日本歯科保存学雑誌
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60 巻 , 3 号
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原著
  • 丸山 顕太郎, 池野 修功, 小松 秀裕, 向阪 幸彦, 大方 広志, 須藤 瑞樹, 根本 英二, 庄司 茂
    2017 年 60 巻 3 号 p. 111-119
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

     目的 : 歯石除去は歯周治療において必要不可欠であり, 現在, 種々のスケーラーが用いられている. 今回われわれは, 偏心モーターを内蔵した振動スケーラーを開発し, その臨床的有効性を評価するために治験を実施した.

     方法 : 東北大学病院治験委員会の承認を得て, 東北大学病院歯周病科に来院した軽中度の慢性歯周病患者20名を対象とした. 対象歯は同顎内の左右同名歯を1組とし, 被験歯には振動スケーラーを, 対照歯には手用スケーラーを用いた. 治療前後の歯石指数 (CI), 治療時間, 治療直後の患者疼痛VASおよび術者疲労度VASを測定した. また, 歯周ポケット (PPD) およびBleeding on Probing (BOP) を治療前および4週後に, 歯肉炎歯数 (GI) を治療前, 1週後および4週後に測定した. 細菌学的指標として, 治療前および4週後に歯周ポケット内細菌検査 (総細菌数, Tannerella forsythia, Treponema denticola, Porphyromonas gingivalis) を行った. CI測定および細菌検査は盲検評価者が行った.

     結果 : 両群ともにCIは0となり, 治療時間は治験群がわずかに短かった. 患者疼痛VASは治験群が小さい傾向を示したが, 術者疲労度VASに差はなかった. PPDおよびBOP陽性率は両群ともに有意に減少したが, 両群間の差はなかった. GIは有意に減少し, 1週目において治験群は標準治療群より有意に低い値を示した. 歯周ポケット内細菌数は両群ともに変化がみられなかった.

     結論 : 振動スケーラーは, 従来型の手用スケーラーと同等の歯石除去能力をもち, 治療機器として有用であることが示された.

  • 諸冨 孝彦, 花田 可緒理, 鷲尾 絢子, 吉居 慎二, 松尾 拡, 北村 知昭
    2017 年 60 巻 3 号 p. 120-127
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

     目的 : 根管充塡用シーラー (シーラー) に要求される性質は多岐にわたるが, すべての性質を高次元で満たす製品は現時点では存在しない. 本研究では高い封鎖性や操作性, 除去の容易性, そして生体親和性などの良好な性質を有するシーラーの開発を目的として, 新規に開発したバイオガラス配合シーラー (BG配合シーラー) および臨床で多用される既存のシーラーが根管充塡後に根尖歯周組織に及ぼす影響を, ラット臼歯抜髄根管充塡モデルを用いて病理組織学的に比較検討した.

     材料と方法 : 7週齢雄性Wistar系ラットの下顎第一臼歯遠心根を抜髄後, 根管形成を行った. 根管内をEDTA製剤, 次亜塩素酸ナトリウム液, および滅菌生理食塩水で洗浄し, ペーパーポイントによる乾燥後, シーラーを根管内に塡塞した. 比較対象としては, 酸化亜鉛非ユージノール系シーラー (非E-Zシーラー) を用いた. 術後1週および3週で下顎骨を摘出し, 連続切片を作成して根尖歯周組織の状態を観察した.

     結果 : 術後1週でBG配合シーラー充塡群および非E-Zシーラー充塡群ともに炎症性細胞の浸潤が根尖歯周組織の広範囲で確認されたが, 3週では縮小していた. 根尖歯周組織の歯槽骨吸収範囲は1, 3週とも両群間に統計解析上の有意差は認められなかったが, BG配合シーラーではこの期間に歯槽骨吸収部幅径の有意な減少が認められた. 一方, 非E-Zシーラー充塡群では有意差が認められなかった. 根尖部外表面セメント質の厚さは, 術後1週ではBG配合シーラー充塡群が非E-Zシーラー充塡群より有意に肥厚していた. 経時的変化では, BG配合シーラー充塡群でセメント質厚さが有意に増加していたが, 非E-Zシーラー充塡群では有意な増加は認められなかった.

     結論 : ラット臼歯抜髄根管充塡モデルにおける根尖部の組織学的観察において, 新規BG配合シーラーは良好な生体親和性と根尖部セメント質誘導能を有することが示唆された.

