リドカインを頸動脈と大腿静脈に持続注入することにより痙攣を誘発させた際の,痙攣誘発量,血漿リドカイン濃度,脳循環動態の差異について比較検討した さらに,リドカインにエピネフリンを添加した場合の痙攣発現機序に及ぼす影響についても検討した
24羽の日本白色家兎を用い,笑気 酸素・セボフルランにて麻酔導入後,気管切開を行い人工呼吸を行った 実験中は,笑気 酸素 パンクロニウムで麻酔を維持し脳定位固定装置に装着後,脳波,平均動脈圧,局所脳血流量,呼気終末炭酸ガス濃度,直腸温を持続的にモニターした 各パラメーターが安定したところを対照値とし実験群を以下の4群に分けた,IA-L群 リドカイン頸動脈内持続投与,IA-LF群 リドカイン+エピネフリン頸動脈内持続投与,IV-L群:リドカイン大腿静脈内持続投与,IA-LE群 リドカイン+エピネフリン大腿静脈内持続投与.脳波上での痙攣波を3分間持続させた後,動脈血を採取し血漿リドカイン濃度を測定し各群間で比較した
その結果,痙攣誘発量において,IA-LE群がIA-L群と比較して高値を示したが,大腿静脈内投与との間に差はみられなかった.また,痙攣誘発時の血漿リドカイン濃度は,大腿静脈内投与に比べ,頸動脈内投与で高値を示したが,IV-L群とIV-LE群さらに,IA-L群とIA-LE群において有意差はみられなかった.局所麻酔薬の頸動脈への注入による痙攣発現は,静脈内に投与された場合と比較し,痙攣時の血漿リドカイン濃度は上昇するものの痙攣誘発量には差がないことが明らかとなった また,局所麻酔薬へのエピネフリン添加は,動脈内投与において痙攣誘発量に影響を与えるが,痙攣誘発閾値には,頸動脈内,大腿静脈内投与とも影響を及ぼさないことが示唆された
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