Na
2CrO
4とPb(NO
4)
2の溶液をNaOHおよびHNO
4の希薄水溶液中に同時に滴下してクロム酸鉛を沈殿させ,それらの沈殿の各種塩基性溶液に対する挙動を検討した。
同じNa
4O/N
2O
5モル比に対し反応pHは,前報に比べてモル比<1では低くモル比>1では高かった。したがって各試料間の色相の違いは前報より著しく大きかった。
上記沈殿はNaOHで30分処理するといずれもPbO/CrO
3÷2の固相が残留したが,モル比<1の試料とモル比>1の試料とではCrO3の溶出の過程が異なり,モル比く1ではCrO
3の過溶解・再沈殿の現象が認められた。
Na
2CO
3で処理するとCrO
3が溶出してCO
2が沈殿し,Ba(OH)
2で処理するとPbOが溶出してBaOが沈殿する。これらの場合にも成分溶出率曲線はモル比≧1に応じて異なる挙動を示した。
X一線回折・電子顕微鏡および色相観察から,このような溶解性の違いは化学組成が反応時のpHによって相異するためと推定された。
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