日本歯科保存学雑誌
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57 巻 , 3 号
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総説
原著
  • 小林 幹宏, 藤島 昭宏, 真鍋 厚史
    2014 年 57 巻 3 号 p. 209-218
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
     目的: コンポジットレジンの補修修復における被着面の表面粗さならびにプライマー処理などの前処理条件の相違がコンポジットレジンの補修修復に及ぼす影響について比較, 検討した.
     材料と方法: 2種類の組成, 流動性の異なるコンポジットレジンClearfil AP-X (AP), Beautifil Flow F02 (BE) を用いて表面性状が異なる2種類の被着面を作製した (圧接面とダイヤモンドポイント切削面). 接着前処理条件として未処理, ボンディング処理 (Clearfil Photo Bond), シランカップリング処理 (Clearfil Photo BondとClearfil Porcelain Bondの混合液) で前処理を行い被着面と同じコンポジットレジンを充塡し, 1週間水中保管後にせん断接着試験を行い比較, 検定を行った.
     結果: せん断接着強さでは, 同じ被着面の表面性状間でBEのボンディング処理のみに有意な差が認められ, その他のAPならびにBEでは有意な差は認められなかった. 被着面の表面処理間では, APの圧接面の表面未処理に対してボンディング処理群, シランカップリング群, いずれの群でも有意な差が認められた. BEでは, ダイヤモンドポイント切削面に対してシランカップリング処理で有意な差が認められた. 圧接面の未処理に対して, シランカップリング処理のみに有意な差が認められた.
     結論: コンポジットレジンの種類により有効な被着面の処理が異なり, それぞれに適した表面処理が必要である. コンポジットレジンの流動性の良さは接着性に有効である.
  • 杉田 典子, 中曽根 直弘, 花井 悠貴, 高橋 昌之, 伊藤 晴江, 両角 俊哉, 久保田 健彦, 奥田 一博, 吉江 弘正
    2014 年 57 巻 3 号 p. 219-228
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
     目的 : 化学的プラークコントロール法としてグルコン酸クロルヘキシジン (CHG) 配合洗口液が効果的であるが, アレルギーなどの副作用が問題視されている. そこで今回, 塩酸クロルヘキシジン (CHH) と塩化セチルピリジニウム (CPC) を抗菌成分として配合した洗口液を開発し, 基本治療終了後の歯周炎患者が4週間使用した場合の口腔細菌に対する効果を評価した.
     材料と方法 : 新潟大学医歯学総合病院歯周病科を受診中で, 20歯以上を有し歯周基本治療後5mm以上の歯周ポケットを1~7部位有する歯周炎患者30名を対象とした. 新洗口液 (CHH+CPC群), CHG配合のコンクールF (CHG群), 抗菌成分を含まないコントロール洗口液 (コントロール群) を使用する3群にランダムに各10名を割付け, 二重盲検法で比較した. ベースラインおよび使用4週後に唾液・舌苔・歯肉縁上プラークを採取し, 総菌数, 総レンサ球菌数, Porphyromonas gingivalisおよびStreptococcus mutansの菌数を測定した. またterminal restriction fragment length polymorphism (T-RFLP) 法による解析を行った.
     成績 : いずれの洗口液でも有害事象は認められなかった. ベースライン (術前) と4週目を比較した結果, CHH+CPC群において唾液中総菌数とS. mutans数, 舌苔中総菌数, 縁上プラーク中総レンサ球菌数が有意に減少していた. CHG群においては, 縁上プラーク中総菌数の有意な減少が認められた. コントロール群では舌苔中総菌数および総レンサ球菌数が有意に減少していた. T-RFLP解析の結果, CHH+CPC群の唾液中において制限酵素Msp I切断断片から推定されるStreptococcus群, Hha I切断断片から推定されるStreptococcus・Eubacterium群, Parvimonas群およびPorphyromonas・Prevotella群が有意に減少していた. 縁上プラーク中の細菌については, Hha I切断断片から推定されるStreptococcus・Veillonella群がCHG群で有意に減少していた. その他に有意な変化は認められなかった.
     結論 : これらの結果より, CHH+CPC配合洗口液はより安全に使用でき, CHG配合洗口液と同程度以上の抗菌効果をもつことが示唆された.