  • 門倉 弘志, 山﨑 崇秀, 上田 堯之, 日下 洋平, 横瀬 敏志
    2017 年 60 巻 3 号 p. 128-134
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

     目的 : 骨にメカニカルストレスが加わると, その刺激はメカノセンサーである骨細胞に感知され, 骨細胞ネットワークにより生物学的なシグナルとして変換され, 骨芽細胞や破骨細胞に送られる. これらのシグナルにより骨芽細胞と破骨細胞の動きが制御され, 骨形成や骨吸収がコントロールされていると考えられている. しかしながら, 骨細胞のメカノセンサーとしての機能についてはいまだ不明な点が多いのが現状である. そこで今回の実験は, 新生児ラットの頭蓋骨から骨細胞を分離し, それらの細胞を培養したときの性質を解析し骨細胞様細胞としての機能を保持しているかを調べることを目的とした.

     材料と方法 : 生後3日目の新生児ラットの頭蓋骨より膜性の結合組織を除去し, その後70%エタノールに浸漬して骨表面に存在する細胞を取り除いた. その後, 頭蓋骨を細切し, collagenase酵素液とEDTA溶液を使用し骨細胞を分離した. これらの細胞を培養し, アルカリホスファターゼ染色を行った. また, これらの細胞に対しreal-time quantitative PCRにて骨細胞の各ステージの分化マーカーであるE11/gp38, DMP-1, sost, fgf23の遺伝子発現を解析した.

     結果 : 細胞群の中には, 細胞突起を伸ばした骨細胞様の細胞が確認された. さらにこれらの細胞に対してALP染色を行うと, 染色性を示さない細胞が多く確認された. Real-time quantitative PCRでは, 培養7日目においてE11/gp38, DMP-1, sost, fgf23の発現が確認された. また, 培養14日目ではそれらの遺伝子発現が上昇していた.

     結論 : ラット頭蓋骨より分離した培養細胞を培養したところ骨細胞様の表現型を示し, 本培養細胞は骨細胞の機能の解析に有用であることが示唆された.

  • 渡辺 久, 江尻 健一郎, 妻沼 有香
    2017 年 60 巻 3 号 p. 135-144
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

     目的 : 30名の歯周病患者に対し, マスティック樹脂から抽出されたマスティックエッセンシャルオイルを従来よりも低用量で配合した歯磨剤, およびバイオフィルムに対し効果が認められるフルボ酸を付加したマスティック配合歯磨剤の, 歯周病に伴う諸症状に対する効果を, ランダム化比較対照試験により評価した.

     材料と方法 : マスティックエッセンシャルオイルを配合した歯磨剤 (A群), マスティックエッセンシャルオイルにフルボ酸を付加した歯磨剤 (B群) およびこれを除いたもの (プラセボ群) の3群とした. 観察期間は初診から13週間とし, 初診時にブラッシング指導を行い, 1週後から歯磨剤を使用させた. 研究開始時と4週および12週に, 臨床パラメータによる臨床評価を行った. 加えて, 研究開始時と12週に細菌検査を実施した. 統計学的解析にはWilcoxonの符号付き順位和検定, χ2検定および分散分析検定を用いた.

     結果および考察 : プラセボ群・A群・B群のそれぞれで研究開始時と比較して, ほとんどすべての評価項目が有意差をもって, 症状が改善していた. 群間において, プラセボ群に対して「プラーク」の項目でA群が12週で有意差が認められた (p<0.05). 「排膿」の項目でA群とB群が4週で有意差 (p<0.05) があり, 「口臭」の項目でプラセボ群に対しA群とB群において4週でそれぞれ有意差 (p<0.01, p<0.001) が認められた.

     細菌検査について, 群間内の統計学的有意差は認められなかった. 本実験の結果はマスティック単独あるいはマスティックとフルボ酸配合歯磨剤の臨床的効果は確認できたが, その効果が細菌レベルまでは達していなかった.

     結論 : マスティック単独あるいはマスティックとフルボ酸配合歯磨剤が, 歯周病臨床症状改善に有効であることが示唆された.

  • 大森 かをる, 山本 雄嗣, 英 將生, 桃井 保子
    2017 年 60 巻 3 号 p. 145-152
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

     緒言 : 3種のCAD/CAM用コンポジットレジンの表面を3つの異なる研磨システムで研磨した場合の研磨面の光沢について, 客観的には光沢計を用いて光沢度を測定し, また主観的には歯科医による目視検査で評価した.

