日本歯科保存学雑誌
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54 巻 , 4 号
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原著
  • 小里 達也
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 4 号 p. 233-241
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2018/03/23
    ジャーナル フリー
    近年,市販された接着性レジン系ルートキャナルシーラー(以下,接着性レジン系シーラー)において,ISO準拠の理工学的性質に関する報告は少なく,特に,接着性モノマーを含有した接着性レジン系シーラーに関しては,いまだに報告されていない.本研究では,4-METAを含有したスーパーボンド根充シーラー(サンメディカル,以下,RC-Sealer)とMetaSEAL™(Parkell)について,ISO規格項目の理工学的性質を評価するために各種実験を行うと同時に,ISO規格に適合しなかった項目に関しては,他のシーラーも含めて同様の実験を行って比較検討した.ISO6876:2001(E)で要求されている7項目のフロー,操作時間,硬化時間,膜厚,硬化後の寸法変化,溶解性そしてX線不透過「生において,両接着性レジン系シーラーとも,寸法変化を除いた6項目についてはISO規格を満たす結果となった.規格を満たしていなかった寸法変化については,Epiphany® (Pentron), Epiphany® SE™ (Pentron), Tubli-Seal™ (SybronEndo), AH PIus®(Dentsply DeTrey), Root Canal Sealer (Henry Schein)およびSealapex™ (SybronEndo)の6種のシーラーについて追加検討を行った結果,硬化体が作製できなかったSealapex™を除いて,いずれのシーラーも規格を満たしていないことが確認された.寸法変化値はEpiphany®が最も高く,Tubli-Seal™が最も低い値を示し,数値の高いシーラー中には親水性モノマーが含有されており,寸法変化量は親水性モノマーの含有が影響しているものと考えられた.ユージノール系シーラーであるTubli-Seal™とRoot Canal Sealerの寸法変化量は比較的少なかったが,浸漬蒸留水中にシーラー成分が溶出している現象が確認された.4-METAを含有するRC-SealerとMetaSEAL™の2種の接着性レジン系シーラーに関して,ISO6876:2001 (E)の要求項目の7項目を評価した結果,寸法変化以外は規格を満たし,シーラーとして要求される諸性能を有していることが示された.規格を満たさなかった寸法変化についてのみ,他の6種のシーラーも評価した結果,すべてのシーラーが規格を満たしていなかった.
  • 矢野 淳也, 永吉 雅人, 西野 宇信, 鷲尾 絢子, 平田 志津, 吉居 慎二, 西藤 法子, 諸冨 孝彦, 寺下 正道, 北村 知昭
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 4 号 p. 242-249
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2018/03/23
    ジャーナル フリー
    歯内治療学実習では手用ファイルを用いた術式の技術習得が基本であるが,回転式ニッケルチタン製(Ni-Ti)ファイルが臨床に導入されている今,学生教育における回転式Ni-Tiファイルの技術習得も必要とされている.一方,多様化した歯科医療に対応するため臨床系基礎実習の比率は減少し,学生の技術習得に十分な実習時間の確保が困難になりつつある.今回,回転式Ni-Tiファイルによる根管形成法の基礎実習において,実習方法の違いが術式・技術の定着と学生の意識に与える影響について比較した.九州歯科大学歯学科5年生を被験者とし,マネキンに模型を装着して実習を行った群(マネキン群),模型を把持して実習を行った群(手持ち群),および実習を行わない群(コントロール群)に分け,マネキン群および手持ち群には5日間の連続した実習を行わせた.実習開始時,終了時,および終了から1カ月後に,全群に対し同じシミュレーション環境下で根管形成を行わせ,形成所要時間の計測と形成状態の評価を行った.また,実習到達度に関して,自己評価表を用いて,選択項目ならびにVAS (Visual Analog Scale)形式の無段階評価の分析を行った.その結果,5日間という短い期間でも連続して形成実習を行うほうが,学習効果が高く知識や技術の定着が良いことが示唆された.また,学生の意欲を持続させながら歯科治療に必須の姿勢・ポジショニングを早く習得させたうえで術式・技術を定着させるには,実習開始当初からシミュレーション環境下で連続実習を行うほうが効果的であることが示唆された.
