線状キナクリドン (キン- (2, 3b) アクリジン-5, 12 (7, 14) ジオン) の塩素およびメチル置換体, 8種を合成し, 色相に対する置換基の効果および結晶形と色相との関係について検討した。これらの置換キナクリドンは, ジエチルサクシニルゴバク酸より2, 5-ジアリルアミノテレフタル酸を得, さらにこれをポリリン酸 (115% H
3PO
4) で脱水閉環する方法により合成された。後処理法としては, (1) 酸処理法, (2) アルカリ性ジメチルホルムアミド処理法, (3) 有機溶媒中での煮沸処理法, および (4) ボールミリング処理法をとった。生成物につき, 自記分光光度計による測色およびX線回折による結晶形の判定を行なった結果は次のようである。
i) 黄榿色~赤紫色の顔料が得られた。
ii) 各置換キナクリドンは, 2~4個の結晶形が存在する。
iii) 結晶形の相違による色相の差は, 2, 9-ジク#ルおよび2, 9ジメチル置換体を除き, 無置換体よりも小さい。
iv) 有機溶媒中での結晶転移性は, メチル置換体の方が塩素置換体よりも大きい傾向にある。
抄録全体を表示