歯科医学
Online ISSN : 2189-647X
Print ISSN : 0030-6150
ISSN-L : 0030-6150
71 巻, 3_4 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
  • 富永 康彦, 隈部 俊二, 岩井 康智
    原稿種別: 本文
    2008 年 71 巻 3_4 号 p. 195-200
    発行日: 2008/12/25
    公開日: 2017/05/29
    ジャーナル フリー
    歯髄内にリンパ管が存在するか否かについては論争がある.組織液の排導系としてリンパ管の分布を認める研究と,脈管外通液路のみにより行われるとする研究が,電子顕微鏡による微細構造の観察や酵素組織化学的あるいは免疫組織化学的な観察を通して行われてきたが結論は未だ出ていない.また,乳歯歯髄のリンパ管についても研究があまり進んでいない.今回,乳歯におけるリンパ管の存在を確認するため,乳歯歯髄において透過型電子顕微鏡による観察と免疫組織化学的な検索を行った.治療目的で抜歯された乳歯から歯髄を取出し,通法に従い固定しepon812に包埋し超薄切片を作製した.酢酸ウラニールおよび酢酸鉛の二重染色後,透過型電子顕微鏡で観察した.また乳歯を無固定で凍結包埋し,クリオスタットを用いて10μm厚の凍結切片を作製した.リンパ管内皮に存在するO型シアロ糖タンパクと特異的に反応する抗D2-40抗体を用いて,免疫組織化学染色を行った.透過型電子顕微鏡観察により,毛細リンパ管の存在を認めた.また,免疫組織化学的観察で歯髄中央部付近および辺縁部に明瞭な陽性像を認めた.永久歯歯髄に対する酵素組織化学的な方法としては5'-ヌクレオチダーゼ活性を指標とする研究,免疫組織化学的な方法として胸管に対する抗体(mAb-D)や脈管内皮細胞成長因子受容体に対する抗体(VEGFR-3)を用いた研究がリンパ管検索のために行われ,リンパ管の存在に肯定的な見解が出されている.今回我々の行った研究において透過型電子顕微鏡観察により毛細リンパ管が確認されたことおよび乳歯歯髄に抗リンパ管抗体陽性像が認められたことにより,乳歯歯髄においてもリンパ管が存在することが示唆された.
  • 北郷 理恵, 西浦 亜紀, 松本 尚之
    原稿種別: 本文
    2008 年 71 巻 3_4 号 p. 201-209
    発行日: 2008/12/25
    公開日: 2017/05/29
    ジャーナル フリー
    現在,唇顎口蓋裂患者に対する顎裂閉鎖術には新鮮自家骨が移植材料として頻用されている.しかし,自家骨を用いる際に生じる外科的侵襲や採取量の制限などの問題がある.本研究ではこれらの問題を解決するために,自家骨に代わる移植材料の開発を目的として,ゼラチンハイドロゲルによる骨形成因子(BMP)の徐放化技術を用いた顎裂部の骨再生の検討を行った.家兎の上顎骨に作製した人工的顎裂部にBMP-2含浸ゼラチンハイドロゲル(BMP-2徐放群),PBS含浸ゼラチンハイドロゲルあるいはBMP-2水溶液を填塞した.さらに非埋入群も作製し,術後4週における骨形成能を検討した.X線学的,組織学的および組織形態学的検索の結果,BMP-2徐放群は他の群に比べて旺盛な骨形成が確認された.以上の結果より,徐放化BMP-2による手法は顎裂閉鎖術において自家骨に代わる移植材料となりうると考えられた.
  • 岡崎 全宏, 田中 昌博, 川添 堯彬
    原稿種別: 本文
    2008 年 71 巻 3_4 号 p. 210-219
    発行日: 2008/12/25
    公開日: 2017/05/29
    ジャーナル フリー
    スポーツ時の咬合接触は,咬みしめている,咬みしめていない,個人差がある,などの報告があるが,定説はなく,被検運動によっても変わってくる.競技時により近い咬合接触動態を測定するため,当講座の開発した,ボクシング用リアルタイム咬合接触動態計測システムを用いて,攻撃動作時および防御動作時におけるマウスガード上での咬合接触動態の測定を行った.被検者には,本学附属病院に来院し,習熟されたボクシング選手10名を選択した.マウスガードはEVAシートを用いて,加圧形成器にて製作した.測定装置は,圧力分布測定システムとして口腔内の咬合接触動態はニッタ社製I-Scanを使用し,本講座が開発したボクシング用リアルタイム咬合接触動態計測システムを用いた.被検運動として,攻撃動作には,ストレートとフックを選択した.防御動作には,パーリングとアームブロッキングを選択した.なお,被検者に疲労が蓄積しないように,各試行間には適度なインターバルを置いた.測定方法ならびに解析方法として,I-SCANの咬合接触圧用特注センサシートをマウスガード上に固定し,最大咬みしめを行わせた咬合接触圧を100%とした.そして,被検運動をそれぞれ30秒間行わせ,トリガ信号出力時の咬合接触圧を記録した.このうち,安定した10ストロークのデータを選択した後,最大咬みしめに対する相対値を%で表示し,平均値と標準偏差を算出した.結果,全被検者において攻撃時では,どの被検運動においても最大咬合接触圧の10%以下の値であった.また,全被検者において防御時では,どの被検運動においても最大咬合接触圧の5%以下の値であった.この結果から,ボクシング選手の,攻撃動作時と防御動作時ともに,強く咬みしめていないことがわかった.
大阪歯科学会例会抄録
大阪歯科学会大会大阪歯科大学同窓会学術研修会抄録,プレ大阪歯科大学創立100周年記念事業
博士論文内容要旨および論文審査結果要旨
feedback
Top