色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
Print ISSN : 0010-180X
ISSN-L : 0010-180X
45 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 熱伝導セルを検出器とする揮発量測定器の試作とそれによる知見
    牛尼 清治, 吉田 豊彦
    1972 年 45 巻 3 号 p. 124-132
    発行日: 1972/03/30
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    ガスクロマトグラフの熱伝導度セルを検出器として, 溶剤の揮発量を記録させることによって揮発乾燥の過程を追跡する装置を試作した。これを用いて次のような要因について揮発乾燥に対する影響を検討した。
    (1) ポリマーの分子量 : 分子量が大きくなると揮発は抑制され, 揮発の律速段階が境膜蒸気層拡散から液層内部拡散に変わる転移濃度は低くなる。
    (2) ガス流速 : 流速が大きい方が, 揮発速度の樹脂濃度に対する依存性が低濃度から認められるようになる。
    (3) 試料の量 : 転移濃度にはほとんど影響しない。
    (4) 温度 : 温度が上昇すると転移濃度も上昇する。
    (5) 顔料 : 顔料の存在は揮発を抑制し, 転移濃度を低下させる。
  • 長倉 稔, 小川 康雄
    1972 年 45 巻 3 号 p. 133-138
    発行日: 1972/03/30
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    油長65%, リノール酸変性アルキド樹脂において, 二塩基酸として無水フタル酸, 無水マレイソ酸あるいはそれらを併用した場合, 樹脂合成過程における無水マレイン酸の挙動を調べた。その結果, 無水マレイン酸はフマル酸への異性化ならびにリノール酸への付加反応をかなり起こし, これらが生成樹脂の粘度や分子量を高くする原因であることが認められた。二塩基酸として無水マレイン酸のみを用いたものはリノール酸への付加率が増大し, 生成樹脂は高酸価でゲル化した。
    フマル酸はマレイン酸への異性化は起こらないが, リノール酸への付加反応を起こし, 無水マレイン酸の場合と同様に生成樹脂の分子量や粘度は高くなった。コハク酸の場合はこれらの現象が認められなかった。
  • 飯田 武揚, 野崎 弘
    1972 年 45 巻 3 号 p. 139-144
    発行日: 1972/03/30
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    電子写真センサーのコロナ帯電における暗時, および光照射時の電位減衰の速度式は実験的に井上らの式
    V (t) =Voe-a√t
    によって与えられ, 1ogV (t) と√tのプロットを作ると直線になる。この直線の傾斜は温度の関数で, 温度の高いものほど傾斜が大きい。このような実験結果は従来の等価回路のモデルからは説明されない。そこでコ戸ナイオソがセンサーに化学吸着した後に拡散輸送されるという考えに基づぎ, 輸送理論の式を使って計算を行なった。その結果, logV (t) と√tのプロヅトが直線的になり, その傾斜が温度に依存するという解が得られ, いくつかの実験事実をこれによって説明することができた。よって電子写真セソサーのコPナ帯電における暗時, および光照射時の電位減衰を律速しているのはコロナイオソのセソサー中での拡散輸送であると考察した。
  • 谷 忠昭
    1972 年 45 巻 3 号 p. 145-151
    発行日: 1972/03/30
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    写真用色素が引き起こす減感作用には (I) 電子トラヅプ型減感と (II) 正孔トラップ型減感の二通りがあることを示唆し, 色素の電子構造, 乳剤のpAgの効果およびヨウ素イオソの効果の観点から検討を加えた。色素の電子構造の知見から, 1および皿を引き起こす色素としてフェノサフラニソと9メチルカルボシアニソの減感作用を調べたところ, 色素添加量依存性, 潜像分布依存性, 乳剤のpAg依存性およびヨウ素イオソ添加量依存性について両者の間に特徴的な相違が認められ, 上記の二つの減感の機構を支持する結果を得た。
  • 津田 穣, 西久保 忠臣, 笈川 節子, 三宅 良一
    1972 年 45 巻 3 号 p. 152-158
    発行日: 1972/03/30
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    ポリケイ皮酸ビニルのすぐれた増感剤であるN-アセチル-4-ニトロ-1-ナフチルアミンの原料として用いられる4-ニトロ-1-ナフチルアミンの選択的合成法について研究した。原法は, Organic Syntheses (文献4) に与えられているが, 反応条件が工業的製法として適当でない。本報の方法では, 一定量の生成物を得るに要する原料の量は, 原法に比べて1一ニト戸ナフタリンは1.35倍であるが, 塩酸ヒドロキシルアミソは0.27倍, 水酸化カリウろは0.29倍, 溶媒は0.18倍であり, 反応時間は1/2である。
    改良した合成法は次の通りである。59の水酸化カリウムを20mlのメタノールに溶かしておぎ, これを, 45℃に保った5gの1-ニト戸ナフタリンと2.5gの塩酸ヒドロキシルアミンのエタノール溶液 (40ml) 中に一度に加える。50-60℃で1時間かきまぜたのち, 反応液を500mlの氷水中に落し, 生成した固体を集め, 十分に水で洗う。3gの活性炭を用いて, エタノール (120ml) 中で色抜きを行なったあと, 再結晶する。精製物の収率は1一ニトρナフタリンに対して33.5%, 塩酸ヒドロキシルアミンに対して27.9%で, 原法では, これが各々45.8%, 7.4%となる。融点195-196℃。
    π電子系に関するヒュッケル分子軌道の計算を行ない, その結果を用いて反応機構についての考察を行なった。しかし, 計算結果からは, 本報の合成法が, 4一ニト官一1一ナフチルアミンの選択的合成法であるという結論は得られなかった。
    参考のための原料費 (4一ニトロー1一ナフチルアミソ1kg製造に要する額)
    単価本法文献
    1-ニトロナフタリン300円/kg2.7kg810円2.0kg600円
    塩酸ヒドロキシルアミン800円/kg1.35kg1080円5.0kg400円
    水酸化カリウム 70円/kg 2.7kg 189円 9.4kg 658円
    エタノール 105円/l 21.6l 2268円 120l 12600円
    メタノール 36円/l 10.8l 389円60l 2160円
    4736円 1200185円 4.22
  • 赤金 華津男, 松浦 和代, G.G. Allan
    1972 年 45 巻 3 号 p. 159-164
    発行日: 1972/03/30
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    1-オキシイミダゾールはα-ジオンモノオキシム類とアルデヒド類をアンモニアと縮合して, またそのオキシドはα-ジオソ類とアルデヒド類をヒドロキシルアミン塩酸塩と縮合してそれぞれ合成した。そのうち1-オキシ2- (6-メチル-2-ピリジル) 4, 5-ジメチルイミダゾールはホトク戸ミズムを示した。それを塩化ゴムに混合して得た塗膜はホトクロミズムを有し, その速度定数を測定した結果0.9×10-2sec-1を得た。
    1-オキシイミダゾールおよびそのオキシドの水酸基はアクリル酸クロリドと反応させてアクリル化した。それとスチレンの共重合を試み, 得られたポリマーについて耐塩水性および暴露付着性を検討した結果, イミダゾール環を導入することによりいずれの性能も向上することを認めた。
feedback
Top