  • 藤井 和夫, 長谷川 義明, 村上 幸孝, 土井 豊, 横川 善之, 堀田 正人
    2014 年 57 巻 3 号 p. 229-238
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
     目的 : 金銀パラジウム合金を用いた修復物は, 揮発性硫黄化合物 (Volatile Sulfur Compounds, 以下, VSC) 産生量の多い患者の口腔内で変色を生じることが知られている. 一方, VSCを吸着する材料 (VSC吸着材) として, Zeolite A, Hydrotalciteが新素材として研究されている. そこで本研究では, VSC産生菌による金銀パラジウム合金への変色の影響とVSC吸着材 (Zeolite A, Hydrotalcite) の変色抑制効果について検討した.
     材料と方法 : 金銀パラジウム合金を3種類の歯周病原性菌 (Porphyromonas gingivalis, Prevotella intermedia, Fusobacterium nucleatum) と1種類の齲蝕原性菌 (Streptococcus mutans) を加えたBHI培地 (L-システイン添加) に入れ, 37℃で嫌気培養を4週間行った. また, VSC吸着材を加え, 培養したものも同時に作製した. 培養後, 各修復材料の光沢度・色彩の測定を行った.
     成績 : 金銀パラジウム合金の光沢度は, 4菌種とも培養後に低下したが, VSC吸着材を加えることにより有意に低下が抑制された. 色彩変化も培養後に認められたが, VSC吸着材を加えることにより色差が小さくなる傾向がみられ, P. gingivalis培養後にZeolite Aを加えた場合に有意に変色が抑制された.
     結論 : 供試細菌は金銀パラジウム合金の光沢度の低下と変色を生じさせた. また, 供試したVSC吸着材は口腔内細菌のVSCを吸着し, 金銀パラジウム合金の変色を抑制することが示唆された.
  • 鈴木 重紀, 増田 宜子, 細田 秀剛, 中山 乾, 古川 恵理奈, 坂上 斉, 八幡 祥生, 宮﨑 隆
    2014 年 57 巻 3 号 p. 239-244
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
     目的 : 本研究の目的は, 平成24年度 (2012年4月~2013年3月) の昭和大学歯科病院歯内治療科を受診した外来患者の根管治療の現状について調査, 分析をすることである.
     方法 : 調査対象は, 昭和大学歯科病院歯内治療科において平成24年度に根管治療を施行した患者とした. 対象患者のうち, 根管充塡した歯の歯種別本数, 歯種別平均治療回数, 根管充塡予後の調査を行った. また, 平成21年度の当科における臨床統計と比較検討した.
     結果 :
     1. 根管治療を施行した患者数は863名であった.
     2. 根管充塡を行った歯数は953歯で, 歯髄炎が372歯, 根尖性歯周炎が581歯であった. 歯種別本数の内訳は, 歯髄炎では上顎大臼歯部が83歯, 上顎小臼歯部が53歯, 上顎前歯部が55歯, 下顎大臼歯部が69歯, 下顎小臼歯部が46歯, 下顎前歯部が66歯であった. 一方, 根尖性歯周炎では上顎大臼歯部が112歯, 上顎小臼歯部が89歯, 上顎前歯部が109歯, 下顎大臼歯部が154歯, 下顎小臼歯部が68歯, 下顎前歯部が49歯であった.
     3. 根管充塡までの平均治療回数は歯髄炎が2.8回, 根尖性歯周炎が3.5回であった.
     4. 平成21年度の当科の臨床統計との比較では, 外来患者数は419名から863名, 根管充塡を行った歯数は348歯から953歯と増加した. 対照的に, 平均治療回数は, 歯髄炎で3.9回から2.8回, 根尖性歯周炎で5.7回から3.5回と減少した.
     結論 : 平成21年度の当科の臨床統計と比較して, 患者数・根管充塡歯数が増加したことから, 院内他科, 地域の歯科医院からの紹介を含めて需要の増加がみられた. また平均治療回数が減少した理由として, 通常の根管治療によって治癒しない症例を早期にマイクロスコープやコーンビームCTの導入によって診断し, 根尖孔破壊や穿孔, 歯根破折などを早期に発見し, 外科処置へスムーズに移行させることができるようになったことや, 習熟したドクターのニッケルチタンロータリーファイル使用による作業効率の向上が推測される. 今後も当科における根管治療の現状を把握し, 医療連携を推進させるためにも継続的に統計的観察を行い報告していく予定である.
