ペンタエリトリットの品質特に不純物として含まれている無機物質はフタル酸樹脂の反応に際し色々な作用があり, Caは樹脂を懸濁させ, Fe, Mnは色相の増加を, Naは反応を促進させるといわれている。筆者は工業用として使用している各社のペンタエリトリットの中から灰分が2倍量近く差のある2試作を選び出し, 金属はポーラログラフを, 純分は赤外線吸収を併用して分析して見た。この2種類のペンタエリトリットを用いそれぞれ中・長油性の樹脂を反応させ, エステル交換の速度, 樹脂化の状況などを比較検討した。又, この樹脂を用いて塗料を作り塗膜の性能をも比較した。
その結果灰分の多いものはCa, Fe, Naの含有量が多く灰分の少くないものに比し, 赤外線吸収より比較したOH基の数も少なかった。エステル交換速度は両者共ほとんど差はないがやや灰分の少ないものの方が速く, 樹脂化に際しても粘度の上昇, 色数の増加, 酸価の低下等が無機不純物の少ない方が良好であり, 樹脂液の透明度も良好であった。
塗料としての性能は両者の間にはほとんど差はなかったが, 耐候耐水性が不純物の少くないものの方がわずかに良好であった。
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