日本歯科保存学雑誌
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55 巻 , 4 号
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原著
  • 両角 祐子, 安川 俊之, 山下 亜希, 高塩 智子, 鴨井 久博, 佐藤 聡
    原稿種別: 原著
    2012 年 55 巻 4 号 p. 247-254
    発行日: 2012/08/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    目的:本研究は,手用歯ブラシのネックと柄の形態がプラーク除去効果に及ぼす影響を検討する目的で,毛先がフラットタイプ,山切りタイプの2種類の歯ブラシヘッドでネックと柄にカーブを付与し,ネックの長さを長く改良した歯ブラシを作製し,検討した.また,対照に市販歯ブラシを用い,歯ブラシの種類によるプラーク除去効果および使用感についても比較検討を行った.対象と方法:被験者は,日本歯科大学新潟病院の臨床実習生で,スクラビング法を修得している学生18名(男性11名,女性7名,平均年齢24.4±3.1歳)である.毛先の形態,ネックと柄のカーブの付与の有無,ネックの長さの異なる4種類の歯ブラシと代表的な市販歯ブラシ2種類を使用した.歯ブラシA, B, Cは毛先がフラット,歯ブラシD, E, Fは毛先が山切りである.ネックと柄にカーブを付与し,ネックを長くした改良型の歯ブラシを歯ブラシA, D,現行型のストレートハンドル(柄)の歯ブラシを歯ブラシB, E,毛先がフラットな代表的な市販歯ブラシを歯ブラシC,毛先が山切りタイプの代表的な市販歯ブラシを歯ブラシFとした.ブラッシング前後のプラークスコアから,プラーク除去率を算定し,使用感についても比較検討を行った.成績:各歯ブラシの全顎のプラーク除去率において,歯ブラシA(69.7%)が最も高い値を示した.以下,歯ブラシD(69.1%),歯ブラシE(60.3%),歯ブラシB(53.8%),歯ブラシF(44.1%),歯ブラシC(42.8%)の順となった.歯ブラシAは危険率1%未満で,歯ブラシB, C, Fの3種類と有意な差が認められた.また,歯ブラシDは危険率1%未満で,歯ブラシC, Fの2種類と,危険率5%未満でBと有意な差が認められた.また,プラーク付着量除去率においても,歯ブラシD(75.4%)が最も高い値を示した.以下,A(74.8%), E(67.2%), B(61.1%), F(48.7%), C(47.6%)の順であった.アンケート調査では,歯ブラシDが全体的に高い得点を得た.特にハンドル(以下,柄)の形状,柄の握りやすさ,柄のしなりやすさ,柄の使いやすさ,ブラシ部の形状・大きさ,奥歯の磨きやすさ,前歯の裏側の磨きやすさで高い値を示した.結論:ネックと柄にカーブを付与し,ネックを8.5mm長く設定することにより,臨床的に正常な歯肉を有する者に対し,歯ブラシの操作性がより向上し,ブラッシングの困難な部位においてもプラーク除去率が高くなることが示唆された.
  • 森田 十誉子, 山崎 洋治, 湯之上 志保, 細久保 和美, 武儀山 みさき, 藤井 由希, 石井 孝典, 高田 康二, 冨士谷 盛興, 千 ...
    原稿種別: 原著
    2012 年 55 巻 4 号 p. 255-264
    発行日: 2012/08/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    目的:集団健診における歯周病のスクリーニングには,CPIが通常用いられているが,検査に時間を要し,受診者の負担も大きいことから,簡易な検査法が求められている.本研究では,検査紙を用いた唾液検査と自覚症状を尋ねる質問紙調査との組合せによる歯周病スクリーニング法の有効性を検討した.材料および方法:対象は,某事業所の歯科健診を受診した成人のうち,本試験への参加に同意が得られた468名(平均年齢36.6歳,男性362名,女性106名)とした.唾液検査に用いた試料は,蒸留水で軽く洗口した後の吐出液とし,検査指標はヘモグロビン,タンパク質,白血球および濁度とした.ヘモグロビン,タンパク質および白血球は,検査紙を用いて専用反射率計により測定し,濁度は660nmの吸光度により求めた.質問紙調査項目としては,自覚症状(12項目),喫煙習慣および年齢とした.歯周病の臨床検査はCPI測定により行い,歯周ポケットの有無により分類し評価した.各唾液検査指標については,t検定により歯周ポケット有無との関連性を検討し,さらに,ROC曲線から感度,特異度を算出して検出感度(感度+特異度)の高い唾液検査指標を検討した.自覚症状の項目については,χ2検定により歯周ポケット有無と関連がある項目を検討した.さらに,唾液検査と質問紙調査を組合せたときの感度および特異度を算出することにより,最適な組合せを検索した.結果:1.唾液検査指標のヘモグロビン,タンパク質,白血球および濁度のいずれにも歯周ポケット有無と有意な関連性が認められ,ヘモグロビンが最も高い検出感度を示した.2.自覚症状12項目のうち,「歯をみがくと歯ぐきから血がでることがある」「歯ぐきが赤っぽい,または黒っぽい」「歯と歯の間に食べものがはさまりやすい」「ぐらぐらする歯がある」「固いものが噛みにくい」の5項目を組合せることにより高い検出感度を認めた.さらに,喫煙習慣,年齢を加えることにより検出感度は高まった.3.唾液検査と質問紙調査の組合せでは,ヘモグロビンが陽性,または,自覚症状5項目,喫煙習慣,年齢の計7項目のうち,4項目以上該当の場合に最も高い検出感度を示した.結論:検査紙を用いた唾液検査と自覚症状を尋ねる質問紙調査の組合せは,産業歯科保健活動の現場で活用できる簡易な歯周病スクリーニング法として有効であることが示唆された.
