日本歯科保存学雑誌
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総説
誌上シンポジウム 「生体の中の保存治療学」
原著
  • 吉峰 正彌, 鴨井 久博, 久保田 裕子
    2021 年 64 巻 3 号 p. 212-219
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

     目的 : 歯周病予防・治療においてプラークコントロールは非常に重要な役割を果たしており, 近年では手用歯ブラシのみならず音波振動歯ブラシも数多く開発されている. 本研究では酸化チタン (以下, TiO2) の光触媒作用をさらに増強するために, 太陽電池 (以下, ソーラーパネル) を増加させた音波振動歯ブラシのプラーク除去効果と安全性について検討を行った.

     材料と方法 : 被験者は日本医科大学千葉北総病院歯科の医局員で, 口腔清掃方法の知識・能力・健康な歯肉を有する男女年齢不問の8名とした. 被験歯はRamfjördの代表歯6歯とし, プラーク付着に影響を及ぼす修復物がない歯とした. 使用した歯ブラシは, ソーラーパネル3枚を内蔵した音波振動歯ブラシSOLADEY RHYSHM 2 (シケン) とした. TiO2を有しない同一形状の音波振動歯ブラシ (CONTROL群), および大型太陽電池付酸化チタン電極内蔵の手用歯ブラシSOLADEY N4 (シケン, MANUAL群) を対照群とした. 付着プラークの評価には, Rustogi Modification Navy Plaque Index (RMNPI) を用いてプラーク除去率を算出した. 一元配置分散分析を用い, 歯ブラシ前後と3群間のプラーク除去率の比較を行った.

     結果と考察 : SOLADEY RHYSHM 2を使用したプラーク除去効果は, 歯面部位・歯種にかかわらずおおむねプラーク除去率が高い傾向が認められた. また, 毛先の届きづらい歯頸部においてもプラーク除去率が高いことが示され, ソーラーパネルを3枚にし内蔵した結果, 音波振動機能に加えてTiO2の光触媒作用が増強された可能性が考えられた.

     結論 : TiO2とソーラーパネルを内蔵した音波振動歯ブラシは, プラーク除去効果が高く, プラークコントロールに有用である可能性が示唆された.

  • 高橋 礼奈, 榎本 愛久美, 織田 祐太朗, 内山 沙紀, 盧山 晨, 金森 ゆうな, 明橋 冴, 田上 温子, 髙橋 彬文, 則武 加奈子 ...
    2021 年 64 巻 3 号 p. 220-226
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

     目的 : 近年, コンポジットレジン修復において, さまざまな被接着体に対して同一のボンディング材が使用できるユニバーサルタイプの接着システムが開発され, 臨床でも多用されるようになってきている. 本研究では, 術者の臨床経験と接着システムが象牙質接着性能に及ぼす影響について評価した.

     材料と方法 : 2ステップボンディングシステムであるクリアフィルメガボンド2 (MB2) および1ボトルユニバーサルタイプのボンディングシステムであるクリアフィルユニバーサルボンドクイック (UBQ) の, 2種類の接着システムを使用した. ウシ抜去下顎永久切歯の唇面象牙質平坦面を流水下にて露出させ, #600の耐水研磨紙で研削した. 基礎実習中の歯学部学生 (undergraduates) 5名と臨床経験5年以上 (平均7.4年) の歯科医師 (professionals) 5名が, MB2またはUBQを業者指示どおりに象牙質表面に接着操作を行った後, コンポジットレジンを2mm築盛し, 光照射を20秒行った. 試料を24時間37°Cの水中に保管した後, クロスヘッドスピード1mm/分にて微小引張試験を行った. 得られた値は, 二元配置分散分析とt検定により統計処理を行った (p=0.05). さらに, Weibull分析により解析した.

     結果 : MB2-undergraduates, MB2-professionals, UBQ-undergraduates, UBQ-professionalsの平均値±標準偏差 (MPa) は, 33.7±10.1, 36.7±10.1, 26.0±10.7, 28.1±11.1, Weibull係数は3.6, 4.2, 2.0, 2.6であった. 二元配置分散分析により, “臨床経験” は微小引張接着強さに影響せず (p>0.05), “接着システム” は微小引張接着強さに影響した (p<0.05). Weibull係数は, 大きい値からMB2-professionals, MB2-undergraduates, UBQ-professionals, UBQ-undergraduatesの順であった. 傾きの差の検定では, すべての群のmの間に有意差を認めた (p<0.05).

     結論 : MB2はUBQより高い象牙質接着強さを示し, 信頼性も高い接着システムであった. 臨床経験の違いは象牙質接着強さに影響を及ぼさなかったが, 信頼性に関してはMB2, UBQともに臨床経験5年以上の歯科医師のほうが歯学部学生に比べて高かった.

