日本歯科保存学雑誌
Online ISSN : 2188-0808
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56 巻 , 4 号
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原著
  • 竹内 康雄, 藤川 佳奈, 若松 美江, 小林 宏明, 片桐 さやか, 和泉 雄一
    原稿種別: 原著
    2013 年 56 巻 4 号 p. 277-284
    発行日: 2013/08/31
    公開日: 2017/04/28
    ジャーナル フリー
    目的:歯ブラシヘッド部の形態や植毛状態は,プラーク除去に大きくかかわる部分である.本研究では,ドーム型植毛歯ブラシのプラーク除去効果および使用感について,従来型のものと比較することによりその有効性を検討した.材料と方法:東京医科歯科大学歯学部附属病院を受診した慢性歯周炎患者20名(男性9名,女性11名,平均年齢59.1歳)および全顎的に歯周組織が健康である歯科医師ボランティア20名(男性9名,女性11名,平均年齢28.1歳)を被験者とした.実験開始の24時間前より口腔清掃を中止させ,プラークを蓄積させた.ドーム型または平型(従来型)のいずれかの歯ブラシを無作為に歯周炎患者および歯科医師に与え,3分間のブラッシングを実施させた後,ブラッシング前後のプラーク付着状態をO'Learyのプラークコントロールレコードを改変した方法を用いて記録し,プラーク除去率を算出した.歯周炎患者についてはブラッシング指導を行い,同様の計測を2週ごとにさらに2回実施した.成績:ドーム型,平型いずれの歯ブラシを用いた場合でも,ブラッシング前後でプラーク付着率は統計学的に有意に減少した.なかでもドーム型歯ブラシを用いた歯科医師群ではほかの群よりも高い平均プラーク除去率を示したが(歯科医師ドーム型62.4%,歯科医師平型48.7%,患者ドーム型40.0%,患者平型40.6%),有意差は認められなかった.また上下顎の前歯,小臼歯大臼歯の部位別にプラーク除去率を比較したところ,ドーム型歯ブラシを用いた歯科医師群では,上下顎前歯部頬側および下顎大臼歯部舌側において,平型歯ブラシと比較し有意に高いプラーク除去率を示した.歯周炎患者における1〜3回の各測定時における平均プラーク除去率は,順にドーム型歯ブラシで40.0, 44.7, 45.9%,平型歯ブラシで40.6, 45.6, 41.2%であり,有意差は認められなかった.歯周炎患者を対象としたVisual Analog Scaleを用いた歯ブラシの満足度に関するアンケート調査では,ドーム型使用者では平型使用者のものと同程度の高い満足度が得られた.結論:ドーム型歯ブラシは平型歯ブラシと同等のプラーク除去効果が認められた.口腔衛生に関する理解度が高い者であれぼ,従来型の歯ブラシよりも高いプラーク除去効果が期待できるかもしれない.
  • 佐藤 秀一, 好士 亮介, 清水 千津子, 坂井 雅子, 汐見 登, 向井 浩, 吉沼 直人, 坪田 圭司, 宮崎 真至, 伊藤 公一
    原稿種別: 原著
    2013 年 56 巻 4 号 p. 285-290
    発行日: 2013/08/31
    公開日: 2017/04/28
    ジャーナル フリー
    目的:各種手用スケーラーのインスツルメンテーションがチタン合金表面に及ぼす影響を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した.材料と方法:チタン合金製円柱状試片の表面に人工着色物を塗布し,ステンレス鋼製スケーラー(Stn),チタン製スケーラー(Ti)およびカーボン繊維含有ポリフェニレンサルファイド製スケーラー(PPS)を用いて人工着色物を除去し,その除去時間を計測した.次いで,着色物を除去した試片の表面粗さ(Ra)を測定するとともに表面性状をSEMを用いて観察した.成績:着色物除去時間は,Stnを用いた場合ではほかのスケーラーよりも有意に短かった.Stnを用いた場合では,PPSおよびTiを用いた場合に比較して試片表面の損傷が著明であった.一方,PPSでは試片表面にほとんど損傷を認めなかったが,Tiではわずかであるが損傷が認められた.試片の表面粗さはStnを用いた場合で有意に高く,TiとPPSを用いた場合の試片の間に有意差は認められなかった.結論:本実験に用いたいずれの手用スケーラーにおいても,チタン試片の表面粗さを増加させたが,特にStnを用いた場合,損傷が多く表面粗さも大きかった.
