日本歯科保存学雑誌
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62 巻 , 2 号
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総説
誌上シンポジウム
原著
  • 田中 佐織, 宮治 裕史, 西田 絵利香, 宮田 さほり, 加藤 昭人, 眞弓 佳代子, 田中 享, 井上 哲
    2019 年 62 巻 2 号 p. 107-114
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/07
    ジャーナル フリー

     目的 : 多機能性表面処理ガラス (Surface Pre-Reacted Glass ionomer : S-PRG) フィラーは, イオン放出性を有することからさまざまな生体活性効果を示すことが報告されている. 本研究の目的は, S-PRGフィラーと酸化亜鉛を基材としたS-PRGフィラー含有根管充塡用シーラー (S-PRGS) の生体親和性を, ユージノール系シーラー (ZOES) および非ユージノール系シーラー (ZOS) と比較検討することである.

     材料と方法 : S-PRGS, ZOESおよびZOSの硬化体へMC3T3-E1細胞を播種培養し, 走査電子顕微鏡 (SEM) にて観察, 細胞生存性を測定した. 次にラットの背部皮下に硬化させた各シーラーを埋植し, 術後10日および35日の炎症性細胞浸潤の程度について光学顕微鏡で観察を行い, 数値化して評価した.

     結果 : SEM観察の結果, S-PRGS上には細胞の伸展がみられたが, ZOESおよびZOS上では細胞の伸展は観察されなかった. 細胞生存性を測定した結果, S-PRGSはZOESおよびZOSと比較して有意に高い値を示した. 皮下埋入試験の結果, 術後10日ではすべてのシーラー周囲に炎症細胞浸潤が観察されたが, S-PRGSでは軽度であった. S-PRGS, ZOESおよびZOSの術後10日の炎症スコアは, それぞれ2.16, 2.67および2.83であった. 術後35日では, S-PRGS周囲に炎症性細胞はほとんど観察されなかった. 術後35日の炎症スコアは, それぞれ0.00, 0.67および0.67であった.

     結論 : S-PRGSは, ZOESおよびZOSと比較して良好な生体親和性を示した.

  • 片岡 あい子, 椎谷 亨, 富山 潔, 藤野 富久江, 向井 義晴
    2019 年 62 巻 2 号 p. 115-123
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/07
    ジャーナル フリー

     目的 : 多種イオンの徐放が可能なS-PRG (Surface Pre-Reacted Glass-ionomer) フィラー含有バーニッシュ (PRGバーニッシュ) を3日間歯根象牙質面に塗布した後, 剝離し, 塗布面直下の脱灰抑制効果について, Transverse microradiography (TMR) を使用して同程度のフッ化物イオンを徐放するNaF含有バーニッシュと比較検討した.

     材料と方法 : PRGバーニッシュならびにNaFの含有量を変化させたシリカフィラーバーニッシュからのフッ化物徐放量を測定したところ, PRGバーニッシュからの徐放量は1.0% NaF含有バーニッシュと近似していたため, 脱灰抑制実験グループは, コントロール (CONT) 群, 1.0%NaF含有バーニッシュ (1.0FV) 群, PRGバーニッシュ (PV) 群の3群 (n=6) とした. ウシ下顎切歯歯根を歯頸部直下およびそれより5mm根尖側の位置で水平断し円筒状象牙質歯片を作製後, ワイヤー式精密切断機にて歯軸方向に2分割し, 根面を研磨して平坦な象牙質面にしたものを試料とした. 象牙質面に対してCONT群は材料を塗布せず, 1.0FV群とPV群は材料を塗布した. 脱イオン水中に3日間浸漬後, 綿棒にて材料を剝離・除去した. 1×3mmの被験面以外を耐酸性バーニッシュで被覆し, 酢酸ゲル (pH 5.0) 中で1週間脱灰した後, 薄切片を作製し, TMR撮影後, 分析用ソフト (TMR 2006および2012) を用いてミネラルプロファイルの作成, ミネラル喪失量 (IML) および脱灰深度を計測した. 3群間の比較には, One-way ANOVAおよびGames-Howellの多重比較検定 (有意水準5%) を用いた.

     成績 : 各群のTMR像および平均ミネラルプロファイルでは, 1.0FVおよびPV群はCONT群と比較して表層のエックス線不透過性が高く, ミネラル密度は27 vol%であった. また, PV群の病巣体部のエックス線不透過性ならびにミネラル密度もほかの2群に比較して高く維持されており, ミネラル密度は18 vol%を示した. 脱灰深度は3群間で有意差は認められなかったが, IML (vol%×μm) は, CONT群3,200±184, 1.0FV群2,817±149, PV群2,523±121であり, CONT群とPV群の間に有意差が認められた. PRGバーニッシュはフッ化物イオン以外にも緩衝作用を有するイオンなどを徐放することから, それらのイオンが歯根象牙質に浸透し, 材料が剝離・除去した後も塗布面直下象牙質の脱灰抑制効果が発揮されたものと考えられた.

     結論 : S-PRGフィラー含有バーニッシュは, 材料が脱離した後も塗布面直下象牙質の脱灰を抑制する.

症例報告
  • 間 奈津子, 髙田 佳奈, 丹沢 聖子, 藤井 理絵, 末原 正崇, 古澤 成博
    2019 年 62 巻 2 号 p. 124-129
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/07
    ジャーナル フリー

     目的 : 慢性化膿性根尖性歯周炎で, 離れた箇所に位置する瘻孔の原因歯の特定に歯科用コーンビームCT (CBCT) が有効であったので報告する.

     症例 : 45歳男性. 上顎左側側切歯と犬歯間歯肉に瘻孔が認められたことから, かかりつけ歯科医を受診した. かかりつけ歯科医で口内法エックス線撮影を行い, 犬歯根尖部周囲に透過像を認めたことから上顎左側犬歯の根尖性歯周炎と診断した. しかし髄室開拡から根管治療を開始した際, 患者が疼痛を訴えたため治療を中断した. 患者は東京歯科大学水道橋病院へ精査および治療のため紹介され, 受診した. 東京歯科大学水道橋病院にてCBCTにより精密な検査を行った結果, 上顎左側犬歯根尖口蓋側から上顎左側第一小臼歯にかけて骨欠損を認めた. 上顎左側犬歯と側切歯間の皮質骨にも吸収を認めた. それらのことから, 原因歯は上顎左側犬歯ではなく上顎左側第一小臼歯であると判断した. 根管治療には水酸化カルシウム製剤を用い, 感染の除去および洗浄・消毒を繰り返すことで瘻孔の消失を認めた.

     結論 : 今回の症例では, 患者の症状, 視診や口内法エックス線撮影だけでは原因歯の特定にはいたらなかった. しかしCBCTを用いた検査を行うことで, 簡単に正確な原因歯の特定を行うことができた. 特に慢性化膿性根尖性歯周炎の根管治療を行ううえで, CBCTを用いた検査を行うことは正確な原因歯の特定に有効であることがわかった.

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