  • 石井 亮, 笠原 悠太, 廣兼 榮造, 髙見澤 俊樹, 辻本 暁正, 吉中 雄太, 宮崎 真至, 北原 信也
    2021 年 64 巻 3 号 p. 227-236
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

     目的 : 唾液汚染が生じた歯質表面に対し, 各種汚染除去法がレジンセメントの接着性に及ぼす影響について, 剪断接着強さおよび歯質表面の表面自由エネルギーを求めるとともにSEM観察を行うことによって検討した.

     材料と方法 : レジンセメントとしてパナビアV5 (クラレノリタケデンタル) を, 唾液汚染面の表面処理剤としてカタナクリーナー (KC, クラレノリタケデンタル), Multi Etchant (ME, ヤマキン) およびUltra-Etch (UE, Ultradent Products) を使用した. 接着試験用試片の製作に際して, ウシ下顎前歯歯冠部を常温重合レジンに包埋し, エナメル質あるいは象牙質平坦面を耐水性SiCペーパー#320を用いて研削して被着歯面とした. これらの被着歯面に対し, ヒト唾液を10μl滴下してこれを汚染面とした. 汚染面に表面処理を施すことなく測定を行ったものをSC群, 汚染のない被着面をControl群とした. 汚染面の表面処理法は, KC群, ME群およびUE群の合計3条件とした. これらの被着面に対して内径2.4mm, 高さ2mmの円柱状ステンレス型を静置し, これにセメントペーストを塡塞して接着試験用試片とした. これらの試片を37°C精製水中に24時間保管後, あるいは24時間保管後に5~55°Cを1サイクルとしたサーマルサイクル (TC) を10,000回負荷後, 万能試験機 (Type 5500R, Instron) を用いてクロスヘッドスピード1.0mm/minの条件で剪断接着強さを測定した. 表面自由エネルギーの算出に際しては, 剪断接着強さ測定用試片と同様に調製した試片に対して, 表面自由エネルギーが既知である3種類の液体を用いて接触角を測定することによって求めた. また, 各被着歯面における, 各処理後のSEM観察を行った.

     成績 : 歯質に対するレジンセメントの24時間後の接着強さは, Control群に比較してSC群で有意に低下したが, 表面処理を行うことによって回復した. TC後におけるレジンセメントの接着強さは, エナメル質ではUE群が有意に高い値を示し, 象牙質においてはKC群が有意に高い値を示した. 歯質表面における表面自由エネルギーはSC群で低下したが, 各表面処理の影響は歯質とともに各処理剤によって異なるものであった.

     結論 : 本実験の結果から, 唾液汚染されたエナメル質および象牙質に対する表面処理は, 汚染面を改質することで接着強さを向上させた. また, 処理面の表面自由エネルギーは各処理剤によって異なる傾向を示した.

  • 山田 嘉重, 木村 裕一, 高橋 昌宏, 車田 文雄, 菊井 徹哉, 橋本 昌典, 大木 英俊
    2021 年 64 巻 3 号 p. 237-247
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

     目的 : SARS-CoV-2感染予防は, COVID-19流行を阻止するために非常に重要である. そのため, 手指の消毒と個人防護器具 (PPE) の装着に加えて新たな予防対策を講じる必要性がある. その予防策の候補の一つとして, エピガロカテキンガレート (EGCG) を代表とするカテキンの使用が挙げられる. 分子ドッキング法により, 選択的にSARS-CoV-2スパイクタンパク質とEGCGが結合することで, スパイクタンパク質とACE2受容体との結合を抑制する可能性が報告されている. 本研究では, SARS-CoV-2スパイクタンパク質に対してEGCG単独, 4種混合カテキンおよび緑茶が実際にスパイクタンパク質とACE2との結合抑制に効果を有するのかを調べることを目的とした.

     材料と方法 : 本研究では, 異なる状態のカテキン (EGCG, 4種混合カテキン, 粉末緑茶) を使用した. 溶液の濃度はEGCG溶液 (EGCG) と4種混合カテキン溶液 (4KC) で1, 10, 100mg/ml, 2種類の緑茶溶液Ⅰ (PWA) と緑茶溶液Ⅱ (PWB) では1, 10mg/mlとした. SARS-CoV-2スパイクタンパク質抑制スクリーニングキットを使用し, TMB基質で発色後の撮影とELISAによる検討を行った.

     結果および考察 : 各種抑制溶液において100mg/mlの濃度が最もSARS-CoV-2スパイクタンパク質とACE2との結合抑制効果が強く, 濃度の減少に比例して抑制効果が減少するのが観察された. それぞれの結合抑制率の割合は, EGCGでは12~89%, 4KCは11~88%, PWAでは10~47%, PWBでは11~47%であった. 本研究結果において, EGCGだけでなく4KCやPWA, PWBでもスパイクタンパク質とACE2との結合抑制効果を有することおよび, その結合はカテキンの濃度に依存することが判明した.

     結論 : 本研究によりEGCG単独だけではなく, 4種カテキン混合状態および粉末緑茶溶液においてもSARS-CoV-2スパイクタンパク質とACE2との結合に対して濃度依存的に抑制効果を有することが確認された. カテキン配合溶液は, SARS-CoV-2感染に対する新たな予防法の一つとなることが期待される.

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