日本歯科保存学雑誌
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総説
原著
  • 木方 一貴, 田中 雅士, 長谷川 智哉, 竹内 雄太, 赤堀 裕樹, 瀧谷 佳晃, 斎藤 達哉, 伊藤 智美, 吉田 隆一, 河野 哲
    2019 年 62 巻 3 号 p. 143-151
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/01
    ジャーナル フリー

     緒言 : 歯内療法は, ニッケルチタンロータリーファイルや歯科用コーンビームCT, 歯科用実体顕微鏡などの応用により, 近年大きく変化してきた. 使用器具や器材は変化しても, 機械的清掃のみでは根管内の感染のコントロールは不十分であり, 根管洗浄や根管貼薬が必要であるという考えは, 現在も続いている. しかし, 根管洗浄に用いる根管洗浄器や根管洗浄剤は多種多様であるため, 根管洗浄の方法もさまざまであると推測できる. そこで今回, 日本の歯科大学・歯学部に対して, 実際に臨床で用いる根管洗浄法に関するアンケートを行い, その実態を調査したので報告する.

     方法 : 日本の歯科大学および歯学部29校の歯内療法に関わる34講座・分野に対して, 代表者宛に 「臨床で用いられている根管洗浄法についての調査」 と題しアンケートを送付し, 回答を求めた. 質問内容は根管洗浄実施の有無, 実施するタイミング, 使用器具や薬剤などの計13項目とした.

     結果 : 29校34講座中, 27校30講座・分野から回答が得られ, アンケート回収率は88%であった. まず, 根管洗浄を行うかという項目に対しては30講座・分野すべてが行うと回答した. 根管洗浄を行うタイミングに関しては, 「拡大サイズの上昇時に毎回必ず行う」 が30%, 「拡大サイズの上昇時に適宜行う」 が80%, 「拡大中は行わず, 最終拡大終了後 (貼薬前) に行う」 が3%だった.

     根管洗浄器は, 「シリンジを使用する」 が93%, 「超音波発振装置を使用する」 が87%, 「可聴域振動装置を使用する」 が13%, 「その他」 は3%であった. 根管洗浄器として 「シリンジを使用する」 と回答した講座の内訳として, ルートキャナルシリンジ : 32%, シリンジと先端開口型洗浄針 : 64%, シリンジと側孔開口型洗浄針 : 32%であった. シリンジに用いる薬剤としては, 次亜塩素酸ナトリウム溶液 : 96%, EDTA溶液 : 96%, 過酸化水素水 : 32%, 生理食塩水 : 32%, 精製水 : 4%, クエン酸 : 4%であった.

     結論 : 今回の日本の歯科大学・歯学部の臨床における根管洗浄に関するアンケート調査に回答したすべての講座・分野が根管洗浄を実施しており, 根管洗浄が必要であるという認識は共通していた. その方法は多くの講座・分野でシリンジのみではなく, 超音波発振装置や可聴域振動装置を併用していた. 根管洗浄剤の種類に関しては, 次亜塩素酸ナトリウム溶液やEDTA溶液を多くの講座・分野が使用しており, 単一薬剤のみの使用は少なく, 症例に応じて適宜他の根管洗浄剤を併用していることが判明した.

  • 庵原 耕一郎, 中島 美砂子
    2019 年 62 巻 3 号 p. 152-158
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/01
    ジャーナル フリー

     目的 : 閉塞/狭窄根管は化学的清掃剤や根管貼薬剤が十分に到達できず, 細菌増殖の死腔を与え, 根尖性歯周炎の原因となる場合がある. また根尖病変の排膿路を塞ぎ, 痛みが寛解できない可能性がある. 実際に, 根管が未穿通であると再根管治療の割合が高くなるともいわれている. よって可能なかぎり, 根尖まで穿通することが望まれる. 著者らは, 象牙質深部への薬剤浸透を亢進させるために, 高圧空気を含みマイナス帯電性のナノバブル水を開発した. 本研究では, EDTA製剤をこのナノバブル水と併用することにより象牙質深部まで浸透させ, 象牙質脱灰作用が促進できるかどうかを検討した.

