日本歯科保存学雑誌
Online ISSN : 2188-0808
Print ISSN : 0387-2343
ISSN-L : 0387-2343
58 巻, 6 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
ミニレビュー
原著
  • 野津 繁生, 松田 有之, 岩田 有弘, 吉川 一志, 山本 一世
    2015 年 58 巻 6 号 p. 446-455
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/06
    ジャーナル フリー
     目的 : 近年, MIの概念に基づいた治療が一般的になり, 大臼歯部の修復においてもⅡ級窩洞でCR修復が広く行われるようになっている. しかし大臼歯のⅡ級窩洞では, MIによる歯質削除量を極力抑えた幅の狭い窩洞が形成されると同時に, セクショナルマトリックスなどの歯の解剖学形態に合わせた隔壁が装着されるため, 重合のための光が窩洞最深部の歯肉側壁まで届きにくい環境となる. そこで本研究では, ハロゲン型照射器と発光ダイオード (以後, LED) 照射器を用いて, 光照射時の照射距離および光強度を規定して引張接着強さを測定することで, 照射器の照射エネルギーがCR修復時の接着強さに与える影響について検討を行った.
     材料と方法 : 抜去牛歯の歯冠部唇側面をモデルトリマーで切削して象牙質平坦面を作製後, 耐水研磨紙#600で研磨し, 内径3mm, 高さ2mmの金属製冶具を両面テープで固定したものを実験用試料とした. 光照射器にはハロゲン型光射器としてCuring Light XL3000 (3M ESPE, XL) を, LED型光射器としてElipar S10 (3M ESPE, S10) とPENCURE 2000 (モリタ製作所, PC) を使用した. 各光照射器の照射距離を2, 7, 12, 22mmに規定し, 光強度のおよび引張接着強さの測定を行った. また, 光照射器の光強度を100, 200, 400, 600, 800, 1,000mW/cm2に規定し, 引張接着強さの測定を行った.
     成績 : 照射器の照射角度を咬合面に対して90°にした場合と比べて, 舌側方向から咬合面に対して60°に光照射した場合, すべての照射器において光強度は有意に低下した. 照射器の照射距離を2, 7, 12, 22mmと増加させると, すべての照射器において光強度は低下し, 接着強さも低下した. 照射器の光強度を100, 200, 400, 600mW/cm2と増加させると, 接着強さは向上した. 照射器の光強度を100, 200, 400, 600mW/cm2に規定し, それぞれの光エネルギー量を同一となるように照射時間を延長した場合, 100, 200mW/cm2の光強度で照射時間を延長しても接着強さは600mW/cm2に比べて有意に低下した.
     結論 : 大臼歯のⅡ級窩洞へのコンポジット充塡の場合, 光強度が400mW/cm2以上の照射器を使用し, 各ステップの照射において, 照射時間をできるかぎり延長することが望ましいことが示唆された.
  • 吉田 康一, 吉田 隆一, 伊東 智美, 殿内 利夫, 斎藤 達哉, 瀧谷 佳晃, 河野 哲, 吉田 隆一
    2015 年 58 巻 6 号 p. 456-473
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/06
    ジャーナル フリー
     目的 : 強酸性水中の塩素酸や次亜塩素酸は大気に触れると反応し分解する. 水が凝固する際は食塩等溶解物を析出し純水に近い形で凍結するが, 電解機能水を氷結して固体で保存すれば対流はなく酸素との接触面は固定化され, 内部成分を保護でき, 殺菌力を維持した長期保存が可能になると考えた. 装置での機能水生成条件を変えて獲得した, さまざまな強酸性電解水と強アルカリ性電解水を氷結し, 保存条件を変えて解凍液の諸性質の変化を調べ, 最適な使用条件を求めた.
