日本歯科保存学雑誌
Online ISSN : 2188-0808
Print ISSN : 0387-2343
ISSN-L : 0387-2343
60 巻 , 5 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
総説
原著
  • 平尾 功治, 湯本 浩通, 細川 由樹, 蔵本 瞳, 鷲尾 絢子, 中西 正, 武川 大輔, 北村 知昭, 松尾 敬志
    2017 年 60 巻 5 号 p. 235-244
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

     目的 : 象牙芽細胞は歯髄の最外層に存在し, 齲蝕関連病原因子や機械的刺激・化学的刺激に対して, 初期に反応し, 歯髄組織の自然免疫に重要な役割を担っている. われわれは, ラット象牙芽細胞様細胞 (KN-3) に自然免疫レセプターであるnucleotide-binding oligomerization domein (NOD) 1が発現, 機能していることを報告しており, NOD1は歯髄炎の発症, 進展に重要な役割を演じている可能性がある. 緑茶カテキンの一種であるepigallocatechin-3-gallate (EGCG) は抗炎症作用を有することが知られており, NOD1リガンドならびに炎症性サイトカインの刺激を受けた象牙芽細胞に対するEGCGの抗炎症作用について解析することを目的とし研究を行った.

     材料と方法 : EGCGのKN-3に対する細胞障害性を, lactate dehydrogenase (LDH) cytotoxicity assayを用いて調べた. NOD1特異的リガンドであるγ-D-diaminopimelic acid (iE-DAP) やtumor necrosis factor (TNF) -α, interleukin (IL) -1βにてKN-3を刺激し, 同時にEGCGを作用させた後, real-time polymerase chain reaction (PCR), enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) を用い, ケモカインや炎症性メディエーターの発現や産生について解析を行った.

     成績 : 10μg/mlまでのEGCGはKN-3への細胞障害性を認めなかった. iE-DAPや炎症性サイトカインで刺激したKN-3に対して, EGCGはcytokine-induced neutrophil chemoattractant (CINC) -2やC-C motif chemokine ligand (CCL) 20といったケモカインの産生を有意に抑制し, その作用は濃度依存的であった. さらに, EGCGはinducible nitric oxide synthase (iNOS) のmRNA発現も抑制した.

     結論 : 今回の研究において, EGCGがNOD1リガンドならびにサイトカイン刺激におけるラット象牙芽細胞様細胞 (KN-3) の種々の炎症性反応を抑制することが明らかとなった. この結果は, EGCGの応用が, 新たな歯髄炎の抗炎症療法となりうる可能性を示唆するものである.

  • 山田 理, 有本 隆文, 森崎 弘史, 桑田 啓貴, 伊佐津 克彦, 長谷川 篤司
    2017 年 60 巻 5 号 p. 245-254
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

     目的 : 本研究の目的は波長405nmの青色光によるう蝕罹患象牙質の認識精度を病理学的構造と比較し, Streptococcus mutans (S. mutans) の質的・量的な局在と関連付けて評価することであった.

     材料と方法 : この研究は, 咬合面に象牙質う蝕を有する異なるヒトから得られたう蝕抜去大臼歯を5本使用し, う蝕部位を含む薄切切片を作製し試料とした. 実体顕微鏡下で青色光によって励起される赤色蛍光によって識別される健全象牙質-う蝕罹患象牙質の境界を観察し, 透過光によって識別される病理学的構造と比較した. さらにS. mutansに特異的である抗WapA IgGを使用した免疫染色を行い, S. mutansを染色し可視化させて健全象牙質-う蝕罹患象牙質の境界を観察し, 比較した.

     結果 : 青色光によって識別された健全象牙質-う蝕罹患象牙質の境界は, 病理学的構造の特徴から透過光では識別が困難であった先駆菌層と混濁層の混在した層の中で確認された. 免疫染色によって先駆菌層と混濁層の境界は明瞭に識別され, 青色光によって示された健全象牙質-う蝕罹患象牙質の境界とおおむね一致していた. 青色光は肉眼では識別が困難である先駆菌層と混濁層を識別できることがわかった. さらに, 免疫染色によって識別された先駆菌層と混濁層内のS. mutans数をreal-time PCR法によってそれぞれ計測したところ, 先駆菌層では有意に高い (p<0.05) S. mutans数を確認した. 波長約405nmの青色光によって励起される赤色蛍光は, 約620, 680nmにピークをもつ蛍光スペクトルを示した.

     結論 : 波長約405nmの青色光は, う蝕罹患象牙質内のS. mutansを精度高く検知できることが明らかとなった.

  • 山口 幹代, 伊藤 勇紀, 須崎 尚子, 堅田 千裕, 外園 真規, 川西 雄三, 増田 晃一, 伊藤 善博, 米田 直道, 岡本 基岐, ...
    2017 年 60 巻 5 号 p. 255-261
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

     目的 : ニッケルチタン (NiTi) ファイルは弾性係数が小さいため, 湾曲根管への追従性に優れており, 根管治療において必要不可欠な器材となりつつある. 本研究では, 歯学部学生の臨床前基礎実習において, FKGレイス (FKG DENTAIRE, Switzerland) による湾曲根管形成実習を実施し, 習熟到達度を評価した.

     材料と方法 : 大阪大学歯学部3年生49名に対して, J型エポキシレジン製透明湾曲根管模型を用いてFKGレイスによる形成実習を2回行った. Kファイル#15にて根管長を測定後, プリレイスによる根管上部のフレアー形成とKファイル#15によるグライドパス形成を行った. 作業長は根管長から1mm引いた長さとし, レイス#30/6%, #30/4%, #25/4%, #20/4%を用いて根管形成を行った.

     形成前後の根管模型をマイクロCT (R_mCT2, RIGAKU) にて撮影し, 根管長軸方向に対して平行に根尖から1, 2, 3, 5, 7, 10mmの位置で内湾側および外湾側の根管幅径増加量を計測した. 根管幅径増加量および形成時間を学生1回目, 2回目, ならびに日本歯科保存学会専門医・認定医10名の結果と比較検討した.

     結果 : 学生1回目の根管形成においては, 28根管で根尖破壊, 1根管でファイル破折, 1根管で目詰まりを認めた. また, 学生2回目の根管形成においては, 5根管で根尖破壊, 1根管で目詰まりを認めた. 内湾側および外湾側の根管幅径増加量および形成時間は, 学生1回目, 2回目, ならびに専門医・認定医の間で統計学的有意差を認めなかった.

     結論 : NiTiファイルを用いた湾曲根管形成実習において, 根尖部の形成に特に注意を促すことにより, 習熟到達度が向上することが明らかとなった.

feedback
Top