色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
Print ISSN : 0010-180X
ISSN-L : 0010-180X
37 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 常温乾燥形アルキド樹脂塗料における二, 三の効果
    近藤 三二, 金口 年男
    1964 年 37 巻 4 号 p. 117-125
    発行日: 1964/04/30
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    常温乾燥形アルキド樹脂塗料における有機ベントナイトの配合効果を, コンシステンシー, ハケ捌き, タルミ, 顔料沈殿, 乾燥時間, 耐屈曲性および耐候性について検討した。その結果, 有機ベントナイトは
    (1) ハケ捌きを重くすることなく見掛け粘度を増大し塗料のコンシステンシーを向上させる。
    (2) 塗料のコンシステンシー経時変化を小さくし安定化する。
    (3) すぐれたタルミ防止効果を示す。これは主としてその増粘作用に基づくが, さらに有機ベントナイトの板状粒子が膜面と平行に配列し膜面方向のずれを拘束してタルミ防止に寄与することが推定された。
    (4) 顔料沈降容積を大きくし, 再分散しやすい膨潤した顔料層を形成させるので顔料沈降防止剤としてもすぐれている。
    (5) 乾燥塗膜の耐屈曲性を幾分高める。
    (6) 乾燥時間および耐候性にほとんど影響を及ぼさない。
  • 水熱法による合成 (その2)
    中原 藤也, 長江 明, 近藤 克己, 岡田 繁雄
    1964 年 37 巻 4 号 p. 126-132
    発行日: 1964/04/30
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    カドミウム・水銀の硫化物共沈殿を水熱処理 (120~300℃) することによって, 赤色の硫化水銀カドミウム顔料が得られることをすでに報告した1) 。本報においては, 水熱処理を350℃まで行ない, 出発物の水洗, 乾燥が生成物におよぼす影響ならびに水熱処理物と焼成処理物とを比較検討し, 次の結果を得た。
    1.水熱法
    1) 粒子は熱処理温度と共に大きくなり, 出発物を水洗しない方が大きく, またいったん乾燥した方が大きい。
    2) 色は出発物を水洗したものが短波長側にあり, 熱処理温度と共に彩度が大きくなる。
    3) 結晶は (等軸晶系十六方晶系) のものが, 温度の上昇と共に六方晶系のものに転位する。
    2.焼成法のものは, 水熱法のものに比べて, 粒子の成長は小さく, 発色するのに高い温度を必要とする。また出発物を水洗したものは発色しなかった。
  • 見城 敏子, 登石 健三
    1964 年 37 巻 4 号 p. 133-137
    発行日: 1964/04/30
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    壁画, 屏風, 掛軸などに画かれている古来からの日本画を保存するということは重大な問題であるにかかわらず, 実際には単に経験によってのみ行なわれているのが現状である。そこで我々はこの問題を物理的および化学的に追求し, 科学的保存法を確立しようとして本研究を始めたのである。日本画の保存を研究する場合にはまずいかなる変化が生ずるかを知らねばならぬ。すなわち日本画は基質である画面 (一般に紙また布) に有機, 無機の種々の顔料をにかわ, 胡粉などと共に水でねって塗布したものであるのでこれら種々の成分の各々が長い年月の間に空気中の湿気, 種々のガスと接触するため, また日光や照明による光エネルギーの照明により, それぞれ何らかの変化を生ずると共に各成分間の相互作用により変質する。
    これらの変化は変色, 退色, 脱離 (画面と絵の具) の他に基質自身の劣化 (虫にくわれたり, やぶれたりくずれたり) などきわめて多岐にわたっている。我々は日本画の保存法の確立の研究の第一段階として, 種々の変化のうち顔料の変退色がどんな原因により生ずるかを解明し, 次にその原因を削除するか, その対策を案出しようとした。しかし変退色の問題にしても実際の絵にはきわめて多くの顔料が用いられており, それらはいずれも化学的成分を異にしているので各々が長い年月の日に受ける変化は全く異なる。ゆえに問題をさらに単純化しないと判然とした結論を得ることは困難であるのでまず手始めとして古来から比較的よく用いられている鉛丹 (Pb3O4) をとりあげた。この鉛丹に類似した密佗僧 (PbO) をあわせて研究した。
  • 大藪 権昭, 川井 均, 中西 千長
    1964 年 37 巻 4 号 p. 138-142
    発行日: 1964/04/30
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    短油性アルキド樹脂・メラミン樹脂・キシレン溶液中における, 酸化鉄系顔料 (マピコエロー・Fe2O3・H2O) の界面動電現象を, 電気泳動法によって測定し, ヘルムホルツの仮定を用いて顔料のζ電位を求めた。マピコエローは, アルキド樹脂溶液に対しては正に, メラミン樹脂溶液に対しては負に帯電する。顔料濃度2.5%の本文記載の分散系において, アルキド樹脂濃度が約4%の組成で, 顔料のζ電位は最大を示し, アルキド樹脂とメラミン樹脂の比が小さな点, すなわち, 約1/60の組成で等電点を示した。この等電点を示す分散系の溶液中には, アルキド樹脂が著しく減小していることが赤外線吸収スペクトルから認められた。等電点に近い組成で顔料濃度を増加すると, 顔料のζ電位は減小する。顔料のζ電位の小さい系においては, 顔料の沈降速度, 沈降容積のいずれも大きく, 系の安定性の低いことを認めた。
  • 山田 貞吉
    1964 年 37 巻 4 号 p. 143-146
    発行日: 1964/04/30
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
feedback
Top