日本歯科保存学雑誌
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54 巻 , 3 号
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総説
原著
  • 木村 裕一, 今井 啓全, 佐藤 穏子, 佐藤 克, 山崎 信夫, 山田 眞義, 天野 義和, 増田 宜子, 山田 嘉重, 亀田 歩, 木庭 ...
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 3 号 p. 162-168
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2018/03/24
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は,レーザーのなかでも漂白に有用であるとされるKTPレーザーを併用したオフィスブリーチ法を,すでに販売され臨床で使用されている他のオフィスブリーチ剤の漂白効果と歯に及ぼす影響について比較検討することである.ヒト抜去前歯104本を用い,35%過酸化水素水を主成分とする松風ハイライト™(グループ1),二酸化チタンを光触媒とした3.5%過酸化水素水を含有するピレーネ®(グループ2),55%過酸化水素水を主成分とするSmartbleach®グループ3)の漂白剤を使用した.色調変化の測定,走査電子顕微鏡(SEM)による表面性状の観察,漂白後のエナメル質表面からのカルシウム溶出量の測定,漂白前後のエナメル質硬度の変化を調べた.統計処理はKruskal-Wallis検定法およびMann-Whitney's U検定法を用いて,危険率1%未満(p<0.01)を統計学的有意差とした.本研究で用いた3種類の漂白剤すべてにおいて漂白効果が得られ,漂白剤により程度の差はあるが,回数を増すごとに漂白効果が高まった.しかし,3グループ間において有意差は認められなかった.SEMによる表面性状の観察では,グループ2ではほとんどコントロールグループと変化なく,一方,グループ1と3では多少の粗糙感がエナメル質表面に認められた.特にグループ1のほうがグループ3より粗糙感が強く認められた.漂白後のエナメル質表面からのカルシウム溶出量の測定では,漂白した試料は,コントロールグループと比較して溶出量が増加する傾向にあったが,有意差は認められなかった.また,3種類の漂白剤間においても有意差はなかった.漂白後のエナメル質硬度は低下する傾向にあったが,有意差はなかった.また,3種類の漂白剤間においても有意差はなかった.本研究で使用した3種類の漂白剤では,漂白効果は同程度に存在し,歯に及ぼす影響についてはコントロールグループと比較して有意差は認められなかった.
  • 佐藤 浩美, 吉嶺 嘉人, 松本 妃可, 後藤 千里, 牛島 寛, 坂田 篤信, 磯辺 量子, 赤峰 昭文
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 3 号 p. 169-176
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2018/03/24
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は,Er:YAGレーザー用の直径600μmの石英ファイバーチップの損耗,照射出力,蒸散効率をin vitroで評価することである.チップと抜歯したウシの歯から作った象牙質プレートの間の距離と角度に関して,4つの異なる条件を用いた.グループ1は0.5mm・60°で照射した.グループ2,3,4はおのおの1mm・60°,0.5mm・45°,1mm・45°で照射した.走査電子顕微鏡観察で,すべてのグループで120分間の照射後にチップは損耗した像を示した.しかし,パワーメータによる解析では,照射出力は変化しなかった.レーザー顕微鏡による検査では,グループ3が最も高い蒸散効率を示した.以上の結果より,非接触・斜め照射でのチップの長時間の使用は,チップの表面は損耗するものの出力を低下させないことがわかった.また,チップと象牙質間の距離と角度は切削効率に影響した.
  • 清水 統太, 二瓶 智太郎, 倉田 茂昭, 大橋 桂, 近藤 行成, 好野 則夫, 寺中 敏夫
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 3 号 p. 177-186
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2018/03/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、シランカップリング剤の耐水性向上を図るため、重合性基のメタクリロイル基とトリメトキシシリル基との間にフルオロアルキル基とベンゼン環を導入した新規シランカップリング剤を合成し,本剤で表面処理したガラス面とコンポジットレジンの接着強さから接着耐水性について検討することである.2,2-bis(4-hydroxyphenyl)hexafluoropropaneを出発原料として,無色透明な3-{4-[di(trifluoromethyl)-4'-methacryloyloxyphenylmethyl]phenoxy}propyltrimethoxysilane(p-MBFBS)を合成した.実験には3-methacryloy-loxypropyltrimethoxysilane(3-MPS),nonafluorohexyltrimethoxysilane(4F)と3-MPSとの混合シラン(4F/3-MPS),芳香族系シランカップリング剤である3-{4-[di(trifluoromethyl)-4'-methacryloyloxyphenylmethyl]phenoxy}propyltrimethoxysilane(p-MBS),今回合成した新規シランカップリング剤のp-MBFBSの4種を2 mass%エタノール溶液として調製し使用した.それらシランカップリング剤で処理したガラス面に対する混合レジンモノマー(Bis-GMA:TEGDMA=50:50)の接触角,ならびに処理ガラス面に対するレジンの引張接着強さを測定した.その結果,4F/3-MPS処理群は3-MPS処理群と比較して有意にレジンとのぬれが向上したが,p-MBSならびにp-MBFBS処理群の場合,ぬれは3-MPS処理群と同等であった.水中保管360日後と30,000回サーマルストレス後の各シランカップリング剤処理ガラス面に対する引張接着強さは,4F/3-MPS≒p-MBS>p-MBFBS>3-MPSの順となった.4F/3-MPSおよびp-MBS処理群では,初期の接着強さと水中保管360日およびサーマルストレス30,000回後の接着強さとの間に有意差はなかったが,3-MPSおよびp-MBFBS処理群では有意差が認められた.以上の結果より,フルオロアルキル基とベンゼン環を導入した重合性基を含有したシランカップリング剤は3-MPSより耐水性を有するが,分子構造上,疎水基が単純に導入されたシランカップリング剤がより長期にわたり耐水性を維持するカップリング層の形成に有効であると示唆された.