  • 山本 俊郎, 本城 賢一, 岸野 加奈美, 久保 惠津子, 市岡 宏顕, 中村 亨, 喜多 正和, 金村 成智
    原稿種別: 原著
    2013 年 56 巻 4 号 p. 291-297
    発行日: 2013/08/31
    公開日: 2017/04/28
    ジャーナル フリー
    目的:歯周病の発症と予防には,歯周病原因子の影響を直接受ける歯肉を健康な状態に維持することが重要とされ,歯肉へのマッサージ効果に関する報告が散見される.また等方性超高密度炭は遠赤外線放射効率が高く,近年さまざまな医療機器への応用が期待されているが,これまでに歯肉に対する影響を検討した報告はみられない.そこで今回われわれは,ヒト正常歯肉線維芽細胞株(Normal Gingival: Gin-1)に対する等方性超高密度炭で作製された炭素ローラーの効果について検討を行った.材料と方法:炭素ローラーは,先端部分に等方性超高密度炭(炭素玉)を使用し,温熱機能(37℃と42℃)と振動機能を備えたマッサージローラー(Gum-roller,大木工藝)である.Gin-1は10% Fetal Bovine Serum (FBS)添加Dulbecco's Modified Eagle's Medium (DMEM)で培養,この炭素ローラーの効果を検討するために,炭素玉群,炭素玉+温熱(37℃あるいは42℃)+振動群,control群(炭素ローラー未刺激)を作製した.その後,real-time Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction (RT-PCR)とEnzyme-linked Immunosorbent Assay (ELISA)法を用いて,Fibroblast Growth Factor-2 (FGF-2), Nerve Growth Factor (NGF), Vascular Endothelial Growth Factor (VEGF), Epidermal Growth Factor (EGF)の産生ならびにWater Soluble Tetrazolium Salts (WST) assayを用いた細胞活性とギムザ染色を用いた形態学的変化について検討を加えた.成績:control群と比較して炭素ローラー+温熱(37℃)+振動群では,Gin-1のFGF-2 mRNA発現に有意な増加を認めた.なお,VEGF・EGF mRNAは検出されなかった。さらに,炭素ローラー+温熱+振動群ではGin-1のFGF-2タンパク産生が増加した.結論:以上から,本研究に用いた炭素ローラーは,歯肉線維芽細胞のFGF-2産生を増加させ,歯肉の創傷治癒能力の向上に寄与する可能性が示唆された.
