印刷平滑性は, 実際に印刷を行なつて印刷インキによる紙面の被覆されやすさから決定すべきであるという立場より, 印刷平滑性の機構を解析した。
まず版面上に与えたインキ厚さ
xと, インキによる紙面の被覆面積比Fとの関係を明らかにするために, 印刷局式印刷適性試験機
1)によりxをいろいろ変化させてベタ印刷を行ないそれぞれのFを測定した。その結果Fが
xに関して対数正規型累積分布関数すなわち
F (x) =log
10e/√2πσ
x∫
o1/
x・e
-(log10x-μ) 2/2σ2d
xとして表示されることがわかつた。
そしてこの確率密度関数f(
x) の平均αがF(
x) 曲線 (図-1) における斜線部の面積と一致することから, αの値が大きいほど紙面が被覆されにくいことを示しており, 筆者らはこのαを“インキ被覆抵抗”と呼び, これによつて印刷平滑性をもっとも適切に表現できると考えた。すなわち新しい表示法“インキ被覆抵抗”の値が小さいほど印刷平滑性は良好であることを示している。
インキ被覆抵抗αは対数確率紙上でμ, σを求めることにより次式から計算される。
α=e
μ/log10 e+1/2(σ/log10 e) 2
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