日本歯科保存学雑誌
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原著
  • 沢田 啓吾, 北村 正博, 長谷川 詩織, 森本 千晶, 平井 麻絵, 今井 昂, 川嵜 公輔, 橋本 康樹, 麻生 桃子, 辻井 翔一, ...
    2020 年 63 巻 3 号 p. 219-227
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/07
    ジャーナル フリー

     目的 : 2016年12月に, 塩基性線維芽細胞増殖因子 (FGF-2) を有効成分とする歯周組織再生剤リグロス (科研製薬) が上市された. 本研究では, 大阪大学歯学部附属病院 (口腔治療・歯周科) にて実施したリグロスを用いた歯周組織再生療法の治療成績を評価した.

     材料と方法 : 大阪大学歯学部附属病院口腔治療・歯周科にて辺縁性歯周炎と診断され, フラップ手術時にリグロスを投与された患者94名 (男性28名, 女性66名) の131歯 (140部位) を対象とした. 患者には, 通法に従い歯周基本治療を実施した後, フラップ手術 (リグロス投与) を行い, サポーティブペリオドンタルセラピー (SPT) またはメインテナンスに移行した. 被験部位は, リグロスの適応症とされるプロービングデプス (PD) 4mm以上および骨欠損深さ3mm以上の垂直性骨欠損を有する部位である. 本研究では, リグロス投与前後の被験歯の動揺度, 被験部位のPDおよびプロービング時の出血 (BOP) に加え, デンタルX線写真における新生骨増加率を計測し, リグロスの治療効果を評価した.

     成績 : 被験部位におけるPDは, 術前で平均6.00±1.50mmであったが, 術後3~5カ月で平均3.81±1.31mm, 術後9カ月以降で3.54±1.07mmと減少した. BOPは, 術前では被験部位の70%に認められたが, 術後3~5カ月では約20%に減少し, それ以降も低値を維持した. また, 新生骨増加率は, 術後3~5カ月では平均24.4±24.5%, 術後6~8カ月では平均35.7±24.3%, 術後9カ月以降では平均49.4±27.6%と経時的に増加した.

     結論 : 本研究において, リグロスの開発段階での第Ⅲ相臨床試験 (治験) の結果と同等以上のリグロスの歯周組織再生効果が確認された.

  • 下島 かおり, 武藤 徳子, 宇都宮 舞衣, 山田 寛子, 石井 信之
    2020 年 63 巻 3 号 p. 228-235
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/07
    ジャーナル フリー

     目的 : 本研究は, WaveOne Gold (WOG) による根管形成時のファイル回転力 (トルク) と形成能力を検討することを目的として, 2種類のグライドパス形成時とグライドパス未形成時で解析した.

     材料と方法 : 根管形成にはエンドトレーニングブロックを使用し, グライドパス形成群 (ProGlider (PG), WaveOne Gold Glider (WGG)), およびグライドパス未形成群の3群に分類した. 各群は, WOGによる根管形成の対照群としてProTaper Next (PTN) による根管形成を加えて, 合計6群で比較検討した. 各実験群は, 根管形成時間とファイルトルク値を測定した. さらに, 2種類のグライドパス形成群とグライドパス未形成群間で根管形成後の根管中央値を測定した.

     結果 : WOGの根管形成時間とファイル総トルク値は, PGおよびWGGファイルによるグライドパス形成によって顕著に減少した (p<0.05). WOGはグライドパスの相違にかかわらず, PTNよりも高い最大トルク値を示した (p<0.05). WOGによる根管形成後の根管中央値は, PGおよびWGGファイルによるグライドパス形成後にグライドパス未形成と比較して有意に減少した. 一方, PTNによる根管形成後の中央値はグライドパス形成の有無にかかわらず有意差が認められなかった.

     結論 : WOGファイルによる根管形成はグライドパス形成 (PG, WGG) によって, 根管形成時間, ファイルトルク値, および根管形成変移量が顕著に減少することが示された.

  • 池上 久仁子, 山下 元三, 三木 康史, 久留島 悠子, 高阪 貴之, 鈴木 美麻, 榎木 香織, 松田 謙一, 北村 正博, 池邉 一典 ...
    2020 年 63 巻 3 号 p. 236-244
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/07
    ジャーナル フリー

     目的 : 歯周病は, 歯頸部周辺に付着したデンタルプラークが病因となって発症・進行し, その病態形成には, 宿主因子のみならず, さまざまな環境因子が関与する. しかしながら, 環境要因と遺伝要因の歯周病に対する相対的な影響度についてはいまだ不明な点が多い.

     方法 : 双生児研究法は, 2型糖尿病や動脈梗塞性疾患などの多因子が関与する生活習慣病などにおいて, 遺伝因子と環境因子との相対的な重要度を調べるうえで 「ゴールドスタンダード」 な手法とされる. そこで本研究では, 高齢者を多数含む双生児集団を対象として, 一卵性双生児 (MZ) ペアと二卵性双生児 (DZ) ペア間の歯周病病態を比較することで, 歯周病に対する遺伝要因ならびに環境要因の相対影響度を検討した.