  • —薬液温度および浸漬方法が腐食に及ぼす影響—
    鈴木 瑛子
    2014 年 57 巻 3 号 p. 245-259
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
     目的 : NiTiファイルは, 超弾性という機械的特性により, 根管形成における有効性が報告されているが, 根管内での破折が問題とされている. しかし, 除去に関する報告は少なく, 根管内で破折したNiTiファイルの除去方法が確立されているとはいいがたい. これまで, 薬液の応用でNiTiファイル破折片を腐食させて除去を容易にする方法を確立することを目的とし, 薬液の応用によりNiTiファイル破折片を腐食させる基礎的研究を行ってきた. 本研究では, 2種類の薬液によるNiTiファイル破折片の腐食メカニズムについて分析し, さらなる腐食溶解時間の短縮を目的として, 薬液温度の変化, 浸漬方法, および2種類の薬液の相互作用が腐食溶解にどのような影響を及ぼすかについて検討した.
     材料と方法 : NiTiロータリーファイルとして, ProTaper (Dentsply Maillefer, Switzerland) #25, F2を使用した. 浸漬薬液には, pH4.5に調製したリン酸酸性2% (w/v) フッ化ナトリウム溶液 (以下, APF), 10% (w/v) 次亜塩素酸ナトリウム-19% (w/v) 塩化ナトリウム溶液 (以下, NCN), およびコントロールとして脱イオン水を使用した. 腐食状態についての分析は, X線マイクロアナライザーによるSEI撮影, 元素マッピング, および定性定量分析により行った. 薬液の腐食溶解に及ぼす影響については, 1) 薬液温度の影響, 2) 薬液への浸漬方法の影響, 3) 2種類の薬液の相互作用の影響についてそれぞれ検討した. 腐食溶解の評価は, 浸漬前と浸漬3時間後の重量変化の測定から算出した. さらに形態学的変化について観察を行った.
     成績 : 元素分析の結果, APFではTiの溶出が, NCNではNiの溶出が多くみられ, 腐食メカニズムが異なることが示された. 腐食溶解に及ぼす影響は, 薬液温度の上昇に伴い腐食は促進した. 間歇的な薬液への浸漬方法は, 連続的に浸漬するよりも腐食は促進した. 薬液の相互作用では, APFに浸漬後NCNに浸漬させた場合に最も腐食溶解が促進した.
     結論 : APFとNCNでは, 腐食状態が異なることが確認された. また, 薬液温度の上昇, 薬液への間歇的な浸漬あるいは2種類の薬液を相互に作用させることは, NiTiファイル破折片の腐食溶解を促進させる可能性があることが示された.
  • 吉嶺 嘉人, 松本 妃可, 佐藤 浩美, 新井 裕基, 木原 智子, 赤峰 昭文
    2014 年 57 巻 3 号 p. 260-267
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
     目的 : この研究では, 抜髄法へのEr : YAGレーザー応用の効果を検証することを目的とした.
     材料と方法 : ヒトの根尖が完成した単根下顎小臼歯を用いた. 試料の歯冠を除去し, ♯15のK-ファイルを根管内に挿入し, 根尖孔からファイル先端が見える長さから-2mmを作業長に設定した. Er : YAGレーザー用の円錐型の石英ファイバーチップを作業長の位置に挿入し, 最初の静止照射は10秒間, 30mJ, 20ppsでエア・水ありの条件で行った (ステップ1). 次に, 引き上げながら4回のレーザー照射を行った (ステップ2). 最後に, NaOCl溶液を根管内に容れて引き上げながら4回のレーザー洗浄を行った (ステップ3). 各ステップ後に根管壁面の超微構造を走査型電子顕微鏡で観察した. さらに, レーザー照射中の歯根表面の温度変化を赤外線サーモグラフィを用いて解析した.
