日本歯科保存学雑誌
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63 巻 , 2 号
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誌上シンポジウム
原著
  • 笠 孝成, 内田 邦敏, 岡村 和彦, 八田 光世, 山﨑 純, 坂上 竜資
    2020 年 63 巻 2 号 p. 144-155
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/08
    ジャーナル フリー

     目的 : 口腔粘膜上皮細胞は, 細菌および細菌から産生されるさまざまな毒素からの曝露に対して重要なバリアとして機能している. 歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalis (P. g.) は, 上皮組織におけるバリア機能の破綻を生じさせることにより歯周病の進行に深く関与し易感染性の状態を生み出すと考えられているが, 上皮組織にどのような影響を与え, どのようにしてバリア機能が壊されるかの詳細なメカニズムについてはわかっていない. そこで本研究では, P. g. がヒト口腔粘膜上皮細胞に与える影響について検討を行った.

     材料と方法 : ヒト口腔粘膜上皮細胞株とラット線維芽細胞からなる3次元構築モデルを作製し, P. g. ATCC33277菌粉砕物を上皮層に滴下する群としない群としてそれぞれ培養した. その後, 上皮細胞の気相液相境界面培養 (Air-Lift) を行い, 4~8日間培養後に3次元構築モデルサンプルを回収し, HE染色および免疫組織染色法を用いて形態観察を行った. また上皮のみを回収し, DNAマイクロアレイ解析およびqRT-PCR法を用いて遺伝子発現の解析を行った. さらにバリア機能を評価するために, Air-Lift 6日目のサンプルを用いてTERおよびFITC-dextranによる解析を行った.

     結果 : P. g. 菌粉砕物を滴下すると, Air-Lift 6日目に有意な上皮層の厚みの増加を認めた. マイクロアレイパスウェイ解析の結果, 細胞周期および細胞間接着に関連する遺伝子発現の変化を認めた. 細胞周期においてCDKN1A mRNA発現量の有意な低下を認め, 免疫組織染色においてKi67陽性細胞数の割合が有意に増加した. 細胞間接着において, E-cadherin染色強度および染色面積の有意な低下を認めた. 組織の電気的抵抗値は有意に低下し, dextranによる組織の物質透過性試験の結果は有意に増加した.

     結論 : 3次元構築モデルにおいて, ヒト口腔粘膜上皮細胞は, P. g. への曝露により細胞増殖が亢進するとともに細胞間隙が拡大し, 細胞間接着タンパク質が減少する. これによって, 上皮バリア機能が低下し, 歯周病変の重症化に関与すると考えられる.

  • 半場 秀典, 中村 圭喜, 二階堂 徹, 古澤 成博, 田上 順次, 村松 敬
    2020 年 63 巻 2 号 p. 156-164
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/08
    ジャーナル フリー

     目的 : エナメル質表層下脱灰は齲蝕の初期段階であり, 白色病変による審美的な問題だけでなく, 深刻な齲蝕進行につながる可能性がある. フルオロアルミノシリケートガラス含有知覚過敏抑制材であるナノシールは, ナノサイズのガラス粒子と10%リン酸を含み, それらの反応によってナノサイズのミネラル沈着物を歯面に生成する. シリケートは脱灰歯面に沈着し, エナメル質の耐酸性に寄与すること, フッ化物はフッ化カルシウムとして歯面に沈着し, 脱灰抑制効果や再石灰化効果の報告がある. ナノシールはシリケートとフッ化物を含むため, 再石灰化効果が期待される. また, シリケートとフッ化物の関係については不明な点が多い. 本研究では, フルオロアルミノシリケートガラス含有知覚過敏抑制材であるナノシールがエナメル質表層下脱灰に及ぼす再石灰化効果についてマイクロCTを使用して検討を行った.

     材料と方法 : ヒト抜去大臼歯歯冠部を近遠心および頰舌側方向で低速切断機にて4分割した. エナメル質表面を研削し, 処理面1×3mm以外にネイルバーニッシュを塗布し, 試料を脱灰液中に10日間浸漬し, 表層下脱灰層を作製した. 試料をDW (Milli-Q水), NS (ナノシール, 日本歯科薬品), NaF900 (NaF 900ppm), NaF 9000 (NaF 9,000ppm) の4群に分けた. 各群において, 歯面塗布を20秒間行い, 水洗を15秒行った. 歯面塗布後30分静置後, 人工唾液に10日間浸漬した. 脱灰前, 脱灰後, 再石灰化後にマイクロCT (SMX-100CT, 島津製作所) を用いて撮影 (解像度7.5μm/voxel) を行った. 撮影データを3次元解析ソフト (TRI/3D-BON, DIF, TMD, ラトック) により3次元構築を行った. 各データの重ね合わせを行い, 表層下脱灰部のミネラル密度プロファイルを解析した. ミネラル喪失量 (ΔZ; vol%μm) から再石灰化率 (%R) を求め, 統計学的処理を行った.

