ファーネス型カーボンブラックの湿式酸化処理を6種の酸化剤 (過マンガン酸カリウム, 次亜塩素酸ナトリウム, 過硫酸アンモニウム, 重クロム酸カリウム, 硝酸および過酸化水素) について行ない, 水中への分散性と諸特性の変化について検討し, 次の知見を得た。
1.過マンガン酸カリウム, 次亜塩素酸ナトリウムおよび過硫酸アンモニウムで処理したカーボンブラックは水中で良好な分散状態を示した。
2.重クロム酸カリウムおよび硝酸で酸化処理した試料の水中での分散性は向上したが良好な分散状態は得られなかった。しかし, 水酸化ナトリウムでアルカリ性にすると良好な分散状態が得られた。
3.過酸化水素で酸化処理した試料は水酸化ナトリウムでアルカリ性にしても良好な分散状態は得られなかった。
4.酸化処理した試料の吸水量は未処理の試料に比べて小さくなり, 吸油量は逆に大きくなった。
5.カーボンブラックの水中への分散性に対する表面官能基の影響はカルボキシル基が最も関与していると推論した。
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