  • 日下部 修介, 堀田 正人
    原稿種別: 原著
    2013 年 56 巻 4 号 p. 298-309
    発行日: 2013/08/31
    公開日: 2017/04/28
    ジャーナル フリー
    目的:歯質接着強さの評価法は,コンポジットレジン・ボンディング材・歯質の3層構造の試料を引き離すのに必要な力(破断応力)で示される引張り接着強さや勢断接着強さによる測定が用いられている.しかし,破断応力はボンディング材と歯質の接着界面の接着強さを示すとは限らない.破断は接着体系全体の最も弱い部分から起こり,3層構造のどの場所から起こったか確認することが不可欠である.歯質とボンディング材の界面における接着強さの測定が望まれる.そこで,薄膜スクラッチ試験を応用し,ボンディング材と歯質の2層構造の接着強さ試験を行い,その測定特性と精度を明らかにすることを検討した.材料と方法;供試材料として,市販のワンステップボンディング材のビューティボンド,ボンドフォース,アドパーイージーボンド,クリアフィルトライエスボンドを使用した.ワンステップボンディング材の象牙質に対する薄膜接着強さ試験を行い,従来の引張り接着強さ試験と比較検討し,また各ボンディング材の象牙質に対する接触角・表面張力についても検討した.結果:薄膜接着強さにおけるボンディング材の各厚さによる平均接着強さは5.29〜8.50Nを示し,ボンディング材の厚みが増加するにつれて接着強さも大きくなった.各ボンディング材の薄膜接着強さは5.63〜7.19Nであり,標準偏差が1.00N以下と小さい傾向を示した.引張り接着強さにおいては,各ボンディング材の平均接着強さは6.27〜15.59MPa,標準偏差は1.95〜4.49MPaと薄膜接着強さよりかなり大きくばらついていた.薄膜接着強さと引張り接着強さには強い正の相関が認められた.各種ボンディング材および水,エタノール,アセトンの象牙質に対する接触角は経時的に減少し,各ボンディング材の接触角は各ボンディング材の含有する溶媒であるアセトン,エタノールの接触角と近似していた.各種ボンディング材および水,エタノール,アセトンの表面張力の顕著な経時的変化は認めなかった.また,接触角および表面張力と薄膜接着強さに相関は認めなかった.結論:薄膜接着強さ試験は,接着界面近傍の接着強さの定量的評価として有用であることが示唆された.また,ワンステップボンディングシステムの成分中における水,アセトン,エタノールなどの揮発溶媒成分が表面張力・接触角に影響を及ぼすが,ぬれ性が接着強さの主要条件とはならないことが示唆された.
  • 田中 久美子, 西谷 佳浩, 大原 直子, 澁谷 和彦, 吉山 昌宏
    原稿種別: 原著
    2013 年 56 巻 4 号 p. 310-317
    発行日: 2013/08/31
    公開日: 2017/04/28
    ジャーナル フリー
    目的:本研究の目的は,蛍光色素で染色したセルフエッチングプライマーを用い,共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)による健全象牙質に対するセルフエッチングプライマーの浸透を評価することである.材料と方法:ヒト抜去小臼歯の象牙質に対してクリアフィルメガボンドFA(クラレノリタケデンタル)を用いて歯面処理を行い,コンポジットレジンを築盛して接着試料体を作製した.プライマーの浸透を観察するために,プライマーには蛍光色素・ローダミンBを配合した.配合する濃度を,プライマーに対して0% (control), 0.05, 0.06, 0.07, 0.08, 0.09, 0.1%および0.2%の8群に設定し,それぞれの群においてCLSMおよび走査電子顕微鏡(SEM)を用いて接着界面の観察を行った.また,微小引張接着試験を行い,接着強さを比較・検討した.成績:CLSM観察において,蛍光色素ローダミンBの濃度が0.07, 0.08, 0.09%および0.1%群では象牙細管内に浸透したプライマーが適度に染色されていた.0.2%では,染色の濃度が高く細管が判別しづらい状態であった.接着強さに関しては,ローダミンBの濃度が0.05, 0.06%および0.07%ではcontrol群と同等の値を示した(p>0.05). 0.08, 0.09, 0.1%および0.2%では,control群と比較して接着強さは有意に低下した(p<0.05).また,ローダミンBの濃度が0.07, 0.08, 0.09, 0.1%の試料体において,CLSMおよびSEMで観察された界面を比較すると,いずれの試料においても樹脂含浸層およびレジンタグが観察された.結論:メガボンドFAプライマーの象牙質への浸透を検討する手法として,CLSMを用いたレジン-象牙質接着界面の観察は,検討手法の一つとして有効であることが示唆された.また,接着強さにも影響を及ぼすことから,配合するローダミンBの濃度は0.07%が望ましいと考えた.
  • 山路 公造, 塩出 信太郎, 小田島 朝臣, 西谷 佳浩, 伊澤 俊次, 田中 久美子, 大原 直子, 西村 麻衣子, 横山 章人, 菅谷 ...