     結果 : マイクロCT像と平均ミネラル密度プロファイルの結果, すべての群でミネラルの増加を認めた. DW群とNaF900群はNS群とNaF9000群と比較して表層下に脱灰部が残存していた. NS群はほかの群と比較して脱灰病変全体で高いミネラル増加を示した. %Rの結果, NS群はほかの群よりも有意に高かった (p<0.05) 一方, DW群, NaF900群, NaF9000群間で有意差を認めなかった (p>0.05).

     結論 : 本研究の結果, フルオロアルミノシリケートガラス含有知覚過敏抑制材であるナノシールはヒトエナメル質表層下脱灰層の再石灰化を促進することが明らかになった. ナノシールは, エナメル質表層下脱灰層の再石灰化に有効な方法として期待される.

  • ―荷重と時間がCAD/CAM用歯冠色修復材料の表面性状に与える影響―
    内川 竜太朗, 大木 茜, 春山 亜貴子, 杉山 利子, 小町谷 美帆, 小松 佐保, 甲田 訓子, 奥瀬 稔之, 森 啓, 吉成 伸夫, ...
    2020 年 63 巻 2 号 p. 165-172
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/08
    ジャーナル フリー

     目的 : 歯科治療終了後のメインテナンス時にはPMTC用ペーストを併用した機械的歯面清掃が施されるが, 機械的清掃時の荷重や1歯面当たりの清掃時間がCAD/CAM用歯冠修復材料の表面性状に対してどのような影響を及ぼすかについては知られていない. 本研究では, 各種CAD/CAM用歯冠修復材料に機械的清掃を行った場合の荷重や時間が表面の光沢度や粗さに及ぼす影響を検討した.

     材料と方法 : CAD/CAM用コンポジットレジンブロック2種類 (松風ブロックHC, エステライトブロック), およびCAD/CAM用セラミックブロック2種類 (IPSエンプレスCAD, セルトラDUO) の計4種類を用いた. これらのブロックを切断し, 厚さ3mmの板状試料を作製した. それぞれの試料表面を研磨後, PMTC用ブラシ (メルサージュブラシ) と1ステップ型PMTCペースト (プロフィーペーストPro) を用い, 2,500rpmの条件の下, Ⅰ群 : 荷重100gf, 清掃10秒間×4サイクル, Ⅱ群 : 荷重100gf, 清掃30秒間×4サイクル, Ⅲ群 : 荷重300gf, 清掃10秒間×4サイクル, Ⅳ群 : 荷重300gf, 清掃30秒間×4サイクルの4条件で機械的清掃を行った. 清掃前後の試片について, それぞれ試料表面の光沢度および表面粗さ (Ra, Rz) を計測した.

     結果 : セラミック系ブロックでは, 機械的清掃による光沢度や表面粗さの変化は小さく, また変化した場合には光沢度が上昇する傾向を認めた. 一方, コンポジットレジン系のブロックに対して100gfで機械的清掃を行うと, 短時間 (10秒×4サイクル) では機械的清掃前後での光沢度に有意差を認めなかったが, 長時間 (30秒×4サイクル) では有意な光沢度の低下を認めた. また, 300gfで機械的清掃を行った場合においても光沢度は低下したが, その低下の度合は短時間清掃した場合と長時間清掃した場合とでほぼ同程度であった.

     結論 : 1ステップ型PMTCペーストを用いて機械的清掃を行う場合, 特にコンポジットレジン系歯冠修復材料に対しては光沢が失われる可能性があり, 十分注意が必要であることが明らかとなった. 特に, 低荷重 (100gf) で長時間清掃すると光沢度の低下が著しいことから, 強めの荷重 (300gf) で短時間清掃することが望ましいものと思われた.

