日本歯科保存学雑誌
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58 巻 , 4 号
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原著
  • 秋山 勝彦, 下島 かおり, 佐藤 生野, 渡辺 亮一郎, 武藤 徳子, 石井 信之
    2015 年 58 巻 4 号 p. 265-272
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
     研究目的 : Ni-Tiファイルを用いた根管形成を行うためには, グライドパス (誘導路) が不可欠である. グライドパスは一般的に手用Kファイルを使用して形成するが, ファイル操作は術者の手技に影響を受けるため, 解剖学的根管形態に追従することが困難である. ProGliderは, モーター駆動式ハンドピースに装着して使用することで適確なグライドパスの形成が期待されている. 本研究は, ProGliderによるグライドパス形成後の根管追従性や形成能を明らかにすることを目的として根管壁変位量を測定し, さらにグライドパス形成後のNi-Tiファイルによる根管形成への影響を比較し, ProGliderの切削特性を解析した.
     材料と方法 : エポキシレジン製J型湾曲根管模型60本を使用した. グライドパスの根管壁切削量の比較は#15, #20Kファイル群とProGlider群に分類して測定した. グライドパス形成後のNi-Tiファイルによる根管形成への影響は, WaveOne, ProTaper Nextを使用し, 各群ともにKファイルとProGliderによるグライドパス形成後に根管壁切削量を比較検討した. 根管壁切削量の測定は, デジタル画像解析にて根尖孔から1, 3, 5, 8mmの位置で内・外湾側の根管幅径増加量を計測し, 統計処理を行った.
     結果 : グライドパスの根管幅径増加量は, Kファイル群がProGlider群と比較して内湾側3mmの位置で有意に増加した. KファイルおよびProGliderによるグライドパス形成後のNi-Tiファイルによる根管幅径増加量を測定した結果, WaveOneで内・外湾側3mmの位置でKファイル群がProGlider群と比較して有意に増加傾向が示された. しかしながらProTaper Nextでは, Kファイル群とProGlider群による根管幅径増加量に有意差は認められなかった.
     結論 : ProGliderによるグライドパス形成は湾曲根管内湾部のトランスポーテーションを抑制し, グライドパス形成後のNi-Tiファイルによる根管形成においても, 本来の根管形態を正確に維持することが示された.
  • 藤田 光, 岩井 仁寿, 岩井 啓寿, 岡田 珠美, 鈴木 英明, 内山 敏一, 西山 典宏, 平山 聡司
    2015 年 58 巻 4 号 p. 273-281
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
     目的 : ワンステップボンディング材であるG-BOND PLUS (G-BP) に配合されている酸性モノマーについて, G-BPとエナメル質または象牙質粉末とを反応させ, 反応前後における溶液と固体13C NMRスペクトルの変化から, エナメル質と象牙質の脱灰によって生成される副生成物の情報を得るために, 反応時間を変化させて酸性モノマーと歯質成分との相互作用の詳細について検討した. さらに, 酸性モノマーの脱灰がエナメル質と象牙質の接着強さに及ぼす影響を検討した.
     材料と方法 : G-BP 1.000g中に切削したウシ前歯歯冠エナメル質または象牙質粉末0.200gをそれぞれ10, 20, 60, 1,800秒間および3,600秒間振盪・攪拌した. その後, 懸濁液を遠心分離し, G-BP上澄み液と反応残渣の13C NMRスペクトルとを, EX 270スペクトロメーターを用いて測定した. エナメル質または象牙質粉末を相互作用させる前後の13C NMRスペクトルを基に, TEGDMAのビニル基メチレンカーボンNMRピークに対するG-BPに含有される酸性モノマー (MDP) のビニル基メチレンカーボンNMRピークの強度比を求めた. MDPのビニル基メチレンカーボンNMRピーク強度の減少率は, 反応前後の強度比の差を反応前の強度比で除して求め, これをMDPの歯質アパタイト成分の脱灰率とした. さらに, G-BPのエナメル質と象牙質に対するせん断接着強さを測定した.