    原稿種別: 原著
    2013 年 56 巻 4 号 p. 318-324
    発行日: 2013/08/31
    公開日: 2017/04/28
    ジャーナル フリー
    目的:低出力超音波パルス(Low-intensity Pulsed Ultrasound, LIPUS)は,骨形成を促し治癒を促進させることが知られており,現在骨折の治療などに臨床応用されている.本研究は増殖因子であるリコンビナントヒトBMP-2 (rhBMP-2)を成体ラットの口蓋部骨膜下に移植しLIPUS照射を施した場合,骨形成にどのような影響を及ぼすか検討する目的で行った.材料と方法:15週齢ウィスター系雄性ラットの口蓋粘膜を剥離後,rhBMP-2を配合したポリ乳酸グリコール酸共重合体/ゼラチンスポンジ複合体(配合比1.0μg/μl)を移植し,LIPUSを照射した場合(LI-BMP群)と,照射しない場合(BMP群)のグループに分けた.また,何も移植せずにLIPUSを照射した場合(LI群)と,照射しない場合(Cont群)のグループに分けた.LIPUSの照射条件は1.0MHz, 240mW,照射時間5分間とし,移植後から観察期間終了まで3日ごとに照射を行った.観察期間は3週間とした.成績:LI-BMP群とBMP群の新生骨は,LI群およびCont群と比べて有意に多かった(p<0.05).LI-BMP群とBMP群間には有意差は認められなかった(p>0.05).また,BMP群の新生骨は既存骨と明瞭な境界で接していたのに対して,LI-BMP群では緻密な構造を有し既存骨とほとんど一体化していた.結論:以上の結果,rhBMP-2を成体ラットの口蓋部骨膜下に移植した場合,低出力超音波パルスを照射することにより新生骨形成が促進され,早期に既存骨と一体化する可能性が示唆された.
  • 須田 玲子, 宮澤 康, 滝口 尚, 小出 容子, 鶴見 亜有子, 三森 香織, 山本 松男
    原稿種別: 原著
    2013 年 56 巻 4 号 p. 325-334
    発行日: 2013/08/31
    公開日: 2017/04/28
    ジャーナル フリー
    目的:本研究では,歯周基本治療中における歯周病原細菌のモニタリングの有用性について検討した.方法:昭和大学歯科病院歯周病科に来院した歯周病患者で同意を得られた16名(男性6名,女性10名,平均年齢40.6歳)について,初診時(ベースライン),スケーリング・ルートプレーニング(SRP)直前,SRP 1カ月後,SRP 2カ月後に歯周組織検査と歯周病原細菌の検査を行った.1歯6点法にてプロービングポケットデプス(PPD),臨床的アタッチメントレベル(CAL),プロービング時の出血(BOP),Plaque Index (Pl I),排膿の有無(PUS)を検査した.PPDが4mm以上の1部位を歯周病部位,PPDが3mm以下の1部位を対照部位として歯周ポケット内の細菌検査を行った.歯周病原細菌はPorphyromonas gingivalis (Pg), Tannerella forsythia (Tf), Treponema denticola (Td), Aggregatibacter actinomycetemcomitans (Aa)の4菌種を選択し,realtime PCR法にて細菌の検出を行った.結果:16名の被験者のうち,慢性歯周炎患者(CP群)7名,侵襲性歯周炎患者(AP群)9名であった.SRP 2カ月後まで細菌検査を行ったのは7名であった.ベースライン時において,Aaを除いた3菌種の陽性率はCP群のほうがAP群より高く,部位別では対照部位より歯周病部位に高い傾向を示した.対照部位でも陽性を示す部位はPl Iが高い傾向にあった,AaはAP群1名にのみ検出された.Pg, TfはSRP後も検出される割合が多かったのに対し,TdはPPDの改善とともに陰性となることが多かった.歯周組織検査の結果はSRP 1カ月後から安定したのに対し,歯周病原細菌の検出率はSRP 2カ月後まで変動していた.検出された菌種に応じて選択された経口抗菌薬を併用したフルマウス・スケーリング・ルートプレーニングを行った症例では,SRP 2カ月後に全菌種とも陰性となった.結論:歯周病の診断と治療において,歯周病原細菌のモニタリングを行うことはその診断や治療方針の決定に有用であることが示唆された.