     成績 : ステップ1後の試料は, アピカルストップ様の拡大された根管を示した. ステップ2では, 蒸散された領域と蒸散されない領域がみられた. ステップ3後の試料は, 根管の全体にわたって開口した象牙細管をもつ石灰化球様の構造を示した. 歯根表面の温度変化は, 10秒間の静止照射では約2.5℃の上昇を示した. この温度は, 歯周組織の構造的な傷害や解剖学的変化を起こさないと考えられる.
     結論 : 以上の結果は, 細い円錐型チップを装着したEr : YAGレーザーによる抜髄操作の可能性を示唆している.
  • 加藤 智崇, 杉山 精一, 牧野 路子, 内藤 徹
    2014 年 57 巻 3 号 p. 268-275
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
     目的 : 健全な口腔機能を保つために, メインテナンスは大変重要である. しかし, わが国ではメインテナンス受診率がほかの先進国に比べて著しく低い. 本研究の目的は, 長期メインテナンス患者の背景を分析することで, メインテナンス患者の受診率の増加に有用な, メインテナンス患者と歯科医院とのかかわりを明らかにすることを目的とする.
     材料と方法 : 一般歯科医院に来院する長期メインテナンス患者30名に対して個別にインタビューを行い, その様子をビデオ撮影した. ビデオ撮影後, 患者と面接者の会話をテキスト化し, Steps for Coding and Theorization (SCAT) を用いて質的に解析した.
     結果 : 被験者は平均年齢60.7歳であり, メインテナンス継続期間は平均10.4年であった. 背景から, 被験者の93.1%が食生活を気にしており, 79.3%が運動の重要性を認識していた. 被験者のすべてがメインテナンスの継続を希望しており, また, 75.9%の被験者がスタッフに対して好感をもつという記述を得た. 歯科衛生士の指導で行動変容したという記述も多数確認できた. しかし, メインテナンスの継続で重要な一次予防の概念について認識している記述は, 24.1%しか得られなかった.
     結論 : 長期メインテナンス受診患者は健康への意識が高く, またスタッフに対して好感をもっていた. メインテナンス受診率の向上には, メインテナンスの中心スタッフである歯科衛生士の存在が重要であると示唆された.
  • 陸田 明智, 小倉 由佳理, 佐藤 愛子, 寺井 里沙, 鈴木 崇之, 升谷 滋行, 宮崎 真至, 本淨 学, 角野 奈津
    2014 年 57 巻 3 号 p. 276-282
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
     目的 : レジンペーストの保管温度条件がその硬化物の機械的性質に及ぼす影響について, 曲げ特性および表面硬さを測定するとともに, レーザー顕微鏡を用いてコントラクションギャップの観察を行うことによって検討した.
     材料と方法 : 供試したレジンペーストは, ユニバーサルタイプのEstelite Σ Quick, BeautifillⅡ, Filtek Supreme UltraおよびSolareの4製品, インジェクタブルタイプのMI Fillの合計5製品とした. レジンペーストの保管温度条件は, 5℃冷蔵庫保管 (冷蔵条件), 23℃室温保管 (室温条件) およびコンポジットレジン加温器を用いて45℃にした条件 (加温条件) の合計3条件とした. これらの保管温度条件で硬化させた試片について, 曲げ強さ, 曲げ弾性率およびヌープ硬さを測定するとともに, レーザー顕微鏡を用いてウシ抜去歯にレジンペーストを充塡した際のコントラクションギャップの観察を行った.
     成績 : レジンペーストの保管温度条件が, 曲げ強さおよび曲げ弾性率に及ぼす影響は, いずれの製品においても, 冷蔵条件と比較して室温および加温条件で有意に高い値を示した. ヌープ硬さについては, いずれの製品においても, 冷蔵条件と比較して室温および加温条件で有意に高い値を示したが, その傾向は製品によって異なるものであった. コントラクションギャップの観察については, いずれの製品においても, 冷蔵条件においては窩洞隅角部にギャップの形成が顕著に観察されたが, 室温条件ではギャップ幅が減少し, さらに加温条件では, ほかの条件と比較してギャップ幅の減少が観察された.
     結論 : レジンペーストの保管条件としての環境温度は, その機械的性質および窩壁適合性に影響を及ぼすことが示唆された.
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