     材料と方法 : 評価の対象としたCAD/CAM用コンポジットレジンは, Katana Avencia Block, CeraSmart, Shofu Block HCである. また, 評価の対象とした研磨システムは, CeramDia MとCeramDia SFの組合せ (Ce), Pre ShineとDia Shine (Pr) の組合せ, Silicone points M2とCompomaster (Si) の組合せとした. レジン表面を湿潤下#100 SiCペーパーで研削して基準面とし, この面を各研磨システムで1分間研磨した. 研磨面の光沢度はgloss meterにより測定し, 結果はANOVAと単純主効果の検定を用い, 危険率0.05で統計処理した. また, 研磨面の光沢をJIS Z 8723に従い20名の歯科医師による目視検査で評価し, 表面の光沢の順位付けを行った. さらに, 研磨面のSEM観察も併せて行った.

     結果 : Prの研磨システムとSiのシステムにおいて, Katana Avencia BlockがCeraSmatやShofu Block HCより高い光沢度を示した. 研磨システムについては, Siのシステムが, すべてのCAD/CAMコンポジットレジンに対してCeやPrのシステムと比較して有意に高い光沢度を示した. 目視検査では, Katana Avencia BlockをSiで研磨した場合が最も高い光沢を示すとの評価を得た. SEM観察でKatana Avencia Blockは, ナノフィラーが高密度に充塡されている様子がうかがえた. また, Shofu Block HCでは配合された大小の粒子を確認した.

     結論 : コンポジットレジンの光沢は, コンポジットレジン材料と研磨システム両者に有意に影響を受けた (p<0.05). 最も高い光沢度は, コンポジットレジン材料ではKatana Avencia Blockに, 研磨システムではSilicone points M2とCompomasterの組合せに認められた.

  • 陸田 明智, 秋葉 俊介, 今井 亜理紗, 須田 駿一, 矢吹 千晶, 鈴木 崇之, 古市 哲也, 宮崎 真至
    2017 年 60 巻 3 号 p. 153-161
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

     目的 : 口腔内において繰り返し低pH環境に曝された被着歯面を想定し, 人工脱灰液を用いて脱灰されたエナメル質に対するユニバーサルシステムの接着性およびその接着耐久性について検討した.

     材料と方法 : 供試したユニバーサルシステムはAll-Bond Universal (AB), Adhese Universal (AU) およびScotchbond Universal Adhesive (SU) の3製品である. 被着歯面の脱灰条件としては, ウシ歯のエナメル質面を乳酸脱灰液 (pH 4.75) で10分間処理後に水洗する群 (10分群) およびその脱灰処理を1日2回, 7日間繰り返した群 (7日群) の2条件とした. 各脱灰条件に従って処理した後, リン酸エッチングの有無によって, セルフエッチモード (無処理群) およびエッチアンドリンスモード (エッチング群) の2条件を設定した. これらの被着エナメル質面に, アドヒーシブを製造者指示条件で塗布, 光照射してコンポジットレジンを接着させた. これらの接着試片は, 24時間保管 (24時間群) あるいは24時間保管後, サーマルサイクル (TC) を10,000回あるいは30,000回負荷した後, クロスヘッドスピード毎分1.0mmの条件で剪断接着強さを測定した.

     成績 : 脱灰エナメル質へのユニバーサルシステムの接着性は, Controlと比較して10分群においては, いずれの製品においても接着強さに有意差は認められなかった. また, 接着試験後の破壊形式における変化も認められなかった. 一方, 7日群においては, Controlと比較してABエッチング群, 10分群と比較してSU無処理群において, その接着強さは有意に低下した. また, 接着試験後の破壊形式は, AUでエッチング群および無処理群ともに, エナメル質の凝集破壊が減少し, 界面破壊が増加する傾向を示した. TCを10,000回および30,000回負荷した条件においては, すべての製品のエッチング群および無処理群で, 接着強さに有意差は認められなかった. 脱灰条件間では, その接着強さは製品によって異なるものであった. また, 接着試験後の破壊形式は, AUでエナメル質の凝集破壊が減少し, 界面破壊が増加する傾向を示したが, ABおよびSUにおいては, ほとんど変化は認められなかった.

     結論 : ウシ歯脱灰エナメル質へのユニバーサルシステムの接着性は, 製品によって異なるものの, リン酸エッチングの併用は有効であることが示唆された. また, 30,000回までのTCによっても安定した接着耐久性を示した.

  • 時田 大輔, 海老原 新, 宮良 香菜, 興地 隆史
    2017 年 60 巻 3 号 p. 162-169
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

     目的 : 本研究は, ニッケルチタンロータリーファイルをトルク依存型往復回転運動あるいは時間依存型往復回転運動で作動させて根管形成を行った際に生じる, 垂直荷重およびトルクを評価することを目的とした.