  • ―表面性状の変化と付着関連遺伝子の発現解析―
    竹中 彰治, 長谷川 泰輔, 小田 真隆, 山本 博文, NAKSAGOON Traithawit, 永田 量子, 鈴木 裕希, 大墨 竜也 ...
    2020 年 63 巻 2 号 p. 173-180
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/08
    ジャーナル フリー

     目的 : 硫酸化ビザンチン (Viz-S) は, 50μmol/lではStreptococcus mutansバイオフィルムを易剝離性に変化させ, 75μmol/lでは付着を抑制する. 本研究では, 75μmol/l Viz-Sの付着抑制機序を解明するため, 同菌の表面性状の変化および付着関連遺伝子の転写量の変化について解析した.

     材料と方法 :

     実験1 (菌体表面性状の解析) ; S. mutans UA159株 (UA159) のPBS懸濁液1 mlに, Viz-Sを終濃度が0, 50, 75μmol/lとなるように添加した. 10分間作用させたのち, n-ヘキサデカン200μlを添加し1分間攪拌した. 15分間静置後, 疎水性率をMicrobial adhesion to hydrocarbon testにより評価した.

     実験2 (Viz-S処理したS. mutansの付着抑制効果) ; 0.2, 0.4, 0.8, 1.6%スクロース含有BHI液体培地に, 終濃度が0, 50, 75μmol/lとなるようにViz-Sを添加した. 緑色蛍光タンパク質を導入したS. mutans変異株 (ZsG) を, OD600=0.025となるように培地に加えた. 唾液処理したカバーガラスチェンバー内に細菌懸濁液を送り込み, 1時間静置後の付着細菌の割合を, 共焦点レーザー顕微鏡を用いて解析した.

     実験3 (遺伝子発現動態の解析) ; 0, 50, 75μmol/lのViz-S存在下で4時間培養後のUA159を回収し, mRNAを抽出後, cDNAを合成した. 付着関連遺伝子の転写量をReal-time PCR法で解析した.

     成績 : コントロール群の菌体表層の疎水性率 (%±SD) は57.5±13.4であった. 50μmol/lおよび75μmol/lのViz-S存在下では疎水性率が低下し, それぞれ, 29.4±10.4 (p<0.05), 14.9±7.0 (p<0.01) であった. 50μmol/lおよび75μmol/l Viz-S群のZsGの付着面積は, コントロール群と比較して, それぞれ1/8~1/10 (50μmol/l Viz-S群) および1/40~1/55 (75μmol/l Viz-S群) に減少した. gtfDの転写は, すべてのスクロース含有条件でコントロール群と比較して, それぞれ0.38~0.5倍 (50μmol/l Viz-S群) および0.33~0.36倍 (75μmol/l Viz-S群) に有意に低下した (p<0.05). 菌体表層タンパクをエンコードする遺伝子群の転写には有意な変化はなかった.

     結論 : 50μmol/lおよび75μmol/lのViz-Sは, S. mutansの菌体表層に結合することで, 表面性状を親水性に変化させた. また, スクロース依存性の付着に重要なgtfDの転写を低下させた. 75μmol/lのViz-Sは, これらの2つの機序によりS. mutansに対して付着抑制効果を示すと考えられた.

  • 清水 康平, 安川 拓也, 羽鳥 啓介, 鈴木 裕介, 武市 収, 林 誠, 勝呂 尚, 中村 健志, 田村 隆仁, 小林 寛, 平野 頼是 ...
    2020 年 63 巻 2 号 p. 181-187
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/08
    ジャーナル フリー

     目的 : これまで, さまざまな方法により根管充塡の評価がなされてきたが, X線による三次元的解析を用いた報告は少ない. そこで, 本研究ではサーマフィル (Dentsply Sirona) をはじめ, 臨床で用いられている根管充塡法の湾曲根管に対する塡塞性の特徴を観察する目的で, 湾曲根管模型および三次元マイクロフォーカスX線CTを用いて, 根管各部位おける塡塞状態を評価した.

     材料と方法 : 実験には供試模型としてサーマフィルトレーニングブロック (Dentsply Sirona) を用い, Ni-Ti製根管拡大形成用ファイルであるプロテーパー (Dentsply Sirona) にてSXファイルからF2ファイルまで拡大形成を行った. 根管充塡群は, サーマフィル (TF) あるいはNTコンデンサー (SybronEndo, USA) とオブチュレーションガッタNT (NT, Toyo) を併用した垂直加圧充塡群とした. TFおよびNTの塡塞性はマイクロフォーカスCT (SMX-130CT, 島津製作所) を応用して, 根尖から1, 3mmおよび5mmの横断面画像により評価した. また, 塡塞率の評価は, 根管充塡前の供試模型を撮影したものをControlとして比較検討した.