  • 堀田 正人, 小竹 宏朋, 望月 久子, 岡崎 愛, 藤井 和夫, 森川 貴史, 渡辺 茂文, 日下部 修介
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 3 号 p. 187-192
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2018/03/24
    ジャーナル フリー
    試作ダイヤモンドポイントを用い,メタルインレー2級窩洞形成を行い,その窩洞形態と隣在歯の損傷範囲について評価した.被験者は朝日大学歯学部3年生の学生5名と臨床経験が2〜9年の医員5名とした.窩洞形成にはテーパーシリンダーのフラットエンドであるダイヤモンドポイントTF21,22(マニー)と,試作したダイヤモンドポイントS1,2(松風)を使用し,上・下顎右側第一大臼歯(#16,#46)の咬合面と遠心面のボックスライクの2級メタルインレー窩洞(OD)を注水下,エアタービンにて形成した.S1,2は窩底の整理に使用するように指導した.形成終了後,画像解析装置を用いて,隣在歯の損傷部の面積(mmm2)を算出し,損傷範囲とした.また,窩洞形態を非接触高速三次元計測装置を用い,窩洞の外形と深さを評価した.得られた値は二元配置分散分析(ANOVA)およびScheffeの多重比較検定(p<0.05)により統計学的分析を行った.損傷範囲の面積を測定した結果,#17ではTF21,22のみの学生とTF21,22とS1,2の併用の医員との間に有意差を認めた.#47ではTF21,22のみの学生とTF21,22とS1,2の併用の学生,医員との間に有意差を認めた.また,窩洞の外形と深さの評価の結果,#46の外形点数においてTF21,22のみの学生とTF21,22とS1,2の併用の学生,医員との間に有意差を認めた.本実験の結果から,試作ダイヤモンドポイントは正確な窩洞形成および隣在歯の損傷防止に有用であることが示唆された.
  • 小澤 寿子, 中野 雅子, 木村 泰子, 新井 高
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 3 号 p. 193-200
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2018/03/24
    ジャーナル フリー
    歯科用ユニットの給水管路(DUWL)のバイオフィルム形成と水汚染については,1993年から報告されてきている.このDUWLの汚染対策として,新しい水回路クリーンシステム搭載の歯科用ユニットが2008年に開発された.本研究では,鶴見大学歯学部附属病院に同年11月に設置された新しい歯科用チェアユニットに内蔵されたクリーンシステムの有効性について評価した.クリーンシステムでは,毎日診療後に過酸化水素水(1,000ppm)をDUWL内に流し夜間滞留させてDUWLに作用させる.毎朝診療開始前に過酸化水素水を完全に排出して水道水に入れ替える.2本のハイスピードハンドピースのうちの1本(H-1)はクリーンシステムに属すが,もう1本(H-2)は結果を比較するためにクリーンシステムに属さない.定期的に,診療後H-1,H-2,コップ給水から水サンプルを採取した.サンプルはすべて,残留塩素濃度を測定し,25℃,7日間,R2A寒天培地上で培養後,CFU/ml数を測定した.H-2から検出された優勢菌種の発育コロニーに対して,16S rDNAの塩基配列解析を行った.さらに,DUWLチューブの一部を切断して,チューブ小片の内壁をSEM観察した.その結果は,次のとおりである.1.H-1およびコップ給水と比較すると,H-2では4ヵ月目以降,残留塩素濃度は0.1〜0.4ppmに低下し,R2A寒天培地上で微生物のコロニーが検出されはじめた.2.16S rDNA塩基配列解析したコロニー内の優勢菌種は,Methylobacterium populi,Sphyngobium chiorophenolicum,Caulobacter vibrioidesであった.3.6ヵ月目以降,H-1,H-2,コップ給水のチューブ内壁において,SEMによる観察で,ごく少量バイオフィルム様の形態が観察された.18ヵ月後も,いずれのDUWLにおいてもバイオフィルムが広がっている様子は観察されなかった.本研究により,この新クリーンシステムはDUWLの水の汚染対策として有効であることが示唆された.