  • 武内-五十嵐 寛子, 村樫 悦子, 沼部 幸博
    原稿種別: 原著
    2013 年 56 巻 4 号 p. 335-343
    発行日: 2013/08/31
    公開日: 2017/04/28
    ジャーナル フリー
    目的:近年,Nd:YAGレーザーは歯石除去やポケット内照射において使用されている.歯周ポケットから骨まで近接していることが多いことから,われわれは組織深達性を有するNd:YAGレーザー照射の骨への影響を検討するために,マウス頭蓋冠由来骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)を用いて,出力条件の違いによる影響を検討した.材料と方法:MC3T3E-1は,10%FBS含有α-MEM培地にて培養を行い,歯科用パルスNd:YAGレーザーにて照射を行った.照射条件を3群(非照射群,100mJ, 30pps, 10秒照射群および200mJ, 30pps, 10秒照射群)に分けて照射し,24時間培養を行った.細胞増殖率および細胞遊走能の測定,位相差顕微鏡による形態観察および走査電子顕微鏡(SEM)による細胞表面の観察について比較・検討を行った.結果:非照射群と比較して100mJ, 30pps, 10秒照射群において細胞数の有意な増加が認められ(p<0.001), 200mJ, 30pps, 10秒照射群では有意な減少が認められた(p<0.001).200mJ, 30pps, 10秒照射群は非照射群および100mJ, 30pps, 10秒照射群と比較し有意な細胞遊走能の低下が認められた(p<0.05).位相差顕微鏡による形態観察では,各群において顕著な差異は認められなかったが,SEMによる細胞表面の観察では200mJ, 30pps, 10秒照射群において細胞の圧平化が認められた.結論:今回の研究結果より,レーザー照射はMC3T3-E1に対し出力依存的に細胞の機能に影響を及ぼすことが示唆されたことから,臨床においてポケット内照射を行う際はレーザーの特性を十分に理解したうえで照射条件を選択することが重要であると示唆された.
  • 岡田 崇之, 杉田 典子, 大塚 明美, 青木 由香, 高橋 昌之, 吉江 弘正
    原稿種別: 原著
    2013 年 56 巻 4 号 p. 344-352
    発行日: 2013/08/31
    公開日: 2017/04/28
    ジャーナル フリー
    目的:歯周炎に対しスケーリング・ルートプレーニングを含む動的治療を行った後に残存したポケットに歯周病原細菌または炎症の継続が認められる場合,さらなる進行のリスクが高い.セルフケアとして,ブラッシングに薬剤を含む歯磨剤を併用し殺菌・消炎を図ることは,歯周炎の進行抑制に効果的と考えられる.歯磨剤ジェルコートFは,0.05%塩酸クロルヘキシジン,β-グリチルレチン酸,フッ化ナトリウム,ポリリン酸ナトリウムを含有している.今回,歯周治療後の残存歯周ポケットに対するジェルコートFの効果を調べた.材料と方法:対象は20歯以上を有する男女で,慢性歯周炎に対しスケーリング・ルートプレーニングを含む動的治療終了後1カ月以上経過し,2歯以上に6〜7mmの残存ポケットを有する20名とした.無作為化二重盲検法にて2群に分け実験群はジェルコートFを,コントロール群は塩酸クロルヘキシジン,β-グリチルレチン酸を除いたコントロール剤を使用した.残存ポケットを有する1歯を歯肉溝滲出液(GCF),ほかの1歯を細菌検査対象とし,GCF中のAST, ALT,縁下プラーク中のPorphyromonas gingivalis, Prevotella intermedia, Tannerella forsythiaおよびTreponema denticolaを測定した.歯周病検査を行った1週後(0w)にGCFと縁下プラークを採取し,次いでポケット内に歯磨剤を注入した.患者は毎日歯磨剤を使用してブラッシングを行い,就寝前にリテーナーにて歯磨剤を10分間適用した.4週後,同様の検査を行い結果を解析した.成績:実験群,コントロール群とも有害事象は認められなかった.ベースラインにおいて年齢,男女比,ポケット深さ,細菌レベル,GCF成分の差はなかった.術前術後比較では,実験群のみ対象歯のPlaque Index (PlI)とGingival Index (GI)が減少した.それ以外に有意な変化はなかった.また,術前術後の変化量に群間差はなかった.年齢・性別の影響を調整した線形回帰分析では,GIのみジェルコートFの効果が認められた.結論:リテーナーとブラッシングを併用してジェルコートFを4週間使用した結果,歯周治療後の残存ポケットの歯周病原細菌レベルおよび歯肉溝滲出液成分に有意な変化は認められなかった.しかし,臨床所見における縁上プラークおよび歯肉の炎症を減少させる可能性が示唆された.