     材料と方法 : 可変電圧 (0~90V), 直流電流 (0~10A, 整流), 貯留式の二室型機能水製造装置を試作した. 装置は生成される機能水の性状を大幅に変えることができる. 食塩水の電解により得られた酸性水とアルカリ性水を氷結前に10ml採取し, pHとORP値 (mV), 残留塩素濃度 (ppm) の測定を行った. 両水溶液は容器 (80ml) に各60mlを注入し, −17°Cの冷凍庫にて氷結した. 24, 168時間後に容器を取り出し, 室温 (23°C) で約2時間放置して解凍し, 性状を再度計測した. 分析は, 食塩添加率 (要因A) ; 3水準 (0.3, 0.6, 0.9wt%), 電解電流 (B) ; 2水準 (2, 4A), 保存方法 (C) ; 2水準 (容器の密閉の有無), 氷結時間 (D) ; 2水準として, ランダムに繰り返し3回行い, 測定値を項目別に四元配置分散分析した. さらに, 氷結保存の方法と期間が水溶液に与える影響のみを, 同データからWelchのt-testによって検定した. 機能水生成直後の諸性質の測定値に対して, 同一液で氷結解凍後に得られた値を直線方程式にて回帰分析した.
     成績 : 分析から酸性電解水では, pHは解凍液でも2.2以内の酸性度を維持した. ORP値は容器の密閉を行う短期間保存で高い値を維持したが, いずれの条件でも解凍液は1,100mV以上だった. 塩素濃度 (ppm) は氷結保存の前後で263ppmから経時的に減少したが, 食塩添加率と電解電流値を高くし, 容器の密閉でこれを抑制できた. 密閉保存, 168時間氷結の解凍液でy=0.5251x−36.212 (r=0.919**) であった. 開栓でも多種の生成・保存条件の解凍液で, 薬事法上の殺菌料としての強・弱酸性次亜塩素酸水に近似した性状を獲得した. アルカリ性水では, pHは生成時の電解電流が高ければ解凍液でもわずかにアルカリ側に傾いた. ORP値は−849.2から解凍後に+224.94~301mVに転じたが, 容器の密閉によって上昇を抑制できた.
     結論 : 生成・保存条件の調節により, 容器を開栓し168時間の氷結保存で解凍した酸性電解水でも十分な殺菌能が維持されており, 密閉保存すればこれが向上した. 解凍アルカリ性電解水では, 市販清掃用アルカリ性水に近似した性状であった. 氷結保存法により解凍後も殺菌能をもつ機能水を獲得でき, 人体への臨床応用の可能性が示唆された.
  • 松本 真理子, 峯 篤史, 三浦 治郎, 東 真未, 川口 明日香, 矢谷 博文
    2015 年 58 巻 6 号 p. 474-481
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/06
    ジャーナル フリー
     目的 : 近年, レジン系歯科接着材料の進歩により操作ステップを簡略化したワンボトルのセルフエッチングシステムが開発され, 臨床の場に普及している. さらに最近になって, さまざまな被接着体に対して同一のボンディング材が使用できるシステムが開発され, 臨床でも多用されるようになってきている. しかしながら, これらのいわゆるユニバーサルタイプの接着能を従来の1ステップセルフエッチングシステムと比較して吟味した報告は少ない. そこで, 本研究では新規チオリン酸エステルモノマーを配合したユニバーサルタイプボンディング材の象牙質接着能について, 透過型電子顕微鏡 (以下, TEM) 観察および微小引張接着 (以下, μTBS) 試験により, 従来のワンステップボンディング材と比較検討した.
     材料と方法 : 20歯のヒト抜去第三大臼歯象牙質平滑面を被着面とした. 2種類のボンディング材 (G-BOND PLUS : 以下, GPLおよびG-Premio BOND : 以下, GPR, ジーシー) を業者指示に従って塗布し, 8歯に対しプロテクトライナーF (クラレノリタケデンタル) を築盛したものをTEM用試料とし, 12歯に対しクリアフィルAP-X (クラレノリタケデンタル) を築盛したものをμTBS用試料とした. それぞれ37°C水中保管の後, TEM用試料はそのままエポキシ包埋したものを非脱灰試料とし, 10%EDTAにて脱灰した後に包埋したものを脱灰試料とした. 重合後に70~90nmに薄切し, 観察を行った. μTBS用試料は1×1mmのスティック状に切り出した後, クロスヘッドスピード1.0mm/minにてμTBS試験を行った.