  • 色川 敦士, 高見澤 俊樹, 坪田 圭司, 森 健太郎, 山本 明, 古市 哲也, 横川 未穂, 高橋 史典, 黒川 弘康, 宮崎 真至
    原稿種別: 原著
    2012 年 55 巻 4 号 p. 265-271
    発行日: 2012/08/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    目的:光重合型コンポジットレジンの重合時に生じる収縮は,臨床的な不快事項を引き起こす原因とされている.そのため,重合収縮の低減化を図るために材料学的な改良,あるいは,臨床術式の工夫などがなされている.近年,これまでの光重合型コンポジットレジンの重合方式およびベースレジンを大幅に変更することで,重合収縮の低減化を特徴としたFiltek LSが市販された.Filtek LSは,低重合収縮の光重合型コンポジットレジンとして期待されているところから,その機械的性質および重合収縮挙動について検討した.材料と方法:実験には,Filtek LS (3M ESPE, USA)およびFiltek Supreme DL (3M ESPE, USA)の2製品を使用した.照射条件としては,光強度100mW/cm2および600mW/cm2,照射時間40秒とした.検討項目としては,1)無機フィラー含有量の測定,2)熱膨張係数の測定,3)曲げ強さの測定,4)体積収縮率の測定および5)走査電子顕微鏡(SEM)観察とした.成績:照射開始180秒後の重合収縮率は,LSで0.84〜1.02%,DLで1.44〜1.59%であった.DLにおいては,照射開始から急激に収縮し,照射終了直後から緩徐に収縮する傾向を示したのに対して,LSでは照射開始直後に体積の膨張が認められ,照射開始16秒後から収縮に転じる傾向が認められた.LSおよびDLの無機フィラー含有量および熱膨張係数は,それぞれ76.8wt%, 73.9wt%および33.3×10-6/℃, 41.2×10-6/℃と,いずれも有意差が認められた.曲げ強さおよび曲げ弾性率は,それぞれLSで129.3MPaおよび12.1GPa, DLで130.4MPaおよび10.9GPaであった.SEM像からは,LSでは,2μm以下の異なるサイズの不定形フィラーが充填されており,DLでは,2〜3μmあるいは0.5μm以下の異なるサイズのフィラーが観察された.結論:本実験の結果から,Filtek LSは,Filtek Supreme DLと同等の機械的強度を有しながらも,重合収縮率が少ないことが明らかとなった.
  • 庵原 耕一郎, 中島 美砂子
    原稿種別: 原著
    2012 年 55 巻 4 号 p. 272-277
    発行日: 2012/08/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    目的:当研究室ではこれまで,イヌを用いた非臨床研究において,抜髄後の根管内に歯髄幹細胞を自家移植する歯髄再生治療の安全性および有効性を明らかにしてきた.しかしながら,この歯髄再生治療の臨床研究を行うにあたっては,細胞加工施設が診療室に併設されていない場合,抜歯した歯を細胞加工施設に輸送し,製造加工した細胞を診療室に輸送する必要がある.したがって,本研究では,「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に則り,12時間以内の歯の輸送のSOP(標準作業手順書)を作成し,歯輸送の安定性および安全性を明らかにすることを目的とする.材料と方法:特殊な運搬容器を用いて温度管理下で歯を輸送し,12時間後の細胞生存率および接着率により,最適な輸送液および抗菌薬の決定を行い,SOPを作成した.さらに,使用後の歯の輸送液,細胞加工施設アイソレータ内で培養した初代細胞培養液および最終的な製造加工産物である継代7代目の凍結歯髄幹細胞の安全性試験(細菌・真菌・ウイルス・エンドトキシン・マイコプラズマ検査)を行い,本SOPを用いた歯の輸送の安全性を検討した.結果:20μg/mlゲンタマイシン・0.25μg/mlアムホテリシンBを含有したHanks液を使用した場合,輸送12時間では生存率はほぼ90%であり,細胞接着率が高く,歯の輸送液として最適と考えられた.本SOPでは,歯輸送液中の好気性菌やエンドトキシンの値はやや高めであったが,最終的に凍結歯髄幹細胞では安全性試験項目すべてにおいて陰性となった.結論:以上のことから,本SOPを用いることにより,安全かつ安定的に歯を輸送できる可能性が示唆された.