  • 日下部 修介, 田村 大輔, 小竹 宏朋, 作 誠太郎, 本間 文将, 村松 泰徳, 堀田 正人
    原稿種別: 原著
    2013 年 56 巻 4 号 p. 353-359
    発行日: 2013/08/31
    公開日: 2017/04/28
    ジャーナル フリー
    目的:本研究の目的は,口腔ケアに用いる至適カテキン粉末緑茶濃度,口腔内細菌に対する抗菌性,およびカテキンの口腔内細菌に及ぼす影響について検討することである.材料と方法:本実験では,供試したカテキンとしてカテキン粉末緑茶(以下,カテキン),供試細菌としてStreptococcus mutans, Streptococcus sanguinisを用いた.抗菌性試験においては,カテキン濃度を1.9, 1.0, 0.75, 0.5, 0.25g/lとなるようTSBY培地に混和して平面培地を作製し,これらに菌液を摂取し,嫌気条件下にて37℃,48時間培養し,最小発育阻止濃度を判定した.また,カテキンの口腔内細菌に及ぼす影響についてSEMおよびTEM(ネガティブ染色)を用いて,S. mutans, S. sanguinisの菌液を1.9g/lに調整したカテキン溶液に滴下後1時間および3時間の細菌の状態を観察した.結果:抗菌性試験として,1.9g/lのカテキン含有TSBY培地に細菌発育が認められなかった.カテキンのS. mutansに対するMICは1.9g/l, S. sanguinisは0.25g/lであった.SEMによる観察では,カテキンを作用したS. mutansおよびS. sanguinisは,1時間および3時間作用後における菌数が少なく,残存している菌体の形態変化が認められる傾向にあった.TEM観察においても,カテキンを作用させた細菌の形態変化が観察された.結論:以上のことから,カテキン粉末緑茶は口腔内細菌に対して抗菌効果を有し,口腔ケアとそれに伴う局所的および全身的疾患の予防に有益であることが示唆された.