  • 黒川 弘康, 渡邉 孝行, 石山 智恵美, 碓井 貴子, 藤井 雄介, 石井 亮, 清水 裕亮, 宮崎 真至, 釜口 昌平, 三畑 幸則
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 4 号 p. 250-258
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2018/03/23
    ジャーナル フリー
    歯質を削除することなく白い歯を獲得できる臨床技法として,生活歯のホワイトニングが広く行われており,過酸化水素を主成分とした各種ホワイトニング剤が使用されている.しかし,ホワイトニング剤の種類によっては,歯質の表層から表層下にかけてなんらかの影響が生じる可能性があるものの,その詳細は不明である.そこで著者らは,オフィスホワイトニング(ホワイトニング)がエナメル質に及ぼす影響について,光干渉断層画像法(OCT)を用いてこれらの断層像を観察するとともに,レーザ顕微鏡を用いて歯質表面を撮影することで比較,検討した.ホワイトニング剤として松風ハイライトを用い,実験期間中37℃の人工唾液あるいは精製水中に保管したウシ下顎前歯唇側エナメル質に対し,製造者指示条件でホワイトニングを行った.ホワイトニングは1週間に1回,4週間行い,毎回のホワイトニング後にOCT装置およびレーザ顕微鏡で観察を行った.また,ホワイトニングを行わず,37℃の人工唾液あるいは精製水中に4週間保管したウシ下顎前歯唇側エナメル質に対しても観察を行った.その結果,以下の結論を得た.1.ホワイトニングを行ったウシエナメル質試片のOCT断層像は,ホワイトニング回数の増加とともに変化が認められた.しかし,その程度はウシエナメル質試片の保管条件によって異なり,人工唾液中に保管した条件と比較して,精製水中に保管した条件で,ウシエナメル質試片表面のシグナルが強くなる傾向を示した.また,レーザ顕微鏡観察においても,人工唾液中に保管した条件と比較して精製水中に保管した条件で,表面粗さが大きくなる傾向を示した.2.ホワイトニングを行わなかったウシエナメル質試片のOCT断層像は,人工唾液中に保管した条件でわずかに歯質表面のシグナルが強くなる傾向を示したものの,精製水中に保管した条件との著明な違いは認められなかった.また,レーザ顕微鏡観察においても,人工唾液中に保管した条件で,わずかに表面が粗糙になる傾向を示したものの,精製水中に保管した条件との違いは認められなかった.
  • 京泉 秀明, 山田 純嗣, 鈴木 敏光, 久光 久
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 4 号 p. 259-268
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2018/03/23
    ジャーナル フリー
    フロアブルレジンは材料学的な改良に伴い,物理的性質が向上し,操作性も良くなっている.そしてさらに審美性や強度などの向上を目的として,フィラーのサイズをナノレベルにしたフロアブルレジンや,ナノハイブリッドタイプのフロアブルレジンが相次いで開発,市販されてきている.そこで本研究では,ナノフィラーが混入されているフロアブルレジンを含めた各種フロアブルレジンの歯ブラシ摩耗性について検討することを目的とした.また併せて,表面硬さ,表面粗さ,フィラーの含有量と歯ブラシ摩耗との関連性についても検討を加えた.9種類のフロアブルレジンおよび1種類のペーストタイプのコンポジットレジンを実験に使用した.歯ブラシ摩耗試験は炭酸カルシウム飽和水溶液を使用し,繰り返し回数は5万回とした.1万回ごとに表面粗さ輪郭形状測定機にて摩耗面の最大深さを計測し,歯ブラシ摩耗量とした.表面硬さは#1000シリコンカーバイドペーパーの研磨面においてビッカース硬さを測定した.表面粗さは研磨面および摩耗面において測定し,Raを用いて評価した.表面性状の観察は,摩耗試験後にSEMを使用して行った.その結果,使用したすべての材料で摩耗回数とともに摩耗深さが直線的に増加していく傾向を示した.5万回後の歯ブラシ摩耗量に関しては,9種類のフロアブルレジンのなかでテトリックN-フローが最大の摩耗深さを示し,続いてパルフィークエステライトLVハイブローが大きな深さを示した.逆に最小の摩耗深さを示したのはクリアフィル®マジェスティ®LVで,続いてフィルテック™シュープリームフローコンポジットレジンであった.また,歯ブラシ摩耗量と表面硬さ,摩耗試験前の表面粗さおよび製造者公表のフィラー含有量との間に密接な関係は認められないが,摩耗量が少ない材料では摩耗後の表面粗さが大きいことが判明した.SEM観察からも,フィラーあるいはナノクラスターが大きい材料ほど摩耗量は少ない傾向が認められた.