  • 京泉 秀明, 山田 純嗣, 鈴木 敏光, 久光 久
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 3 号 p. 201-207
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2018/03/24
    ジャーナル フリー
    研究目的:レジンセメントは色調や光透過性が歯冠色インレーと異なるため,辺縁部において審美的な問題を生じることがある.そこで,その代用としてフロアブルレジンに着目し,有効性を検討している.前報で,ほとんどのフロアブルレジンは合着用セメントの被膜厚さの規格を満たし,コンポジットレジンインレーを通過した光でも重合硬化することを報告した.しかし,インレーの厚みが増加すると,フロアブルレジンの重合度の低下が認められたため,今回は象牙質に対する接着強さについて検討を行った.材料と方法:試験材料として,エリートフロLV(ALV),フィルテック™・フロー(FTF),メタフィルFlo(MTF),パルフィークェステライトLVローブロー(PEL),レボリューションフォーミュラー2(REV),テトリックフローシリンジ(TTF),ユニフィル®フロー(UNF),クシーノフローペースト(XFP),ラミナボンドコンポジットペースト(LMB),比較としてパナビア®F2.0(PNB)を使用した.接着材料は製造者推奨のものを使用した.クリアフィル®CRインレーにて直径4.3mm,高さ1,2,3,4,5mmの5種類のインレーを作製した.ヒト抜去大臼歯の象牙質面を処理した後,試験材料を使用してインレーを合着し,剪断接着強さを測定した.PEL,LMBで使用した接着材料はボンディング材塗布後エアーブローの指示がないため,エアーブローを行った試料(PEL-a,LMB-a)についても実験を行った.結果:インレーの厚みが3mmまでは,すべての試験材料の接着強さはPNBに比較して有意差がないかあるいは有意に高い値を示した.PEL-a,LMB-aの接着強さは,PEL,LMBに比較してそれぞれ大きく低下した.FTF,PEL,REV,UNF,LMBの接着強さは1mmと比較して3mmまで,ALV,MTF,TTF,XFPの接着強さは1mmと比較して4mmまで有意差は認められなかった.結論:フロアブルレジンをコンポジットレジンインレーの合着材として使用することは可能と思われる.前回および今回の試験結果から,その場合に使用する材料としてはALV,FTF,MTF,TTFあるいはUNFが適当と判断された.
  • 尾立 達治, 遠藤 一彦, 井田 有亮, 斎藤 隆史, 川上 智史
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 3 号 p. 208-221
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2018/03/24
    ジャーナル フリー
    歯科臨床では,歯科用器材に対する消毒剤を用いた消毒や化学的滅菌が広く行われている.近年,粘膜や皮膚への刺激が強く,アレルギー性や変異原性を有するグルタールアルデヒド製剤に代わる消毒剤として,過酢酸製剤が注目されている.この消毒剤は,芽胞を始め広範囲の微生物に有効であり,短時間で高水準消毒や化学的滅菌が可能なばかりでなく,現在までアレルギーや感作に関する報告がなく安全性にも優れている.歯科用器材は繰り返し消毒・滅菌されるため,消毒剤には器材の材質を変質させないことが要求される.しかし,現在まで過酢酸製剤のさまざまな歯科用金属製器材に対する腐食性を系統的に調べた研究はない.そこで本研究では,歯科用金属製器材に使用されている代表的な6種類の合金(炭素鋼,2種類のステンレス鋼,真鍮,アルミニウム合金およびタングステンカーバイド)の過酢酸溶液中における腐食挙動を調べ,その腐食性を電気化学的測定,金属イオン溶出量の定量および合金表面の分析を行って評価するとともに,イオン交換水や他の消毒剤の腐食性と比較した.次に,過酢酸溶液に腐食抑制剤を添加することによって,腐食性の低減化を試みた.その結果,以下の結論を得た.1.過酢酸溶液は,鉄系の合金(炭素鋼,ステンレス鋼)に対する腐食性が低く,これらの材質の器材の消毒に用いても大きな問題は生じない.2.過酢酸溶液は,真鍮やアルミニウム合金に対する腐食性が,イオン交換水や緩衝化剤でpHを調整したグルタールアルデヒド溶液と比較してきわめて高く,これらの材質の器材の消毒には適用できない.3.Na2HPO4を過酢酸溶液に3%添加することによって,真鍮の表面にはCu(OH)2から成る皮膜が生成し,腐食速度は約1/100に減少した.4.Na2HPO4の防食効果は,アルミニウム合金やタングステンカーバイドに対しては十分ではない.5.Na_2HPO4を3%添加することによって,過酢酸溶液のpHは3.8から5.2に上昇し,殺菌力保持時間は7日から2日と短くなった.以上の結果から,過酢酸製剤は炭素鋼やステンレス鋼製の器材の消毒に適していることが明らかとなった.また,Na2HPO4を3%添加することによって,消毒剤溶液の保存期間は短くなるものの,真鍮製の器材の消毒にも有効に使用できることがわかった.
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