     結果 : TEM観察では, 非脱灰切片にてGPL, GPRともに接着界面にハイドロキシアパタイト結晶が残存しているのが確認された. 脱灰切片ではGPL, GPRともにレジンが象牙質に浸透している樹脂含浸層が明瞭に観察された. 引張接着強さに関しては, GPLが41.35±15.24 MPa (平均±標準偏差), GPRが44.09±12.83 MPa (平均±標準偏差) であり, 2群間に有意な差は認められなかった (p>0.05).
     結論 : ユニバーサルタイプの新規ワンステップボンディング材では, 象牙質接着において既存のワンステップボンディング材と同等の性能を示し, チオリン酸エステル系モノマーの添加による歯質接着能の低下は確認されなかった.
  • 岸本 崇史
    2015 年 58 巻 6 号 p. 482-495
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/06
    ジャーナル フリー
     目的 : 最新のフィラー技術が導入された種々のコンポジットレジンの鏡面研磨面を総合的に評価することを目的として, それらの表面粗さ, 光沢度, 変色および接触角などの関連性を検討するとともに, アルカリ環境下における劣化試験を行い, フィラーとマトリックスレジンの接合状態の変化の様相を比較検討した.
     材料と方法 : 供試レジンはClearfil AP-X (AP), Estelite Σ Quick (EQ), Clearfil Majesty ES-2 (ES), MI Gracefil (GF), Filtek Supreme Ultra (FS), Clearfil Majesty ES Flow (ESf) およびMI Fil (MF) の7種で, 各レジンブロック試料 (縦20mm×横10mm×高さ4mm) 上に鏡面研磨面 (0.3μm) を調製し (n=5), それらの面の表面粗さ (Ra), 光沢度 (%), 変色 (ΔE*ab) および接触角 (θ) を比較検討した (Tukey HSDテスト, Pearsonの相関係数検定, α=0.05). 次いで, 鏡面研磨面を有するレジンブロックを0.1規定のNaOH水溶液 (60°C, pH 12.7) に3日間浸漬し, 水洗乾燥後レジン表面を観察した (SEM). その後各試料を樹脂包埋し, 長軸方向中央で半切後, 鏡面研磨した切断面を劣化の様相を中心に観察した (SEM).
     結果 : EQ, MFの表面粗さはES, FSに比し有意に低く, またほかのいずれのレジンに比べても, APの光沢度は低く, FSの変色の程度は高かった (p<0.05). 表面粗さと光沢度, および表面粗さと変色との間に相関を認めた (p<0.05). アルカリ環境下における劣化試験の結果では, フィラーとマトリックスレジンの剝離およびフィラーの脱落が観察され, その様相はレジンの種類により異なっていた.
     結論 : 各種コンポジットレジンにおいて, 鏡面研磨面の性状ならびにアルカリ環境下における劣化の様相は, フィラーの種類, 粒径, あるいは粒度分布などが密接に関連していることが示唆された.
  • 大槻 和正, 吉田 拓正, 神田 亘, 湯本 琴美, 山口 貴央, 山崎 泰志, 細矢 哲康
    2015 年 58 巻 6 号 p. 496-502
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/06
    ジャーナル フリー
     目的 : 根管治療の最終処置である根管充塡は, ガッタパーチャポイントと種々の根管シーラーを併用した方法が一般的であるが, 再治療の際にはこれらの根管充塡材を完全に除去する必要がある. そしてそのためには, 専用の器具をはじめ根管切削器具や超音波チップなどが応用されている. 本研究の目的は, 種々の器具を用いて根管充塡材を除去する際の所要時間ならびに除去率を調査し, 効率的な除去方法を検索することである.