     成績 : 各観察部位におけるTF (97.5%±1.101) およびNT (96.4%±2.607) 群の塡塞率はほぼ同程度の高い値を示したが, 塡塞状態の観察では両群間で若干の相違が認められた. TF群において根尖側3mmおよび5mm部位では, コアプラスティックキャリアーの周囲を比較的多量の軟化ガッタパーチャが占有する塡塞状態であったのに対し, 根尖側1mmの部位では, コアプラスティックキャリアー周囲の軟化ガッタパーチャ量はわずかであったが緊密性は高かった. これは, サーマフィルによる充塡法がシステマティックに根管形成も含めて実施されることによるものと考えられた. 一方, NT群ではどの横断面画像においても, ガッタパーチャ内に気泡らしき像が観察され, これはNTコンデンサーの回転力を応用した充塡法によるものと考えられた.

     結論 : 以上の結果より, これらの方法はともに高い塡塞率を有し, 臨床において非常に有用であると考えられる. しかしながら, NTコンデンサーとオブチュレーションガッタNTを併用した垂直加圧充塡法においては, その手技の過程で発現する気泡の存在により, 再感染の場となる可能性も否定できない.

  • 髙見澤 哲矢, 半田 慶介, 鈴木 重人, 長谷川 達也, 中野 将人, 八幡 祥生, 齋藤 正寛
    2020 年 63 巻 2 号 p. 188-198
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/08
    ジャーナル フリー

     目的 : 外科的歯内療法による根尖部の病変除去および根管治療は, 根管形態の破壊や根尖に病変が存在し非外科的治療が経過不良な場合に実施される. 近年確立された歯根尖切除術のモダンテクニックは治療成績の向上に大きく貢献したが, 外科的歯内療法の教育は座学により行われており, 治療技術に関する教育システムは開発されていない. そのため根尖病変除去から逆根管充塡までの一連の術式について実技を習得できる教育システムを構築するためには, 実臨床を模倣した歯根尖切除術教育用の顎模型の開発が必要になる. そこで本研究では歯根尖切除術に最適な模型システムを構築するため, 根尖病変を有する人工歯を付した教育用顎模型を作製し, 講義および実習を行い, その教育効果を評価した.

     材料と方法 : 1顎に2歯の根尖病変を有する人工歯を付した教育用顎模型を新規に作製し, 歯根尖切除術が未経験な歯科医師臨床研修医のボランティアを対象に日本歯内療法学会監修の先進技能取得教材実習項目に従った歯根尖切除術を行った群 (実施群) と実習を行っていない群 (未実施群) に分け, 教育効果を評価した.

     結果および考察 : 研究の結果, 被験者の骨窩洞面積は大きく, 根尖切除の角度および逆根管形成, 逆根管充塡も困難であることが観察された. また座学の後に実習を行うことは, 歯根尖切除術における術式の理解に効果的であることがわかった. これらの結果から, 歯根尖切除術における術式は複雑であり, 技術習得のためには均一化した模型を用いた繰り返しの修練が必要であることが示唆された.

     結論 : 本研究により, 教育用顎模型システムがモダンテクニックによる歯根尖切除術の理論や術式を理解し修得するために有益であることが推察された. また, 同一規格での教育用模型を用いた教育の継続性が重要であることが示された.

  • 澁谷 和彦, 大原 直子, 入江 正郎, 小野 瀬里奈, 松崎 久美子, 松本 卓也, 𠮷山 昌宏
    2020 年 63 巻 2 号 p. 199-206
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/08
    ジャーナル フリー

     目的 : 超高齢社会に入り口腔乾燥症を有する患者が増加しているが, その口腔内環境を想定した条件での保存修復治療の研究はまだ少ない. 口腔乾燥症における口腔内ではさまざまな温度変化や湿度変化, 咬合力による負荷が修復材料に影響を与えることが予想される. そこで本研究は, 口腔乾燥症の口腔内における修復材料の基礎的評価の一端として, 水中浸漬と乾燥が成形修復材料の質量と曲げ強度に及ぼす影響を検討した.