     結果 : G-BPにエナメル質と象牙質を相互作用させると, MDPのビニル基メチレンに帰属されるNMRピークの相対強度は減少し, 脱灰率は反応3,600秒後でエナメル質は66.50%, 象牙質では89.50%であった. G-BPと歯質アパタイトの反応残渣からカルシウム塩の析出が認められた. G-BPとの反応時間が長くなると, MDP-Ca塩が増加し, NMRピーク “g1” からNMRピーク “g2” の相対的な強度比が大きくなった. MDPの脱灰による接着強さへの影響は, 反応時間20秒までは脱灰率は増加し, それに対する接着強さもわずかに増加したが, 反応時間60秒後の接着強さはエナメル質が15.53MPa, 象牙質が10.39MPaであった.
     結論 : G-BPに配合されるMDPと歯質アパタイトの脱灰率は, 象牙質でエナメル質より高い脱灰率を示した. 接着強さでは象牙質よりもエナメル質で高い接着強さを示した.
  • 末山 有希子, 金子 友厚, 伊藤 崇史, 興地 隆史
    2015 年 58 巻 4 号 p. 282-289
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
     目的 : 炎症性刺激が幹細胞の動態や遺伝子発現に及ぼす影響については, 依然として不明な点が多い. そこで本研究では, 幹細胞分化能マーカーの一つとして知られるCD146に着目し, ヒト脱落乳歯歯髄幹細胞およびラット骨髄間葉系幹細胞のCD146 mRNA発現に対するlipopolysaccharide (LPS) 刺激の影響をin vitroで検討した. さらに, LPSにより歯髄炎を誘発したラット切歯歯髄組織を検索対象として, in vivoにおけるCD146 mRNA発現レベルを併せて解析した.
     材料と方法 : ヒト脱落乳歯歯髄幹細胞およびラット骨髄間葉系幹細胞を播種後, LPS (最終濃度 : 10ng/ml) もしくはコントロールとして生理食塩液を培養液に滴下し, 3, 12時間あるいは24時間培養した. 所定時間経過後, 各培養幹細胞から全RNAを抽出したのち, CD146 mRNAの発現をreverse transcription polymerase chain reaction (RT-PCR) 法により半定量的に解析した. また, Wistar系雄性ラットに全身麻酔を施した後, 下顎切歯歯冠を水平方向に切断し, Kファイルにて歯髄腔内に5mm穿掘形成したのち, LPS (1mg/ml) を1μl貼付し, 窩洞を封鎖した. LPS刺激3, 12, 24時間経過後に切歯歯髄を摘出し, 前述と同様に全RNAを抽出後, RT-PCRを用いてCD146 mRNAの発現解析を実施した.
     成績 : ヒト脱落乳歯歯髄幹細胞において, LPS刺激12, 24時間経過後にCD146 mRNA発現の有意な亢進が観察された. また, ラット骨髄間葉系幹細胞ではLPS刺激24時間経過後にCD146 mRNA発現の有意な亢進が観察された. さらにラット切歯歯髄組織においては, LPS刺激3時間経過後にCD146 mRNA発現の有意な亢進が観察された.
     結論 : LPS刺激により, ヒト脱落乳歯歯髄幹細胞, ラット骨髄間葉系幹細胞およびラット切歯歯髄組織にCD146 mRNAの有意な発現亢進が認められた.
  • 甲田 智, 吉田 拓正, 森戸 亮行, 高橋 典敬, 山口 貴央, 細矢 哲康, 押野 一志, 矢納 義高
    2015 年 58 巻 4 号 p. 290-299
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
     目的 : 象牙質知覚過敏症は, 口腔に開口した象牙細管内の組織液が移動することで疼痛を引き起こすと考えられている. 本疾患の臨床症状に対する処置は, 歯髄の興奮抑制や象牙細管の物理的封鎖が有効とされ, 種々の方法や材料の研究が行われ臨床に応用されている. 本研究の目的は, 象牙質知覚過敏症の処置に用いる, より効果的な材料を開発するために, 被膜形成能を有するステアリン酸亜鉛の応用の可能性を調査することである.