     材料と方法 : 異なる回転方法で根管模型の形成を行うとともに, その際に生じる垂直荷重およびトルクを記録することを目的とした, 自作型自動根管形成・荷重/トルク解析装置を構築した. この装置は, (1) 異なる回転方法を搭載した根管形成装置, (2) ハンドピースを自動的に上下動させる移動試験ステージ, (3) レジン製根管模型と接続した荷重/トルク測定部からなっている. 実験群はトルク依存型往復回転およびトルク依存型上下動 (TqR群), 時間依存型往復回転および時間依存型上下動 (TmR群), 連続回転および時間依存型上下動 (CR群) の3群とした. TqRモードでは, モーターは連続回転 (300rpm) の後, 既定トルク値を検知すると90度非切削回転 (反時計回り) し180度切削回転 (時計回り) という設定とした. またハンドピースの上下動は, トルク依存型上下動, すなわち2秒下降後に1秒上昇 (10mm/min) の後, 既定トルク値に達すると0.25秒下降後に3秒上昇するよう設定した. TmRモードでは, ファイルは300rpmにて90度非切削回転, 180度切削回転を繰り返す設定とした. TmRおよびCR群ともに, ハンドピースの上下動は, 2秒下降後に1秒上昇 (10mm/min) とした. 透明直線根管模型 (各群n=7), ProTaper Next X2を用いて, 作業長 (14mm) まで根管形成を行い, トルクおよび垂直荷重を記録した. 測定した垂直荷重およびトルクの最大値は, Kruskal-Wallis検定およびMann-Whitney U検定 (Bonferroni補正) にて有意水準5%で解析した.

     結果 : 最大垂直荷重, および反時計回り方向における最大トルク値には各群間に有意な差を認めなかった. しかし, 時計回り方向での最大トルク値については, TqR群はTmR群およびCR群に比較して有意に小さい値を示した (p<0.05).

     結論 : 本研究の条件下では, トルク依存型往復回転運動とトルク依存型上下動を組み合わせた根管形成で, 時間依存型往復回転運動および連続回転運動と比較して, 形成中に生じるトルクの最大値が有意に低値であった.

  • 山田 理絵, 湊 華絵, 北島 佳代子, 新井 恭子, 五十嵐 勝
    2017 年 60 巻 3 号 p. 170-177
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

     目的 : エンドレズ (ULTRADENT JAPAN) はメタクリル酸ベースのレジン系シーラーで, 象牙細管や側枝に対し親和性を有する特徴がある. またレジンコーティングされた専用のガッタパーチャポイントであるエンドレズポイント (ULTRADENT JAPAN) を併用すると, シーラーとポイントの接着が起こりモノブロック化されるため, より緊密な充塡が可能となる.

     本研究の目的は, ラットの抜髄根管歯にエンドレズを用いた根管充塡を行い, その後の根尖歯周組織の創傷治癒を評価することである.

     材料と方法 : 6週齢のWistar系雄性ラット18匹の上顎両側第一臼歯の近心根を用いた. 全身麻酔を施し, マイクロスコープ下で髄室開拡を行い, 根管歯髄を除去後, Ni-Tiロータリーファイル (Pro Taper, F1, Dentsply Maillefer, Switzerland) で根管の拡大形成を行い, エンドレズを用いてエンドレズポイントのシングルポイント法で根管充塡を行った. コントロールとして, ガッタパーチャポイントと酸化亜鉛ユージノール系シーラー (日本歯科薬品, 以下, CS-EN) を用いた根管充塡を行った. 実験期間は2週と4週とし, 実験期間終了後, 被験歯と周囲顎骨を一塊として取り出し, 4%パラホルムアルデヒドに浸漬固定した. 10%EDTA溶液で脱灰後, 通法に従って連続切片を作製し, ヘマトキシリン・エオジン染色を施して光顕にて組織学的観察を行った. 結果はMann-Whitney U testを用いて統計分析を行った.

     結果 : エンドレズで根管充塡を行った実験群では2週の5例中4例でセメント質様硬組織形成がみられ, 4週では6例すべてに根尖部を覆う硬組織様構造の形成が観察された. 根尖歯周組織の炎症所見は2, 4週ともにほとんど観察されなかった. 統計分析の結果, 2週で根尖部の新生硬組織形成, 歯根膜の厚さ, 根尖歯周組織の炎症の範囲においてコントロール (CS-EN) と比較して有意差がみられ (p<0.05), 4週で新生硬組織形成にのみ有意差がみられた (p<0.05).

     結論 : メタクリル酸ベースの根管充塡用シーラーであるエンドレズは, 抜髄根管歯に対し根尖歯周組織の骨性治癒形態を示す根管充塡用シーラーであることが示され, 根尖歯周組織に炎症をほとんど生じない生物学的特徴を有することが示唆された.

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