     材料と方法 : 被験器具は, ガッタパーチャポイントの除去を目的としたGPR (2S, マニー), Ni-TiロータリーファイルのReciproc (R50, VDW, Germany) ならびに根管内異物除去用の超音波チップ (ST21, 長田電機工業) である. 30本の透明根管模型 (S1-U1, ニッシン) の根管上部をロート状拡大し, 作業長18mmで根管拡大形成 (#60/04) を行った後, シングルポイント法にてガッタパーチャポイント (#60/04) と根管シーラーの併用根管充塡を行った. 根管充塡の状態を4方向からの規格写真撮影によって記録し, 根管充塡モデルは37°C, 相対湿度100%で1週間以上保管した. 根管充塡モデルをマスキングした後, 無作為に10モデルずつ3群に分配した. 根尖部付近の根管充塡材の除去は手用根管切削器具で行うという手法に準じて, 根管充塡材除去の作業長は16mmとし, 2名の術者が各被験器具を用いて各群5モデルずつ根管充塡材の除去を行った. なお#50 Kファイルが作業長までスムーズに挿入できる状態を除去完了とした. 除去に要した時間を計測するとともに, 根管充塡の状態を記録した写真撮影と同様に, マスキングを除去した後に根管充塡モデルを4方向から規格撮影した. 画像解析ソフト (ImageJ, National Institutes of Health, USA) を用いて根管壁に残存した根管充塡材の面積を計測し, 4方向からの画像における除去率の平均値を各モデルにおける除去率とした. 各被験器具間において, 根管充塡材の除去に要した時間ならびに除去率に対し, 平均値の差の検定法と二元配置分散分析ならびにScheffé’s F testを用いて統計学的検討を行った.
     成績 : 根管充塡材の除去に要した平均時間は, GPRは49.6秒で最も短く, Reciprocは340.3秒, ST21は402.4秒であった. GPRとReciprocおよびST21間には統計学的有意差が認められ, ReciprocとST21間には有意差は認められなかった. 平均除去率はGPRが68.1%で最も高く, Reciprocは63.3%, ST21は59.6%であったが各器具間に有意差は認められなかった.
     結論 : 本研究の結果から, 根管充塡材を除去するためにはGPRの使用が効率的であることが示唆された.
  • 遠藤 直樹, 小林 洋子, 石幡 浩志, 岩間 張良, 菊池 雅彦
    2015 年 58 巻 6 号 p. 503-509
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/06
    ジャーナル フリー
     目的 : 現在, 歯科疾患の主要なものとして, 齲蝕と歯周病が挙げられる. 歯周病は成人の約8割が罹患し, 40歳以上では歯を失う最大の要因である. 一方, 失われた歯周組織の再生を目指すため, 喪失以前に健康な組織があったスペースを確保したうえで再構築を誘導する歯周組織誘導再生療法「バリアメンブレン法」が開発された. バリアメンブレン法は, 復元する歯根膜や歯槽骨から, バリアメンブレンを用いて確保した空間に再生組織が誘導され構築するのを待つ治療法である. このバリアメンブレンには, 生体親和性に加え, スペースメイキングに必要な強度が求められる. そのため従来のポリマー製メンブレンは200μmの厚さを有し, その多孔質空洞に多量の細菌が侵入することで感染を引き起こす欠点を有していた. そこで, 細胞に積極的に働きかけて増殖・分化を誘導するのみならず, 細菌感染リスクをも低減させるような新たなバリアメンブレンの開発を着想した. 本研究ではこのバリアメンブレンを用い, 培養細胞の増殖・分化誘導能を従来のメンブレンと比較・検討した.