     材料と方法 : 被験歯として, 抜去ヒト永久歯120本から切り出した象牙質120片を用いた. 被験象牙質片は, 無作為に40片ずつ3群に分配し実験に供した. 被験試料は, 実験群としてステアリン酸亜鉛分散液 (Zn-St群), 陽性対照群として乳酸アルミニウム・リン酸水素二ナトリウム溶液 (Al-PO3群), ならびに陰性対照群としてソルビット水溶液 (Cont群) の3種類である. 各被験試料は象牙質片表面に歯ブラシで擦り込み, 走査電子顕微鏡を用いて象牙質表面における被膜形成の状態, ならびに象牙細管内における被験試料の挙動を経時的に観察した. 擦り込みと観察の条件は, 6時間おきに3回の擦り込みを行い, 1回目の擦り込み前後, 2回目の擦り込み前後, 3回目の擦り込み前後, 擦り込み開始から24, 36時間後の時点で観察を行った. 実験中ならびに観察中の象牙質片は, 口腔内における環境を再現する目的で, 擦り込み面の裏面からリンゲル液で象牙細管内を加圧し, かつ物理的な振動を加えながら37°C生理食塩水中で保管した. また被験試料の擦り込みは, 1名の術者が常に新しい歯ブラシを使用して行った.
     結果 : Zn-St群では象牙質表面にステアリン酸亜鉛の被膜形成が認められ, 象牙細管内にもステアリン酸亜鉛の侵入が認められた. Al-PO3群においては, 象牙細管開口部への沈着物が認められた. Cont群では観察期間を通じて, 象牙質表面ならびに象牙細管内に変化は認められなかった. またZn-St群においては, 経時的に象牙質表面の被膜の脱落ならびに細管内のステアリン酸亜鉛の減少が認められ, Al-PO3群では細管内の沈着物の減少が観察された.
     結論 : ステアリン酸亜鉛を継続的に擦り込むことで, 歯の表面に被膜が形成され, さらに象牙細管内への侵入が認められたことから, ステアリン酸亜鉛の応用が象牙質知覚過敏症の症状緩和に効果的であることが推察された.
  • 吉田 拓正, 高橋 典敬, 甲田 智, 森戸 亮行, 坂本 富則, 山口 貴央, 細矢 哲康, 桃井 保子, 押野 一志, 矢納 義高
    2015 年 58 巻 4 号 p. 300-305
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
     目的 : 象牙質知覚過敏症の原因は, 硬組織欠損や歯肉退縮に起因した象牙細管の開口によると考えられている. 発症部位の象牙細管は, 非発症部位に比較して数が多く直径も大きい傾向がある. 本研究では, in vitroにおいて象牙細管封鎖作用がすでに確認されたステアリン酸亜鉛の象牙質知覚過敏症に対する効果を検討するために, 象牙質知覚過敏症を発症した患者にステアリン酸亜鉛配合歯磨剤を応用し, 症状の変化を観察することで有効性を評価した.
     材料と方法 : 被験対象は象牙質知覚過敏症と診断された患者25名で, Schiff Air Indexの分類2ないし3に該当する症例である. 被験試料としては硝酸カリウム, フッ化ナトリウムならびにステアリン酸亜鉛配合の歯磨剤を, 対照試料としては硝酸カリウムならびにフッ化ナトリウム配合の歯磨剤を用いて, 通常のブラッシング方法と時間で毎日2回以上のブラッシングの実施を指示した. 評価は歯磨剤使用開始時, 2週後ならびに4週後に, 発症部位に対して約1cmの距離から送風 (18°C, 0.3MPa) を行い, 送風による刺激に対する反応を患者自身にVisual Analogue Scale (VAS) に記入させ判断した. 各患者から得られたVAS値から, 経時的変化ならびに被験試料と対照試料間における効果の差に関して統計学的検索を行った. なお実験の実施ならびに集計等のすべての段階において, 二重盲検法を採用して行った.
     結果 : 被験試料ならびに対照試料を用いてブラッシングを行った結果, VAS値は経時的に有意な低下を示した. 両試料間においては, 使用開始時ならびに2週後において差は認められなかったが, 4週後で対照試料に比べ被験試料で有意な低下が認められた.
     結論 : 硝酸カリウムとフッ化ナトリウム配合歯磨剤は, 象牙質知覚過敏症の疼痛緩和に有効であった. さらにステアリン酸亜鉛を加えることで, より優れた疼痛緩和効果が得られ, 継続的な使用によって効果は向上することが示唆された.