  • 初岡 昌憲, 恩田 康平, 黄地 智子, 大前 正範, 岩田 有弘, 野津 繁生, 吉川 一志, 山本 一世
    原稿種別: 原著
    2013 年 56 巻 4 号 p. 360-369
    発行日: 2013/08/31
    公開日: 2017/04/28
    ジャーナル フリー
    目的:接着性ブリッジを想定し,レジンセメントの物理・機械的性質およびエナメル質-12%金銀パラジウム合金間の接着性について,3点曲げ試験,引張接着強さ(TBS)の測定および破断面の観察から検討した.材料と方法:MMA系のスーパーボンドC&B (SB),マルチボンドII(MB), CR系のレジセム(RC),セルフアドヒーシブレジンセメントのリライエックスユニセムクリッカー(UC),クリアフィルSAルーティング(SL),マックスセム(MC)を使用した.12%金銀パラジウム合金を鋳造し合金被着体,またウシ歯を研磨しエナメル質被着面とした.製造者指示および15秒間リン酸エッチングを行った後,レジンセメントでエナメル被着面に合金被着体を接着した.また,エナメル被着面に,製造者指示に従い合金被着体を接着した.24時間37℃水中保管後,ならびに5-55℃,5,000回のサーマルサイクル(TC)負荷後にTBSを測定し破断面を観察した.結果:3点曲げ試験において最大応力は,SBで71.8MPa, MBで70.8MPa, RCで124.6MPa, UCで88.8MPa, SLで109.7MPa, MCで84.0MPaであった.TBSにおいてSBはTC負荷により低下が認められた.UC, SL, MCは製造者指示どおりではTBSが低下したが,リン酸エッチングにより向上した.MB, RCのTBSの変化はほとんど認められなかったが,リン酸エッチングによる接着性の向上が破断面の観察から認められた.結論:セルフアドヒーシブタイプ・セルフエッチングプライマータイプのいずれのレジンセメントにおいても,エナメル質にリン酸エッチングの追加処理を行うと接着性が向上した.またオートミキシングチップを使用するレジンセメントは,練和を行うレジンセメントと比較してTC負荷による劣化が小さかった.
  • 長谷川 晴彦, 飯塚 純子, 椎谷 亨, 富山 潔, 倉持 江里香, 寺中 敏夫, 向井 義晴
    原稿種別: 原著
    2013 年 56 巻 4 号 p. 370-376
    発行日: 2013/08/31
    公開日: 2017/04/28
    ジャーナル フリー
    目的:裂溝という特徴的な形態を有する部位に対しての脱灰抑制に関しては,詳細には研究されていない.S-PRGフィラーはF^-を主体とした数種類のイオンを徐放することから,歯質の脱灰抑制および再石灰化効果が注目されている.本研究では,S-PRGフィラー含有光重合型レジン系シーラントをエナメル質に作製した人工裂溝に填塞し,in vitroで脱灰試験を行うことにより,シーラント材近傍の裂溝に対する脱灰抑制能を検討した.材料と方法:直径5mmのウシエナメル質ディスク状試料の表面をボンディング材でコーティング後,ダイヤモンドワイヤー式精密切断機を用いて幅250μm,深さ約500μmの人工裂溝を1mm幅を空けて3本作製し,片端の溝に4種のフィッシャーシーラント材,すなわち,(1)CONT:パルフィークライトシーラント(フッ化物非含有),(2)TMT:ティースメイトF-1_<2.0>(フッ化物含有),(3)BTS:ビューティシーラント(S-PRGフィラー含有),(4)FL: Fuji III LC(レジン添加型グラスアイオノマー系シーラント)をそれぞれ填塞した.試料数は各群6個とした.シーラントを境塞したエナメル質試片をpH4.6の0.1mol/l乳酸ゲル中に37℃で10日間浸漬後,Transversal Microradiography (TMR)撮影を行い,ミネラルプロファイルからミネラル喪失量(IML)を測定した.なお,填塞裂溝に近位の裂溝をGroove-1 (G1),遠位の裂溝をGroove-2 (G2)とし,裂溝入り口付近をOrifice(O),それよりも深部250μmをMiddle(M)とした.統計分析はGames-HowellならびにMann-Whitney検定を用い,有意水準5%にて行った.結果:BTSのG1,およびFLのG1, G2以外の部位では,OがMよりも有意に大きなIMLを示しており,裂溝深部まで水素イオンが到達しにくいという天然の裂溝環境を再現できているものと考えられた.各部位における材料間の比較を行った場合,G10においてBTSはCONT, TMTに比較し有意に低いIMLを示した.また,すべての部位においてFLは最も小さなIMLを示した.結論:S-PRGフィラーを含有するビューティシーラントは,近傍の人工エナメル質裂溝に対し効果的な脱灰抑制を示すことが確認された.
