,コンポジットレジン修復の頻度が高くなってきているのは,臨床上実感するところである.そこで,アマルガム修復から臼歯用コンポジットレジン修復への置換の推移と現況を知るために,1997年から2006年までのK女子短期大学歯科衛生学科新入生1,159名における歯科検診結果から,智歯を除く臼歯咬合面におけるコンポジットレジン修復率とアマルガム修復率の経年的変化を調べた.その結果,臼歯咬合面におけるコンポジットレジン修復率とアマルガム修復率は,1997年からの3年間はほぼ同率であり,1997年にはすでに臼歯のコンポジットレジン修復率はアマルガム修復率と同じレベルであることがわかった.しかし,2002年以降コンポジットレジン修復率は経年的に増加し,アマルガム修復率は経年的に減少して,2006年ではコンポジットレジン修復率はアマルガム修復率の約14倍になった.つまり,1990年以降に修復したと推定される臼歯咬合面では,コンポジットレジン修復がアマルガム修復より多いことが明らかになった.さらに,臼歯咬合面を,大臼歯・小臼歯・上顎臼歯・下顎臼歯に分割した場合のそれぞれのコンポジットレジン修復率とアマルガム修復率を比較検討した結果,大臼歯・上顎臼歯・下顎臼歯におけるコンポジットレジン修復率とアマルガム修復率の1997年から2006年の経年的変化は,臼歯全体と同様の傾向を示した.しかし,小臼歯のコンポジットレジン修復率は10年間で変化はなく,臼歯咬合面のコンポジットレジン修復率の増加は,大臼歯のコンポジットレジン修復率の増加を反映していることが示唆された.
  • 井川 資英, 進藤 拓, 井川 恭子, 島内 英俊
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 3 号 p. 272-278
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,根管貼薬の際にホルマリン・グアヤコール(FG)貼薬綿栓から蒸散するホルムアルデヒド濃度に関する知見を得ることである.濃度測定は東北大学病院附属歯科医療センター歯内療法科において,平成20年の夏と冬の2つの期間,診療終了後の夕刻に行った.あらかじめ髄腔開拡および根管拡大を行ったヒト抜去歯を,ユーティリティワックスで診療ユニットのヘッドレストに固定した.抜去歯から約20cm離れた位置にガス捕集管の吸引口先端を配し,10分間合計2lの空気の採取を行い,その後高速液体クロマトグラフィーを用いて試料中のホルムアルデヒド濃度を測定した(夏冬それぞれn=5).空気の採取は,1)FGをしみ込ませた貼薬綿栓を根管に挿入し,局所排気を全く行わずに放置し周囲の空気を10分間捕集(条件1),2)FGをしみ込ませた貼薬綿栓を根管に挿入し,ユニット付属の吸引装置とバキュームチップを使用して周囲の空気を10分間捕集(条件2),3)FGをしみ込ませた貼薬綿栓を根管に挿入し,口腔外大容量吸引装置(Denpax®NDP-510,デンパックス)を使用しながら周囲の空気を10分間捕集(条件3),4)FGをしみ込ませた貼薬綿栓を根管には挿入せずにヘッドレスト上に10分間放置し,局所排気は行わず周囲の空気を10分間捕集(条件4)のいずれかの条件下で行った.また,いずれの条件においても操作を行う直前に周囲の空気を10分間採取し,バックグラウンド(BG)濃度として用いた.得られた結果は以下のとおりであった.1)BG濃度および各条件下でのホルムアルデヒド濃度は,労働安全衛生法特定化学物質障害予防規則で定めている管理濃度以下の値であった.2)夏季および冬季のそれぞれの条件1〜4におけるBG濃度の間に統計学的な有意差はなかったが,夏期のBG濃度は冬期に比べて有意に高い値を示した(p<0.01).3)夏冬ともに,条件4での平均濃度は0.03〜0.04ppm程度で,条件1〜3によって空気中に蒸散したホルムアルデヒド濃度の平均値(0.002ppm以下)に比べて有意に高い値であった.得られた結果から,根管貼薬の際に蒸散するホルムアルデヒド濃度に関する安全性を確認するとともに,ユニット付属の吸引装置等を用いた局所排気は,周囲空気中のホルムアルデヒド濃度の低減化に有効であることが示された.