     材料および方法 : ブタ歯根を用いて, in vitro根管モデルを作製した. まず, 紫外線により蛍光を発するテトラサイクリンをナノバブル水と併用して根管内に適応し, 薬剤浸透促進効果を確認した. 次にナノバブル水, 50%ナノバブル水含有8.5%EDTA溶液, 8.5%EDTA溶液, および17%EDTA製剤の4種類の薬剤を5分, 24時間, および72時間根管内に作用させ, 根管壁からそれぞれ100, 300μm, および500μm地点でのビッカース硬さを測定した. さらに, 根管壁を走査電子顕微鏡にて観察した. ネガティブコントロールとして蒸留水を用いた.

     結果 : テトラサイクリンをナノバブル水と併用して適用すると, 根管壁から薬剤がより深くまで浸透した. ナノバブル水のみでは蒸留水と同様に硬さに変化はみられず, 8.5%EDTA溶液, および17%EDTA製剤では根管壁から100μmの地点でのみ硬さの減少がみられた. しかしながら, 50%ナノバブル水含有8.5%EDTA溶液では100, 300, 500μmのすべての地点において硬さの減少がみられた. また, 5分以降72時間経過しても硬さは減少しなかった. 一方, 50%ナノバブル水含有8.5%EDTA溶液の作用時間による象牙細管の形態を観察すると, 5分で管周象牙質が露出していたが, 24時間および72時間において, 5分と比べて象牙細管1個当たりの大きさに有意差はみられなかった.

     結論 : これらの結果より, ナノバブル水は薬剤の象牙質深部への浸透を高めEDTAの脱灰作用を促進させることが明らかとなった.

  • 庵原 耕一郎, 中島 美砂子
    2019 年 62 巻 3 号 p. 159-164
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/01
    ジャーナル フリー

     目的 : 抜髄・感染根管治療を成功させるには, 機械的拡大後の完全な根管清掃と適切な根管充塡, さらには歯冠部の密な封鎖が必要と考えられている. スミヤー層は機械的清掃時に根管壁に生じる不定形層であり, 無機質および有機質が含まれる. スミヤー層は根管貼薬剤の象牙細管への浸透を妨げるため, 一般的にはスミヤー層をEDTA製剤・クエン酸製剤等にて除去洗浄する. しかしながら, EDTA製剤・クエン酸製剤は根管壁象牙質を脱灰するため機械的強度が減少し, 破折を招く可能性がある. われわれは, 象牙質深部への薬剤浸透を亢進させるナノバブル水を開発した. そこで, 今回ナノバブル水のスミヤー層洗浄効果を検討した.

     材料および方法 : in vitro根管モデルを作製し, ナノバブル水5分, 17%EDTA製剤1分, 3%EDTA製剤2分, 20%クエン酸製剤3分, 4.25%クエン酸製剤5分, および蒸留水5分の6種類の洗浄液を根管に作用させ, 走査電子顕微鏡にて観察した. さらに, 機械的強度変化を検討するため, 根管壁からそれぞれ100μmでのビッカース硬さを測定した.

     結果 : in vitro根管モデルにおいて, ナノバブル水で5分洗浄すると, 20%クエン酸製剤3分と同程度にスミヤー層をほぼ除去でき, ほかの洗浄液と比べて象牙細管の有意な露出がみられた (p<0.01, n=3). ビッカース硬さを測定すると, ナノバブル水では蒸留水と比較して硬さの減少はみられなかった. 一方, 17%EDTA, 20%クエン酸製剤, および4.25%クエン酸製剤では蒸留水と比較して象牙質から深さ100μmでの硬さの減少がみられた (p<0.05, n=3).

     結論 : これらの結果からナノバブル水は根管治療におけるスミヤー層除去に有用であることが示された.

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