  • 伊藤 知佐, 作 誠太郎, 田村 大輔, 堀田 正人
    原稿種別: 原著
    2013 年 56 巻 4 号 p. 377-384
    発行日: 2013/08/31
    公開日: 2017/04/28
    ジャーナル フリー
    目的:修復物の表面性状は重要であり,細菌の付着や歯垢の形成に影響していると考えられている.本研究では,2種類の歯面コート材を用いて光沢度と表面粗さおよび細菌付着との関係を検討した.材料と方法:市販の各歯面コート材は表面処理方法の違いにより,ビューティコートはポリエステルフィルム圧接群(BCA),付属の研磨器具による仕上げ研磨群(BCP),付属のレジン硬化促進剤を塗布したグロスエフェクト群(BCG)とし,ホワイトコートはポリエステルフィルム圧接群(WCA),付属の研磨器具による仕上げ研磨群(WCP),付属の表面滑沢材を塗布したトップコート群(WCT)とした.各試料表面を三次元電子線粗さ解析装置により表面粗さ,60度鏡面光沢法により光沢度を測定し,齲蝕原性細菌のStreptococcus mutansに対する抗菌性および初期付着細菌のStreptococcus oralisの付着性との関係を検討した.成績:各表面処理による2種類の歯面コート材の表面粗さには有意差はなかったが,光沢度は有意に異なっておりBCA, WCA>BCG, WCT>BCP, WCPの順であった.4℃と60℃の水中におけるサーマルサイクリング1,000回の影響はなかった.また,各表面処理による2種類の歯面コート材のS.mutansに対する抗菌性は認められなかったが,S. oralisの付着性ではBCA・BCPがほかのものに比べて有意に少なかった.このことから,表面粗さ(Ra)が0.1μm以下で光沢度が40〜90%の歯面コート材における細菌付着性は表面粗さや光沢度が影響するのではなく,歯面コート材の組成,特にS-PRGフィラーやフッ化ナトリウムが影響している可能性が推測された.結論:ビューティコートとホワイトコートの表面処理による表面粗さに有意差は認められなかった.また,表面処理ごとの光沢度をサーマルサイクリング前後で比較したところ有意差は認められなかったが,各表面処理の相違により光沢度は有意な差を認め,圧接群,グロスエフェクト群,トップコート群,研磨群の順に光沢度は低下した.さらに,ビューティコートとホワイトコート間の抗菌性に有意差は認められなかったが,各群への細菌付着性を検討した結果,最も多く細菌が付着した群はホワイトコートにトップコートを塗布したものであり有意差を認めた.
  • 菅野 直之, 藤井 健志, 川本 亜紀, 望月 小枝加, 伊藤 聖, 吉沼 直人
    原稿種別: 原著
    2013 年 56 巻 4 号 p. 385-389
    発行日: 2013/08/31
    公開日: 2017/04/28
    ジャーナル フリー
    目的:歯周病は歯周病細菌により引き起こされる炎症性疾患であり,発症により唾液中の酸化ストレスマーカーが上昇,治療により減少することから,活性酸素が関与する疾患の一つと考えられている.本研究では,軽度から中等度の歯周病を有するボランティアを対象に,ユビキノール(還元型コエンザイムQ10)の摂取が歯周組織の臨床症状,口臭,唾液の抗酸化能に及ぼす効果を検討することを目的とした.材料と方法:被験者を2群に割り付け,実験群には還元型コエンザイムQ10(50mg)を含むサプリメントを,対照群にはプラセボを毎食後摂取させ,4,8週後に口腔内診査,口臭検査および唾液の採取を行った.成績:投与前後での臨床症状では,実験群でプラークの付着程度およびプロービング時の出血点の割合,対照群でプロービング時の出血点の割合に有意な低下が認められた.抗酸化能は,実験群ではやや増加したが,対照群では有意な低下がみられた.口臭の評価では,実験群で低下する傾向がみられた.結論:本結果から,還元型コエンザイムQ10の服用は歯周病による口腔内の症状改善に有用である可能性が示唆された.
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