     材料と方法 : コンポジットレジンとしてGRACEFIL ZeroFlo A3 (GFZ, ジーシー), レジン添加型グラスアイオノマーセメントとしてFuji ⅡLC Capsule A3 (ⅡLC, ジーシー), 従来型グラスアイオノマーセメントとしてFUJI Ⅸ GP EXTRA CAPSULE A3 (FⅨ, ジーシー) の3種類の成形修復材料を使用した. 吸水と乾燥が試料の質量に与える影響の検討のため, 7日間の水中浸漬と24時間空気中保管による試料の質量変化を経時的に測定した. 曲げ強度の測定では, 作製直後の試料をコントロール群 (以下, CL) とし, 7日間37°C水中保管群 (以下, WC), 7日間37°C空気中保管群 (以下, DC), 7日間流動パラフィン内保管群 (以下, LP) の4群にて3点曲げ試験を行った. 得られた結果は, 一元配置分散分析およびTukey HSD法により有意水準5%で統計処理を行った.

     結果 : 水中浸漬による質量増加はⅡLCが最も高い値を示し, 次いでFⅨが高く, GFZは最も低い値を示した. 乾燥によりいずれの群も約4時間後まで質量が減少し, 約6時間後には質量は一定となった. CLの曲げ強度については, GFZが有意に最も高い値を示し, 次いでⅡLCとなり, FⅨが最も低い値を示した. GFZはいずれの保管条件でもCLとの有意差は認めなかった. ⅡLCはCLと比較しWCで有意に低下し, DCで有意に増加した. FⅨはいずれの保管条件でもCLと比較して増加傾向を示し, DCで有意に増加した.

     結論 : GFZは吸水と乾燥の影響を最も受けず安定していた. ⅡLCは吸水量が最も高く, 吸水により曲げ強度は低下したが, 乾燥により大きな増加を認めた. FⅨの吸水・乾燥による質量変化はGFZとⅡLCの中間的な挙動を示した. FⅨの曲げ強度は乾燥により増加した.

  • ―ソフトレシプロックによる根管形成能の評価―
    赤堀 裕樹, 木方 一貴, 長谷川 智哉, 田中 雅士, 堺 ちなみ, 小畠 莉里, 和仁 護, 加藤 友也, 伊藤 智美, 瀧谷 佳晃, ...
    2020 年 63 巻 2 号 p. 207-213
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/08
    ジャーナル フリー

     目的 : ソフトレシプロック (RECIPROC blue) は, その柔軟性と使用本数の減少により従来のNi-Tiロータリーファイルより正確かつ, 規格化された形成が可能となった. そこで今回, ソフトレシプロックを用いた根管形成で, 術者間によって差が出るかを確認した.

     材料と方法 : 実験にはJ型エポキシレジン製透明根管模型 (END1002-30-#20, NISSIN) を使用した. 術者はNi-Tiロータリーファイル使用歴3年以上の歯科医師 (NTE), Ni-Tiロータリーファイル使用経験の少ないもしくは全くない歯科医師 (NTI), 歯内療法の臨床実習が終了した歯学部5年生の学生 (DS5), 歯内療法の知識がない歯学部1年生の学生 (DS1) の4群, 各7人とした. 各群において, 手用ステンレススチールKファイル#15にてグライドパスの確認後, エンド用往復回転コントラ−150°/30° (RECIPROC Direct) に接続したソフトレシプロックを用い, #25/.08テーパー, #40/.06テーパーの順で根管形成を実施した. 形成に要した時間を, 同一人物が測定した. 根管形成前, #25での根管形成終了後および#40での根管形成終了後の根管模型にう蝕検知液を満たした状態で, 実体顕微鏡 (SZX16, OLYMPUS) 観察し写真撮影 (DP26, OLYMPUS) を行った. その後, 写真編集ソフト (Photoshop Elements13) 上にて根管形成前後の写真を重ね合わせ, 画像解析ソフト (ImageJ) にて外湾側と内湾側における根管幅径増加量を測定し, 両者の差を根管変位量とした. 根尖から1, 3, 5, 8mmの位置での中央値を各群間でMann-Whitney U testを行い評価した.

     結果 : 4群間における形成時間および根管変位量は, NTEとその他の群間で有意差は認めなかった (p>0.05).

     結論 : 本研究において, 術者のNi-Tiロータリーファイル使用経験の有無による根管形成時間および根管変位量ともに差は認めなかった. ソフトレシプロックは, どの術者群においても短時間かつ正確な根管拡大形成が可能であると示唆された.

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