  • 韓 臨麟, 石崎 裕子, 福島 正義, 興地 隆史
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 3 号 p. 279-287
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    1液性ワンステップ接着システムは,エナメル質に対する処理能力が低い傾向にある.この点の改良を意図して酸性モノマーを増量し,さらにHEMA非含有とした1液性ワンステップ接着システム(G-Bond Plus®,ジーシー,以下,GBP)が開発された.本研究では,この新規1液性ワンステップ接着システム適用後の歯質処理面・接着界面の微細構造および辺縁封鎖性について,既存のその他の1液性ワンステップ接着システムと比較しながら評価を行った.被験材料としてGBP,G-Bond^®(ジーシー,以下,GB),Bond Force®(トクヤマデンタル,以下,BF)およびClearfil tri-S Bond®(クラレメディカル,以下,TS)を用い,以下の各実験を行った.1.歯質処理面の観察:ヒト抜去大臼歯歯冠部より採取したエナメル質と象牙質を含む横断面試片に対し,各実験材料の1液性ワンステップ接着システムによる歯面処理を行った後に,走査電子顕微鏡(SEM)および共焦点レーザー顕微鏡(LSCM)により処理歯面の微細構造観察を行った.2.接着界面および辺縁封鎖性の観察:ヒト抜去小臼歯の歯頸部に,歯冠部と歯根部を含めた幅4mm,深さ2mmの箱形窩洞を形成し,各1液ら生ワンステップ接着システムによる歯面処理を行った後,フロアブルレジンで窩洞を充填し,即日仕上げ研磨を行った(各n=5).試片は蒸留水中,37℃恒温箱に1週間保管した後,1.5kgf,14万回の繰り返し荷重を加えた.その後,50%硝酸銀溶液に24時間浸漬,現像処理を加えた後,頬舌側方向で試片を縦断した.これらの試片について,実体顕微鏡下で銀粒子の浸入を観察,スコア化した後,SEMを用いて接着界面を観察することによって,以下の結論を得た.1.GBPおよびTS塗布歯面では,GBあるいはBF塗布歯面と比較してエナメル小柱構造や象牙細管の開口などがより明瞭に認められた.LSCM観察では,処理部・非処理部境界部の段差の形成が,GBP・TSではGB・BFと比較して著明であった.2.辺縁封鎖性の指標となる銀粒子の浸入程度については,エナメル質辺縁部,象牙質辺縁部ともGBP・TSの適用例ではGB・BFの適用例と比較して軽度な傾向にあったが,統計学的有意差はみられなかった(p>0.05,Kruskal-Wallis検定).3.接着界面のSEM観察の結果として,エナメル質窩縁部ではGBの適用例がその他3種の1液性ワンステップ接着システムと比較してギャップ形成が明瞭であり,象牙質窩縁部ではGB・BFの適用例がGBP・TSの適用例と比較してギャップの形成や銀粒子の浸入が明瞭である傾向を認めた.以上の実験結果から,GBPではエナメル質と象牙質の双方に対して,GB,TSおよびBFと比べて同等以上の歯面処理効果や辺縁封鎖性が備えられていることが示唆された.
  • 半田 慶介, 小池 俊之, 清野 透, 斎藤 隆史
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 3 号 p. 288-294
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    ヒトなどの初代培養細胞では,培養ストレスによる細胞老化に加えヘイフリック限界と呼ばれる分裂回数の制限があるため,in vitroにおいて初代象牙芽細胞を用い十分な解析を行うことは困難である.このため,象牙芽細胞の分化機構に関して不明な点が多く残されている.したがって細胞寿命を延長することにより,これまで不明であった象牙芽細胞分化機構を詳細に分析できるものと思われる.本研究の目的は,ヒトテロメレース触媒サブユニット(hTERT)および16型ヒトパピローマウイルス(HPV)のE6,E7遺伝子をイヌ歯髄細胞へ遺伝子導入することにより,不死化イヌ歯髄細胞株を樹立し,その特性を解析することである.ビーグル犬前歯から採取したイヌ歯髄細胞(DDP)に,レトロウイルスベクターを用いてhTERTおよびHPV E6,E7遺伝子を遺伝子導入して不死化細胞株DDP(E6E7/TERT)を樹立した.樹立した細胞のin vitroにおける石灰化能は,Alkaline phosphatase(ALPase)染色,アリザリンレッド染色によって評価した.また,硬組織関連遺伝子(osteopontin,type I collagen,Runx2)の発現をRT-PCR法により分析した.その結果,樹立したDDP(E6E7/TERT)は正常細胞と比較して寿命が延長していただけではなく,石灰化能を維持しており,硬組織関連遺伝子を発現していることが確認された.
  • 長谷川 義朗, 高橋 洋子, 長沢 悠子, 日比野 靖, 山賀 谷一郎, 尾松 純, 粟田 智, 島野 偉礎轄, 中嶌 裕
    原稿種別: 原著
    2009 年 52 巻 3 号 p. 295-301
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    本実験は,充填用グラスアイオノマーセメントの経時的な色調変化について検討を行った.実験には,1種類の手練和型高強度充填用グラスアイオノマーセメント(Fuji IX GP,ジーシー,以下,A)と2種類の機械練和型高強度充填用グラスアイオノマーセメント(Fuji IX GP Fast Capsule,ジーシー,以下,B,Fuji IX GP Extra,ジーシー,以下,C)の3種類を使用した.試料は直径10mm,厚さ1.0mmの円板状とした.各セメントを練和後,37±1℃,湿度95±5%の恒温恒湿器にて保存した(n=6).セメント練和開始から1時間後に恒温恒湿器より試料を取り出し,重量の測定と測色を行い(ベースライン値),測定後,試料をイオン交換水に浸漬,セメント練和開始から24,168,336時間後に再び重量の測定と測色を行った.測定結果よりTP値(透明度),ΔE*ab値および重量変化率を求めた.得られた結果は,統計学的有意差の検定(ANOVA/Scheffe,危険率5%)を行い比較した.その結果,セメントA,B,Cの24時間以降のTP値はベースライン値と比較して有意に増加した(p<0.05).また,セメントB,Cの24時間以降のTP値には有意差が認められなかった(p>0.05).セメントA,BにおけるΔE*ab値と重量増加率の168,336時間値は24時間値よりも有意に高い値を示した(p<0.05).すべてのセメントのTP値の上昇は,練和開始から24時間までは,セメントの硬化反応の進行によるものと考えられた.機械練和型セメントCは,ほかのセメントよりも色調安定性に優れていた.これは,セメントの組成や粉末粒子が改良されていることや,練和後の早い段階で吸水が安定したことに起因すると考えられた.
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