  • 松島 友二, 鈴木 琢磨, 八島 章博, 白川 哲, 鈴木 丈一郎, 五味 一博
    2015 年 58 巻 4 号 p. 306-313
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
     目的 : 極細毛を用いた手用歯ブラシは, 極細毛が歯周ポケット内に到達し, 歯周ポケット内のプラークコントロールに効果があるとされているが, 手用歯ブラシでは細かな振動を与えることが困難で, 極細毛の効果を十分に発揮することができないと考えられる. 本研究では, 微細な振動を与える音波歯ブラシに極細毛を応用した場合のプラーク除去効果, 歯周ポケット内の細菌叢の変化および歯肉に対する傷害を調べることを目的とした.
     材料と方法 : 実験には段差の異なる極細毛3種類と手用極細毛歯ブラシを用いた. 被験者は, 歯肉炎または軽度歯周炎を有する歯周病患者52名を対象とした. この52名を無作為に4群に分け, 0週, 2週および4週後に歯肉擦過傷, 歯肉溝滲出液量, ポケット深さ, BOP, GI, PCR値を測定した. また, 歯周病患者18名について段差3mmの極細毛歯ブラシを音波歯ブラシおよび手用歯ブラシで用い, 使用前後のポケット内細菌をPCR-Invader法で測定した.
     結果 : すべての歯ブラシにおいて歯肉への傷害は軽微であった. また, プラーク除去および歯肉の炎症改善は, 各歯ブラシ間に有意差を認めなかった. 段差3mmの極細毛を音波歯ブラシで用いた場合, 有意に細菌の減少が認められた.
     考察 : 極細毛を応用した音波歯ブラシは, ポケット内のプラークコントロールに有効であると考えられた. さらに歯肉傷害は少なく, 安全に使用できることが確認された.
  • 八島 章博, 鈴木 琢磨, 松島 友二, 五味 一博
    2015 年 58 巻 4 号 p. 314-320
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
     目的 : 音波歯ブラシは高振動によるキャビテーション効果により, 毛先から離れた部位のプラーク除去にも効果があるとされるが, 深い歯周ポケットに対してはその効果を十分発揮するのは難しい. しかし, 歯周ポケット内の歯周病原細菌をコントロールすることはきわめて重要であると考えられる. そこでわれわれは, 音波歯ブラシと水流洗浄器を併用した場合の歯周ポケット内細菌に与える影響について検討した.
     材料と方法 : 4~5mmの歯周ポケットを有する患者18名を無作為に2群に分け, 実験群は被験歯に音波歯ブラシで頰側・口蓋側から10秒ずつブラッシング後含嗽し, 水流洗浄器で頰側・口蓋側から10秒ずつ洗浄を行った. 細菌は術前後に採取した. 対照群は音波歯ブラシでブラッシング, 含嗽後に細菌を採取した. 採取した細菌はPCR-Invader法にて, 定量・定性分析を行った.
     結果 : 個々の歯周病原細菌の術前後の菌数変化に有意な差を認めなかったが, 全歯周病原細菌の平均で評価すると, 実験群では術前と比較して術後に有意な減少を認めたのに対し, 対照群では有意差を認めなかった. また, 歯周病原細菌数の減少率を比較すると, 実験群は対照群に比べて約4倍の歯周病原細菌の除去効果が認められた.
     考察 : 以上の結果より, 音波歯ブラシによる液体流動力と水流洗浄器が発生させるバブル水流の併用は, 歯周ポケット内の歯周病原細菌の除去に有効であることが示唆された.
  • —従来の分析法との比較による多項目唾液検査システム (AL-55) の測定値の妥当性および信頼性の検討—
    西永 英司, 内山 千代子, 牧 利一, 斉藤 浩一, 深澤 哲, 鈴木 苗穂, 山本 高司, 村越 倫明, 大寺 基靖, 福田 功, 大久 ...
    2015 年 58 巻 4 号 p. 321-330
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
     目的 : 唾液による総合的な口腔検査法の確立を目指し, う蝕・歯周病・口腔清潔度に関する7項目の唾液因子 ([う蝕関連] う蝕原性菌, pH, 酸緩衝能, [歯周病関連] 潜血, 白血球, タンパク質, [口腔清潔度関連] アンモニア) を5分間で測定できる唾液検査システム (AL-55) を開発した. 著者らは前報において, 一般的な口腔内の臨床検査結果と, AL-55で測定した7項目の唾液因子の検査結果との相関を解析し, AL-55による検査が口腔内の状態把握に有用であることをすでに明らかにした.