     材料と方法 : マウス頭蓋冠より分離樹立された骨芽細胞様細胞株 (MC3T3-E1) あるいはヒト歯根膜由来細胞を通法に従い培養し, 3~5代継代したものを実験に用いた. また, チタンに20μmの貫通孔を50μm間隔で形成したものを新規チタン製バリアメンブレンとした. 比較対象としてFRIOS BoneShield rectangular (以下, FRIOS) を用いた. 今回, それぞれの試料上に細胞を播種し, 蛍光染色法によるオステオポンチン (OPN) 陽性細胞の観察, 細胞増殖の計測, 走査電子顕微鏡 (SEM) 観察を行った.
     結果 : 蛍光染色法によって, 新規チタン製バリアメンブレンでOPN抗体に陽性の細胞が多数観察された. また, 新規チタン製バリアメンブレンはFRIOSと比較して細胞増殖が有意に亢進していた. 試作チタンメッシュのSEM観察においては, 培養1週間後で貫通孔をつなぐように細胞が連結している様子が観察された.
     結論 : 今回用いた50μmの間隔で20μmの貫通孔が形成された厚さ20μmの新規チタン製バリアメンブレンは, 細胞分化の指標となるOPNの発現が確認でき, また, その細胞増殖能から, 従来のFRIOSより細胞増殖・分化誘導能において優れているものと考えられた. 今後はさらに, 生体内における新規チタン製バリアメンブレンの効果および強度について検討することが必要であると思われる.
  • 山脇 勲, 田口 洋一郎, 嘉藤 弘仁, 奥田 麻貴子, 片山 暢仁, 橋本 直樹, 至田 宗泰, 西川 郁夫, 田村 功, 三宅 達郎, ...
    2015 年 58 巻 6 号 p. 510-517
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/06
    ジャーナル フリー
     目的 : 口腔環境は栄養, pH, 酸素濃度が随時変化して, これらの要因は口腔内細菌の異種間競争と抑制に大きく影響している. また糖尿病患者では, 通常血糖値の者と比較して重度歯周炎になるという報告が散見される. しかし, 糖尿病患者における, すなわち高グルコース濃度が複合コロニーに与える影響についての報告は少ない. 慢性歯周炎は主に歯周病原細菌の一つであるPorphyromonas gingivalisが関与しているが, P. gingivalisは単体での歯表面への強固な接着能を有していないことから, コロニー形成初期に必要となる歯表面への接着能に優れたStreptcoccus mutansのような菌の存在が重要である. 本研究では, 高血糖モデルのグルコース濃度がS. mutansP. gingivalisの単一培養もしくは共培養のコロニー形成に及ぼす影響について評価した.
     材料と方法 : 試供菌株としてS. mutans (ATCC 25175), P. gingivalis (ATCC 33277) を用いた. 各菌の48時間培養液を吸光度600nmの分光度が0.3になるように調整し, グルコース濃度 (5.5, 8, 12, 24mmol/l) に調整したBHI培地にて, S. mutans単一培養, P. gingivalis単一培養, S. mutansP. gingivalis共培養を48時間行い, その後の培地内のpHと細菌増殖について評価した.
     結果 : 高グルコース環境下で, S. mutans単一培養では培地内pHの著明な低下と細胞増殖を示した. しかし, P. gingivalis単一培養では培地内pHと増殖の変化は認めなかった. 共培養条件下では, 両細菌単一培養時に比べて細菌数は増加したが, グルコース濃度が上がるにつれて増殖は抑制された.
     結論 : 糖尿病患者では免疫能低下・易感染性のため急性炎症を生じやすい. しかしながら, 口腔内細菌に関してコロニー形成能は増強されるが, 慢性歯周炎の原因菌の一つであるP. gingivalisの活動性の著明な増加は認めなかった. 重篤な糖尿病患者では, 多菌種が存在する口腔内において口腔内細菌数が増加せず, 慢性歯周炎原因細菌P. gingivalisは減少する可能性を示唆した. つまり, 糖尿病患者における慢性歯周炎は, 細菌因子より宿主因子のほうが大きく関与しているのではないかと推測される.
feedback
Top