     結果 : 平均Probing depth (PD) とBleeding on probing (BOP) 陽性部位率の級内相関は, MZがDZより高かった. その一方で, 現在歯数, 歯槽骨吸収スコアは, MZとDZの級内相関がほぼ同レベルであった.

     結論 : 高齢者においては環境要因の歯周病に及ぼす相対的影響度が大きく, 宿主の遺伝要因の影響は小さい.

  • ―単一施設横断研究―
    水谷 幸嗣, 三上 理沙子, 佐々木 好幸, 髙谷 典秀, 太田 秀二郎, 松浦 孝典, 城戸 大輔, 武田 浩平, 向山 雄人, 須田 智 ...
    2020 年 63 巻 3 号 p. 245-253
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/07
    ジャーナル フリー

     緒言 : 近年, 歯周病とさまざまな全身疾患に関連があることが明らかになりつつある. 本研究では全身の医学情報を入手可能な人間ドック受診者を被験者として, 口腔内検査データ・唾液サンプル・血清を解析し, 歯周病の重症度への影響を調査するとともに, 歯周病のスクリーニング方法についても検討することを目的とした.

     方法 : 本研究は2015年7~8月に行った単一施設横断研究であり, 人間ドック受診者に歯周病に関する検査を行い, 全身状態のデータと解析することで歯周病と全身疾患の関連について調査した. 歯周病については, 歯周病専門医による歯周組織検査として歯周ポケット検査 (6点法) ・DMFT指数・simplified debris index (DI-S) を行い, 当時の米国歯周病学会の歯周病重症度診断に従って, 歯周病の進行度を健康・軽度歯周炎・中等度歯周炎・重度歯周炎へ分類した. 唾液を用いた歯周病原細菌検査はリアルタイムPCR法を用いて行った.

     成績 : 研究への参加に同意した人間ドック受診者67名 (平均53.3±1.6歳, 男性65.7%) を被験者とした. そのうち, 4名は糖尿病, 3名は心血管疾患, 1名は慢性腎臓病に罹患しており, Body Mass Index (BMI) は平均23.36±0.48であった. 非喫煙者が39名, 過去喫煙者が19名, 現在喫煙者が9名であった. また, 歯周病は健常18名, 軽度26名, 中等度15名, 重度8名であった. 多重ロジスティック回帰分析を用いて分析を行ったところ, 唾液中のPorphyromonas gingivalis菌数, 年齢, 中性脂肪, 超音波式踵骨骨量測定による骨密度を用いて歯周病重症者を識別できることが明らかとなった (感度0.61, 特異度0.95, AUC 0.85).

     結論 : 本研究は被験者数が少なく単一施設での予備的な調査であり, 限定的な所見の可能性があるが, 非侵襲的に採取できる唾液サンプルにおいてP. gingivalisの定量的な細菌検査を行い, 人間ドックでの検査結果と組み合わせることで歯周炎の早期発見ができる可能性が示唆された.

症例報告
  • 山田 雅司, 佐古 亮, 田宮 資己, 淺井 知宏, 佐野 陽祐, 関谷 紗世, 笠原 正彰, 笠原 典夫, 古澤 成博
    2020 年 63 巻 3 号 p. 254-260
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/07
    ジャーナル フリー

     緒言 : 2つ以上の根尖孔を有する下顎第一小臼歯は, 20%程度の発現率が報告されており, 臨床において遭遇することも多いがその対応と治療は難しい. 今回われわれはCBCTと手術用顕微鏡を用いて根管治療を行った1症例を報告する.

     症例 : 患者は, 49歳の女性. 前医にて下顎左側第一小臼歯の根管治療を行っていたが, 症状改善しないため東京歯科大学保存科に紹介され受診した. 臨床症状は根尖部圧痛およびデンタルエックス線写真で根尖部を取り囲む透過像を認めた. また, CBCT上で舌側にも根管が存在することを確認した. 慢性化膿性根尖性歯周炎と診断し, 感染根管治療を行うこととした. 事前に口頭と書面で研究目的と内容を説明して, 十分な理解を得たうえで参加の同意を得た (東京歯科大学倫理審査委員会 承認番号924). ラバーダム防湿下で根管治療を開始し, 事前にCBCTで位置を測定した根管開口部付近の舌側壁を探索して, 根管開口部を発見した. 根管口部のフレアー拡大後に, ネゴシエーションを行い, グライドパスを付与し, シングルレングス法でNi-Tiロータリーファイルを用いて根管形成を行った. 根管を最終洗浄後に, CWCT法にて根管充塡を行った. 直接法にて支台築造し, テンポラリークラウンを調整して仮着した.

     経過 : 根管充塡後1年で, 臨床症状は認められず, デンタルエックス線写真で根尖部透過像は消失しており治癒と診断した.

     考察 : 下顎小臼歯の舌側根管は鋭角か垂直に存在することが多く, 手術用顕微鏡下でも発見することは困難である. しかし術前にCBCTで確認し, 根管の分岐位置を測定したうえでの, 手術用顕微鏡を用いた治療は非常に有用であると考えられる.

     結論 : 本症例ではCBCTを用いて事前に根管形態を把握し, 手術用顕微鏡下にて目視で根管探索し施術することで, 予知性をもった治療を行うことができ, 良好な治癒が得られた.

論文撤回
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