  • 中野 雅子, 小澤 寿子, 木村 泰子, 鰕原 治子, 新井 高
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 4 号 p. 269-275
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2018/03/23
    ジャーナル フリー
    歯科用エアータービンハンドピースのサックバック現象は,口腔内から唾液,血液,切削片を吸引することによって,エアータービンハンドピースだけではなくチューブのコネクターやユニットまでも汚染してしまう.患者ごとにエアータービンハンドピースを交換しても交叉感染は起こりうる.この研究では,異なる国内のメーカーによって作られた4種類の最新型エアータービンハンドピースのサックバック防止効果を評価した.1.サックバック圧の測定:エアータービンハンドピースの前方部,後方部,エアータービンハンドピースヘッド全体のサックバック圧を測定した.エアータービンハンドピースを密閉したフラスコ内で回転させた.そして回転を停止し,その際にビーカーから染色液がガラスチューブに吸い上げられる水の高さの最大値を測定することによって確認した.2.サックバックの確認:フラスコ内で別のエアータービンハンドピースを駆動させることによって蛍光染色液をミスト状にしたもの(ミストコンディション)と蛍光染色液を入れた超音波噴霧装置でフューム状にしたもの(フュームコンディション),エアータービンハンドピースヘッドを完全に蛍光染色液に浸漬した状態でエアータービンを駆動させた後,停止した.それぞれの条件下で,排気管路を覆ったガーゼ上に付着した蛍光染色液が蛍光顕微鏡で観察できるようになるまで,2秒間の駆動と5秒間の停止を,1, 2, 3, 5, 10, 30, 50, 100, 200, 300, 400および500回繰り返した.また,エアータービンハンドピースヘッドと同様に,カップリング部の排気孔の蛍光染色液の存在を蛍光顕微鏡で観察した.その結果,1種類のエアータービンハンドピースではそれぞれの部分での水位は0mm未満であった.このモデルは,完全な浸漬を除いて500回の駆動の後でも,ミストとフュームの条件下で排気孔部の蛍光浸透は観察されなかった.逆に他のエアータービンハンドピースではサックバック現象が観察された.エアータービンハンドピースヘッド全体の浸漬では,すべてのハンドピースでサックバック現象がすぐに起こった.エアータービンハンドピースヘッドは完全に封鎖されていないので,液体の侵入を防ぐためにヘッド全体の浸漬は避けなければならない.結論として,1種類のエアータービンハンドピースは単体でサックバックを防止する可能性があることがわかった.
  • 西谷 佳浩, 糸田 俊之, 星加 知宏, 高橋 圭, 田中 久美子, 森本 紗也子, 伊澤 俊次, 山路 公造, 鳥井 康弘, 吉山 昌宏
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 4 号 p. 276-288
    発行日: 2011/08/31
    公開日: 2018/03/23
    ジャーナル フリー
    本研究では,3種のセルフエッチング接着システム,G-Bond(ジーシー), One-up Bond F(トクヤマデンタル), Clearfil Mega Bond(クラレメディカル)を用いて,う蝕除去法の違いが象牙質引張接着強さに及ぼす影響について検討を行った.高速回転切削器具,Er:YAGレーザー照射および超音波振動装置によってう蝕を除去した象牙質を用いて,微小引張接着強さの測定ならびに微細構造の走査電子顕微鏡観察を行った.その結果,高速回転切削器具によるう蝕除去で生成されるスミヤー層が,Er:YAGレーザー照射および超音波振動装置の場合には生成されなかった.Clearfil Mega Bondは,Er:YAGレーザー照射によってう蝕を除去した象牙質に比較して,高速回転切削器具および超音波振動装置を用いた場合の象牙質に対して高い接着強さを示した.One-up Bond Fは,超音波振動装置を用いた場合に他の除去法よりも高い接着強さを示した.以上のことから,セルフエッチング接着システムを用いる場合には,超音波振動装置によるう蝕除去法が有用な可能性が示唆された.
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