  • 山口 貴央, 細矢 哲康, 倉地 祐治, 吉田 拓正, 森戸 亮行, 甲田 智, 山本 雄嗣, 桃井 保子
    原稿種別: 原著
    2012 年 55 巻 4 号 p. 278-284
    発行日: 2012/08/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    目的:大学歯学部の教育では,臨床知識ならびに治療術式における基本的手技の習得を目的として臨床基礎実習が行われている.実技試験における髄腔窩洞形成試験は,形成後の窩洞を担当指導者や実習責任者が評価しているが,評価者間においてはいうまでもなく,同一評価者においても評価に差が生じることが考えられる.本研究は,髄腔窩洞形成における評価の整合性に関する調査を目的に,臨床経験や指導経験の異なる指導者間での評価結果について比較し,統計学的検索を行った.また,レーザー測定を応用した採点機器を用いた評価と指導者評価とを比較し,採点機器の有効性に関する検討も行った.材料と方法:鶴見大学歯学部3学年後期における歯内療法学基礎実習の実技試験(顎模型およびファントームに装着した上顎左側第一大臼歯髄腔付メラミン歯における抜髄を目的とした髄腔窩洞形成)で用いた髄腔窩洞形成歯108本を評価試料とした.臨床経験の異なる6名の評価者が,評価項目(1:窩洞外形,2:天蓋の除去,3:側壁の切削,4:髄床底の切削,5:穿孔の有無)と評価基準を基にすり合わせを行い,髄腔窩洞の評価を行った.さらに窩洞外形について採点用機器を用いて評価し,評価者の評価結果と比較し,それぞれの評価結果について統計学的検索を行った.結果:各評価者における評価結果は,評価者Cとほかの評価者との間に有意差を認めたが,ほかの各評価者間において有意差は認められなかった.各評価項目において評価点の一致率を比較すると,項目1〜4の一致率は低かったが,項目5は高い一致率を認めた.また評価点の差は,項目1で評価者C, Eとほかの評価者との間に有意差を認めた.項目2では評価者AとC, D, E, F,評価者BとC, D, E, F,評価者DとE, F,また評価者Eとほかのすべての評価者間に有意差を認めた.項目3では評価者AとB, D間,評価者BとC, E, F間,評価者CとD間,評価者DとE, F間に有意差を認めた.項目4では評価者D, Eとほかの評価者間に有意差を認めた.なお,項目5は評価者間における評価の差はわずかであった.採点用機器と各評価者との比較では,評価者Eとの比較を除き,有意差を認めた.結論:評価結果は,ほとんどの評価項目において評価者間で評価の差が認められた.複数の評価項目を設けることで,整合性のある評価を行うことが可能であった.採点用機器を用いた評価は,メラミン歯のわずかな形状の相違を考慮することで有効性が認められた.
  • 坪田 圭司, 竹中 宏隆, 吉田 ふみ, 野尻 貴絵, 白土 康司, 田村 ゆきえ, 宮崎 真至, 金丸 壽良, 若松 英輝
    原稿種別: 原著
    2012 年 55 巻 4 号 p. 285-292
    発行日: 2012/08/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    目的:接着試験時の被着面積の違いが2ステップセルフエッチングプライマーシステムのウシ歯に対する接着性に及ぼす影響について検討する.材料と方法:実験に供試した2ステップセルフエッチングプライマーシステムは,OptiBond XTR (Kerr, USA)およびClearfil Mega Bond (Kuraray Noritake Dental)の2製品であり,コンポジットレジンとしてClearfil AP-X (Kuraray Noritake Dental)を用いた.被着体として,ウシエナメル質および象牙質を用いた.ウシ下顎前歯を化学重合型レジンに包埋し,唇側面をシリコンカーバイドペーパー#600まで仕上げたものを被着面とした.エナメル質および象牙質に対して製造者指示条件で歯面処理を行った.ボンディング材を塗布した後,直径2.4mmあるいは4.0mmの金型を固定し,コンポジットレジンを填塞,重合させ接着試片とした.試片の数は各条件について10個とし,24時間水中保管した後,万能試験機を用いてクロスヘッドスピード1.0mm/minの条件で剪断接着試験を行った.統計学的処理は二元配置分散分析およびTukey HSD test (α=0.05)を用いて行った.処理歯面および接合界面に関しては,電界放射型走査顕微鏡(SEM)を用いて観察した.成績:エナメル質に対する接着強さは17.7〜41.4MPaであり,象牙質に対する接着強さは22.0〜51.4MPaであった.被着面積の小さい条件で接着強さは有意に向上する傾向を示した.材料間の比較では象牙質の2.4mmの条件で有意差が認められたものの,ほかの条件では有意差は認められなかった.SEM観察からは,OptiBond XTRはClearfil Mega Bondに比較して脱灰程度が強い像として確認された.結論:被着面積は2ステップセルフエッチングシステムの接着性に影響を及ぼす因子になることが示唆された.
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