エポキシ樹脂の硬化法のうちエポキシアミンアダクトによる硬化では, エポキシ樹脂とアミンアダクトはそれぞれ末端に反応性に富むエポキシ基とアミン基を持ちこれらの間の橋かけ反応が主反応であるから, 硬化塗膜の平衡弾性値からその塗膜形成機構ならびに塗膜の微細構造に知見が得られることが期待できる。
プレポリマーであるエポキシ樹脂の分子量およびエポキシ樹脂/アミンアダクト配合比の異なる各種塗料について, その諸性質を評価するとともに自由ねじり振動法による剛性率G・対数減衰率λの温度依存性を検討した。実験結果を総括するとつぎのようである。
(1) プレポリマーの分子量が小さいほど硬化塗膜の橋かけ密度が大きいため, 高温における剛性率Gh・ガラス転移温度Tgが高く, 塗膜の耐薬品性がよい。しかし常温における乾燥性・硬度はプレポリマーの分子量が大きいものの方がよい。
(2) Tg・Ghは当量配合比の場合最も高く過剰の未反応プレポリマーが多いほどTg・Ghは低下する。この現象は低分子量プレポリマーにおいて特に顕著であって, 流動性未反応プレポリマーは可塑剤として作用する。
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