     AL-55の最大の特徴は, 7項目の唾液因子について, 試験紙の色調変化を反射率として一括して検出できる多項目検査という点にあるが, これら個々の唾液因子においては, 従来より培養法・電極法・酵素法などの一般的な分析法が確立されている.
     本研究では, AL-55の臨床応用に際し, 従来の分析法とAL-55による測定結果を比較することにより, 従来の分析法に対するAL-55の測定値の妥当性および信頼性について検討した.
     方法 : 前報における研究協力者231名から, 蒸留水3mlを口に含み, 10秒間軽く洗口した後の吐出液を採取し, AL-55の試験紙に10μlずつ点着, 1分および5分後に反射率を測定した. 従来の分析法については, う蝕原性菌は培養法, pHおよび酸緩衝能はpH電極法, 潜血および白血球はラテックス免疫凝集比濁法, タンパク質はピロガロールレッド法, アンモニアはグルタミン酸脱水素酵素法を用いて測定した.
     従来の分析法とAL-55による測定結果の相関について, Pearsonの相関係数検定を用いて検討し, 有意水準をα=0.01とした. また, 従来の分析法およびAL-55の測定結果を3段階に層別した際の一致率を検討した.
     結果 : 従来の分析法とAL-55による測定結果との相関係数rは, う蝕原性菌が0.59, pHが−0.74, 酸緩衝能が−0.86, 潜血が−0.74, 白血球が−0.67, タンパク質が−0.75, アンモニアが−0.89 (7項目ともにp<0.01) で, 中等度~高い相関が認められた. 従来の分析法およびAL-55の測定結果を3段階に層別した際の一致率は, う蝕原性菌が70%, pHが82%, 酸緩衝能が73%, 潜血が71%, 白血球が72%, タンパク質が84%, アンモニアが90%であった.
     結論 : 従来の分析法とAL-55による測定結果を比較した結果, 両者に高い相関を確認するとともに, 両者の測定結果を3段階に層別した際には, 70~90%の高い一致率を示したことから, 従来の分析法に対するAL-55の測定値の妥当性および信頼性が明らかとなった.
症例報告
  • 工藤 義之, 櫻井 秀人, 岡田 伸男, 野田 守, 中居 賢司
    2015 年 58 巻 4 号 p. 331-337
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
     目的 : 植込み型電子機器装着患者の電気的根管長測定と根管内超音波洗浄時の不整脈惹起作用について, 多チャンネル高分解能心電計 (ドリームECG) を用いて検討することを目的とした.
     方法 : 根管治療のために超音波洗浄器ならびに電気的根管長測定器の使用が必要であったペースメーカー (PM) 装着者1名, 植込み型除細動器 (ICD) 装着者1名を対象とした. 治療前に循環器内科専門医と歯科麻酔専門医による十分な問診を行い, 4週間以内にICD作動, 致死的不整脈, 心筋虚血, 心不全 (NYHA Ⅲ以上) がないことを確認した. その後, ドリームECGを装着して治療中の循環器動態を測定した. 治療には循環器内科専門医と歯科麻酔専門医が立ち会い, 不測事項発生時への十分な対応のためにAEDや救急薬品をチェアーサイドに配置した.
     症例1 : 54歳男性, ICD装着例. 歯科診断 : 下顎左側第一大臼歯慢性化膿性根尖性歯周炎.
     症例2 : 80歳女性, PM装着例. 歯科診断 : 上顎左側第一大臼歯慢性化膿性根尖性歯周炎.
     根管治療中に電気的根管長測定 (RootZX, Morita) ならびに歯科用多目的超音波治療器 (OSADA Enac 10W, Osada) での根管洗浄を行った.
     成績 : いずれの症例でも, ドリームECGで若干のノイズ増加を認めたが, 致死的不整脈, 脱分極指標および再分極指標で異常を認めなかった.
     結論 : PMあるいはICD装着患者において, 十分な問診, 歯科治療時の適切な循環動態の把握により, 超音波治療器・電気的根管長測定器を用いた場合でも安全な歯科治療遂行の可能性が示唆された. また, 歯科治療中の循環動態の把握にドリームECGが有効であると思われた.
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